Fate/V
「━━━貴様ァ! 魔術師の分際でこの私に歯向かうか!」
「“空は鳥 海は魚の為にある如く 下劣なる者には軽蔑を"━━━だそうだ」
崩れゆく洞窟内、その最奥にて二人の男が対峙していた。
片やその身を赤に染め激昂するシルクハットが特徴的な紳士、レフ・ラノイール。
そしてもう片方は杖をつき、本を片手に冷徹な眼差しを紳士に向ける全身刺青の男。そして男の肩に乗る大型の猛禽類。
「ハハハッ! 滑稽ダッタゼ! レフチャンよぉ! お前がネコチャンに驚かされてる姿はよぉ!」
喋る鳥の挑発ともとれる言葉に耐えきれなくなったレフは激昂する感情に流され特大の炎球を男に放った。
やがて炎球は刺青の男へと直撃し辺りは大きな爆発を起こす。
「ハハハハハッ! 使い魔の癖して生意気な! 大口を切った割には呆気のない最期だな!」
男のいた所は未だ炎が燃え盛っており、爆心地にはクレーターが出来上がっていた。だが、死体や男の死を証明する痕跡は見受けられない。
「何処を見ている?」
レフは慌てて後ろへ振り返る。いつもの彼らしくない反応だ。本来の冷静な彼ならば飛び退くなり先程の炎球を放つなり色々出来ただろう。だが今回に限って、レフはそのような行動をとってしまった。
腹を貫く鋭い痛み、それと同時に胸に刺さる男の使っていた杖。
「“迷い子よ 家へと帰れ"」
杖が引き抜かれるのと同時に、レフの体は光の粒子となって消えていく。
「グオオォォォオ!! 許さん、許さんぞォ! 殺してやる! 必ず殺してやるぞ!
呪詛を吐く。今この場の最後の足掻きとして、己を殺した男に吼える。
「それは無理だ」
Vはそれだけ言い放つと興味を無くした様に本を読み始めた。Vの足元には黒い大型の猫が寝ている。
「アアアァァァァァァァァァ……」
レフは断末魔の叫びを上げると今度こそ完全に消えて行った。
その少し離れた場所には、橙色をした髪の少女藤丸立香と、自身の身の丈を超える盾を構えた少女マシュ・キリエライトが藤丸立香を守る様にして対峙していた男達の顛末を見ていた。
Side立香
「さて、次は君達だが。何か言い遺す事はあるかな?」
「先輩! 私の後ろに!」
目の前で人が死ぬ瞬間を見て呆然としていた私をマシュの張り積めた声が意識を現実へと戻す。目の前には自分を守る為に前に立つ後輩とニコニコとしながら此方へ近付く殺人鬼。
沸き上がる恐怖を無理矢理押さえつけ、気を引き締める。もうすぐドクターがレイシフトをしてくれる筈だ。それまでなんとしてでも生き延びなければならない。今此処にいるマシュと二人で。
「レイシフトを期待しているのなら残念だったな。私がいる限りカルデアとの通信は出来ないし、レイシフトもさせるつもりも無い」
そう思った矢先、希望を絶望へと叩き落とす言葉がレフから放たれる。そんな筈はないとマシュの方へと顔を向けるがマシュも深刻な顔をして呟いた。
「……先輩。レフ教授の言う通り通信が繋がりません。ドクターの話ではレイシフトは3分後という予定でしたがもう5分時間が経過しています」
「そういう事だ。レイシフトをしたければ私を倒す事だな。まぁ、君の戦力は疲弊した出来損ないのサーヴァント一人。大人しく死を受け入れた方が懸命だと思うがね」
確かにマシュは先程の戦闘で疲弊している。レフ教授を倒す事は出来ないだろう。だが、それでも諦める訳にはいかない。
「マシュ。行ける?」
マシュに問う。戦えるかと。マシュは一層身を引き締め、力強く答えた。
「はいっ! マシュ・キリエライト、行けます!」
盾を構えレフと対峙する。だが次の瞬間、黒い何かが私達の後ろから飛び出し、レフへと襲いかかった。
「なっ!? コイツは、何故此処に!?」
レフは慌てて対処しようとするが大きな刃に斬り飛ばされ、地面に倒れ込んだ。
「“我は嘆き そして悲しみ 自らの星を呪う" “我が愛しき人を高め 卑しめた あの星を…"」
「オイオイ、イマそんなポエム詠んでるヒマかよ」
そして私達の後ろから現れたのは、全身刺青の男と、喋る鳥だった。
DMC5のVの作品無いなって思った。だから自分で書いた。