オリー主で進むリリカルなのはシリーズ   作:鳥になりたい

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期間が空いたので、前回までのあらすじ


盗聴、窃盗、なんでもござれ



5 嵐の前の

私立聖祥大付属小学校 AM8:10

 

人それぞれに意見、考えというものがあり、上手く伝わらずぶつかってしまうことがある。

大人のように相手に合わせるのが苦手な子供ともなれば、必然的にその数は多くなる(大人でも周りに合わせない者も当然いるが)。

人に合わせるのが良いかどうかは置いといて、ぶつかれば喧嘩になる。

と、なると

 

「いーーーかげんにしなさいよっ!?」

 

「ア、アリサちゃん……?」

 

「いや、え、ええと……」

 

「ここ最近ずーっと何を話しても上の空でぼーっとして、ぼーっとしてないと思ったら周りを気にしてるし!」

 

アリサのなのはに向けての怒鳴り声でクラスの空気は一気に変わっていく。

いや、これは別に正常か。

むしろ、この状況を無視してテレビや流行りのことで談笑していたら随分と嫌なクラスがあったものだ。

まだまだ幼さが残る小学三年生、ピリピリとしたこの空気でどうすればいいか分からず、皆がオドオドしている。

仲裁に入るべきか、そっとして置くべきか、あの三人に話を聞くべきか。

 

どんどんヒートアップしていく前に仲裁に入るのが解決への早道なのだろうが、こういうものは早く解決すればいいというものでもないし、あの三人と特に交流のない俺が仲裁に入れるのかと聞かれれば否。

俗に言うコミュ力が高ければまた違ったのかもしれないが、生憎とコミュ力は低い方であると自負している。

 

何故低いかと言われれば……まぁ、理由は色々とある。

小学校に入学してからずっと友達と遊ばずに自宅に一直線、他人との交流は最低限にしていて魔法訓練に時間を費やしてきたせいで交友関係が狭い狭い。

流行りの漫画や番組に疎いせいで会話も入りにくいし、気づいたら女子との話し方を忘れた。

べつに悲しくない。

悲しくないったら悲しくない。

気の合う友達はいるし。

ふと隣を見れば、その友達内の一人がオドオドしながら近づいてきた。

 

「ね、ねぇ、ヤバくない?」

 

「ヤバイね」

 

「あの仲良し三人が喧嘩とか珍しくない?」

 

「珍しいね」

 

「せ、先生呼んだ方がいいのかな!?」

 

「……どちらかが手をだしたら呼ぼうか。あの三人の問題に周りが余り口出しすべきじゃないし」

 

まだ先生は呼ばなくてもいいだろう。

それこそ取っ組み合いにでもならない限り、呼ぶ必要は無いと思う。

アリサも別になのはが憎くて怒鳴ってるわけじゃないし、むしろ心配している、力になりたいからこその衝突だ、お互い手を出すことはまずないだろうし、嫌な言い方ではあるが放置で問題あるまい。

周りのざわめきもすぐに落ち着くだろう。

 

「……でも不思議だよね」

 

「ん、何が?」

 

「高町さんだよ」

 

友人が声を潜め、ちらとなのはの方へ目を向ける。

つられて目を向ける。

あんな出来事の後だからか、なのはは目に見えて落ち込んでいる。

しょうがないと言えばしょうがない。

鞄から教科書などを取り出して机の中へと移し変えており、今は流石にぼーっとしてる、なんてことはないようだが。

はて。

 

「最近さ、周りをよくキョロキョロしてるし、何かあったのかな?」

 

「え」

 

知らなかったのか、とでも言うかのように不思議そうに見つめてくる。

椅子に座る直前だったので座るよう促され、なのはの方を見ながら自分の席へと腰をかける。

この友人は俺なんかと違い、他にも多くの友人を持っているので、おそらくそこ経由で手に入れたのだろう。

 

「結構みんな話してるけどなぁ。高町さん、幽霊でも見えてるんじゃないかーって」

 

「……初耳だよ」

 

はぁ、と、友人は大げさに肩をすくめて呆れる様に溜め息を吐いた。

 

「君は常に教科書と睨めっこだもんね。休み時間とかは少しぐらい教科書を手放してみたら?」

 

「そんな教科書ばかり見てないぞ」

 

「見てるよ。普通にしてれば、高町さんの異変ぐらい気づくよ」

 

「……そっか」

 

別に好きで教科書と睨めっこばかりしているわけではない。

マルチタスクで誰かと喋りながらでもイメトレは出来ないことはないが、出来なくはないだけで俺自身はやりたくない。

かといって、自分の机でイメトレをしていては、周りから見ればひたすらぼーっとしているようにしか見えない。

そんな頭のおかしい奴に見られないようにし、かつ、誰かに喋りかけられない状況を作る妙案が教科書で勉強している様に見せかけることなのだ。

周りは俺の全力の話し掛けるなオーラで問題ないし、担任から見たら勉強好きな真面目くんに見える……万事解決。

 

しかし、なるほど。

フェイトとアルフからジュエルシードを奪ってからはイメトレ重視でなのはの監視を二の次にして分からなかったが、それほどのものだったのか。

監視はヴァリアントに一任し、もし何か問題があった場合にのみ報告するように頼んでいてのでそこまでは把握していなかった。

問題なし、という報告しかなかったので特に気にしていなかったが、ううむ、たしかにクラスメイトからすれば問題ありだろう。

 

『ヴァリアント』

 

『なんでしょう、ご主人様』

 

『なのはが授業中とかにキョロキョロしてるのに気づいたか?』

 

『もちろん把握しています。ミッドチルダの魔導師であるユーノ氏やレイジングハートとの会話から察するに、サーチャーでの監視がバレたのかと』

 

『……それ、問題発生してるだろ。バレてんじゃん、監視』

 

『いえ、問題ありません。こちらの素性はバレていませんし、元々監視自体がバレるのは時間の問題だったので。現に、高町なのはにご主人様のことがバレていないでしょう?』

 

思わず仰け反ってしまった。

そもそもの問題として。

高ランクの魔導師にもバレないような秘匿性の高いサーチャーの術式なんて知らなかったし、術式を構築する暇もなかったからただのサーチャーに幻術でちょいちょいとイジっただけのモノで監視してるからバレる可能性はあった。

だからこそ、監視しているのがバレたら即座に監視を止めようと思っていたのに。

サーチャーで監視する、というのも、監視されると思っていない&まだ魔法に触れたばかりでそういったものに疎いから実現できたことであって、バレたまま監視するのはとてもではないが現実的とは思えない。

補助魔法に秀でたユーノならば、或いは逆探知の様なものでこちらの素性を探ってくる可能性だってあるのだ。

 

『……中止だ』

 

とてもじゃないが、続けられない。

 

『よろしいのですか?』

 

『いや、続けたいとは思うが、この調子じゃいつバレるかもわからん』

 

『了解しました。ついでに、高町なのはの使う魔法をいくつかラーニングしておきました。後でご確認を』

 

『マジか。いつの間にそんな素晴らしいことを』

 

優秀なデバイスで、多分だけど、性格的にも問題無いと思う。

フェイト専用に設計されたコスト度外視のバルディッシュ。

遺跡から発見された(ロストロギアの疑いのある)レイジングハート。

この二つに勝るとも劣らない性能を持つヴァリアントは素晴らしいの一言だ。

当初は出自不明の役に立つ道具程度にしか思っていなかったが、インテリジェントデバイスは心を持っているということをこの数年で実感した。

ヴァリアントとの会話は、機械と話しているのでなく、まるで人と話しているのではないかと錯覚させる。

正直な話、彼女(女性音声だから多分彼女のはず)でなければ、ここまで来れなかったとすら思える、そんな気がしてしまうほどヴァリアントを信頼している。

だが、いや、だからこそ、これまで以上に。

 

「もっと話し合わないとな」

 

「え、それは誰と、何を?」

 

「色々だよ」

 

「たしかに、君はもっと人と話した方がいいと思うよ。そんなに自分の殻にこもってちゃ女の子にモテないよ」

 

「ほっとけ」

 

小学三年生のくせにもうモテるモテないの話をしだすのか。

この友人は女子の友達も多くいるし、こういう奴らが将来のリア充になっていくのだろうか。

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「そっか……アリサちゃんと喧嘩、しちゃったんだ」

 

「ううん、私がぼーっとしてたから……アリサちゃんに怒られちゃっただけ」

 

「親友、なんだよね」

 

「うん。入学してすぐの頃かな、その時からずっとね」

 

思い出すのは、三人のはじまりの時。

アリサがすずかのリボンを盗ってはからかっていた時に、なのははその場へと介入してアリサの頬をぶったのだ。

なのはは伝えたかったのだ、他の人からしたら大した物でなくても、当人からすればそれはかけがえのない物であり、ぶたれた痛みよりもずっと心が痛いんだということを。

当時のアリサは素直ではなく、やめなよって言われてもやめることができなかったため、その後はなのはと大喧嘩。

アリサは当時のことを、「心が弱かった」と振り返っていたが、それはなのはも一緒。

もっと上手に伝えられる方法はなかっのかな、と。

 

それでも、今ではもう、大切な思い出だ。

 

「ゴメン、なのは。僕が巻き込んでしまったばっかりに……」

 

「ゴメンはなしだよ。ユーノ君を手伝うって決めたのは私だもん。だから、これは私の責任」

 

「なのは……」

 

「それよりも、やっぱりわからない? あのサーチャー? を使ってた人のこと」

 

気になるのは当然、サーチャーを飛ばして来た人物。

覗かれていたことよりも、それを実行してきた人物の方がなのはは気になったのだ。

無論、なのはとて乙女。

覗かれても恥じらいがないわけではないことを記しておこう。

 

「あのフェイトっていう子か、仮面を付けていた魔導師だとは思うんだけど、二人の魔力のパターンもまだよくわからないし、今の僕じゃ二人のどちらかとしか……」

 

「そっか。じゃあ、やっぱりお話、聞かなきゃだね!」

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

フェイト・テスタロッサは焦っていた。

この状況に彼女が焦るのは当然であった。

母であるプレシア・テスタロッサから頼まれたのは海鳴市に落ちたジュエルシード二十一個全ての回収。

使い魔であるアルフと共に管理外世界である地球に来てそれなりの期間が経過したが、彼女が手に入れたジュエルシードの数は未だにゼロ、この展開は最悪と言っても間違いではない。

いや、手に入れる機会自体はあったが、手に入れた後、もしくは、手に入れる前に妨害されて、ことごとくジュエルシードは奪われてしまった。

その結果がゼロ。

 

彼女自身、別にジュエルシードに拘りがあるわけではない。

ロストロギアと呼ばれる代物であることは知っているが

「ああ、綺麗だな」

ぐらいの認識でしかない。

 

『母さんが喜んでくれる』

 

ひとえにその理由だけで彼女はジュエルシードを探している、いや、その理由だからこそ彼女は探している。

母さんの為、その理由は他のどんな理由にも勝るものだから。

 

だが、ここにきて邪魔者が現れたのだ。

「お前に渡さないのが俺の目的なんだ」

は、実に理不尽ながらかつ予想外な仮面の魔導師の言葉だ。

「プレシアはまだ壊れたままか?」

は、彼女の使い魔が聞いた、愛する母を侮辱する理解不能な言葉だ。

 

貴方に何がわかるの!?

そんな気持ちを叫び出したくなるのを、誰が責められようか。

たしかに、彼女の母であるプレシア・テスタロッサは変わった。

優しく微笑んでくれることはなくなったし、食事を一緒に取ることも殆どなくなった。

研究に没頭することが多くなり、その研究が上手くいかず八つ当たりを受けることもあった。

母さんの使い魔兼フェイトの教師のリニスがいた時はまだ暖かかったが、そのリニスがいなくなってからは庭園の雰囲気もプレシア自身もガラリと変わった。

 

ただ、フェイトにわかるのは事故によって母が、少し、変わってしまったこと。

前の職場での事故が原因で眠っていたらしいが、フェイトはよく覚えていない。

幼い頃や事故から目が覚めた後の記憶はハッキリしているが、事故の直前の記憶だけはボヤけて思い出せない。

 

昔のように笑ってほしい、愛してほしいともおもうが、母さんがあまり余裕が無い事を知っていればこそ、自分の気持ちを押し付けていいものかと悩んでしまう。

それこそ、具体的なことは知らないが何かの研究精一杯なのだ。

自分に構ってくれる余裕があるのだろうか、自分が迷惑をかけているのではないか、と。

そんな葛藤があればこそ、多くの母さんの願いを叶えてきた。

時には材料集めを、時には過去の文献集めを。

時折見る他人の家族の幸せそうな光景から湧き出る気持ちを、心の奥底にしまい込んで。

 

そこに、新たな機会が巡ってきた。

曰く、ジュエルシードと呼ばれるロストロギアを集めれば、母さんの研究は大きく進む、いや、完成すると。

以前までの研究は全てが手探り状態で進展も少なかったらしいが、今回のはゴールが見えているとかなんとか。

ようやく、長かった母さんの研究に終わりが見えてきたのだ。

 

ようやくなのだ。

これで終わりかもしれない。

この研究が完成することによって母さんに余裕が生まれ、また昔みたいに家族で仲良く暮らせる幸せな時間を過ごせるかもしれない。

そんな希望が見えてきたのだ。

 

必ず集める。

何があっても。

どんなことをしてでも。

 

「アルフ、次のジュエルシードの場所は?」

 

「おおよそだけど掴めたよ。多分、街の中心」

 

「……そんなとこにあったんだ。早く見つけ出さないと」

 

また邪魔をされる。

渡さないのが目的ならば、仮面の魔導師は今回も現れることだろう。

わかっていても、その魔導師を出現を食い止めることはできないが。

 

「あの白い子も来るだろうし、誰よりも先に見つけないと」

 

「その、フェイトは、平気なの?」

 

「平気だよ。私、強いんだから」

 

「でも……」

 

アルフの懸念はフェイトの現在のコンディションだ。

三食食べることはなく食事は最低限、睡眠も仮眠ばかりでしっかり寝ることはない。

彼女の主人の実力は使い魔である彼女自身がよく知っている、そこに疑いはない。

けれど、今の状態ではどうだ。

魔力も完全に回復しきっていない状態で、コンディションが万全とは言い難いこの状況で、果たして戦闘になった場合、勝てるのだろうか。

 

白い魔導師と仮面の魔導師が仲間なのかはわからない。

フェイト曰く、会った時の状況からしてその可能性低いと言っていた……が、二人ともフェイトとは敵対している。

敵の敵は味方、という、この世界の言葉がアルフの頭をよぎる。

手を組まれれば数の差ではあちらが上、戦いとは基本、数がものを言う、それこそ圧倒的な実力差でもない限りそれは覆らないだろう。

今のフェイトの状態で、その差があるのかどうか。

 

「ねぇフェイト、次のジュエルシードを回収したらちゃんと休まない? あたしはフェイトが心配だよ。広域探索の魔法は体力使うっていうのにフェイトってばろくに食べないし休まないし……このままじゃ、いつか倒れちゃうよ」

 

「ありがとう、アルフ。今度、ちゃんと休むから」

 

「約束だよ? 絶対休んでおくれよ」

 

何度も交わした約束に、アルフは不安を通り越して一種の絶望と共に、やんわりとした口調で諭す。

 

「フェイトがあの人を大切に思うのはわかるよ。でも、あの仮面の魔導師が言ってたことも少しは理解できる気がするんだ。……壊れてるって」

 

「……なんで、そう思うの?」

 

「だって、おかしいじゃんか! フェイトはこんなにも頑張ってるのに、褒めるどころか鞭で叩いてるんだよ!?」

 

「それは違うよ。ただ、母さんは今、ちょっと余裕がないだけ」

 

「違わないよ!」

 

使い魔のその姿は先程までと比べても明らかに小さく弱々しく見える。

うつむくその顔が見えない程に影に覆われている錯覚すら覚えた。

神妙な顔つきになったフェイトが、重々しく口を開く。

 

「今は研究で手一杯な母さんだけど、ジュエルシードを集めれば研究がひと段落つくって言ってた」

 

「……うん」

 

「ジュエルシードを集めて、母さんのとこに帰ろ? きっと、全部上手くいくよ」

 

「一つだけ聞かせて、フェイト」

 

「……何?」

 

「また邪魔が入ったら、どうするんだい?」

 

「──今度はもう、容赦しない」

 

 

 

 

 

 

 

 




○盗聴がバレてしまった小学校に入学して友達百人作れなかったマン
心の友であるヴァリアントがいるからセーフセーフと思ってるけど側から見ると痛い人やで
バレなきゃ犯罪じゃないんですよという素晴らしい名言を頭に入れてやってたらバレたので普通に犯罪ですよ、大丈夫かなこの子
もっとコミュ力があればなのはとアリサの仲裁に入るイケメンムーブが出来ただろうけど、普段人と会話しなさすぎて多分二人からは誰? みたいな扱い受ける
ああ、クラスの端っこの方にいたね、みたいな
コミュ力あれば二人の間に入れたかと問われればよくわかんないけど……相当勇気がいりますよあの場面
入ったところで事態をややこしくするだけだから何もしないということはある意味ファインプレーなのかもしれない。誰か褒めてあげて
出会った敵の技をラーニングして使うってなんだか主人公っぽいなって思いましたまる
友人自体は数少ないけどいるから完全なボッチではない

○やっぱり対話したいウーマン
ディバインバスターorスターライトブレイカー
多分そのうち「分かり合う気はないのか!」って言いながらディバインバスター撃ってくる
ついでにトラ○ザムとかする(未来視

○邪魔するものは容赦しないウーマン
激おこプンプン丸

GW終われば時間できるかもと思っていた考えが甘かった
全く展開進んでないし、早く進ませたい
書きたい内容はいっぱい思いつくのにそこまでまだまだ道のりがあるとはこれいかに
後書きも随分寂しくなってしまった……いつか量増やそうかと
時間が取れることを夢見ながら書いていくので、それでもよければゆっくり気長にお待ちください
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