織斑一夏の裏家業   作:アイバユウ

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一夏と簪と分岐点

 

IS学園に戻った俺と簪だが、バイクの駐輪場ではすでに楯無が待っていた

 

「かんちゃん」

 

「お前達の問題だ。しっかりと話し合うんだな」

 

俺はそう言うと背中を押してやった

 

「あなたにも話があるんだけど」

 

「楯無。俺は別に何か特別なことをしたわけじゃない。付き合いたいなら好きにしろと言ったまでだ」

 

俺の言葉に楯無は納得していないという表情を浮かべていた

当然だろう。あいつにとっては俺は大切なお姫様を奪った悪魔なのだから

 

「一夏、こんな夜中に騒動を起こすな」

 

「俺は何も悪くない。楯無が文句を言ってきているだけで俺には実害はない」

 

千冬姉が出てきたのでここはさっさと警備室の仮眠室に戻りたかった

面倒はごめんだからだ

 

「織斑一夏!あなたを私は絶対に許さないんだから」

 

「何度も聞いたな。そのセリフ。セリフだけでやる気はないんじゃないのか」

 

俺はわざと挑発していた。乗ってくれば少しは楽しめる

すると楯無は本気で殺されたいのねと言うが俺も想像はしていない展開になった

あの簪が俺の前に立ち姉である楯無に立ち向かったのだ

 

「一夏さんは関係ない!それに私はお姉ちゃんの付属品じゃないの!」

 

「カンちゃん」

 

「本音も黙っていて!これは私とお姉ちゃんの問題なんだから」

 

俺はとりあえず撤収する事にした

 

「喧嘩は2人で何とかするんだな。俺としての意見は小鳥はいつか巣立つものだとだけ助言しておく」

 

そう伝えると警備室に向かった。

警備室に戻って情報収集だ。警察の動きを知るためだ。もちろん俺が逮捕されるような事は無いだろう

あちらに親しい友人はいる。貸しのある人物も。嫌な言い方になるがもみ消しはそれほど難しいほどではない

俺は警備室に戻り、情報収集を終えると仮眠室で睡眠を取り始めた

いろいろと今日は疲れた。お子様の相手にだが

まぁそういう俺もお子様だが、ちょっとネジが緩いお子様だ

 

翌朝、俺は午前5時に目が覚めた。いや起きないとしかたない状況になっていたと言った方が正確だ

起こされたのだ。簪に

 

「こんな朝早くにどうした?」

 

「お姉ちゃんより強くなりたいんです」

 

「意味は分かっているんだろうな?強くなるという事はその代償も払う事になるんだぞ」

 

俺はその代償がどれほど高くつくか分かっている

実際に様々なことを経験してきたからだ。様々な大切なものを捨てる事になる

 

「覚悟はできています」

 

俺は少し考えた。俺は確かに『人殺し』としては業界では腕は良い

だが教えるとなると話は変わってくる。

 

「2度と元の生活には戻れないかもしれない。今のお前の代表候補生としての資格を失う可能性もあるんだぞ」

 

「分かっています。すべてを納得したうえでここに来ているんです」

 

 


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