「残念だが。お前たちに金を払われても情報は渡せない。こちらの手の内を明かすわけにはいかないからな」
更識楯無にこちらの手の内を読まれるわけにはいかないのだ
俺の個人的な仕事の妨害されることも十分考えられる
迷惑なトラブルが増えることを考えると更識家に情報は売れない
「どうしてよ?」
「こちらの仕事を妨害するだろ。妹離れができていない姉がいたら特にな」
「そんなことはしないわよ。約束するわ」
楯無の言葉は信用がない。いつこちらに介入してくるかわからないとなると仕事にも影響が出る
そんなことになれば俺の信用問題にも発展する。それだけは避けなければならない
「残念だが信用できない。俺たちの業界では人を信用することは禁じられているからな」
そう、殺し屋のような存在である俺たちは他者を信用することは危険すぎる
いつその人物から情報が漏れるかわからないのだからリスク回避の観点から考えると、
情報が漏れないように封鎖をすることが最良の判断である
「どうしてそこまで他人を信じないの?人は1人では生きていけないわよ」
確かに人は1人では生きていくことは極めて難しいがそれを何とかするのが裏稼業をしている者の生き方である
それができないようであればこんな仕事を続けることなどできるはずがない
「それを何とかするのが俺の仕事だ。お前たちに文句を言われる理由はない」
「私の大切の妹を守ることは誓うのに?」
確かに楯無には簪を守ると誓ったことは事実である。だが・・・
「簪は今や立派なパートナーだ。今後の成長次第では独立するということもあるかもしれない」
俺はここで少しかまをかけてみることにした。
ちょっとしたいたずらである。楯無が起こるかどうかぎりぎりのラインにボールを投げてみることにしたのだ
「あなた、まさか」
「人間の将来というのはいつかは独り立ちをするものだ。簪も雛から立派な鳥になる」
それは狩りをする鷹のような生き物のようにというと楯無は少し表情をイラつかせていた
きれないだけ成長したと言えるのかもしれない
以前なら妹のことになるとすぐに向きになるところなのに今日は大声を出すことをしていない
人間は成長をする生き物だが楯無も成長をしているのかもしれない
「まぁ今はヒナだ。俺は親鳥として成長させていくことを手伝っていく」
その後の道の選び方は彼女次第だというと俺はその場から去ろうとした
簪を呼び出して訓練を行うためである
まだまだあいつには成長する伸びしろが十分存在する
その伸びしろを上手く上昇させることが俺にとって最も重要な課題である
「今日は簪にスナイパーライフルでの射撃連続訓練でもさせてみるか」
「あなたって本当に嫌な人ね。私の目の前でそんなことを言うなんて」
「お前を試しているんだよ。お前の我慢強さがどこまで成長したかどうかをな。では、失礼する」
俺はそう言うとその場を去って警備室に向かった
織斑一夏と更識楯無の腹の探り合いの様子のシーンを書いてみました。
誰でも疑り深いのは当然であると思いますが、殺し屋になれば当然かなと思って書いています。