過ちと偽善を貫いた剣の弓兵   作:清水縁

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ルーラークラスになった事の顛末、前回のおまけです。


選定者エミヤ

ルーラーのエミヤ・シロウはアーチャーのエミヤと違う多くある

彼は偽善者ではない、独善者であり選定者

 

彼は正義の味方など目指していなかった

奇跡の代償として世界に魂を売ってもいない

つまりは守護者ではなく、一人の英雄であり

エミヤと違いエミヤ・シロウは正しく英霊である

 

生前は独善を貫き、弱きをただ救い、悪を滅ぼし

 

戦争という罪科の生贄になった憐れな人間だった

 

ここまではおよそ守護者になったエミヤと同じ結末だろう

 

だが、彼は奇跡に手を伸ばさなかった

 

それは代償が恐ろしかったからではない

 

ただ、正義の味方を諦めたが故の選択

 

救えなかった人間への懺悔を彼は忘れた事はない

 

ただ後悔は少ない

 

何故なら彼は最後の最後に答えを知った

 

正義とは悪の反対ではない、正義とは他の正義の敵なのだと正しく理解していた

 

故に罪から逃げることも、罪人ではないとも言わなかった

 

無論、認めていたわけでもなかったが

 

それで多くの人、戦いの連鎖が少しでも終わるならばと

 

彼は命を差し出した

 

この行動は間違っていた、そして間違えていなかった

 

彼に救われた人々は彼の死を嘆き悲しんだ

 

彼に友の家族の命を奪われた人々は狂ったかのように笑い続けた

 

彼は恨まれるべくして、憎まれるべくして死を選んだ

 

最期の言葉は無かった

 

誰かに石を投げつけられようと

 

彼は薄く微笑んでいた

 

まるで聖者のように罪人が微笑んでいた

 

彼はその時に思っていた、これが因果だと

 

結末から言えば聖者とも愚者とも化け物とも彼は称された

 

彼こそが悪だったと語った

 

彼こそが救世主だったと謳った

 

だがこの事実は覆らない

 

彼は戦争を止めた、その一点において彼は英雄だった

 

故に、彼を悪と罵る事はあろうともその在り方を

 

人々は穢す事は出来なかった

 

救世主と呼んだものも彼を利用するような事はしなかった

 

彼の戦いは終わっていた彼を理由に戦争を起こすこともしなかった

 

自ら彼の行いを侮辱することなど出来なかったのだろう

 

少なくとも彼を知る人間がいた年月、たかが60年程だが

 

その土地、地域では戦争は起こらなかった

 

誰もが正しく彼の在り方を理解していた

 

罪人だと言ったものも彼こそが救世主だったのだと信じていた

 

少なくともエミヤ・シロウを殺した処刑人は彼を殺したくは無かったと懺悔したそうだ

 

赤い服の少女は言った『やっぱり、底なしのバカだったのね』と涙を流しながら

 

紫色の髪にリボンをつけた少女はこう言った『叶うなら生きているうちに会いたかった』

 

虎のように落ち着きのない先生だった女はかつての振る舞いが嘘のように淑やかになり

 

捻くれ者の皮肉屋だった彼の親友は薄く笑って『アイツらしい』と言った

 

とある銀髪の少女は悲しそうに窓の外を城の中から眺め

 

銀髪のメイド達はそれぞれがそれぞれの役割をこなしながら

 

一人は『もう、逢えない』と

 

一人は『正義の味方は全てこうなんですね』と

 

やはりどこかもの悲しげに笑っていた

 

彼の友人達はこう言った『彼らしい』と

 

ーーー

 

ルーラーとアーチャーのエミヤは内面的にも外見的にも違いがある

 

ルーラーのエミヤ髪は白いがやや赤い色が残っている

 

瞳の色は黄色で赤ではなく黒いコートを着ている

 

性格は温和で冷徹かつ天然

 

料理の腕はアーチャーよりも低く

 

優しいが戦場では残忍な性格

 

弓の腕と剣の腕は互角だが戦闘方法がやや異なる

 

など、最初は解りづらいが長く付き合えば直ぐにどちらか判断できる

 

敵であれば容赦がなく

 

味方であれば救う

 

護るべきものを護り

 

殺すべきものを殺す

 

その過程に救いを与える

 

彼にとっての正義とは時に悪になり

 

彼にとってそれは受けるべき罪科である

 

ルーラーとして選定者として召喚された彼は

 

悪であろうと善であろうと等しく尊いもので

 

等しく価値のないものにもなる

 

彼は等しく平等で、不平等を良しとする

 

それを背負い裁かれた彼だからルーラーのクラスで召喚されたのであろう

 




このエミヤの適正クラスはアーチャー、アサシン、ルーラーです
選定者として裁く事よりも正しくある事がルーラーとして存在できる理由でもあります

ちなみに本家のアーチャーのように本来ではアーチャークラスでの現界が好ましいサーヴァントです
アサシンクラスの適性があるのは手段を選ばなかったからです。
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