私はそれなりに焦っていた
何故なら服といえばお洒落より実用性
動きやすくそれでいて好みな服を着る
その程度で良いと思っていたが…
ヒナタ、テンテンから始まりサクラとイノも参加し
いわゆる着せ替え人形になる日が私にも来たのだった
サクラはゆるふわ系
イノはセクシー系
ヒナタは綺麗系
テンテンはスポーティな服を勧めてきた
正直テンテンの勧めてきた服が妥当だと判断した私は早々に決定をしようとしたが
『いつもとあまり変わらない』と無慈悲な言葉でテンテン以外の服を選ぶように言われてしまった
イノの服は却下しサクラの勧めた服は悪くは無いが動きづらい
ヒナタの勧めてきた服は私には可愛すぎる気がして気恥ずかしい
誕生日が近いからと好意で進めてくれているのだろうが
些か疲れてしまった
女が3人揃えば姦しいと言うが
女は何人いても煩いのだと私も女ながらに思った
ーーー誕生日を祝われるようになったのは木の葉に来てからだ
少なくとも大蛇丸の所にいた時は絶対に無かったし
本当の家族の記憶殆どない
私は忍として音の里で育てられた実験体で…
それ以上でも
それ以下でもなかった
音の4人衆などと呼ばれたが
いま思えばただの捨て駒の一部でしかなかったのだろう
そんな私が友人に囲まれて
温かな気持ちになって
赦されるのか
あいつらの事は嫌いでは無かった
だが好きでも無かった
無関心と言うわけでもなく
ただ互いに似たような境遇で大蛇丸の下にいた
そこから抜け出した
いや、助けられたのは私だけ
シカマルとたまにあの森に行く
懺悔のような、祈りのような
そんな何かを捧げてる
ーーーーーーーーーー
…気づけば何故が綺麗目なセクシー系の服を着せられた
動きやすいようになっている上にセクシー要素も少ない
可愛い感じも少しだけ
……いや、何故?
いつの間に?
私がいつ着替えた?
『まぁ私にかかればこんなもんよ!!』イノは得意げに
『動かなかったし、つい…』テンテンは申し訳なさそうに
『凄く似合うよ!』と嬉しそうにヒナタは言う
『意外と大きいのよね…』と何処を見ているんだと言いたい
なんでみんなの要望が揃ってるんだよ
良くこんな服あったな
悪くないと思う自分がいるのもやや恥ずかしい
何故か皆んなが会計を済ませて何処かに移動する
慰霊碑の前だった
そこにはシカマルとヨシノさんが居て花束を持っていた
ヨシノさんはカーネーション
シカマルはスミレだった
それぞれ毎年違う花を供えているのは知っていた
だがシカマルはもう1束の花を持っていた
『おーやっと来たか』
私が、私達が来ることを知っていた口調で笑っていた
『随分と可愛い服装だな』と笑っていた
ヨシノさんも愛らしい!!と抱きついて来た
皆んな苦笑いをしていたがシカマルは嬉しそうだった
笑顔の中に優しさと少しの切なさが混じったような
そんな笑顔だった
「お前さ最近なんでそんな顔してるんだ?」と聞いてみた
シカマルは静かに微笑んで「さあな」と言った
とても優しげで暖かい顔だった
「さあなってなんだよ」と私は言おうとしたら
『へ?どんな顔してるの?』と4人が聞いて来た
思ったままの言葉を言ったら
ヒナタは顔を真っ赤にして
サクラは唖然とした顔で
イノはやれやれと言う顔で
テンテンは面白い玩具を見つけたような顔をしていた
…え?何?
シカマルは笑いながら花を渡し帰っていった
意図も意味もわからず受け取り後ろ姿を見送った
受け取った花は白く、イノいわくアネモネと言うらしい
意味は教えてもらえなかったが…
アイツからのプレゼントと思うと頬が緩む
服よりも嬉しく思ってしまうのは4人失礼だったが
それだけ嬉しかった
初めてもらった時とは違う喜びを感じた
これが恋なのだろうと思ってしまう
今日はとても良い日だ
友達に恵まれた、家族の温もりを実感した
家族の抱える痛みを共有した
ただアイツの心はまだ判らない
それだけがもどかしかった