IF.あり得たかもしれないシカマルと多由也   作:清水縁

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影鬼

影鬼、古くから存在する、木の葉では三代目が立案し月明かりの夜に行われ多く「影や唐禄神(道陸神、道禄神)、十三夜の牡丹餅」などと囃しながら行われたという遊戯

 

まぁ簡潔に言えば子供の昔ながらの遊びだ

 

影を踏めば動いてはならない

 

鬼以外が影を踏めば其の者は動けるようになる

 

他にも里によってはルールは違うがよく知っている遊びの1つ

 

めんどくせぇからやった事ねぇけど

 

俺の祖父はそれを頻繁にやっていたらしい

 

なんでも『遊びをしている時に何か考えが纏まる時もある』と

 

それがなぜ影鬼なのかは理解できないが

 

俺も考えが纏まるのは将棋を打っている途中だったり

 

一局を打ち終えた時だから気持ちは良く解る

 

『忍法、影鬼』

 

俺は自らの影に沈み、自らの影から木々の影の中を移動する

 

影鬼は影の中に忍び、誘導した敵への奇襲や

 

待ち伏せによる暗殺を行う忍術として創られたらしい

 

相手の動きを強制的に動けなくする忍法で

影縛りと影縫いを応用した術の殺傷力の高い技だ

 

他にも影沈み、影移し、etc…

 

よくもまぁここまで編み出したものだと半分呆れ

 

…半分はそれだけ戦わなければならなかった祖父に敬意を抱いた

 

動乱の時代を生き抜いた祖父は温厚な性格だったと親父から聞いた

 

それなのに術や兵法書には冷徹に敵を倒す術しか載っていない

 

きっと割り切っていたのだろうと思う

 

生きる為に殺す、守る為に殺す

 

そうしなければ家族を『大切なものを守れない』と

 

きっと答えを知っていたのだと思う

 

俺は面倒くさいことは嫌いだ

 

だけどそれよりも仲間や友人の死で涙を流すのはもう嫌だ

 

チャクラ刀で影を抜い固定する『影居抜き』と

 

影首縛りを途中で影縫いの術にし敵を排除する忍術も祖父の兵法書で学んだ

 

冷徹に冷静に、そして誰よりも鉄を打つように自らを鍛える

 

…そう言えばイノに言われたな

 

『変わったね』と

 

変わるほか無かったんだ

 

チョウジに言われたな

 

『いつでも頼ってね』と

 

わかってるつもりだよ親友

 

だけど

 

俺はお前達の手を私怨で汚すつもりはない

 

火の意思はここにある

 

俺の玉は取らせない

 

俺の在り方は変わらない

 

だが、それ以上に

 

俺は俺で在り続ける

 

アスマ、俺は変わらないよ

 

託された意思はあの子にも伝える

 

勇敢な木の葉の忍だったとアンタの玉に伝える

 

だから

 

安らかに眠ってくれ

 

『おい』

 

「なんだ?多由也」

 

『…言えた義理じゃないけどお前さ、辛いなら泣いていいんだぞ?』

 

「…生憎だが泣き虫とかもう言われたくねぇんだよ」

 

なにより割り切ったんだ

そこに新しく哀しみを持ってくる必要はない筈だ

 

俺が泣けば他の誰かも泣く、哀しみは断ち切らない限り

そこに存在し続ける

 

アスマはそれだけの人望があった

 

『泣き虫?…ああ普段なら言ったかもな』

 

だろう?だから…

 

『だけどよ、壊れる前に泣いた方がいい』

 

『お前は今、昔のウチと同じ在り方になっている』

 

『私情を捨て、忍びではなく道具になろうとしている』

 

 

『それは弱さだと言ったお前がそうなってどうすんだよ…』

 

……あぁ

 

そうか

 

また、間違えようとしていたのか

 

「んー解った、けど今は泣けないんだよ」

 

「泣ける時にまあ泣くさ」

 

弱音はもう吐かない

 

守るために強くなる

 

それが矛盾していても

 

必ず俺は強くなる

 

ならざる終えないのだから

 

なるしかないと

 

義務感などではなく

 

俺は俺が信じるものの為に生きる方法として強くなりたい

 

「今度、組手を頼んでもいいか?」

 

『かまわねぇ』

 

こいつを守りたい

 

指を咥えて震えてるのはやっぱりダセェ

 

「晩飯なにかな?」

 

『あー?確かあれだ、回鍋肉?だっけ?』

 

「あー言ってたな」

 

『…お袋さんに出かける前にも聞いてなかったか?』

 

「他のこと考えてたからな、うろ覚えだったわ」

 

『…怖いもの知らずだな…お前』

 

「お袋については今更だ」

 

帰ったら何をしよう?

 

詰将棋か?

 

『おい』

 

「あん?」

 

『帰ったら一局指すぞ』

 

「別にいいけど決定事項なのな」

 

『いまなら楽勝な気がしてな』

 

ほー…

 

「それなら負けた方は罰ゲームにするか?」

 

『その言葉、取り消すなよ?』

 

薄く笑うこいつを見て誓う

 

俺の玉【女】には手を出させない

 

たとえそれが暁であろうと伝説の忍であろうとも、な

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