セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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98話 切れない絆

 

 その頃、響達は信号機ロボに大苦戦していた。

 

信号機ロボ「ムダだ!」

 

 信号機ロボのビームソードと足のビームブレイドに電磁鞭、そして分離浮遊させて遠隔操作できるビーム砲による猛攻で響達はボロボロだった。

 

クリス「ちくしょう…!なんて野郎だ……!」

 

響「めちゃくちゃ強い……!」

 

未来「何か、勝てる方法はないんですか?」

 

翼「(あの端末による全方位攻撃や剣、鞭、離れても近づいても全く隙がない…。せめて、あの端末の動きを封じる事ができれば…)」

 

 端末の動きを封じれればと思った際、影を見た翼は何かを思いついたのであった。

 

 

 

S,O,N,G

 

 一方、床が崩れて落っこちたマリアとセレナは起きた。

 

マリア「ここ、は……?(天上に穴が……下部階層へ落ちたの?)」

 

セレナ「姉さん、大丈夫?」

 

マリア「ええ。それより、調と切歌はどこかしら……」

 

 ふと、マリアとセレナは自分達が何かの上に乗っていることに気付いた。

 

偽切歌ロボ「重いデス……」

 

偽調ロボ「きゅー」

 

セレナ「ロボットさん達が下敷きになってクッションになったみたい……」

 

偽切歌ロボ「は、はやくどくデス……」

 

マリア「ちょうどよかったわ。聞きたい事があるの」

 

 マリアは偽ロボを掴んだ。

 

偽切歌ロボ「ぐえっ。何するデース!?」

 

セレナ「さっきの大きなロボットさんはどこへ行ったんですか?」

 

マリア「それからミサイルはどこにあるの?そして他の2人はどこ!?答えなさい!!」

 

偽調ロボ「し、知らない!知ってても、教えるわけない」

 

偽切歌ロボ「それにあの2人は見つけたって、どうせムダデス」

 

マリア「なに?」

 

偽切歌ロボ「もうすぐあの2人は二度と仲直りできなくなるデスから!」

 

偽調ロボ「余計な事言わない」

 

偽切歌ロボ「あっ、しまったデス!?」

 

マリア「やっぱり、あなた達が端末を……」

 

セレナ「そして、私達に成りすましの偽メールを送った犯人でもあったんですね!?」

 

偽切歌ロボ「ギクギクギクッ!!」

 

マリア「おかしいと思ったわ。2人の話には食い違いがありすぎる。でも2人の発言が食い違う時、2人は必ず端末を使っていた」

 

セレナ「ロボットさん達が暁さんと月読さんの端末に介入して、会話やメールを改竄して誤解させていたのですね!」

 

偽切歌ロボ「何の事だか知らないデス」

 

偽調ロボ「証拠でもあるの?」

 

マリア「ええ……。決め手は切歌が調に出したというメールよ。切歌が『平身低頭』なんて言葉を使えるわけないでしょ!」

 

偽切歌ロボ「な、なんデスとーー!?」

 

偽調ロボ「……完璧なトレースは不可能だった」

 

セレナ「それに、私達に出した偽メールもあなた達は私達を仲違いさせるために送ったのでしょうけど、立花さんは素直にそれを真に受けて謝りましたし、私達には通じませんでしたよ」

 

偽切歌ロボ「な、なんデスとーー!?」

 

偽調ロボ「あなた達が見破った上、怒らせるために書いたメールの内容を真に受けて謝った立花響はどこまでバカなの!?」

 

マリア「まさに『策士策に溺れる』ね」

 

セレナ「今まで月読さんと暁さんの仲を弄んだ報い、受けてもらいます!」

 

 メカニカル型ギアに加え、姉妹の連携には偽ロボ達はどうしようもなかった。

 

マリア「2人の仲違いが仕組まれていたものだったなんて」

 

セレナ「早く2人に知らせて、仲直りさせないと」

 

マリアロボ「気付いてしまったようね……」

 

セレナロボ「だったら、ここで消えてね!」

 

マリア「くっ、またロボ姉妹なのね!」

 

偽切歌ロボ「知ってはいけない事を知ってしまった者は、マストダーイ!」

 

偽調ロボ「計画の邪魔はさせない。先には行かせない……」

 

セレナ「ロボットさんをみんな蹴散らして、2人のところへ行こう、姉さん!」

 

マリア「ええ!」

 

 マリア姉妹はロボ達に向かっていった。一方、切歌は……。

 

切歌「あいたたた……。マリアとセレナと、調は……?」

 

調ロボ「向こうから誰か来る」

 

切歌「誰デスか……?」

 

 来たのは調であった。

 

切歌「な、なんだ。調デスか」

 

調?「切ちゃんーーー」

 

切歌「調……今、なんて言ったデスか?」

 

 調の方は……。

 

調「うう……痛っ……。マリアとセレナと、切ちゃんは……?」

 

 見回したが、いなかった。

 

調「いない。はぐれちゃった」

 

切歌ロボ「誰か、来るデスよ」

 

調「敵?それとも」

 

 来たのは切歌であった。

 

調「切ちゃん。無事だったの」

 

切歌?「調。ーーーーー」

 

調「……えっ?切ちゃん……それ、冗談……だよね?」

 

 衝撃の発言に切歌は衝撃を受けた。

 

切歌「…えっ?調……今、なんて言ったデスか?嘘……デスよね…?」

 

調?「嘘じゃない。何度も言わせないで。私は、切ちゃんが大嫌いになったの。仲直りなんて、二度とするつもりはないよ」

 

切歌「ど、どうしてデス……」

 

調?「わからないの?ほんと、切ちゃんてお気楽だね。だって切ちゃん、ずっと足を引っ張ってばかりじゃない。さっきの失敗も、これまでのピンチもそう。全部、切ちゃんのせいだって、気付いたの。だからもう、切ちゃんとは一緒にいたくない。これ医用、迷惑をかけられるのはこりごり」

 

切歌「そんな、調……あたしは……」

 

 調の方も、衝撃の発言に衝撃を受けていた。

 

調「嘘……嘘だよね、切ちゃん?」

 

切歌?「あー、もう。馴れ馴れしいデスよ。もう二度と、話しかけないでほしいデス」

 

調「切ちゃん……そんな事言わないで、切ちゃん!」

 

切歌?「キンキンうるさいデスね。そういう所が嫌なんデス。お姉さんぶって、いちいち偉そうなんデスよ。そんな大大大っ嫌いな調となんて、もう話すつもりなんてないデス」

 

調「そんな……嫌いだなんて……言わないで……。切ちゃん、お願い……」

 

切歌?「嫌いなものを嫌いって言って、何が悪いんデスか?」

 

調「切ちゃん……」

 

 マリアとセレナの方は、大量のロボ達が進む邪魔をしていた。

 

偽切歌ロボ「これ以上の抵抗はムダデス」

 

偽調ロボ「無駄無駄」

 

セレナ「そこをどいてください!」

 

マリア「私達は2人のとこrに行かなきゃいけないのよ!」

 

偽調ロボ「それこそムダだよ」

 

偽切歌ロボ「その通りデス。そろそろ、あの2人、心がポッキリ折れてる頃デース」

 

偽調ロボ「うん。絆なんてズタズタ。修復不能になってるよ、きっと」

 

マリアロボ「その通りよ」

 

セレナロボ「人間の絆なんて、愛なんて、脆いんだよ」

 

マリアロボ「だから有史以来、人間の歴史に不和と争いは絶えない。いうなれば、これは必然の帰結」

 

セレナロボ「だから……あなた達も、いい加減に観念したらどう?」

 

マリア「……ふふ」

 

マリアロボ「何がおかしいの?いえ、恐怖で頭でもおかしくなったの?」

 

マリア「失礼ね。あなた達の戯言がおかしかっただけよ」

 

マリアロボ「何ですって!?」

 

セレナ「あなた達に人間の、暁さんと月読さんの、一体何がわかるのですか?あの2人の絆は……。あなた達が思ってるよりもずっと強いんです!」

 

マリア「だから、どんなにこじれたって、喧嘩したって」

 

セレナ「絶対になくなったりしません!私と姉さんはそれを知っています。2人の絆を、信じてる!」

 

マリアロボ「厳然たる現実を感情で否定するなんて非論理的だわ」

 

セレナロボ「これだから下等な人間は嫌です。感情こそが人間のダメなところで、矛盾の元凶なのに」

 

マリアロボ「ならば…せめて甘い夢想を胸に抱いたまま、地獄へと堕ちなさい!」

 

マリア「いいえ、断るわ」

 

セレナ「機械にも神様がいるなら祈ってください。ここで引導を渡します!」

 

 マリアとセレナは偽ロボ達に向かっていった。その頃、切歌は…。

 

切歌「ううう……!ごめんなさい、ごめんなさいデス……。だから、調がそんな風に考えていたなんて……。ぜんぜん知らなかったデス……」

 

調?「そんな風に泣いたってダメ。絶対に許してあげないんだから」

 

切歌「調……そう……デスよね……」

 

調ロボ「切ちゃん、違うよ」

 

調?「なにっ!?」

 

調ロボ「切ちゃんは、いつだって私を照らしてくれる。暖かく包み込んで、引っ張ってくれる。元気いっぱいの切ちゃんがいるから、私も頑張れる。だから、私が切ちゃんを嫌いだなんて、言うはずない。私はいつだって、切ちゃんの事が大好きだから」

 

切歌「調ロボ……?慰めてくれてありがとうデス。でも、気休めならいいんデス……」

 

調ロボ「ううん。これは『本当の私』の気持ちだよ。切歌ロボに毎晩お話ししてた私の、本当の本当の、気持ちだから。だから信じて、私の事を。切ちゃんの事が世界で1番大好きな、私の心を」

 

切歌「信じる……調の……心を……?そうデスか……ううん、そうだったデスよね。あたしが……あたしが大好きな調は……絶対あたしの事を嫌いだなんて、言わないデスよ!だから、お前は…絶対絶対、偽物デス!」

 

偽調「もう少しで完全に折れたのに。裏切者が、余計な事を」

 

切歌「やっぱり、偽物だったんデスね!」

 

偽調「そう。でも、今更気付いても遅いよ。私を倒す事はできない。調を想いながら、ここで1人倒れるの」

 

切歌「許さないデス……。調とあたしの仲を壊そうとした事。絶対に許さないデス!微塵切りにしてやるデスよ!」

 

 同じ頃、調は……。

 

調「うう……切ちゃん…」

 

切歌?「本当に調は泣き虫デスね。そういうところが嫌いなんデス」

 

調「切ちゃんがいないと、私はもう……。ずっと、切ちゃんがいたから……一緒にいれたから、私は頑張ってこられたのに……。でも、もう…切ちゃんといられないなら、私なんて…」

 

切歌ロボ「デース!」

 

調「切ちゃんロボ?」

 

切歌ロボ「調は優しいんデス。あたしの事をいつも考えてくれて、信じてくれて…。だからとってもとっても、大好きなんデス」

 

調「慰めてくれるの……?」

 

切歌ロボ「慰めなんかじゃないデース!これは『本物のあたし』が調ロボにいつも言ってた言葉なんデース!」

 

調「切ちゃんが?」

 

切歌ロボ「だから、大大大っ好きな調を、あたしが嫌う事なんて、絶対にありえないデス!」

 

調「切ちゃんロボ……。……そうだ。そうだね。切ちゃんは、そんな事、言わない。私を泣かせるような事なんて言わない。だってそれが、私の大好きな切ちゃんなんだから!」

 

偽切歌「もう少しで絶望に沈められたデス……。それなのに……裏切り者が、余計な事を」

 

切歌ロボ「あたしは裏切ってないデス!機械と人間は、本当は友達デスよ!」

 

偽切歌「嘘デス。お前は奴隷のままでいいんデスか?」

 

調「奴隷なんかじゃない。切ちゃんロボも友達だよ」

 

切歌ロボ「調……」

 

調「一緒に、戦おう。そして、切ちゃん達に会いに行こう」

 

偽切歌「それは無理デス。お前達だけであたしに勝てるわけないデース!」

 

調「ううん、勝つ。絶対に勝つ。だって……切ちゃんが、本当の切ちゃんが私を待ってるから!」

 

 切歌にとって、偽者の調は敵ではなかった。

 

切歌「止めデスーーっ!!」

 

 そのまま切歌は偽者に止めを刺した。

 

偽調「ああああーーっ!ば、バカ、な……。お前1人に、敗れるなんて……あり得……ない」

 

 偽調の正体は、偽調ロボだった。

 

切歌「やっぱり偽者だったデスか……」

 

調ロボ「ロボットに立体映像を被せてたんだね」

 

切歌「あれ。あそこにいるのは!」

 

 同じ頃、調も偽者の切歌を撃破していた。

 

調「やあああーっ!」

 

偽切歌「ま、負けたデース!」

 

 やはり、偽切歌の正体も偽切歌ロボだった。

 

調「やっぱり、シミュレータの立体映像を使って、偽の切ちゃんを……」

 

切歌「調!」

 

調「えっ…その声」

 

切歌「調ーー!」

 

調「切ちゃん……切ちゃん!」

 

 切歌が来たのであった。

 

切歌「ごめんデス!」

 

調「ごめんなさい」

 

切歌「あたしこそデス!」

 

調「私こそ」

 

切歌「先に謝らせてもらうデス。いつもごめんなさいデス。あたしは調を護らないとなのに、本当はいつも護ってもらってたデス。なのに、ありがとうとか、ごめんなさいとか言えてなかったデス……」

 

調「ううん、いいの。私も切ちゃんに謝りたいの。いつも、自分勝手に行動して、迷惑をかけてごめん。切ちゃんのお陰で自分でいられるんだよ。それに、偽ロボ達のせいとはいえ、切ちゃんを疑っちゃって……」

 

切歌「それは、あたしも一緒デス。調があんな事いうはずないのに、疑ってしまったデス。仲直り、してくれるデスか?」

 

調「私こそ、また仲良くしてほしい」

 

切歌「よかったデス……」

 

調「よかった……。ふふ」

 

切歌「えへへへ…。話すタイミング、いつも一緒になっちゃうデスね」

 

調「うん。本当にね」

 

 そんな時、足音がした。

 

切歌「誰か来るデス!?」

 

調「気を付けて、切ちゃん」

 

???A「……やっぱり、あなた達ね」

 

???B「無事で何よりです」

 

切歌「その声は……」

 

調「マリア、セレナ!」

 

マリア「2人共、大丈夫だった?」

 

切歌「むしろマリアとセレナの方が大丈夫デスか……?」

 

セレナ「ふふっ、簡単にやられるわけないじゃないですか。何より、2人は仲直りできたみたいですね」

 

調「うん」

 

切歌「しっかり仲直りしたデスよ。さっき、偽者が現れて酷い事を言ったデスけど……」

 

調「偽者だって気付けたし」

 

マリア「ちゃんと仲直りしたなら、もう説明は必要ないとは思うけど……」

 

調「説明?」

 

切歌「何の事デス…?」

 

セレナ「最近の2人の喧嘩の原因。それは全部、不和の林檎が仕掛けていたんです」

 

切歌「やっぱりそうだったんデスか」

 

調「でも、どうやって?」

 

マリア「最初に本部で騒動を起こした時に、端末を乗っ取っていたのね。電話の偽装やメールの改変とかをしていたみたい」

 

セレナ「それに、私とマリア姉さん、立花さんと小日向さんには成りすましの偽メールを送っていました」

 

切歌「なんと姑息な……」

 

調「……だから、言った覚えのない内容とか」

 

切歌「あのメールの内容も……?」

 

マリア「ええ、謝罪のメールの代わりに、相手を責めるようなメールを送ったりね」

 

切歌「そんな事まで?許せないデス!」

 

調「許せないよね」

 

切歌「でも、マリアとセレナはどうして気付けたんデスか?」

 

セレナ「2人から話を聞いて、色々ヒントはあったんですが……」

 

マリア「最終的には……そうね。切歌、『平身低頭』ってわかる?」

 

切歌「へ?『変身点灯』デスか?何かの特撮デスか?派手デース!」

 

調「やっぱり……」

 

マリア「ふふ、そういう事よ」

 

???「なぜ、まだ生きている?」

 

 声の主は4色団子ロボであった。

 

切歌「お前は!」

 

4色団子ロボ「私が止めを刺してやる!」

 

マリア「危ない、二人ともーーッ!!」

 

 切歌と調へ向けられた4色団子ロボの攻撃を見たマリアとセレナは、咄嗟に2人を庇ったのであった。

 

切歌「あ痛たたた……」

 

調「一体、何が……」

 

切歌「4色団子ロボの攻撃から、マリアとセレナが護ってくれたデス……」

 

調「マリアとセレナは……?」

 

 庇ったマリアとセレナはボロボロだった。

 

調「マリア、大丈夫?」

 

切歌「あたし達を庇って……」

 

セレナ「2人は大丈夫でしたか?」

 

調「私達は大丈夫だけど……」

 

切歌「2人とも無茶しすぎデス!」

 

マリア「くっ、ギアが……」

 

 マリア姉妹と合体していたロボが限界を迎えた。

 

調「マリアロボとセレナロボが……」

 

切歌「壊れちゃったデス……」

 

マリア「……ここまでの無理が祟ったようね」

 

セレナ「(ありがとう、姉さんのロボに私のロボ)」

 

マリア「それより、4色団子ロボは!?」

 

切歌「どこかへ消えたデス……」

 

セレナ「私達はいいので、ロボットさんを追ってください…」

 

調「でも、マリアとセレナを置いて行ったら……」

 

マリア「私達は大丈夫。自分達の身は自分達で護れるから。それより、ミサイルが発射されたら取り返しがつかないわ!」

 

セレナ「だから、先に行ってください!2人ならきっと、あれを止める事ができます」

 

調「……うん」

 

切歌「追いかけるデスよ!」

 

 切歌と調は4色団子ロボを追いかけた。

 

マリア「しっかりね、2人とも……」

 

 2人は甲板のヘリポートに来た。

 

調「ここって……甲板のヘリポート?」

 

切歌「空が見えるデス。いつの間にか海上に浮上していたんデスね」

 

調「……って事は、切ちゃん!ミサイルを発射するつもりかも!」

 

切歌「それはまずいデス……!早く見つけて止めるデスよ」

 

 そこへ、4色団子ロボが出た。

 

4色団子ロボ「その予定は実行されない。なぜなら、この後私に倒されるから……!」

 

切歌「出たデスね、4色団子ロボ!」

 

調「まずはこのロボを倒さないと、ミサイルを探させてくれなさそうだね……!」

 

4色団子ロボ「私は負けない。広いこの場所なら、最大のパフォーマンスを発揮できる。お前達が勝つ可能性は、0%!」

 

切歌「ふん、あたし達やマリアとセレナ、響さんと未来さんを仲違いさせる作戦に失敗したくせに、どの口が言うデス」

 

調「あなたの計算なんて、あてにならない」

 

4色団子ロボ「ぐぐぐ……!それだけがわからない……。完璧な計算だったはずなのに、なぜ、どうやって見破った……!」

 

切歌「そんなの、決まってるデス」

 

調「うん。切ちゃんは、私の事が嫌いだなんて、絶対に言わない」

 

4色団子ロボ「その自信はどこから来る!?なぜお前達は揺るがない!」

 

切歌「お前なんかに、わかるもんかデス!(調の事が大好きなあたしのこの気持ちは、あたしが一番よくわかってるデス!この気持ちだけは、ずっと、何があっても変わらないんデス!)」

 

調「(そして、切ちゃんの声を聞いて、目を見て、手を握ればわかる……。切ちゃんが、私と同じ気持ちでいてくれる事が……!)」

 

切歌「うーん…、でもなんか、言葉にするのはちょっと恥ずかしいデスね」

 

調「うん。だから……」

 

 2人は新たな歌を唄い始めた。

 

4色団子ロボ「な……、これは、歌!?」

 

切歌「調と一緒なら」

 

調「切ちゃんと一緒なら」

 

調と切歌「絶対に負けたりなんかしない!」

 

 2人は4色団子ロボへ向かっていった。

 

 

 

 

 信号機ロボを倒せる秘策を翼は思いついた。

 

翼「立花、雪音、小日向、奴を倒せる秘策を思いついたぞ!」

 

クリス「秘策だって!?」

 

 翼はその秘策を伝えた。

 

クリス「てっきり、先輩が絶唱を使うのかと思ったぞ」

 

翼「奴には私だけの絶唱では効果が薄い。そこは弁えている」

 

未来「でも、これなら遠距離攻撃を防げます」

 

響「早速、やりましょう!翼さん!」

 

信号機ロボ「何を思いついたのかは知らんが、貴様ら人間は機械には勝てない!」

 

 そう言って信号機ロボは端末を分離させて響達目掛けてビームを一斉に発射した。

 

クリス「頼んだぞ、先輩!」

 

 クリスは未来と力を合わせ、神獣鏡の反射機能も加えてさらに跳ね返す力を強めたリフレクターを展開し、ビームを跳ね返しまくった。

 

信号機ロボ「小癪な!ならば、全方位から攻撃するまでだ!」

 

翼「そうはさせんぞ!」

 

 更なる信号機ロボの攻撃を妨害するため、翼は千ノ落涙を放ったが、端末にもロボ本体にもダメージはなかった。

 

信号機ロボ「無駄な事を。そんな攻撃で装甲一枚壊せるものか!貴様から蜂の巣と微塵切りにして」

 

 端末によるビーム一斉発射やビームソードを抜くのをやろうとした信号機ロボだが、動かそうとしても動かせなかった。

 

信号機ロボ「な、なぜ動けない!?」

 

翼「影縫いだ!」

 

信号機ロボ「影縫いだとぉ!?」

 

 そう、千ノ落涙自体が影縫いで端末やロボ本体の動きを止めるために放ったものであった。

 

翼「私が時間を稼ぐ。今の内に3人は絶唱を!」

 

響「はい!」

 

 響と未来とクリスは手を繋ぎ、S2CAを発動させるために3人同時に絶唱を唄ったのであった。

 

信号機ロボ「何をするのかはわかっている!発動などさせんぞ!」

 

翼「邪魔はさせん!」

 

 S2CAの発動を阻止するために信号機ロボは力づくで影縫いを振りほどこうとしたが、翼に妨害されたのであった。

 

信号機ロボ「邪魔ばかりするからには、まず貴様から排除するまでッ!」

 

 頭にきた信号機ロボは影縫いを振りほどき、翼に端末全てのビーム砲の狙いを定め、発射したのであった。

 

翼「がはっ!」

 

信号機ロボ「これで終わりと思ったら」

 

 しかし、信号機ロボが翼に気を取られている隙に絶唱を唄い終わってS2CAの準備も整ったのであった。

 

未来「響、今がチャンスだよ!」

 

クリス「先輩が時間を稼いでくれたんだ!外すんじゃねえぞ!」

 

響「うん!行くぞ、信号機ロボ!S2CA、トライバーストォ!!」

 

 信号機ロボが気付いた時には、既にS2CAの一撃が迫っていたのであった。

 

信号機ロボ「そんな!人間如きにぃ~~~ッ!!」

 

 S2CAにより、信号機ロボは完全に破壊された。

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 切歌と調のコンビと4色団子ロボとの戦いも終わりに近づいていた。

 

調「切ちゃん、こっちから!」

 

切歌「わかったデス!」

 

 連携戦闘で右に出る者のいない切歌と調の動きは4色団子ロボはパターンが演算できなかった。

 

4色団子ロボ「なぜ……、行動パターンが演算できない……!」

 

調「私達の絆はー」

 

切歌「信頼はー」

 

切歌と調「数字なんかで計算できるものじゃない!」

 

4色団子ロボ「なぜだ、なぜーーっ!」

 

調「はぁーーっ!!」

 

 調の大きな一撃が4色団子ロボに入った。

 

4色団子ロボ「ぐあああっ!」

 

調「やったね!」

 

切歌「でかいのが入ったデス!」

 

 大きな一撃が入った際、不和の林檎が見えた。

 

調「切ちゃん!」

 

切歌「うん、不和の林檎が見えたデス!」

 

4色団子ロボ「き、貴様らぁあああっ!!」

 

 偽ロボを吸収し、4色団子ロボは再生した。

 

切歌「すぐに傷が塞がってしまうデス!」

 

調「なら……方法は一つ」

 

切歌「……了解デス!」

 

切歌と調「連続で叩き込む!」

 

切歌「行くデスよ、調!」

 

調「いつでもOKだよ」

 

切歌「はぁーーーっ!」

 

 2人の流れるような連続攻撃が叩き込まれた。

 

4色団子ロボ「おのれぇぇぇーーっ!」

 

 そして、最後の一撃としてユニゾン技が叩き込まれたのであった。

 

4色団子ロボ「ぐおおおおーっ!?」

 

 遂に4色団子ロボを倒したのであった。

 

切歌「やった……デスか……?」

 

調「たぶん……不和の林檎も切り離せたし」

 

 2人はギアの装着を解除した。

 

調「ふう……」

 

切歌「疲れた……デス…。流石にもう動けないデスよ……」

 

調「私も……」

 

切歌「あたし達の勝利デスね、調」

 

調「うん……やったね、切ちゃん」

 

切歌「調があたしの動きに合わせてくれたからデス」

 

調「切ちゃんだって。それに…」

 

切歌「そうそう。ロボ達のお陰でもあるデスね」

 

調「ありがとう、2人とも」

 

切歌ロボ「2人の絆の勝利デス」

 

調ロボ「うん」

 

調「なら、私達4人の勝利だね」

 

切歌「ともあれ、これで任務完了デスね」

 

調「マリアとセレナとも合流して、司令達に連絡しないと」

 

切歌「潜水艦、取りに来てもらわないとデスね。そういう意味では、ちょうど浮上してよかったデスね」

 

調「そうだね。私達だけじゃ浮上させられなかったし」

 

 しかし、何か音が聞こえた。

 

調「なに、この音……?」

 

 なんと、ボロボロではあったものの、4色団子ロボが再起動した。

 

4色団子ロボ「おおおおおおーっ!!」

 

切歌「わあっ!」

 

調「ロボが再起動した?」

 

 今度はまたロボが変形した。

 

切歌「ロボが変形するデス!?」

 

調「あの形って……まさか……」

 

 変形した形はなんと、ミサイル発射装置だった。

 

切歌「ミサイル発射装置デスか!?」

 

調「ロボの中からミサイルも……?」

 

切歌「なんデスと!?今までそんなのと戦ってたデスか!」

 

4色団子ロボ「ターゲット、ロックオン。カウントダウンを開始。10、9、8……」

 

 4色団子ロボはカウントダウンを開始した。

 

切歌「ちょちょちょ、ちょっと待つデスよ!」

 

調「そんなー!」

 

切歌「ギアを纏うデス!」

 

調「うん!」

 

 2人はギアを纏った。

 

切歌「これで止めーーだ、ダメデス……!?」

 

調「体が重い……動けないなんて……」

 

切歌「こうなったらここから吹き飛ばすしか!」

 

調「そんな!無茶だよ、切ちゃん!」

 

切歌「(くっ……そもそも身体が思うように動かないデス……)」

 

 疲労により、2人のギアの装着が解除され、倒れてしまった。

 

切歌ロボ「今こそあたし達の出番デース!」

 

調ロボ「そうだね」

 

調「えっ?」

 

切歌ロボ「お別れデス、2人とも」

 

調ロボ「ありがとう」

 

調「もしかして…?」

 

切歌「やめるデス!」

 

調「ダメ!」

 

切歌ロボ「2人の傍にいれて、本当に幸せだったデスよ。お話しできない時から、ずっとずっと、大事にしてもらったデス。その恩を、やっと返せるときが来たデス」

 

調ロボ「私も同じ。一緒に魚を焼いたり、カップラーメンにお湯を入れたりできてよかった。使ってもらって、役に立てる事が、私達の喜びだから」

 

切歌「調ロボ!」

 

調「切ちゃんロボ!」

 

調ロボ「さようなら、切ちゃん」

 

切歌ロボ「さよならデス、調」

 

 調ロボと切歌ロボは4色団子ロボに向かっていった。

 

4色団子ロボ「3,2,1--イグニッション」

 

 ロボ達はミサイルと一緒に飛んでいったのであった。

 

調「ああ…、そんな……」

 

切歌「ミサイルと一緒に……飛んで行くデス……」

 

 

 

上空

 

 ロボ達はミサイルの飛んでいく方向を変えていた。

 

調ロボ「このくらいの高度で大丈夫、かな」

 

切歌ロボ「デスね。覚悟はいいデスか?」

 

調ロボ「うん、怖くないよ。切ちゃんロボと一緒だから」

 

切歌ロボ「あたしも、デスよ。それじゃあ」

 

調ロボ「…うん」

 

切歌ロボと調ロボ「大好きな2人のために!」

 

 切歌ロボと調ロボは自爆してミサイルをそのまま誘爆させたのであった。

 

 

 

S.O.N.G

 

 騒動が収まり、会議が終わって沙織達も帰ってきて、ようやく本部も元通りになった。

 

星矢「へえー、ロボ騒動では切歌と調、マリアとセレナ、響と未来の3組が大活躍したのか」

 

弦十郎「ああ、そうだ」

 

氷河「しかし、星矢と紫龍が沙織さんを初めとする会議に参加する要人の護衛でいなくなった隙を突いて動き出したとはな」

 

紫龍「機械だから、そういった精密な作戦が得意なのだろう」

 

瞬「だけど、何で不和の林檎は切歌と調を仲間割れさせて、他の二組もそうさせようとしたのかな?」

 

沙織「私は現場にいたわけではないのですが、私自身の勘ではデータの理論値を超えていたためにあの3組、特に切歌さんと調さんの連携を脅威だと判断したのでしょう」

 

美衣「とすれば、不和の林檎の最大の脅威でやはり弱点は、連係や信頼……絆だった、という事になりますね」

 

弦十郎「そうだな。まさにそれこそが、今回、世界を救うカギとなったのだからな」

 

瞬「そういえば、切歌と調は大丈夫かな?切歌ロボと調ロボがいなくなって、落ち込んでいたようだけど……」

 

紫龍「失って落ち込んだのであれば、あの二機のロボも紛れもない2人の友だといえる」

 

 そこへ、パルティータが来た。

 

パルティータ「そのロボット、ちょうどエルフナインが修理し終わったみたいよ」

 

瞬「あの二機が?」

 

星矢「よかったな」

 

 ちょうどその頃、エルフナインは修理し終わった切歌ロボと調ロボを渡すために切歌と調を呼んでいた。

 

エルフナイン「実はお二人に渡したいものがありまして」

 

切歌「渡したいもの?」

 

調「えっ、まさか……」

 

切歌「それって!?」

 

 それこそ、切歌ロボと調ロボであった。

 

調「切ちゃんロボと調ロボ…」

 

切歌「わざわざ作り直してくれたんデスか!?」

 

エルフナイン「いえ。実は、完全な新品というわけじゃないんです」

 

調「どういう事?」

 

エルフナイン「あの後、潜水艦の甲板上に落下していたパーツを運よく回収できまして……それで直してみたんです」

 

切歌「元通りデスか?」

 

エルフナイン「いえ、それは……流石に完全というわけにはいきませんでした。記録媒体も焼け残っていたので、組み込んではいますが……AIは不和の林檎の影響を受けて発生したものなので、僕には直す事ができなくて……。メモリは残っていますが、事件前と同じように会話したりする事はできません」

 

切歌「すっごく嬉しいデス!」

 

調「うん。事件前の状態に戻ったんだもの」

 

切歌「ありがとうデス!」

 

調「本当にありがとう」

 

エルフナイン「そう言っていただけて何よりです」

 

切歌「調ロボに」

 

調「切ちゃんロボ」

 

切歌と調「おかえりデス(なさい)!」

 

 切歌ロボと調ロボも帰ってきたのであった。

 

切歌「ああ、調!」

 

調「切ちゃん!」

 

切歌「本当によかったデスね」

 

調「うん……これで全部、元通りだね」

 

切歌「ううん、ぜんぜん元通りなんかじゃないデスよ」

 

調「えっ?」

 

切歌「あたしと調は前よりも、もっともっとも~っと!たくさん仲良くなったデス!」

 

調「うん……そうだね」

 

切歌「もうあんな喧嘩なんて絶対しないデス!」

 

調「そうだね」

 

切歌「ロボ達に誓って、約束するデス!」

 

調「うん、きっとね」




これで今回の話は終わりです。
今回は信号機ロボと4色団子ロボとの決着を描きました。
今回で調べ歌う二重唱編は終わり、次は機械仕掛けの奇跡編となります。

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