リクエスト小説 ナルト×香燐の話 完結   作:アーク1

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後編 その七

第二の試験...

 

ナルトたちは、どの班よりも早くクリアした。

しかも、全員傷らしい傷も無く、試験を担当した教官たちは大いに驚いた。

 

しかも、その後にやって来た班の我愛羅に至っては、傷どころか汚れすら見当たらなかった。

 

戦慄する教官たち。

 

今回の中忍試験...その受験者たちは例年には、あり得ないレベルの忍が集まっている事にようやく気付くのだった。

 

「なに?大蛇丸が?」

 

と、その時大蛇丸の話がヒルゼンのもとに届いた。

 

「ふむ...それで?」

 

事のあらましを聞いたヒルゼン。

 

「ナルトと大蛇丸が敵対した?しかし、大蛇丸は音隠れの里の里長をしているハズ...なぜナルトと敵対したのじゃ?」

 

「その時、大蛇丸は草の忍に扮していた様です。大蛇丸本人と気付いていなかったのでは無いかと...」

 

「それほど未熟者には見えなんだが...」

 

ヒルゼンはナルトと直接会った時に、その実力の一端を感じていた。

 

少なくとも上忍クラスの力があると考えている。

 

「まあ、良い。大蛇丸の目的はうちはサスケじゃな?取り敢えず、試験はこのまま続ける。ヤツの行動が読めぬ以上、このまま様子を観る方が良かろう。」

 

ヒルゼンの言葉に、報告を行った忍は頷くのだった。

 

 

「よう、うちはサスケ...どうやら無事第二の試験を生き延びたみたいだな?」

 

ナルトは突破した受験者の中にサスケの姿を見つけると、自分から声をかけた。

 

「...ああ...そっちは楽勝って面だな。」

 

気軽に話しかけてくるナルトに、心中複雑な思いを抱えながらも、軽口を返すサスケ。

 

「まあな...早く着きすぎて退屈だった位だってばよ。」

 

「ふん...」

 

ナルトの言葉に閉口するサスケ。

 

自分達はカブトの手を借りてようやっとクリアすることが出来たのだ。

流石に言葉を返す事も出来ない。

 

それでも、せめて弱気は見せたくなかった為に、精一杯虚勢を張る。

 

自分自身、不思議なほどサスケはナルトを意識していた。

 

「おいおいおい。そこの金髪...なに気軽にサスケに話しかけてるんだ?こいつはな...お前みたいなのと違って、うちはのエリートなんだぜ?それなりの態度ってもんがあるだろ。」

 

そんな二人の間に入ってきた少年。

それは、サスケのもう一人のチームメイトだった。

 

この少年は、座学はともかく、体術や忍術はそれなりの成績を残しアカデミーを卒業した。

 

アカデミー時代からサスケに憧れ、サスケの後を着いて歩いていた為、同じ班になったことをサクラと同じように喜んでいた。

 

そんなサスケが意識しているナルトが面白く無かったのだろう。

 

普段よりも大仰な口調で割り込んでいた。

 

「よせ!」

 

しかし、それは他ならぬサスケによって窘められる。

 

サスケは苦い顔をしていた。

 

この少年は、大蛇丸との遭遇で真っ先に気を失っていた。

 

そのためナルトの実力を知らないのだ。

 

まさに井の中の蛙...と言う言葉が似合う状態だ。

 

「サクラちゃんも、無事に怪我は治ったみたいだな。良かったってばよ。」

 

しかし、ナルトは少年には目もくれずサクラの方に向き直り声をかけた。

 

「え、ええ。あなたのくれた薬のおかげよ。...ありがとう。」

 

サクラは、少し怯えをみせつつも感謝の言葉を述べる。

 

その理由は、大蛇丸が音隠れの長であることを知り、ナルトが同じ里の忍だったからだ。

 

それでも感謝の言葉は伝えた。

ナルトの意図がどうであれ、助かったのは事実なのだ。

 

「どういたしまして。」

 

ナルトはサクラの怯えを感じつつも、態度は変えずに笑いかけた。

 

「てめぇ...無視するんじゃねぇ。」

 

少年はいよいよ激昂する。

 

と、その時教官たちが受験者の前に姿を現した。その中には大蛇丸扮する音の教官もいた。

 

ヒルゼンの言葉が始まった。

 

「今年は豊作だな。それに第二の試験を突破した受験者の中には今年アカデミーを卒業したばかりの下忍が多くいる。」

 

「ああ。だが...」

「わかってる...」

 

木の葉の教官たちが受験者たちを見ながら小声で話していた。

 

だが、そこには警戒が宿っていた。

その視線の先...そこにいたのは、ナルトだ。

 

中忍試験の意味をヒルゼンが語っている所を欠伸をしながら聞いている。

 

相変わらず緊張感は感じられない。

 

だが、ここにいる教官たちの多くはナルトがどういう存在なのか...そして数年前に行方不明になった経緯を聞かされていた。

 

とても友好的に見ることは出来ない。

 

そしてヒルゼンの話が終わる。

 

すると月光ハヤテが前に進みでる。

 

ハヤテの説明は、このまま第三の試験は個人戦になる。しかし第三の試験に行くには人数が多すぎる事から予選を行うと言うものだった。

 

そして、予選を始める前に辞退する者につい聞く。

 

すると、まずカブトが手を挙げた。

 

カブトは大蛇丸からサスケの見定めをするように命令を受けていた。

 

しかし、教官の中に大蛇丸を見つけ、自身の役目は必要ないと考え、また自身の本性をさらけ出さない為に敢えて辞退することを選んだ。

 

チームメイトは不信に感じていたようだが、大蛇丸はむしろ当然と言った風に笑っていた。

 

更にナルトの班は、ナルトを除いた二人が辞退を選ぶ。

 

これに驚いたのは他の音忍の班、そしてサスケやサクラである。

 

だが、ナルトたちにとっては予定通りである。

 

もともと、人数合わせの面が強い多由也。

彼女の本番は、木の葉崩し...その開始の瞬間である。

 

だらだらと、この後の試験で消耗するつもりは無かった。

 

そして、香燐...

 

彼女はそもそも直接戦闘に向いた忍ではない。

 

もちろんその気になれば、下忍レベルなど圧倒出来るが、香燐の役目はナルトのサポートである。

 

無駄な戦闘などする気は無かった。

 

そうして、第三の試験に進むための予選が始まった。

 

 

試合は順調に進んでいった。

 

次はナルトの番である。

相手は、サスケのチームメイトの少年だ。

 

「へっ...まさかお前と当たるとはな。ナメた態度はこれまでだぜ。この俺と当たったことを後悔させてやる。」

 

「.........。(そう言えば、木の葉に来てから、一楽に寄ってなかったってばよ。木の葉崩しが成功したら、あそこでラーメン食べるのは難しいし...さっさと試合終わらせるってばよ。)」

 

「それまで...勝者...うずまきナルト。」

 

「うん?」

 

ナルトがほんの少し、別の所に意識を飛ばしている間に、相手の少年は攻撃を仕掛けていた。

 

しかし、ナルトは無意識にそれを避けて反撃をしていた。

 

しかも、無意識だからか、そこに手加減は無く、少年は何をされたかもわからないまま、意識を刈り取られていた。

 

命に別状が無かったのは奇跡と言っていいだろう。

 

「...なんだかよくわからんが...まあ、早めに終わったし良しとするってばよ。」

 

自分がどうやって勝ったのか、まるで覚えていないナルトではあったが、とにかく結果オーライと気持ちを切り替えた。

 

しかし、周りの人間たちはそうはいかない。

手加減の一切無い動きを見せたナルト。

それは、受験者たちにとってまるでレベルが違っていた。

 

受験者の中でも、体術に自信のあるリーですら、その動きには戦慄を覚えた。

 

白眼を持つネジやヒナタでも、その動きを完全には見切れなかった。

 

周りがざわつく中、ナルトは全くその事には気付かず、その思考は未だに一楽のラーメンに占有されていた。

 

更に試合は続く。

そして、ヒナタとネジの試合...

 

「貴女に俺は倒せない...それは運命で決まっていることだ。」

 

ネジは、自分の知るヒナタとは違い、積極的に攻撃をしかけてくるヒナタに驚き、一時追い込まれるが、やはり自力が全てにおいてヒナタを上回っていた為、時間が立つと戦いの流れはネジに向いていた。

 

「私は逃げない...自分の意思で...この中忍試験に参加した。そこで私はある人に自分の目指すべき道を教えられた。その人の前に自信を持って立てる様に...だから...ネジ兄さん...貴方を超えてみせます。」

 

ヒナタの眼には、いつもの怯えも自信の無さも見えなかった。

 

ただただ...まっすぐ...自分を見ている。

 

それはネジにとって、とても勘に触るものだった。

 

まるで、自分の生き方を否定するかのような...

 

「もう良い。どれだけ言おうと結果は同じだ。」

 

ネジはそれ以上付き合うつもりは無く、ヒナタに攻撃を仕掛ける。

 

その攻撃をなす統べなく受けるヒナタ。

 

「終わりだ!」

 

ネジが言い切った。

 

しかし...

 

「...ま...だ...です。」

 

「な!?」

 

ヒナタは立ち上がってい。既に息も絶え絶えで立っていることがやっとの状態...

 

いや、既に気を失っているハズの攻撃をしたのだ。

 

立っていること事態が奇跡だった。

 

「いい加減、諦めろ...ヒナタお嬢様。世の中にはどれだけ頑張っても無駄な事があるんだ。」

 

「そん...なこ...と...無い。わ...たしは...諦めない。」

 

「だ、黙れぇ。」

 

ネジは、激昂しその口を閉じさせようと攻撃を行った。

 

いつものネジなら審判に、攻撃をする旨を伝え審判から止める様に言ってもらう所だったが、ネジは冷静さを欠いていた。

 

目の前の嫌な物を排除する。

ただ、それだけを考え動いていた。

 

「そこまでだ!」

 

しかし、その攻撃はヒナタには届かなかった。

 

ネジの手首を掴むものがいたのだ。

 

「お前は...うずまきナルト!」

 

そう、ナルトは観客席から一瞬で移動し、ネジの手首を掴んだのだ。

 

「審判...判断が遅いってばよ。今の攻撃が通ってたらヒナタは死んでたってばよ?」

 

「うっ!」

 

ハヤテも止めるべきか悩んでいた。

しかし、ヒナタに続行の意思があり、尚且つ日向の分家であるネジが宗家の娘であるヒナタを害する事は無いと考えていた為、判断が遅れてしまったのだ。

 

無論、担当上忍たちもネジを止める為に動いていた。

 

ナルトがネジを止めた数瞬後にはネジを囲むように現れていた事からもそれは伺える。

 

「何故止めた。お前には関係がないだろ。」

 

ネジは、未だに熱くなっていた。

ネジを止めたナルトに食って掛かる。

 

「まあ、関係は無いってばよ?けど、あまりにもお前が見苦しいんでな...」

 

「なんだと!?」

 

「お前がヒナタに苛立ちを感じたのは、ヒナタに嫉妬したからだろ?」

 

「なに?」

 

「お前の言動...運命で何もかもが決まってる?はっ!馬鹿馬鹿しい。てめぇは逃げてるだけだってばよ。」

 

「ふざけるな!俺が何から逃げてるって言うんだ!」

 

「運命...その言葉にだ。てめぇは最初から運命に立ち向かおうとしてねぇ。運命で決まってるから...何をしても変わらないってな!」

 

「ぐっ...」

 

「だから、ヒナタに苛立ったんだってばよ。自分を変えたいと願い、そして今まさに変わろうとしていたヒナタに!」

 

「くっ!」

 

ネジは言い返そうとした。だが、何故か言葉が出て来ない。まるでナルトの言葉が真実だと言うかのように。

 

「てめぇが運命を言い訳に諦めたクセに、他のヤツが諦めずに運命に抗うのは許せない...そう言う見苦しいヤツなんだよ。てめえは!」

 

「黙れぇ!!!!」

 

ネジは、ナルトに攻撃を仕掛けようとした。

 

しかし、それはネジを囲んでいたカカシたちによって止められる。

 

「離せ!何故止める!」

 

「一応、ルールなんでね『試合以外での戦闘を禁ずる』」

 

カカシが説明する。

 

「ええ...と言うわけで、自分の試合でないのに戦闘に乱入したナルト君...君は失格です。」

 

ハヤテが言った。

 

「な...や、やっちまったってばよー!!!!!」

 

ナルトは悲鳴のように叫ぶのだった...


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