織斑一夏の裏家業   作:アイバユウ

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選んだ道ゆえの宿命

 

「でも気を付けるんだな。俺のような道を選ぶということは姉から自立することを示している」

 

いつかは離れていくことになることは確実だ。

家族を持てば脅迫されることになる材料を作ることになる

そういったリスクをなくすために家族とは縁を切る道を選ぶしかない

たとえどれほど大切な家族であってもだ。

こういう言い方をするとひどいが、血で汚れた道を歩むということはそうなる運命である

 

「それは私に妹離れをしろって言いたいの?」

 

「子供はいつか親離れをする生き物だ。だから俺は千冬姉から離れる道を選んだ」

 

だから簪も俺と同じ道を歩むしかもう残されていない

姉である楯無から離れる道を選んでいくしか残されていないと気付いてくるだろう

仕方がないことだ。それが運命なのだから

小鳥はいつかは巣立つのと同じである。そして新しい道を自ら選択して飛び立つ

飛び立つ先は誰にも予想することはできない

優秀な人材になることは間違いないが簪がどの道を選ぶかは俺にも想像できない

 

「簪は相棒としては優秀だ。最後の分かれ道までともに歩む」

 

それがお前と交わした契約だろと伝えると楯無は警備室を出ていった

俺は簪に巣からトビ立てる方法を教えた。そして巣立つことが時には重要である事を伝えた

簪の能力はかなり高い。狙撃をさせたらかなりの良質な成績を収めたことから見て明らかだ

姉である楯無はそれと抑止しようとしていたが、むしろそれは逆効果だ

立ち入るなと言われるとは言ってみたくなるのは当然のことである

だからこそ簪は巣立つ道を選んだ。何もかも捨ててだ

俺は千冬姉を捨てる道を選んだ。もう交わることはない。

仮に接触があったとしてもそれは事務的なことでしか存在しない

千冬姉が殺される道は避けるにはこの手法しかなかった

家族を捨てなければ暗殺者にはなれない

 

「簪の姉は妹に感情を持ちすぎだな。楯無もプロなら切り捨てなければならないことがあることを分からないと」

 

楯無はまだまだ甘い考えの持ち主だ。

家族が脅迫されたらどうするべきかを考えていないのかもしれない

それではプロとしては失格。1人の人間が守れるのは数名しかないのだ

だが殺し屋になれば守ることはほぼ不可能だ。

だからすべての縁を切るしか道は残されていない

もし1つでも残っているとそこをつかれて脅迫されることはよくある話だ

完全に切り離さなければ守ることはできない。自分を守るためにはそれしか道はない

 

「簪にはつらい運命だな」

 

どちらにしても選択したのは彼女だ。なら俺はそれができるように手助けをするしかない

もとから引き受けた仕事だ。パートナーとしてふさわしくなるまで厳しくトレーニングをしなければならない

少しでも怠れば俺たちは死ぬ運命になる。孤独に生きていくしかないのだ

悲しいことにそれが俺たちが選んだ道である

 

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