カードキャプターさくらSS「魔法の終わる日」   作:三流FLASH職人

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第1話 さくらとチアとマーチング

「さてみなさん、中間テストも終わり、いよいよ夏本番!

 私たちチアリーディング部の活動もこれからが本番です。気合を入れてね!」

「「はいっ!」」

放課後のクラブ活動、運動場の一室にて先生の激を受けているのは、さくらの所属する

チアリーディング部。

夏に向けて、各運動部の大会が盛んになるこの時期、応援団としてのチア部も

応援活動本番の季節である。

 しかし、この友枝中のチア部にとっては、もうひとつの大きなイベントが控えている。

いわゆる「応援」ではなく「主役」としての活躍の場所が。

 

「8月の『なでしこ祭』、ウチの部は最終日の夜の最終公演が決定しました!」

その先生の発表に、チア部全員から黄色い歓声が上がる。

「うっそー、ファイナルステージで?」

「どうしよう、今から緊張してきたー」

 

 友枝中チア部はこの辺りではかなり有名だ。そもそもチア部がある中学はこの辺りでは多くなく

そんな中での華やかな演技は毎年『なでしこ祭』を盛り上げている。

昨年のトリこそ友枝小の演劇に譲りはしたが、実質な内容では演目での最高評価を受けていた、

最後の演劇が地震による中止という原因もあったにせよ。

 

 一息置いて、皆が落ち着いてからさらに付け加える先生。

「で、実は今年に関してはもうひとつ、なでしこ祭にてチア部の出番があります。」

意外な先生の言葉に部員全員が耳を傾ける。なにかの手伝いか、ボランティアの類か・・・

「じゃあ、米田先生からどうぞ。」

いつのまにか顧問の傍らにいたのは、音楽教師であり吹奏楽部の顧問である米田先生、

恰幅のいいオバサン体形に、にこやかな表情とベートーベンのようなパーマヘアの女性。

丸メガネをくいっ、と上げると、前に出て話す。

 

「えー、一年生の皆さんには、吹奏楽部が出るマーチングのお手伝いをしてもらいます、

 よろしくね。」

「「ええっ!?」」

いきなりの言葉に驚きを隠せないチア部一年生。というか私たちが?と顔を見合わせる。

 

「チアのステージがファイナルなら、マーチングはオープニングセレモニーよ、

でもウチの部はそんなに人数いないから、ガードやドラムメジャーに割ける人がいないのよ・・・

それを先生に相談したら、今年のチアの一年は粒ぞろいって言うじゃない?

それでぜひ皆さんに踊りをお願いしたくてねぇ。」

 

 皆の注目が特定の二人に集まる。今年の一年生の注目株、木之本さくらと三原千春。

小学校からチア部だった二人の実力は折り紙付きで、周りの一年生のよき手本になっていた。

視線を感じてか、千春に話しかけるさくら。

「ね、ねぇ千春ちゃん、マーチングって、何?」

 

 周囲が一斉にずっこける。チアをやっててマーチングを知らないとは珍しい。

「鼓笛隊の行進みたいなアレよ、去年のなでしこ祭でもやってたでしょ?」

「え・・・そうなんですか?」

あきれる周囲に千春がフォローを入れる。

「さくらちゃんは去年、劇の主役だったものねぇ、なでしこ祭楽しむ余裕も無かったでしょ。」

「ええーっ!あのお姫様って木之本さんだったの?」

「ウッソー、すごぉい。緊張しないのって羨ましい!」

「そ、そんなこと無いよ、緊張したよ、すっごく。」

 米田先生がぱんぱんと手をたたき、皆を黙らせる。

「というわけだから、今日からチア部一年は吹奏楽部と合同練習よ、頼むわね。」

 

 

「へぇ、さくらさん達はマーチングに出るんですか、それは楽しみですね。」

夕食時、父の藤隆がにこやかに話す。

「うん、先頭でバトンを振るドラムメジャーか、真ん中で旗を振るカラーガードのどっちかで。

来週にはドラムメジャーのオーディションがあるの、それに合格したらその人がドラムメジャーで

他の人は全員カラーガードなんだって。

「それは頑張らないといけませんねぇ。」

にこやかに答える父とは対照的に、兄、桃矢は皮肉いっぱいに返す。

「そりゃ大変だな、万が一さくらがドラムメジャーやったら、公衆の面前でまた

バトンを頭にぶつける羽目になるなぁ・・・」

「お兄ちゃん!」

「あ、でも旗振りで周囲の見物人をなぎ倒すと、さらに厄介かなぁ」

「もーっ!本っ当に意地悪ばっかり!」

そんな兄妹のやりとりを見ながら、ふと藤隆が思い出す。

「そういえば、去年のなでしこ祭のマーチング、確か・・・」

遠い目をして続きを語る。数秒後、木之本家にさくらのほぇぇ絶叫が響き渡るコトになる・・・

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