とりあえず嬉しいので頑張ります!
9話 本物
「すごいな……お前は」
俺に話しかけてきたのはあの大和型2番間武蔵だ。俺は資料を見ていた……そろそろ休憩するか。
「何がだ?」
「私やゴトランドまで変えてしまった……もっと早く出会いたかったよ」
彼女はしみじみと言う。ゴトランドはもうそれはそれは元気になっていた。だが……
「だがな」
「速吸と瑞鶴の事か?」
速吸は仮面をつけているように見えた。
元気そうに笑顔を振りまく……だがそれも胡散臭い。どこか悲しそうだ。
瑞鶴は完全に精神をやられて部屋から出てこない。今はそっとしておこうの精神で放っているが……いつまでもって訳にも行かない。
「私が言うのもアレだが頑張ってるな。寝てないのだろ?」
「バレたか……」
「休む気は無いのか?」
「無いな。俺もアイツらもやっと出来た居場所だ。居心地のいい物にしてやりたいだろ?」
俺も変わってしまった。最初は変わる事は逃げ。どうして自分を愛せないとか思っていたが変わる事も悪くは無い。
だから頑張らなきゃ行けない。
「責めるつもりは無いさ。ただ速吸は……速吸を頼む」
武蔵は執務室を出て行った。
あの時、武蔵は妙に速吸の事を気にかけていた。少し探りいれるか……
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「速吸……おはよ」
「提督さん、おはようございます!」
彼女は元気そうに声をかける。ここに来てからずっと上下ジャージ姿だ。俺は速吸の隣に座り鳳翔さんに注文する。
「鳳翔さん。鮭のホイル焼きセットください」
「フフ……了解です」
鳳翔さんは眩しい笑顔で注文を取り厨房へ向かう。ただその時、頑張ってと言われた気がした。
「速吸……お前なんでドックを使わない?。お前だけ小破状態なんだが」
「いえ……私を修理するよりも他の方を修理した方がいいかと思いまして。それに速吸は大丈夫です!」
「……後で執務室に来れるか?」
「……はい」
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「速吸……腕を見せてもらっていいか?」
俺は速吸の腕を確認したかった。ある物を確認するために……別にフェチじゃないからね!?
「……提督さん」
速吸はキュッとジャージの袖を握る。
くっ……やめろ。いけない事してる気分になる!。煩悩を振り払い問いかける
「やっぱいい。そのかわり聞きたい事がある」
「はい?」
「お前は俺が武蔵を傷つけているのを見てどう思った?正直に言ってくれ……俺はお前を傷つける気はない。お前が良ければ武蔵について来てもらえよ。もし俺が危ない事をしそうになったら即46cm砲でドカンだ」
「……武蔵さんに迷惑をかける訳には」
「なら答えてくれるか?」
「はい。私は悲しかったです。武蔵さんが……あんな姿になってまでも……グズッ……」
「誰かが辛そうにしている所を見てるのは辛いよな……。他人の不幸は蜜の味なんて言うが飯も不味くなる。分かるか?みんなそうなんだ。例えばお前が暴力を振られて辛いのに笑顔で我慢している事とか……な?」
「私が悪いんです。大した仕事も出来ず……私には提督の気持ちを収める事しか……。提督は悪くないんです」
やっぱりか。DV被害者にありがちで加害者を守りたがる……自らの不甲斐なさのせいだと。原因を自分になすりつける。
「誰かが悪いって言ってるんじゃない。今はお前の話だ。誰かの気持ちとか善悪とかどうだっていいんだ。お前の……速吸の本音が聞きたいんだ」
「私に喋る権利なんてありません」
「権利?……必要なら与えてやるよ。俺が与えられる物ならなんだって与えてやる」
権利だとかそんな物は関係ない。俺はただ速吸の気持ちが知りたい。あの時、時雨が俺に問いかけた様に……誰かの本心が聞きたいんだ。俺の熱意に諦めたのか速吸が口を開く
「私は愛が欲しかったんです。痛い思いはしましたが提督に必要とされていました。だから私は頑張れた」
「暴力でしか感じられない愛が本物の筈無いだろ」
彼女は愛を欲しがった。誰かから暖かな温もりをもらう事。優しい言葉をかけてもらう事。
「提督……私は本物が欲しいです。ひどく傲慢な願いですが……本当に浅ましくおぞましくて、でも私は……私はそれでも本物の愛が欲しいです!。提督……貴方は言いましたよね……与えられる物ならなんだってくれるって!」
「あぁ言ったさ。お前が本当にもう要らないって言うまで渡し続けるさ」
最後の八幡の言葉は[Alexandros]prayから引用しました。