セイントシンフォギアXD   作:アンドロイドQ14

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機械仕掛けの奇跡編
99話 話せない少女


市街地

 

 アリシアの事件、アレキサンドリア号事件、南国の島での騒動、ロボの反乱と波乱の夏休みとなり、響は宿題が進んでいなかった。

 

響「うわあああっ…、大ピンチだよ~~!宿題が~~~~っ!」

 

未来「やってない響が悪いんだよ。といっても、去年と違って今年の夏休みはアリシアの事件にアレキサンドリア号事件、南の島の騒動、ロボットの反乱と短い期間に大きな事件が頻発して起こった波乱の夏休みだから予定が大きく狂ってしまった事は認めるけど」

 

響「こんなに事件が起こるなんて…。今年の夏休み、呪われてるかも……」

 

未来「どうかなぁ…?」

 

 夏休みが呪われていると嘆く響だったが、ふと、視線の先に少女がいた。

 

響「あ……」

 

未来「どうしたの?響」

 

響「うん、あの子。なんか、ふらふらって……」

 

未来「あ、響」

 

 響は急いでその少女の元に来た。

 

響「ねえ、大丈夫?」

 

少女「……」

 

響「具合悪いの?お家の人は?」

 

 ふらついていた少女は倒れてしまった。

 

響「えっ!?」

 

未来「大変!貧血?熱中症かな?意識は!?」

 

響「熱はないみたい。でも息が荒いし、顔も真っ青だ……。お姉ちゃんの声、聞こえるかな?」

 

 響の問いに少女は頷いた。

 

響「意識はあるみたいだね」

 

未来「とにかく救急車を呼ぶね。運んでもらう病院の先もパルティータがいるグラード財団の医療機関にできないか頼んでみる」

 

響「うん、お願い!」

 

 未来は救急車を呼ぶ事にした。

 

響「もう大丈夫だよ。今、お医者さん呼んでるからね!」

 

少女「……」

 

響「なあに?」

 

少女「助け、て……」

 

響「大丈夫、絶対お姉ちゃんが助けてあげるから!」

 

 そこへ、未来が来た。

 

未来「救急車、すぐ来てくれるって」

 

響「ありがとう、未来」

 

未来「この子、1人なのかな?外国の子みたいだけど……」

 

響「どうなんだろう……?」

 

 そんな中、少女の母親と思わしき女性が来た。

 

女性「ああ、こんなところに!」

 

未来「この子のお母さんですか?」

 

母親「はい、そうです。すみません、ご迷惑を」

 

響「そんな、迷惑だなんて。ただ偶然通りすがっただけですから。でも、どうしてこの子、1人で?」

 

母親「この子ったら急に家を抜け出してしまって……、慌てて探してたんです」

 

響「家を……?」

 

母親「ありがとうございました。代わります」

 

響「あ……そうですね。お母さんの方が安心できると思います」

 

未来「今、救急車が向かってますから」

 

母親「何から何までお世話に……」

 

未来「何かご病気……とかですか?」

 

母親「いえ、あの……特に持病はなかったんですけど。ただ、最近……」

 

響「最近?」

 

母親「この子、頻繁に夢でうなされてるみたいで、どうも元気がなくて……」

 

響「夢……?」

 

 ちょうどその時に救急隊員が来たため、後の事を任せる事にした。

 

未来「すぐよくなるといいね」

 

響「うん。そうだね……」

 

 すると、通信が入った。

 

響「あ、本部からだ。はい、こちら響です」

 

弦十郎『ギャラルホルンのアラートが鳴った。至急本部へ集合してくれ。未来君は一緒か?』

 

未来「はい」

 

弦十郎『ならば、一緒に来てほしい』

 

響と未来「了解!」

 

 2人は急いで本部へ向かった。

 

 

 

S.O.N.G潜水艦

 

 装者達は集合した。

 

響「また、新しい並行世界と繋がったんですか?」

 

弦十郎「ああ。久しぶりだが、並行世界の異変の調査とその解決に向かってほしい。今回は響君、翼、クリス君の3人が行ってもらう」

 

切歌「えっ、もう決めたんデスか!?」

 

未来「私も」

 

弦十郎「未来君は任務に行っている星矢達が帰ってくるまで残ってほしい」

 

未来「どうしてですか?」

 

沙織「誤解なされないように話しますが、決して未来さんに問題があるわけではありません。問題は別のところにあります」

 

クリス「その問題って、何なんだよ?」

 

弦十郎「ここ最近、アリシアの事件にアレキサンドリア号事件、ロボの反乱といった大きな事件が立て続けに発生した結果、マリア君達のLiNKERが底をついてきて、もう各自1個しか残っていない。麻森博士製のLiNKERは作るのにかなり時間がかかる」

 

沙織「それにより、マリアさん達に無理をさせる事ができないのです。なので、LiNKERなしで適合可能な未来さんに残ってもらわなければいけないのです。そこはご了承ください」

 

未来「そうですか……」

 

調「そういえば、そうだった……」

 

マリア「LiNKERがもう残り僅かなんて、歯がゆいわね……」

 

弦十郎「だが、星矢達が帰ってきたらすぐにでも行かせる。だから、頼んだぞ」

 

未来「わかりました。響、星矢さん達が帰ってきたら、すぐに駆け付けるからね」

 

響「うん。じゃあ、行ってくるよ!」

 

 響達は並行世界へ向かった。そこへ、パルティータが通信を入れた。

 

パルティータ『アテナ様、先程グラード財団の医療機関に運ばれた少女ですが、奇妙な症例なのです』

 

沙織「奇妙な症例…ですか?」

 

パルティータ『はい。データを見せてもらったのですが、まるで並行世界の同一人物が原因で衰弱した響ちゃんのようで……』

 

美衣「何ですって!?」

 

パルティータ『場合によっては、私も出向かなければならないでしょう。ああいった患者を診ると、医者としての血が騒ぎますから…。難しい手術が必要な重病患者の手術等などが済み次第、向かいます』

 

沙織「わかりました。まずは、患者の手術を行ってください」

 

 まずは重い病や重傷の患者の治療を行うパルティータであった。

 

 

 

 

 響達が向かった並行世界では、少女が必死で逃げていた。そんな中、少女はノイズと遭遇してしまった。そんな時……

 

響「はああああーっ!!」

 

 間一髪で響達が到着し、ノイズを蹴散らした。

 

響「もう大丈夫だよ!」

 

少女「……」

 

響「あれ……君。さっきの」

 

翼「立花!まだ敵は残っているぞ!作戦中に呆けるな!」

 

響「あ、はい!すみません!」

 

 どんどんノイズが湧いてきた。

 

クリス「全く、うじゃうじゃと!団体でお出ましかよ……!」

 

翼「要救助者が背後にいる以上、戦線を後退させるわけにはいかない。いけるな?」

 

響「勿論です!任せてください!」

 

 その場にいたノイズを殲滅させた。

 

響「これで全部かな?」

 

翼「そのようだな」

 

クリス「全く。到着早々、ノイズに出くわすなんて……」

 

翼「だが偶然私達がこの場に来なければ、この子が危なかった。助けられてよかった」

 

少女「……」

 

翼「君、名前は?どこの子だ?」

 

 少女は響の後ろに隠れた。

 

響「えっ!?ど、どうしたの?」

 

クリス「先輩の顔がおっかなかったんじゃないのか?」

 

翼「私の顔が……?そ、そうなのか!?」

 

クリス「冗談だって。そんな真に受けなくても。その馬鹿が真っ先に庇ってくれたから、懐いたんだろ」

 

翼「そ、そうなのか……」

 

響「(この子、やっぱり、私達の世界で見たあの子にそっくりだ。偶然なのかな……?)」

 

クリス「どうしたんだ、ぼーっとして?」

 

響「えっ?ううん、何でもない」

 

少女「……」

 

響「もう大丈夫だよ。お姉ちゃん達が護ってあげるからね。どうしてこんなところにいたの?1人?」

 

少女「……」

 

響「まだ怖いのかな……?」

 

翼「もしかしたら、話せないんじゃないのか?」

 

響「え?そうなの?それじゃあ、どうしよう……」

 

クリス「ゆっくり話している時間はなさそうだ。次が来たぞ!」

 

 現れたのはカルマノイズであった。

 

翼「あれは……まさか、カルマノイズか?」

 

クリス「ちっ。駆け付け三杯にしちゃヘビーすぎんだろ!星矢達もいねえのに遭遇しちまうなんてよ!」

 

響「でも、私達3人なら大丈夫ーー!?」

 

 そんな中、少女が響に抱き付いてきた。

 

響「えっ、ちょっと!?そんな風にギュッとされたら戦えないよ!?」

 

少女「……」

 

響「ど、どうしよう!?」

 

クリス「仕方ない。いいからそのまま離れてろ」

 

翼「一般人がカルマノイズに近づけば、あの瘴気の影響を受ける。雪音の言う通り、立花はその子と離れていてくれ。この場は何とか私と雪音で処理する」

 

響「……了解です!」

 

 響は少女を連れてその場を離脱し、翼とクリスでカルマノイズに挑む事となったが、苦戦していた。

 

翼「相も変わらず面倒な!」

 

クリス「やっぱ単発の攻撃じゃ、まともに効かないか」

 

響「2人共!やっぱり、私もいかないと…」

 

少女「……」

 

響「……ごめんね。このままじゃ、みんなが危ないの。お姉ちゃん達も、君も」

 

少女「……」

 

響「怖いのは、お姉ちゃんもよくわかるよ。昔、私も君みたいに、ノイズに襲われそうになった事があるから……」

 

少女「……」

 

響「……あのね、どんな時でも頑張れるようになる、魔法の言葉を教えてあげる!」

 

少女「……?」

 

響「『へいき、へっちゃら』って唱えるの。そうしたら、大丈夫」

 

少女「……」

 

響「声に出さなくてもいいから、思ってみて。『へいき、へっちゃら』って」

 

 少女は頷いた。

 

響「……ありがとう。それじゃ、行ってくるね。すぐ戻ってくるから!」

 

 響は翼とクリスの元に駆け付けた。

 

響「お待たせしました!」

 

翼「立花!?あの子はどうした!?」

 

響「離れたところで待ってくれています」

 

クリス「それじゃあ、とっとと片付けるぞ!」

 

響「うん!」

 

翼「ああ。相手がカルマノイズならば、S2CAで」

 

響「はい!行きまーす!」

 

クリス「って、ちょっと待て!」

 

 カルマノイズは消えてしまった。

 

翼「消えた……逃げられたか……」

 

クリス「ったく、空気読まない敵だな……」

 

響「何にしても、一度あの子のところへ戻ろう」

 

 響達は少女のところに戻ってきた。

 

響「お嬢ちゃん、どこから来たの?お名前は?」

 

 少女は何も話さなかった。

 

クリス「まいったな。何もしゃべってくれないか」

 

響「喋れないの?」

 

 その問いに少女は頷いた。

 

響「そっか……」

 

翼「弱ったな……。どこの誰かもわからないのでは、どこに連れていったらよいものか」

 

クリス「それにあの服装……。どこかの病院か施設から抜けてきたんじゃないのか?」

 

翼「……確かに、そんな風な服装ではあるな……。ともかく、ずっと森の中というわけにもいかないだろう。とりあえず、街まで出るとしよう」

 

響「あ、はい。そうですね。さ、お姉ちゃん達と行こうか?」

 

少女「……」

 

???「手を上げろ!」

 

 そこへ、銃を構えた黒服の男達が来た。

 

響「えええっ!?だ、誰!?」

 

翼「どこの組織の者だ?」

 

黒服A「それはこっちのセリフだ」

 

クリス「いきなり銃を突き付けてくるなんて、穏やかじゃないな」

 

黒服B「ん?女と子供だけ……だと。それにその変わった格好……」

 

黒服C「他に仲間はいるのか?」

 

響「いません!私達だけです!」

 

黒服A「まさか、この子達がノイズを……」

 

???「……待て。皆、銃を下ろせ」

 

黒服A「司令、ですが……」

 

???「よい、その者達は敵ではないようだ」

 

翼「その、声は……」

 

 声の主は八紘であった。

 

八紘「……むっ?」

 

翼「お、お父様……?」

 

響「翼さんの、お父さん……?」

 

八紘「我々は特異災害対策機動部だ。悪いが、今ここで何があったのか説明してもらいたい。そして、君達が何者なのかも」

 

クリス「(随分と他人行儀だな)」

 

響「(私達の世界とは違う事情ですかね……?)」

 

翼「私達は」

 

 説明しようとした途端、黒服の1人がやられたのであった。

 

八紘「どうした?」

 

黒服A「司令、新手が」

 

八紘「あれは……まさか……」

 

 現れたのは、ロボットであった。

 

八紘「……オートマシン!?」

 

翼「オートマシン?」

 

クリス「見た事もない敵だな」

 

翼「気を付けろ、突っ込んでくるぞ!立花!」

 

 オートマシンは響に向かっていった。

 

響「ええっ!?な、なんで私!?」

 

少女「……!」

 

響「掴まって!」

 

 少女を掴まらせて響は動いたが、オートマシンも響を追って来た。

 

響「ちょ!追って来た!?」

 

翼「なに?まさか、狙いはその少女か!?」

 

響「ええーっ!なんで!?」

 

クリス「そんな事わかるかよ!今はとにかく迎撃するぞ!」

 

響「う、うん!ここで待っててね、すぐ終わりにするから!」

 

 響達は3人でオートマシンを破壊したのであった。

 

翼「何とかなったが……」

 

クリス「何なんだ、この敵は?」

 

八紘「(オートマシンを倒せるとは……)場所を移そう。すまないが、ついて来てくれ」

 

響「は、はい!」

 

 

 

特異災害対策機動部二課

 

 響達は二課へ来たのであった。

 

響「(ここは、ほとんど昔の二課と変わらないのね)」

 

クリス「(施設の見た目だけはな)」

 

翼「という事情で、私達はこの並行世界に発生した異常の原因を究明するためにやってきたのです」

 

八紘「……なるほど、な。にわかには信じがたいが……、実際に目の前で見た事を否定しても始まらないだろう」

 

翼「ご理解いただけて助かります」

 

八紘「しかし、先程の物がシンフォギア・システムか。諸君の世界では我々日本が完成させたとはな」

 

翼「こちらでは違うんですか?」

 

八紘「我々の世界では、F.I.Sが完成にこぎ着けた。そもそも、そちらの櫻井理論にあたるものが米国の研究者によって提唱され、開発された代物だからな」

 

響「それじゃあ、こちらには装者はいないのですか?」

 

八紘「うむ。現在、装者と呼ばれる存在はいない。だが、それは日本だけに限らない。今や、世界のどこにもな」

 

翼「どういう事ですか?」

 

八紘「かつて米国にてシンフォギアの実戦投入があったが、さしたる成果を上げぬまま、黒いノイズによって討たれてしまったのだ。以来、シンフォギアの有用性に疑問が呈され、後継の開発も中止されたと聞く」

 

響「装者が……カルマノイズに……?」

 

クリス「おい。その装者って、もしかして?」

 

響「もしかしてマリアさん達じゃ……。その人達の名前を聞いてもいいですか?」

 

八紘「ティナ・ウィートリーという名前だ。もう、何年も昔の事だがね」

 

響「そうなんですか…。よかった……って言っちゃいけないですよね、この場合」

 

クリス「まあ、気持ちはわかるけど、人が1人死んでるわけだしな……」

 

翼「あのカルマノイズ、いえ、黒いノイズは何体ぐらい確認されているのですか?」

 

八紘「これまでで、複数個所での同時発生は報告がないから、おそらく1体だろう」

 

響「それじゃあ、現状はさっき出会った1体だけって事ですね」

 

クリス「だったら、今度出現したら速攻でS2CA使って倒せば解決だな」

 

翼「…だが、この世界には他にも脅威がある。あのオートマシンというのは何ですか?先程戦い、何とか退けたものの、厄介な敵でした」

 

響「私達もノイズやカルマノイズ。あの黒いノイズとは戦ってきましたけど…」

 

クリス「あんなロボットみたいなのは見た事なかったな(この前の奴は後輩達のロボの派生種みたいなもんだし、加えないでおこう)」

 

八紘「初めてあれが観測されたのは数年前、米国での事だった。それ以後、徐々に目撃例が増え、その活動域も年々、各国に広がっている」

 

翼「これまではどのように対処を?」

 

八紘「幸いノイズのようにこちらの物理攻撃が全く効かないわけでない」

 

クリス「奴には位相差障壁はないって事か」

 

八紘「ああ。だが銃弾も通さぬ程の強度と一糸乱れぬ軍隊の如き動きも相俟って、ある意味ノイズ以上の、人類の難敵と言えるだろう」

 

響「みなさん、ギアもなしにあれと戦ってるんですか……?」

 

八紘「戦っていると言えば、だがね」

 

翼「オートマシンが特定個人を狙うような事はあるのでしょうか?」

 

八紘「いや、今のところそういった前例はないが……。質問の意図を聞かせてもらっても?」

 

翼「はい。先程の戦闘中、オートマシンがあの少女を狙っていたように思えました。その理由に、何か心あたりがおありなのではないか、と……」

 

八紘「……いや、特には見当たらないな」

 

翼「そうですか……」

 

八紘「ともあれ、偶然の出会いとはいえ、今日は助かった。君らも疲れた事だろう。こちらで宿泊所を手配している。滞在中はそちらを自由に使ってくれ」

 

翼「はい。お言葉に甘えさせていただきます」

 

響「ところで、あの子は……?」

 

八紘「今のところ身元もわからず、君からも離れたがらないのでな……できればしばらくの間、君が一緒にいてやってくれるとありがたいのだが」

 

響「わかりました!任せてください!」

 

クリス「おいおい。子供の御守りなんて簡単に引き受けて大丈夫か?」

 

響「へいき、へっちゃらだよ」

 

クリス「まーたそれかよ……」

 

翼「(それにしても、一体、この世界では何が起きているというのだ?推測するにも如何せん情報が足りなすぎる。しばらくは情報を集めるしかないか……)」

 

 翌日、朝早く起きた響は少女の傍にいた。

 

響「ずいぶん念入りに検査してる。何をそんなに調べて……」

 

 検査中の少女はとてもうなされていた。

 

響「…すごく、うなされてる(こんな病院の検査服みたいなのを着て、小さい子が森の中を1人で、何してたんだろう?森も周辺の町にも、親御さんらしい人はいなかったっていうし……)」

 

 うなされている少女を響は心配して見ていた。

 

響「君は一体、どこから来たの?(私達の世界で未来と助けた、あの女の子にもそっくりだし……)あ、そういえば……。あの時の子も、最近、夢でうなされてるって、お母さんが言ってたっけ…?(並行世界側の出来事と、私達の世界の出来事…。関係ないようで、どこかで繋がってる時もあるって……。もう1人の私の時も、そんな事があったっけ……。あの時は未来が助けてくれたんだよね……。この子の症状が、私達の世界のあの子にも影響しているかどうかは、わからないけど……でも…約束したんだ。あの子に。絶対に助けるって。だから……君達の事、絶対、助けるからね!)」

 

 そして、検査が終了した。

 

響「あ、検査、終わったのかな?」

 

 結果は発令所にも送られた。

 

あおい「メディカルチェックの結果が送られてきたみたいね」

 

朔也「へえー、どれどれ」

 

あおい「女の子のデータをジロジロ見ないの」

 

朔也「そんな理不尽な。あくまで仕事だよ」

 

あおい「もう、仕方ないわね」

 

朔也「やれやれ……って、こ、これは!?」

 

 送られた結果に驚いた2人であった。

 

あおい「えっ!?まさか……」

 

 そこへ、八紘が入ってきた。

 

八紘「騒がしいな。何かあったのか?」

 

あおい「司令!あの子の検査結果なんですが。これを!」

 

八紘「何だと、これは!?」

 

 その結果に八紘さえも驚愕したのであった。

 

 

 

病院

 

 その頃、パルティータはモニターで少女の様子を見ていた。

 

パルティータ「……思った以上にこれはまずいわね……。私は身体は治せても心までは治せないから…。急いで仕事を済ませて、並行世界へ向かわないと……」

 

 そこへ、慌てた様子で別の医者がやってきた。

 

医師「パルティータ先生、急患が入りました!しかも、パルティータ先生でないと手に負えない患者です!」

 

パルティータ「何ですって!?わかりました、直ちにオペを開始しましょう!」

 

 急患が入ったために放っておくわけにもいかず、パルティータは急いでオペの準備を始めた。

 

パルティータ「(これは予想よりも遅れるかも知れないわね……。場合によっては、アテナ様経由で彼に仕事を依頼してもらった方がよさそうだわ……)」

 

 下手をすると並行世界へ行くのがもっと遅れるかも知れないと判断したパルティータは、場合によっては『彼』に仕事を依頼すべきだと判断していたのであった。




感想ありがとうございます。
今回から機械仕掛けの奇跡編となり、偶然響が通りかかって出会った少女が謎の症例で病院に運ばれ、その直後に並行世界へ向かったのを描きました。
機械仕掛けの奇跡編の後はAXZ編に突入するので、この段階でLiNKERが残りわずかになっているのを描写しています。
最後にパルティータが言っていた『彼』とは、AXZ編の後にある名医が出てくる漫画とのコラボの話をした後、時折出てくるのを予定しているので、その名医が出てくる前触れみたいなものです。その名医とは誰なのか、考えてみてください。
次の話は少女の検査の結果が明らかになります。

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