射撃訓練室から出ると、明らかに私は怒っていますという顔をしている楯無がいた
「私の妹に銃の扱い方を教えて」
どういうつもりなのと。俺は頼まれたから手伝っただけだというと後ろから歩いてきた彼女がある一言を言った
「私だって自分の身くらい自分で守る。お姉ちゃんには頼らない!」
その言葉にかなり楯無は衝撃を受けたようだ。
まぁいつかは人は自立するものだが。まさか今この状況で言うとは
なかなか度胸がある
「私にだってやりたいことがあるのにお姉ちゃんが邪魔をするの!」
「私は穢れた世界に踏み込んでほしくないだけなの」
「そんなのお姉ちゃんの勝手でしょ!私は自分のやりたいようにするだけ!一夏さんを悪者にしないで」
そう言うと更識簪は走り去っていった
予想はしていたが楯無はかなりご機嫌斜めの様子だった。
もっとも俺には関係のない事だが
「やってくれたわね」
「お前は過保護すぎなんだ。もっと自立させることを手伝ってやるべきだったな」
「あなたに何が分かるの!あの子には幸せに生きてほしいのに!」
「俺だって同じ境遇だからよくわかる。あいつはいづれお前の手から離れる。どういう道を選んでも尊重してやるだけにするんだ」
俺だってもしあの時に道を選べたら状況が変わっていただろう
こんな道に走る事は無かったかもしれない。だがそれも可能性に過ぎない
起こってしまったことを戻す事はできないのだ。時計の針が戻らないのと同じで
過ぎてしまったことを後悔しても遅い。前を見て歩みを続けるしかないのだ
「織斑一夏。私はあなたを!」
いつものセリフだが今までとは状況が違うようだ
「だったらここで俺を殺すか。そうすればあいつの心はますます遠くなる。ジレンマだな」
最初に問題を作ったのはお前だと言ってやると俺はその場から去っていった
楯無とあいつの妹の関係は俺と千冬姉に似ているのかもしれない
だから俺は手を貸したのかもしれない。
とりあえず俺は警備室に戻るとそこで銃の手入れをしていた
銃の手入れを怠れば死に繋がる事が嫌というほどわかっているからだ
暇があれば銃を分解して掃除をする。それが俺の日課だ
俺は銃の手入れを終えると自分用に割り当てられているデスクで事務仕事をしていた
報告書を作成していたのだ。警備スタッフとしていろいろな書類を決裁しなければならない
表向きには警備スタッフの上司がいるが。現場では俺の判断が優先されることになっている
報告書を仕上げていると、箒がやってきた
「姉さんから私を守るように言われたって噂が流れているが本当なのか」
箒は警備室に入ってくると直球で質問してきた