織斑一夏の裏家業   作:アイバユウ

51 / 112
一夏と簪と関係

 

IS訓練スタジアム。俺は簪のIS稼働状況をモニタリングしていた

 

「なかなかいい動きだ」

 

姉と比べられていつも劣等感を感じているのだろうが彼女の実力は本物だ

おそらくうまく育てばかなりISパイロットとしては将来有望な人材になる

スタジアムの観客席には楯無が座っていた

妹のことを心配しているのだろう。俺が唆したようなものだから

まぁ、妹離れするにはいい機会だ。

 

「それで千冬姉はどういうつもりだ?」

 

「お前の時間を譲るとはどういう風の吹き回しだ」

 

「俺だって多少の融通の利く人間だ。1時間は明日も取っている。今日の1時間分を明日で取り返せばいい」

 

まぁそう自分に言い聞かせているのかもしれないが

どこかで彼女のことを昔の自分に重ねているのかもしれない

 

「なら私の希望も聞いてくれ」

 

「俺は自分のやりたいようにする。誰の指図も受けない」

 

人に助けられることはもうとっくに捨てた。

俺は見捨てられたのだ。あの大会の時に。だから今の俺がある

 

「一夏!」

 

千冬姉の止める声に俺は耳を貸す事は無い

 

「俺は千冬姉の道具じゃない。1人の人間だ。自分の道くらい作れる」

 

そうだ、俺はもう自立しているのだ。昔の俺とは違う

 

「もう交わる事のない道を歩いている。もう何もかもが違う」

 

「それでもお前との関係は」

 

「織斑計画」

 

その言葉に千冬姉はどこでその情報をと言った感じの顔をしていた

俺は何も話す事は無いと思って簪のISのデータ収集を行っていた。

あとで彼女に提供してバックアップをしてやるためだ

千冬姉は管制室を出ていった。

 

『どうですか?一夏さん』

 

「ああ、データ収集はほぼ完了だ。もうやめておくか?」

 

『はい』

 

ちょうど1時間のタイムを切ろうとしていた時だ。次に使用するグループもいるのも事実だ

俺もいろいろと用事があるからこのあたりで終わりにしたかった

 

『ピーピーピー』

 

仕事用の携帯電話でキャスパー・ヘクマティアルからの連絡だった

 

「緊急ですか?キャスパーさん」

 

『君が亡国機業と関わる事になったとのことを受けてね。状況を聞いておきたくて』

 

「不可侵協定の状況です。今のところはですが」

 

『僕としても君が噛んでくれると嬉しいんだけど』

 

俺としては中立側にいると伝えると通話を切った

今の俺の立場ははっきり言って微妙だ。反IS派の亡国機業とは中立

生みの親である束さんからは箒の警護。どう選んだったところでジレンマを抱える事に

 

「まったく弱ったものだ」

 

俺は少し弱音を吐いてしまった。プロとしては失格だが

ため息をつきたくなる状況だ。データを纏めてメモリディスクに保存すると簪がやってきた

 

「すみません一夏さん。いろいろとしてもらって」

 

「俺の気まぐれだからな気にするな。それじゃ、俺は別件があるからもう行く」

 

そう言うと管制室を出ていった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。