まずは、コメントで多かったナルト×香燐の話になります。
この話はそれほど長くは無いのでご安心を(笑)
注意としまして、これは、あくまでもナルトと香燐のカップリング小説になりますので、ヒナタとナルトが結ばれる事はありません。
ナルヒナフリークの方は読まない事をお勧めします。
「ちきしょう...なんで俺ばっか...こんな目に合わなきゃならねぇんだってばよ...」
まだアカデミーに入ったばかりの少年『うずまきナルト』は、背中に手裏剣を受け、痛みを堪えながら一人ごちる。
その目は憎悪に染まっていた。
物心付いた時には、既に周りの大人たちナルトを敵視している事に気付いていた。
何故、そんな目で見るのか...何故、自分を無視するのか...
そして、何故自分には家族がいないのか...
ナルトはそんな環境の中で育ち、いつしかこの世の全てを憎むようになっていた。
唯一、ナルトを人として扱ってくれる三代目の薦めで忍者アカデミーに入っては見たが、そこの教官たちも、やはりナルトを色眼鏡で見ていた。
(三代目のじいちゃんは、アカデミーに入れば友達も出来るし、良いことあるって言ってたけど...ここも、変わらないってばよ...)
ナルトは、期待をしていただけに失望もまた大きかった。
何よりも、唯一と言って良い、自分を見てくれていたヒルゼンの勧めであった事が大きかった。
(やっぱりじいちゃんも俺の敵だってばよ...ここにいたら、いつか俺は殺されるかも知れねぇ...そうなる前に、木の葉から抜け出すってばよ。)
拠り所の無くなったナルトは、追い詰められて里を抜ける決心を固めた。
その夜...
「狐のガキが里抜けしやがった!」
「やはり、生かしておくべきじゃ無かったんだ!」
「狐を殺せ!」
「ナルトを殺せ!」
「殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!」
三代目火影ヒルゼンは、ナルトの里抜けに対し出来るだけ穏便に捕えるようにと厳命した。
しかし、その裏でダンゾウが命令を変更していた。
自ら里を抜けたナルト...
このまま、里に連れ戻した所で里の為に尽くすハズがない。
また、抜け出そうとするのは目に見えていた。
最悪、他の里の手に渡ってしまう可能性すらある。
人柱力の力が他里に...
そんな事になるなら、殺してしまった方が良い。
そう考えたダンゾウは、ナルトを発見次第殺す様に命じた。
ヒルゼンの預かり知らぬ所で、ナルトの暗殺命令が降されていたのだ。
そして...
「見つけた!狐のガキだ。」
中忍の小隊が、草影に隠れていたナルトを発見した。
忍たちは、ナルトが自分たちに気付き、背を向けて逃げ出そうとした所を狙って手裏剣を投げる。
見事に命中する手裏剣に、
「よし、仕留めた。俺たちがあの化け物を倒したんだ。」
「へへ、帰ったら英雄だな。」
「それよりも、ボーナス貰えるかもな。」
意気揚々と語る忍たち。
その会話を薄れる意識の中聞いたナルトは、自分の中で、何かがキレる音を聞いた。
ゴウッ!!!
突然、辺り一面を覆う様な巨大なチャクラが出現した。
「な!なんだ...このチャクラ...」
「お、おい...あのガキ...まだ生きてるぞ...」
忍たちの視界に、今にも立ち上がろうとするナルトの姿が写った。
慌てて攻撃を仕掛ける忍たち。
手裏剣で...クナイで...或いは忍術で...
自分達の出来る攻撃は全て使った。
しかし...
「おい...俺たちの攻撃が全く効いてないぞ...」
いつの間にかナルトを漆黒のチャクラが覆っていた。
そのチャクラが忍たちのあらゆる攻撃を弾いてしまっている。
ナルトが忍たちに視線を向けた...
「ヒッ!」
恐怖が忍たちを支配する。
「死ね...」
ナルトが一言呟いた...
その夜、木の葉の里から一つの中忍の小隊が殉職した。
そして、うずまきナルトが木の葉から姿を消したのだった。
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その日、大蛇丸はダンゾウと密談を済ませ、自身が統べる音隠れの里へと向かっていた。
「あら...行き倒れかしら...」
カブト同伴で向かっていた大蛇丸は、身体中ボロボロの少年が倒れているのを見つけた。
「この子は確か...」
その少年に思い当たる節があったカブト。
近づき確認する。
「間違いない...大蛇丸様...この子は里の疫病神として忌み嫌われていた、うずまきナルト君です。確か、先日里を抜けて追われていたハズです。どうやら見つかって処分されたんでしょうね...」
「.........まだ、生きてるみたいだけど...」
微かに息のあるナルトを見て、呟く大蛇丸。
「時間の問題ですよ...これだけ損傷して...しかも子供の体力です。助かりっこ無いですよ。」
(確かに、普通なら助からないわね。でも、私の勘が告げている...この子はここで死ぬ運命には無い...それに微かに辺りに残ったこのチャクラ...なるほど...この子は九尾の...)
「カブト...この子を治療なさい。」
「え?まさか大蛇丸様...この子を里に連れ帰るのですか?」
大蛇丸の突然の指示に驚き、思わず聞き返すカブト。
「ええ、そうよ。」
「しかし、大蛇丸様...幾ら僕でも、この子の治療は難しいかと...」
ナルトは背中に幾つもの手裏剣を受けていた。
しかも、かなり時間が経った様子で、出血も相当しているハズ...
息をしているだけでも奇跡...
カブトはそう考えていた。
「いいから、やってみなさい。多分...面白いものが見れると思うわ...」
「はあ...わかりました。」
大蛇丸の突然の命令はいつものこと...と諦めたカブトは、助からないのを承知で治療を始める。
増血丸を飲ませ、手裏剣を取り除き、医療忍術で治療を始める。
「な!?...大蛇丸様...これは一体...」
いざ、傷を塞ごうと医療忍術を始めると、カブトの予想に反して、みるみる傷が塞がっていった。
そのスピードは、カブトの医療忍術を持ってしてもあり得ないスピード...
まるで、ナルトの身体が自動で再生をしているかのようだった。
「ふふっ...やっぱりね...」
その様子を見て、満足そうに笑う大蛇丸。
「う...うぅ...」
身体の回復のお陰か、虫の息だったナルトから微かに呻き声が漏れる。
「カブト...この子の身体にはね...九尾の妖狐が封印されているのよ。」
「な!?それじゃあ、里の人間から忌み嫌われている理由は...」
「そう、この子が人柱力だから...いえ...そうじゃないわね...恐らくこの子を九尾の生まれ変わりとでも思ってるのかしら...全く...あの里も度しがたいわね...」
「...............。」
「まあ、そのお陰で良い実験体がてに入ったのだし、取り敢えずは良しとしましょうか。」
大蛇丸は、一人納得すると踵を返して歩き出した。
「可愛そうに...大蛇丸様に目をつけられてしまったのが運のつきかな...あのまま死んでいた方が楽だっただろうに...」
年端もいかないナルトの今後に同情しつつ、カブトはナルトを背負い大蛇丸の元に向かうのだった。
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所かわって、大蛇丸のアジト。
「さて、連れてきたは良いけど、私もカブトも忙しいし...この子にばかり構ってる訳にもいかないのよね...」
「何も考えて無かったのですか?」
てっきり、大蛇丸はナルトを実験材料として付きっきりになるものと思っていたようだ。
「幾ら私でも、尾獣の実験を何の準備も策も無くやるハズが無いでしょ?下手をしたら封印が解けて、このアジトごと消滅するわ...」
「...............」
カブトは、尾獣について知識でしか知らない。
その強さも、凶悪さも、アカデミーの木の葉の歴史の授業で習った程度だ。
そもそも、木の葉において九尾の事件は禁忌とされており、詳しく説明されることは無かったのだ。
ただ、その力が強大であり、多くの犠牲者を出しながらも、四代目火影がその命を懸けて封印した。
カブトが知るのはその程度である。
「そこまで凶悪な力を制御出来るのですか?」
「さあ?取り敢えずやってみて、無理なら無理で家の里の戦力にでもすれば良いんじゃないかしら...」
「この子が、それに従いますかね...」
「ふふ...そんなもの、いつも通り、情を利用すればどうとでもなるでしょ?そう言えば、少し前に拾った娘がいたわね。」
「?...ああ、彼女ですか。」
始め、大蛇丸が誰の事を言っているのか理解できなかったカブトだったが、すぐに少し前に大蛇丸が拾った、草隠れの里で奴隷として扱わていた少女の事だと気付いた。
「あの娘に、ナルト君の事を任せましょうか...年端も近いし、境遇も似ている。もしかしたら面白いことになるんじゃないかしら...」
「相変わらず、人が悪いお方ですね。わかりました。では僕は彼女にこの件を伝えてきます。」
不気味に笑う大蛇丸に、冷や汗を掻きつつ大蛇丸の命令を即座に遂行するカブト。
「さて、あの娘は素直に聞くかしらね...」
ほくそ笑みながら大蛇丸はその場を後にした。
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それから少しして...
「う、ここは...」
ナルトは、目を覚ました。
「やっと、目を覚ましたみたいだな。」
そこに、ふいに声がかかる。
一気に覚醒したナルトは、声の主から距離を取ると、相手を睨み付けた。
「なんだ...せっかく回復してやったってのに、随分な態度だな。」
「お前は誰だってばよ!それにここはどこだ!」
警戒を解かず、目の前の人物に怒鳴るナルト。
「そう、警戒するなって...ウチの名前は香燐。大蛇丸...様にお前の世話を任された。よろしくな。」
目の前の赤毛の少女...香燐はそう言ってナルトに笑いかけた。