織斑一夏の裏家業   作:アイバユウ

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一夏と姉妹と喧嘩

東京都市部、俺はいつものようにターゲットが狙えるビルの屋上に狙撃ライフルを構えてい

簪は周囲の状況を見張らせていた。ターゲットの距離は500m

だが少しでも不安材料があれば事態はややこしくなる

警察が出入り口を張り込んでいた。ただ室内には警察関係者はいない。

そのためチャンスは一度きりだ。ミスったら俺が死ぬはめになる。

簪にはある事を頼んでいる。周辺の気象情報の確認だ。こういった小さなことでも重要だ

銃弾は直線的に進む事は無く。風や重力の影響で弾道は変化する。

そのためのデータ収集と計算をしてみるかと提言したのだ

 

「それにしてもどういう心の変化だ?まさかとは思うが俺みたいになれたいと思っているならやめておけ」

 

「どうしてです?」

 

「銃は人を変える。9割が助かるなら1割を切り捨てなければならない時もある」

 

その時だった俺の携帯情報端末に楯無が来ていることを示していた

おまけに通信も入ってきた

 

『ずいぶんとお仕事に苦労していないわね』

 

「楯無か。あまり邪魔をしてほしくないがな。せっかくお前の妹がやる気を見せているのに」

 

『ふざけないで!私はあの子を守りたかっただけよ。こんな汚い世界から』

 

だが結果は逆効果だったようだ

 

「悪いが今忙しいからあとでかけ直す」

 

通信を切ると狙撃体制に入った

 

「風は東から西に2m」

 

「上出来だ」

 

俺は冷静に判断をする簪にほめると照準を合わせた

そして、対象者が窓際に来た時にバレットM82の弾丸を発砲した

今回は頭ではなく胴体に命中させた。まだ彼女にその時の光景を見せるのは早いと判断したからだ

もちろんフェンリル先生からすればそれだけ甘いと言われるだろうが

今回だけの措置だと。その時だったISを身にまとった楯無が現れた

表情は言うまでもないだろう。ご機嫌が良いものとは思えない

 

「やってくれたわね」

 

「ここで俺を殺すか?」

 

「クッ」

 

それができない事を俺は計算していた。妹の前で殺しはしたくない

俺なら例え千冬姉の前でも殺しはする。やらなければ自分がやられるし何も守れない

 

「お前はどうする?」

 

そこに簪のルームメイトである本音が出てきた。手には小型の銃を持って

俺が知っている普段の彼女の姿からは想像もできない姿だ

 

「かんちゃん!それ以上いかないで!」

 

「本音。これは私が決めたことなの。もうお姉ちゃんに邪魔はさせない」

 

「どうする楯無。ここで俺を撃つか。それとも見逃すか。どっちにしても妹とは距離ができる」

 

俺も正直なところお荷物が増えるかもしれないが、腕は良いのは確かだ。

きっと狙撃に関しては経験を積めば良い線までいける。風の流れなどの空気の変動に伴う読みのセンスも良い

 

「俺は仕事を終えた。姉妹の問題は自分たちでケリをつけるんだな」

 

俺はそう言うと引き上げようとした。しかし簪が服を引っ張った

彼女は俺にこういった。見届けてもらえないですかと

 

「お姉ちゃんは私のやる事に全部、口出ししないで!これは自分で決めたの!」

 

「簪ちゃん!汚い世界にいる事の意味を知らないから言えるんだよ!」

 

こんなところで大声を出して喧嘩などをしてほしくないのが俺としての立場なのだが

今は2人は意地になっている事は誰の目に見ても明らかだ

仕方がないと思って俺は仲裁に出るしかなかった

 

「こんなところでもめても話は終わらないと思うが。それ以上やりあいたいなら学園でやれ」

 

俺は簪の腕をつかんで1階の駐車スペースに置いているバイクに向かった

楯無は分かったのか引き上げていった


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