織斑一夏の裏家業   作:アイバユウ

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一夏と過去とラウラ

 

俺は警備室のソファで仮眠を取っていたが。少し感情を露にしたことに少し後悔していた

俺はテロリストと言っても問題ないレベルまで訓練を受けてきた。そのうえで重要なのは感情を表に出さず。常に冷静沈着にいること

それがどれだけ命を助ける事になるかは身を持って知っている。ある女性至上主義者を殺したときの記憶が戻ってきた

あれはフェンリル先生に初めてお前が狩りの番だといわれて、狙った。俺はすぐにこんなものは終わると思っていた。

たった1発の弾丸で頭部を吹っ飛ばしてやるだけでいいのだから。だがあの時はまだ甘いと先生に言われて徹底的に訓練をさせられた

長距離狙撃は対物ライフルでの狙撃だ。800m先に離れた相手の頭部をまるでスイカを割るかのように吹っ飛ばした

その時にこう言われた。お前はよくやっている。だが俺みたいに。そしてバカみたいに壊れるなと

善人には手を出すなと言われた。俺達はテロリストだが殺すのは悪党だけだと

 

「いやな記憶だな」

 

俺はソファに毛布かけて眠りについた。片手には銃を持って

警戒を怠らない方がいい。どこから弾が飛んでくるかわからないのだから

朝日が昇り、今日も1日が始まろうとしていた

俺はいつものように銃などの装備を整えると警備スタッフの制服で警備室を出た

 

「今日も一日頑張るか」

 

俺はいつものように朝食を取りに食堂に向かった。その途中で何か嫌な気配を感じた。

凄腕の敵というわけではないが、軍人気質の気配だ。おおよその見当はついている

ラウラ・ボーデヴィッヒだろう。あの女も同じだ。ISが持っているものが優秀なのだと。

そしてあの誘拐事件の時に俺を助けに来た結果、千冬姉が大会で優勝できなかったことを恨んでいるのだろう

仕方がないと思いながら俺は人通りがほとんどない通路を使った。もし狙いが俺ならついてくるだろう

その予想は見事に的中した

 

「織斑一夏だな」

 

「もっと殺気を消す事を覚えた方がいい。ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

「お前が猟犬というのは本当なのか聞きたい」

 

「だとしたらどうする?」

 

「フェンリルの居場所について話してもらう。無理やりにでもな!」

 

彼女はISを起動させてこちらにレールガンをぶっぱなしてきた。派手な演出だ

どうやらフェンリルに恨みがあるようだが。こんなことは日常茶飯事だ

教え子になった時に言われた。必ず居場所を吐かせようという目にあうと。

その時喋るくらいなら直前で死を選べと。喋ったところで殺されるのだから自ら幕を引けと

俺はとっさに右に避けてこういってやった

 

「残念だが、居場所は知らない。時々向こうから接触してくるだけだ。ところで狙いは何だ?」

 

「お前達が起こしたドイツ大使の殺害に関する事だ。身に覚えがあるだろう」

 

「ああ、その件か。あの女は殺されて当然だ。男をただの道具としか思っていない女だったからな」

 

特にだ。あの女の場合、男はこの世からいなくなればいいとまで豪語する女至上主義者だ

ISを使って議会にまで圧力をかけていた。あの女の死は政府からの依頼だった

表向きは事故死になっているが。実際は政府上層部からの依頼で俺達が抹消した

どこでそのネタを嗅ぎ付けたのかは知らないが。いらぬ芽は詰んでおいた方がいい

 

「世の中知らない事の方が幸せという事もあると思うが」

 

 


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