世界で最古から存在し現代も存在し続ける地獄がある
それは戦争だ俺は戦場に居た、そんな時に戦争はビジネスだと言った男がいた
当たらずとも遠からずと言うのが俺の感想だ
医療品は売れるし銃火器も売れる、成る程ビジネスとしては効率がいい
…だがそれは戦場に立ったことの無い人間が口にする言葉で
戦場と言うに立つ人間からすればビジネスなどとは到底感じられなかった
戦争や紛争とは地獄そのものなのだから…
死の匂いが漂い、錆びた鉄のような血の匂い
重傷患者へ使う消毒液の匂いが充満している
…亡骸が多く転がっている、近くには銃が落ちている
…この者は何のために戦い死んだのだろうか?
家族のため?友人のため?金のため?生きるため?
解らない、解らない、きっと解ってはならない
何故なら俺には理解できないのだから
ーー体は剣で出来ている
戦争はビジネスだと言った男がいた
ならばそのビジネスが無くなれば、この男が居なければ戦争は終わるのだろうか?
浅慮な私は得意の狙撃でその男を殺した
初めて【本当の人殺し】をした
これで戦争が終わるのだと信じてしまった、そんな事はあり得ないのに
ーー血潮は鉄で心は硝子
戦争は、死は今まで以上に増えてしまった
何故?何故?【私のせいか、私があの男を殺したからか?】
ああ、そうだ私は勘違いしていた
あの男はビジネスだと言っていた
それは真実であり、嘘でもあった
医療品、弾薬、食料を用意したのは彼だった
ーー幾たびの戦場を越えて不敗
私は愚かだった、愚かだった、愚かすぎた…
彼は弱き者を救う為にも動いていた
私は罪滅ぼしにもならないが誰よりも先頭に立ち弱き者を救おうとした
それが破滅への道だと知りながら
ーーただの一度の敗走は無く
ある者は私を化け物と称した
その通りだ
私は化け物だ
魔術を使い人を殺した
私を救世主だと崇めた者もいた
違う、私はエゴで君達を地獄へ突き落とした罪人だ
私を英雄だと称えた者がいた
私が英雄?冗談じゃない!!!俺は殺戮者だ!!!
私は弓を引く、正義などどうでもいい
敵を殺す、敵を殺す、敵を…殺し続けた
毎日、毎日、敵を…人を殺した
ーーただの一度の勝利も無し
…結果として戦争は終わった
休戦という形で幕を閉じた
一時的にだが戦争は終わり
私は祖国に戻る事にした
ーー担い手はここに、剣の丘で鉄を打つ
藤ねえは俺に会った時に喜んでくれた
ーーー辞めてくれ
一成は悩みを聞くと言ってくれた
ーーー辞めてくれ
慎二はお前は何がしたかったんだとあきれ果てていた
ーーー辞めてくれ
桜は俺を慰めてくれた
ーーー辞めてくれ
遠坂は俺を叱ってくれた
ーーー辞めてくれ
蒔寺は俺を見て変わったな言った
ーーー辞めてくれ
三枝は俺を見て何かあったのかと心配してくれた
ーーー辞めてくれ
氷室は俺を見てこう言った『かつての君とは大違いだな』
ーーー解っている
美綴は俺を責めた
ーーー解っている
イリヤは…何も言わなかった
ーーー言われることが手に取るように解った
リズはなんとなく哀しそうだった
ーーーごめん
サラは珍しく小言も言わずただ料理を作ってくれた
ーーーありがとう
ーー故に我が人生に意味は要らず
解っている、もう戻れないと
あの赤い弓兵と同じ正義の味方にはもうなれないけど
俺は俺の正義を貫く
例え地獄に堕ちようと正義の味方に、悪の敵になる
解っている、それが間違いだとも
解っている、それは人間がすべき事ではないと
俺は地獄に自ら進む
セイバーとはもう逢えないだろうな…そんな夢は切って捨てる事にした
ーーこの体は無限の剣で出来ていた
ああ、この時がアイツの記憶にあった来たこの者こそが戦争の元凶だと
私が処刑される日が
覚悟はしていたアイツの記憶を見た時から
解っていた私が処刑される事は
そして…罰せられるべき人間だとも信じていた
処刑される時にアイツの記憶には無かった事が起きた
処刑人が言い残す事はあるかと聞いた
ああ、これが私への罰だと本心から言うべき事を言った
『これが正しい選択だと思う、そして私がなりたいものにはならなかったが…』
『これが報いで相応しい結末だろう』
『夢は叶わなかったがやるべき事を行った後悔はない』
またアイツの記憶には無かったことが起きた
処刑人が呟いたのを聞いてしまった
『貴方は俺達にとっての正義の味方だった』
『ありがとう。』
ーーーああ酷い話だ、とうの昔に諦めた筈だった夢が叶ってしまった
正義の味方なんてものにはもうなれないと信じていた、思っていた
それでも、誰かにとっての正義の味方にはなれたのだな…
一振りの刃で私の、俺の人生はここで幕を降ろした
奇しくも爺さんの切嗣の意思を受け継ぎ叶えられた
俺は誰かの、弱き者の正義の味方になれたらしい
ーーーただ一つだけ心残りがある
みんなにちゃんと謝っておけばよかったな…
ありがとう、藤ねえ
ありがとう、遠坂
ありがとう、桜
ありがとう、一成
ありがとう、慎二
ありがとう、蒔寺
ありがとう、氷室
ありがとう、三枝
ありがとう、美綴
さようなら
ーーー
人理継続保証機関フィニス・カルデア
西暦2015年7月30日
『真名エミヤ・シロウ、ルーラーのクラスで現界した君が私のマスターかね?』
弱者の味方、正義の味方の戦いは…いや旅路はまだ続くようだ。
はい!完全にエミヤでは無いな!!ってところはスルーでお願いします!!
ゲリラ活動をする前の経緯を自分で考え、創作しました
絞首刑でない理由は処刑された国が違うのと
処刑人の感謝の言葉を入れたかったからです
そこは突っつかないで下さい…