織斑一夏の裏家業   作:アイバユウ

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一夏と思い出と箒

 

俺ははっきり言って人づきあいが好きなタイプじゃない。

だが、彼女だけは別だった。特別な存在だった。俺にはまぶしすぎる存在だったのに。俺のせいで犠牲になった

その時に誓ったのだ。もう2度と大切な人を失う事はさせないと。孤独に生きていく。そう決めた

俺に残ったのは彼女が死ぬ間際に渡してくれたペンダントだけ

それが俺にとってたった1つの思い出の品になるなんて

 

「最後まで契約は果たすからな」

 

彼女とした契約。それは俺が生き続ける事。できうる限り

ギリギリの状況になるまで自ら死を選ぶことはしないで思い続けてほしいと

俺は彼女との思い出を胸にしまって生きてきた

 

『ピーピーピー』

 

警備室の電話が鳴った。緊急を告げるものではなかった。

ただ警備室には今は俺しかいなかったので仕方がないと思って電話に出た

 

「今は閑古鳥が鳴いているんだが」

 

『一夏か。少し良いか?』

 

「箒か。わざわざ電話でなくても警備室にくらいこれるだろう」

 

『良いのか?そっちに行っても』

 

「ちょうど俺しかいないしな。いつでも来てもいいぞ」

 

すると箒は分かったと言って電話を切った。

俺はいったい何のようなんだと思った。わざわざ電話で在宅確認みたいなマネをするとは

警備室で待っていると箒はすぐにやってきた

 

「どうしたんだ?授業が始まるぞ」

 

「少し話がしたくて。時間はあるか?」

 

「俺がここにいる時は暇な時だけだ。それで話っていうのは?」

 

「姉さんのところにいたっていうのは間違いないのか」

 

「束さんのところにいたことは事実だが。俺が好きでいたわけじゃない。契約だったからな。守るという約束のな」

 

そう言えば箒は束さんの事について触れるのを嫌っているはずなのに

いったいどういう風の吹き回しだろう。優秀な姉を持つと苦労するのはどこも同じなのか

 

「お前がISを動かしたと噂になっているが」

 

どこで漏れたのかは容易に検討がついた。恐らくあの楯無がなし崩し的に入学させようという魂胆だろう

まったく外堀から埋めていこうと嫌な事を考える奴だ。

 

「さぁな。俺には関係のない話だ。俺はここの警備担当。それ以上でもそれ以下でもない」

 

「そうか」

 

箒はどこか残念そうな表情を浮かべていた。

どこかで俺も学園に入ればすごせる時間が増えるとでも思っていたのか

それは今は分からないが

 

「話がそれだけなら俺はちょっと出かけてくるが」

 

すると箒も教室に戻ると言った。警備室を出ていくのを見届けると俺は

ポケットからペンダントを取り出して、それを少し眺める

ただ、こんな感傷に至っていたらまた命が危なくなると思い直してポケットに戻すと巡回に戻った

巡回と言ってもあるところに向かうために警備室を出たのだ

 

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