番外編 平塚静は未来を見る
「you got a mail you got a mail」
夏の暑さにやられている俺。まだ7月の初めだぜ……暑すぎる。執務室のクーラはぶっ壊れ修理まで数日かかるそうだ。
「you got a mail you got a mailyou got a mail you got a mailyou got a mail you got a mail」
まるで壊れたラジカセのように着信音がなる。茹だる暑さ、俺は勢いに任せ叫ぶ。
「うるっせぇ!!」
俺はスマホをぺろぺろくぱぁと操作し、メールを開く。そこにはある1人からのメールが"やまほど"届いていた。
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千葉県 某所
「久しぶりですね。先生」
「あぁ、久しぶりだな。それにしても.........目が柔らかくなったな」
俺は自分の顔を触りながら言う。
平塚先生は相変わらず男っぽい。
そこら辺の不良よりかは男だ。
「そうすか?」
「鎮守府での生活は君の刺激になったようだな」
「そうっすかね.........。大変っすよ?」
俺は呆れるように笑う。平塚先生はそれに答える様に笑い言った。
「そんな君の為に今日はデートだ」
「は。冗談は年齢d.........ごふっ!」
俺の腹に平塚先生の拳がクリーンヒットした。もうオーバーキルだよぉ.........。
『デート』かつて時雨とマザー牧場に行ったのが1番デートに近いだろう。
それにしても.........デートスポットが
「ラーメン屋っすか」
「好きだろう?ラーメン」
この先生は胃袋まで男なのか、完全に高校2年生の好物まで知っていた。
俺は額の汗を拭い、笑い言った。
「好きっすよ。ラーメン」
俺達は、それぞれ注文し品が届く。割り箸を割る。パキッと心地よい音がなる。
あっ.........今日は上手く割れた。あれいつもミスるんだよなぁ。割り箸を作ってる会社は確実に割れる割り箸作った方がいいぜ。多分売れる。
「君は.........高校生の割にはよく働いたな。君の性格からして“アレ”は断ると思ったが」
俺はあの車内での出来事を思い返す。
『やっぱり……この人達は俺に似ていて”1番似ていない“』
俺は社会を世界をよく知っているつもりだ。艦娘に対しての世間の反応は作文にもした。ただ俺は問題提示をしただけだ。解決しようなんて1回も思わなかった。いや出来ないとする必要がないと思っていた。けどあの人はあらゆる所に優しさを発揮し、艦娘を救っていく。
それが俺と長澤さんの決定的な違いだ。
だから俺は俺らしくなくあんな計画に参加したのだ。
「君は.........若いんだ。もしかしたら自分が変わっていく事を恐れているかもしれない。だがそれは普通なんだよ」
「変化が普通.........ですか?」
平塚先生は俺を見透かしたように言う。その一言には確かな重みがあった。これは平塚先生の経験なのだろう。
「そうさ。この世界は回って常に変わっていく。だがそれは普通なんだよ。君が元の自分の思考から何かの影響を受けて変わっていく。それは凄くいい事なんだよ。"様々な出会いをして、考えを聞いて自分の考えを持つんだ"」
「..................」
俺は静かに頷いた。この人は俺の事を分かってくれている。言葉にしなくても分かり合える関係、悩んでいる事、俺の事を言葉を通して伝えてくれている。
「いい事言うじゃないですか。なんで結婚出来ないんですかね」
俺は照れくさくなって嘲笑う様に言った。平塚センセイは顔を真っ赤にして割り箸を割った。いや.........折った。
割り箸作ってる人.........やっぱり確実に割れる割り箸は作らなくていいです。
人間であんなに真っ二つに割り箸を折ることが出来るんですね。まる
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「今日はありがとうございました」
俺は平塚先生に車で鎮守府前まで送って貰いお礼を言う。平塚先生はタバコを吹かしていた。
「んん、大丈夫さ。比企谷.........君は普通の高校生とは違う。そのせいで誰かに“非難されるかもしれない”。私はそれが不安でしょうがないんだ。今更遅いかもしれないが心配させてほしい」
「大丈夫っすよ.........。何が起きようと俺には家族が居ますからね」
「家族か、よし比企谷。頑張れよ。たまには連絡しろ.........甘えたっていい」
「うす」
俺は平塚先生の優しさに触れて胸が苦しくなった。けど嬉しいような気もする。
俺は前に進み、変わっていくんだろう。
前は.........俺は俺だとかアイデンティティとか言っていた。変わらない事を大切にし、変わっていく事を恐れた。
だがこれからはそうじゃない。
艦娘と長澤さんと出会い、自分の考えを自分なりの信念を持てるようになった。
俺は古い比企谷八幡から新しい比企谷八幡になったようだ。進化はしてねぇけど。ポケモンかよ.........。
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千葉県 某砂浜にて
「..................比企谷。君がその道を自ら選んだ事は私も分かっているつもりだ。
辛い事も納得いかない事もある。応援しているよ」
そ れ は そ れ と し て
「結婚したいなぁ.........」
3日月に1人独身アラサーの呟きがただよっていた。
第2部突入ですね