久しぶりに、って昔揃えた漫画読み耽ったりアニメに手を出したのがダメだった。
執筆から遠ざかった……手につかないほどハマってしまった…。
鬼滅の刃は良いぞ!!!
ごめんなさい、真面目に投稿しますッッ(土下座)
正直別の作品からのネタもむくむく膨らんでたなあ……。
けどいい加減こっちも展開早めないと話が進まない!!!
頑張れ4j頑張れ!!俺はよくやった、よくやってきた!俺はできる奴だ!(以下略)
宿を出たヴァレンシアは数回瞬きを繰り返した。
然程時間は経っていないにもかかわらず、其処に騎士と少女の姿はなかった。
加えて、村が騒がしい。村人達が集い、何やら真剣に顔を付き合わせているのが見えた。
どうしたのかと近付いて聞けば、ああ、と住人男性は目尻を垂らせて答えた。
カイポ砂漠で女性が倒れていたという。美しい金の髪を持つ人で、白を基調とした衣を着ていたと。推測すると、どうもバロン方面からの来訪者のようだと。
そしてそれを耳にした黒い甲冑の騎士が、件の女性を介抱している家に駆け込んで行ったという。
──知り合いか
その推測に至るのは簡単なことだ。
その家の場所を教えてもらい、礼を述べて身を翻す。
小さな村だ、その宿はすぐに発見出来た。
戸を叩いて開いた先には老婆がいた。
「失礼、知人が伺っていると聞きまして」
「ああ、奥の部屋にいるよ」
言葉を受け奥の部屋に進む。
最初に見えたのは少女だった。此方の存在に気付いた少女は肩を揺らしてゆっくりと顔を上げる。ふいと視線を反らした様子に疑問符が浮かぶがベッドの横に膝を付く姿を見たとき、その疑問は彼方へと去った。
其処には金髪の女性が横たわっていた。
肌は白く頬は赤く、ぷっくりとした唇は薄く開いている。それだけならば眠り姫のようだが、様相は異なる。
荒い息遣いに胸は上下し、肌はしっとりと汗ばんでいた。眉間に皺を寄せて美しい
時折彼女は名を呼び喘いだ。その名を持つ人間が傍らに寄り添い手を握っているとは知らぬまい。
騎士は微動だにせず彼女の顔を見つめ続けている。
片時も視線を逸らしてはならぬと心に決めているように。
騎士に声を掛けることはせず、同室にいた翁に向き直る。
「彼女の容態はどのような?」
「可哀想に、高熱病じゃよ」
──高熱病。
それは砂漠に不慣れな人間が罹りやすい熱射病。遮蔽物のない砂の大地では太陽の光が直接的に人体に注がれる。草木も育たぬ砂地は凄まじい地熱と極度の冷感の対極の温度を身に纏う。その広大な砂地を進むだけで体力を奪われるが、その寒暖差に砂嵐や水分不足が重なれば、地元住人すら苦難を強いられる。
南方にある緑溢れる大地出身の女性には、さぞ堪えたのだろう。
「ダムシアンで砂漠の光という治療薬が手に入る。そいつがあれば、お嬢さんは回復するでしょう」
翁の声に、騎士はすっくと立ち上がる。
「助太刀いただいたにもかかわらず急に姿を消して申し訳ない」
大切な人なのでいてもたってもいられず急行したのだとと騎士は吐露する。その姿は一連の行動と相成って疑う余地はない。
子供に慈悲の心を持ち脇目も降らず恋人を想い駆け付ける。
邂逅後僅かな時間で騎士の善性を認められた。これが偽りの姿であったなら最早詐欺師の域だろう。
ダムシアンへ向かうのかと聞けば案の定首肯する。
「同行します。私もそちらに所要がありまして」
騎士は驚いたように声を上げた。
偶然にもそこはヴァレンシアの目的地でもある。道中には魔物の出現が増加している地下水道も該当する。戦力は多いほうがいい。
そして眼前の騎士はバロンの兵士。人柄は買うが未だ立場を掴めぬ騎士の動向を伺うには絶好の機会であった。
そして直感があった。
この人物はこれから深く関与し、今後を大きく左右しうる人物ではなかろうかと。
「改めまして、ヴァレンシア・クレシェンド。短い旅路なれど、よろしくお願いします」
名乗り上げて右手を差し出す。
男は戸惑いながらも首を振り、自らの兜に手を掛けた。目を見張る。息が止まる。
ゆっくりと兜が外される。
そこから零れ落ちた銀糸はふわりと靡く。露になったのは色白で端正な顔に青い瞳の非常に若い男だった。
差し出された籠手越しの手はひやりと冷たい。
──セシル・ハーヴィ。
二度目に耳にした男の名は、思いがけず衝撃と共に脳に焼き付いた。
* * *
「お姉さん、何してる人なの?」
少女、リディアは目一杯顔を上げて疑問を投げ掛ける。問い掛けられた本人は瞬きを返した。
陽が煌々と照り付ける砂漠を進み水脈の入口を目指す最中だった。
質問が要領を得ない。随分ぼんやりとしている。
それに疑問を呈すれば、リディアは首を傾げながら答える。
「とっても強いんだもの。ただ強いだけじゃないわ、凄く慣れてるみたいだったから」
賢い子のようだ。幼いながらも観察して情報を整理している。
沈黙を保ちつつもこちらを見ているセシルもまた、同様なのだろう。疑問に抱かぬ理由はない。初見で派手な動きをした自覚はある。
どう答えるか。
接触すると決めた時からこの問いに対する答えは既に用意していた。
「ハンターみたいなものだよ。人に害なす魔物を狩って報酬を得ていた。多くを葬ってきたから手慣れてると印象付けたのかもしれないね」
そう告げるとリディアは納得したように相槌を打つ。
とてとてと異なる歩幅を埋めるように小走りし足元までやって来た彼女はそっとヴァレンシアの手を掴む。
目を丸くしてしゃがめば、彼女は恥じらうように笑った。
「お姉さんもセシルも、最初は怖かったわ。けどもう大丈夫、優しくて温かい人だとわかったから。何でって聞かれたら何となくとしか言えないのだけど」
だから、助けてくれてありがとう。
その言葉に微笑み返す。握られていないもう片方の手で柔らかい髪をすく。少女は頬を染めて笑った。
「···道中、お聞かせ願えませんか。彼女と、貴方に起こったことを」
「ええ、」
セシルは重い口を開く。その口から語られた事実にヴァレンシアの顔は険しく硬直する。
新出既出の情報の中、最も脳髄を揺さぶったものは3つ。
バロン王の乱心。
ミストの滅亡。
そしてミシディアを襲撃した赤き翼の隊長が眼前の男である事実。
──まさか、あの時の懸念が現実になるとは。
思わず眉間を揉む。脳裏に先日の会議内容が思い浮かぶ。
この男がクリスタルを強奪していった。
狂ったバロン王の命とはいえ。
想像するに不本意だったのだろう。
兜から表情は知れぬものの、その拳はギリギリと強く握られ摩擦音がする。
リディアは顔を俯けている。
この様が偽りの姿であったなら、余程詐称に優れた者と見受ける。直後、さすがに欲目にすぎるかと失笑する。子供ために憤れる者で、見るからに正義感に溢れた男。無意味な殺傷を許せぬ男。
それはミシディアの被害状況からも納得として裏付けは可能だ。結果的に死傷者は生まれたものの、あれは虐殺からは程遠い。里の被害は最小に控えられ、致命傷を負ったものは少なかった。わざと避けたと判断していいだろう。
襲撃者が凶悪であれば良かった。
殺害と略奪を心から愛し悪辣で卑劣極まりない人間達の暴力が降り翳されたのだと、詰り、憎み、恨むことが出来たら。去来する記憶はかつての感情を呼び起こす。
──いや、そんなものは気休めでしかない。既に事は起こってしまった。今は被害を広げないことに注視するべきだ。そして元凶を叩かねば収束しないのだ。
「······実は、」
口に出しかけたその言葉は突然の地震に遮られた。
その強い振動に転倒するリディアを素早く懐に抱え込む。体勢を低く保ち耐え忍ぶ。
同様に屈むセシルは辺りを見渡した。風が浚うのとは異なる砂の音を耳が拾う。
──何か来る、
直後、大きな音を立てて砂が上空に向けて勢いよく噴出した。リディアを強く抱いて後ろに飛びすされば先程まで立っていた地点周辺が大きく陥没した。
そして地中から黄土色の巨体が姿を現した。
サンドウォーム。
出現頻度は高くないが、砂漠地帯に生息する魔物の中で随一の耐久力を持つ。
まさかここでエンカウントとは。間の悪さにヴァレンシアは呆れ果てた。