結構色々と悩んでいたらここまでかかってしまった…
〈ナレーションSIDE〉
ある日のIS学園のアリーナでの事。
「「あ…」」
そこに鈴とセシリアが来ていた。2人は偶然同じアリーナで練習をしようとしていたのだ。
「奇遇じゃない、今月末の学年別トーナメントに向けての特訓と思ったんだけど…」
「あら、わたくしも同じ目的ですわ。このような偶然ってありますのね」
「なら丁度いいわ、手の内見せるっていうデメリットがあるけど互いに模擬戦形式でやるのはどう?」
「あら、良い意見ではないですか。それでは早速――」
その時、超音速の砲弾が飛来する。それに気づいた2人は緊急回避をしてその方向へ顔を向けるとIS『シュヴァルツェア・レーゲン』を展開したラウラ・ボーデヴィッヒがいた。
「あれって確か…」
「ドイツの第3世代ですわ…」
「中国の『甲龍』にフランスの『ブルー・ティアーズ』かデータで見た時の方が強そうだな」
まるで大したことがないと言ったようなその言葉に2人は"ピクッ"と反応する。
「へぇ〜。やられたいみたいね…」
「これは一度やりあわないといけないそうですね」
「どこからでもかかってこい…」
こうして2対1の戦いの火蓋が切って落とされた。
◇
その頃、千秋はと言うと…。
「はぁ~、やっぱり歌原さん強すぎだよ。何で無双セイバーとドリルセイバーで僕とシャルルの攻撃を防げるのさ…しかもダイダロスまで使ってくるし…チートだよ…」
「ダイダロスは2連装のビーム砲を備えている上に背中に装備するとISの飛行速度や旋回能力、機動性等がアップする拡張機能も備えてるんだよ!」
「オリジナルではただ飛行能力を与えるだけだったけど…大玲音はISに合わせる様にしてるのか…相変わらず凄いな…」
「あはは…千秋達本当に詳しいね…日本の特撮は確かに中々の出来が多いけどそこまではわからないな」
訓練を終えて校舎を歩いていた。何だかんだで千秋と美喜はいつもの様に特撮に関する話で盛り上がっていたがシャルルはその話に少しばかりついて行けなかった。
「ねえ…デュノアちゃん、『X-OR』って知ってる?」
「あっ!知ってる!小さい頃よく見てたよ!」
(X-OR?何それ?)
千秋はその作品がなんのことを言ってるのか分からなかったが美喜がそれに気付いて千秋に耳打ちする。
「宇宙刑事ギャバンのことだよ、フランスだとそのタイトルで放送されてたんだって」
「えっ!そうなの!?」
「そうなんだよ…」
「僕はやっぱりあの回が好きだな〜『再開』ってやつ」
「あぁ〜…あれは確かに泣けるよね」
「涙無しじゃ見られないよ〜〜」
「そういえば歌原さん、たまに練習に来ないこと多くなったけど何かあったの?」
「4組の友達の練習に付き合ってるんだよ!私の装備をプレゼントしたんだ!」
そのことを聞いて千秋は驚いた顔をした、まさか人に装備をあげるなんてそんな大逸れたことをするとは思わなかったからだ。そして理由はもう一つ、それは―――。
「ズルッ!何それ!?僕にも頂戴よ!!」
自分も欲しかったというものであった。
「無っ理〜〜」
「何で!」
「忘れたの?白式は
「……あっ!」
自分のISの欠点をちゃっかり忘れていた千秋であった。
『あっハっハ、自分ノISの事くライちゃンと覚えトケよw』
「うるさいよ!」
そんな感じで3人(+1)はそんな話で盛り上がっていると…。
ドカァァァァァァァァァァァァアン!!!!!!!!!!
「「「!?」」」
その音の方向から自分が使っていたのとは別のアリーナからだというものが分かった。
「今のは一体何!?」
「そんなこと行けば分かるだろうけど…」
『何だカ嫌ナ事ガ起コってソうだナ…』
3人(+1)は音の聞こえた方向へ走って行く、その胸に不安を抱きながら……。
◇
暫くして千秋達は目的地へ着くとそこにいたのはラウラ・ボーデヴィッヒによってISをズタズタにされた鈴とセシリアがいた。その惨劇に千秋達は驚いているとラウラは千秋の方に目を向ける。
「私と戦え、織斑千あk――」
シュルルルルルルル…ガキィィィィイン!
そこへラウラのISである『シュヴァルツェア・レーゲン』に黄色いカードが刺さる。ラウラはそれを取って確認するとそれには『
「歌原美喜…これは何だ?」
「抵抗すれば、鎮圧することを警告しているんだよ!」
「フッ、くだらん。こんなものでどうにかできるとでも思っているのか?」
グシャ!
ラウラはウォーニングカードを思いっきり握りつぶす。それを見て美喜はあることを思い出した。
「そのカードは…!?みんな伏せて!爆発しちゃうよ!!」
「「「!?」」」
美喜に言われてラウラはウォーニングカードを空中におもいっきり投げ、その場にいた全員が地面に伏せる。
ドカァァァァアン!
するとウォーニングカードが小規模の爆発を起こす。
「ななななななな、何これ!?どういう事!?」
「いや~…ラウラちゃんが名刺爆弾のスイッチ入れるから…」
「「名刺爆弾!?」」
まさか警告用に投げつけたというカードが爆発するとは思ってはいなかった為、2人は非常に驚いていた。
「何で名刺爆弾なんて…」
「いや~、小さい時に造った名刺を年上の知り合いにぐちゃぐちゃにされた事があって…それでちょっとイラッときたから…」
「「怖いよ!」」
それと同時に千秋とシャルルは恐怖した、以前投げたギルティカードもまさか同じようになっていたのかと思うと…そして同じように握りつぶしていたら自分達は今頃どうなっていたか………。
「お前ら!私の事を忘れるな!戦え!織斑千秋!!」
「わわ、悪いけど、僕は君と戦う理由はにゃいよ!……あ」
まだ爆弾に関する恐怖が抜けてない為か、ちょっと
「………貴様に無くとも……私にはある!」
「……ラウラちゃん、私の爆弾については何とも思ってないのかな?」
「そ、それ程千秋のことが憎いんじゃないかな?一応軍人だしISもしてるから大したことないんじゃ……」
「あー……」
一応納得する美喜とシャルルであった、そしてラウラ千秋に対してレールカノンを発射使用とした為、千秋もすかさず白式を展開する。このまま二人の一対一の戦いになるかと思ったが………。
「そこまでだ…」
「「姉さん(教官)!?」」
そこへ織斑千冬が現れ、2人を制止する。
「模擬戦をやるのは構わんが…アリーナのバリアーまで破壊されるのはな…この戦いの続きは学年別トーナメントまでお預けと言うのはどうだ?」
「教官が仰るのなら…」
「…僕もそれで構わない」
「決まったな、それではこの場は解散とする!」
織斑千冬によってひとまずこの騒動はかたずいた…。
◇
場所は変わって保健室、鈴とセシリアは先程の模擬戦で怪我をしたために運ばれていた。
「2人とも大丈夫?一応出来るだけのことはしたけど…」
「これじゃあ暫くは安静にしておかないとね…」
千秋達が保健室に来た時に養護教員がいなかった為、美喜と千秋を中心に看病を行い、2人の容態を気にして問いかける。
「え、えぇ…これくらいは…っつうぅ!」
「…セシリア、あんた強がってんじゃ――いたたたたっ!」
「全然大丈夫じゃないじゃん……」
「まったくね…」
「「「「!?」」」」
千秋、セシリア、鈴、シャルルはその声に反応する。なぜならその声はその場所にはいないはずの人物であったからだ、それは……
「「「「久留宮さん!?」」」」
いつの間にか保健室へ入ってきた久留宮霧花であった。
「い、いつの間に!?ドア閉めてたよね!?いつ入ってきたの!?」
「最初からいたわよ……」
「「「「最初から!?」」」」
実は彼女は自身の能力である
「えぇ…にしても鈴さんとセシリアさんは静かにしていたほうがいいわ、それでは治るものも治らないわよ」
「「うっ!」」
言い方は少し気に障るが一応正論ではあるので2人は黙ってしまった。そこへ……
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!!!
廊下から何か複数の足音が近づいてくる音が聞こえてる。
「な、何!?一体近づいてくるの!?」
「テ、テレスドンだよ!スーパーガンのトリプルショットで倒された地底怪獣だよ!」
「そんな事あるわけ無いじゃん!てかそっちはジェロニモンに再生された方じゃないか!!」
千秋と美喜がそんなことを言っている間にも足音は近づいてくる。そして保健室へと入ってきたのは…
「「「織斑君!」」」
「「「デュノア君!」」」
同学年の女子たちであった、一体何事かと思う隙もなく雪崩れ込んでくる。
「み、みんな!千秋君とデュノア君に用のある人はここから二列に並んで!」
美喜が声をかけるがそんなのお構いなしに女子は2人に近づいてくる。このままではラチが明かないと感じた千秋とシャルルは用件を聞くことにした。
「ど、どうしたのかな?」
「えっと…何か用……?」
「「「これ!」」」
女子たちは千秋とシャルルに一枚の紙を見せ、千秋はそれを受け取って確認する。
「えっと…何々?今度行われる『学年別トーナメントはデータの収集をより効率的にするため、2人1組で行うものとする。なお、パートナーが期限までに決まらなかった者は抽選によってパートナーを決める事とする』…?」
すると女子の一人が”そう…だから”と言うと
「「「千秋君!」」」
「「「デュノア君!」」」
「「「私と組んで!」」」
「え、え~と……」
シャルルは千秋や美喜たちの方ちらっとを見る。実際シャルルは女の子なのだ、誰かと組んだら絶対に性別を偽っていることがバレテしまう。それを察知した千秋は解決策を思いつき、女子生徒たちに言う。
「皆ゴメン!僕はシャルルと組む事にしたんだ!ほら、男同士の方が気が楽だしさ」
「う、うん!そうなんだ!だから皆とは…」
千秋とシャルルが言うと沈黙になり、何となく気まずい空気が流れるが暫くすると女子の一人が口を開く。
「まあ、そういうことなら……」
「他の女子と組まれるよりは……」
「男同士っていうのも絵になりそうだし……」
(最後の人なんて言った!?)
保健室に入ってきた女子たちは納得してくれたのか、次から次へと去って行った。
「千秋さん!」
「ん?どうしたの?」
セシリアが千秋に突然大声で話しかけてきた。
「クラスメイトとしてここはわたくしt「ダメですよ」!?」
セシリアが千秋をトーナメントのタッグを組もうと誘おうとしたがそこをクラス副担任の山田先生に止められる。
「セシリアさん、あなたのISはダメージレベルがCを超えています。トーナメントの参加を認めるわけにはいきません、鈴さんも同様です」
「う…不本意ですが、本当に…非常に……不本意ですが!トーナメント参加を辞退します…」
セシリアはそう言ってあっさり引き下がった。すると霧花が”はぁ…”とため息をつき、何やら意味深な顔をする。
「そう、いいのね」
「え?」
「こいつで何とかできるかと思ったのだけれど…」
霧花は自分のISの装備の一つである
「え?ブライトポインター?」
そう
「アーマーの自己修復の強化…まさか!?」
「えぇ…これなら大抵のダメージは修復する事ができるわ、でも本人が参加しないというなら仕方ないわね」
「な!?せ、先生!やっぱり参加しますわ!そして千秋さんt――」
「そ、そう言われても、もう不参加の手続きしてしまいましたよ?」
「な!?」
(さっすが山田先生、仕事が早い!そしてセシリアさん…ドンマイだね)
そんなこんなで色々保健室の騒がしい時間は過ぎていき、時は流れ…遂にタッグマッチトーナメントの日が来た。
◇
-タッグマッチトーナメント当日 IS学園―
「IS学園キターーーーーーーーーーーー!!!」
そこには大玲音の社長として大牙が来ていた。目的としては自分の会社のテストパイロットである霧花と美喜の実力がIS学園でどのくらい通用するのかを自ら確かめたいというものだ。そしてその隣にもう一人――
「社長、貴方もう成人じゃないですか。しかも高校違いますし」
「美咲ぃ、ちょっと位いいじゃねぇか」
「あなたは普段からそうじゃないですか」
柏木美咲、大牙の秘書を務める女性で彼がキョウリュウジャーであることを知っている数少ない人物である。
「にしてもどうします?試合開始まで1時間半ほどありますよ?」
「じゃあ~…食堂でなんか食ってくるわ、睦月もいることだしさ」
大牙は食堂の方へ向かって走り始めると美咲に声をかけられる。
「ちゃんと時間までには戻ってきてくださいよ」
「分かってるよ~」
大牙は美咲に思いっきり手を振るとだんだんとその姿が小さくなっていった。
(ハァ…あれが地球を守る戦士のリーダーだなんて誰が信じるんでしょう?)
◇
大牙は食堂までの道を走って建物の角を曲がろうとすると――
「ん?お~ととととととと!?」
何かにぶつかりそうになってバランスを崩し、その場に
「いって~」
「おやおや、急に飛び出してきたかと思ったら…大丈夫ですか?」
「あぁ…何とか…って男?」
大牙は自力で立ち上がるとそこにいたのは初老の男性であった。大牙は睦月以外の男がIS学園に勤務していることを知らなかったのでちょっと疑問に思った。
「あぁ…私はこの学園で用務員を務めていてな、今はこの辺りを清掃しているのだよ」
「へぇ~…このIS学園では男なんて珍しいですからね。つまりは三人いることになるのか」
「ハッハッハッハ!そういう事になるな!君は今回のトーナメントを見学に?」
「あぁ!俺の名は桐生大牙、よろしくな!用務員のおっちゃん!!」
「ん?そうか…それが君の名前か…」
用務員の男性は何か物思いにふけているような表情をする。それを見た大牙は
「ん?何か変か?」
「いや、素晴らしい名前じゃないか。その名前は誰に付けて貰ったんだ?」
「あー…確か生き別れの親父が付けたって話を聞いたな、でもそれがどうかしたのか?」
「生き別れ…君はその父親のことをどう思う?」
「? どういう事だ?」
大牙はその男性の言ってる言葉の意図がつかめずにいた。それに対してその男性は語り始める。
「いや、生き別れって事は親と離ればなれなんだろう?それに対してどのように思っているんだ?」
「う~ん…何せ物心つく前だからな、よく分かんねぇや」
それを聞いて用務員の男性は”そうか…”と呟くが大牙は”でも”と補足しはじめる。
「きっと俺の両親はきっと何か事情があって俺を養子に預けたんだと思ってるよ」
「…君を邪魔に思って捨てたかもしれないだろう?」
「いや、それはねぇよ」
「ほう、その根拠は?」
大牙は一拍軽く深呼吸してからその根拠を言う。
「感だ!」
男性はそれを聞いて黙ってしまったが暫くすると口を開く。
「…アッハッハッハ!アーハッハッハ!感か…そうか感か!」
「えっ?ちょっ、俺なんかおかしなこと言った?」
「いや、何も言ってないさ、それより用事があるんじゃないのか?急いでいるようだったし」
「え?…あっ!やっべ!?」
そう言われて大牙は時計を確認すると既にかなりの時間が経過していた事に気が付く。
「じゃあな、用務員のおっちゃん!また会おうぜ!」
「…感…か」
大牙はそう言ってその場を後にするとその男性…轡木十蔵はただその言葉をつぶやいていた。
◇
IS学園の食堂では睦月がいつものように忙しそうにしている時であった。
「睦月ぃ~、来てやったぜ~!」
そこへ大牙がやってくると睦月は少し驚いた顔をする。
「大牙か、お前何しに来たんだ?」
「そんなのに理由がいるか?お前の方も大変そうだな」
「あぁ…さっきも大変だったぜ。20代くらいの白人の男が来てよ、メッチャクチャ色々食っていくから調理に時間掛かって他の人たちの料理出すのに遅れが出たりしたからな」
「あ…そう」
「ここで話すのもなんだ。丁度俺今から休憩時間に入るし席に移動しようぜ」
2人は近くの席に移動すると大牙は最近のことや幼い頃の出来事の話をしている中で先ほど起こった事も話していた。
「はぁ!?走ってたら角で人にぶつかりそうになったってギャルゲーかよw」
「でもその人IS学園の用務員だったぞ」
「……あのおっさんか、嫌だそんなギャルゲー!誰得だよ!!」
「別にそんな話するつもりで来たんじゃないんだけどな、そもそもおっさんの時点でギャルでも何でもないじゃん」
そんなことをしていると千秋、シャルルがやってくる。
「睦月さん、今休み…その人は?」
「あぁ、こいつは”桐生大牙”俺の幼馴染で…大玲音の社長だ」
「「……うっそぉぉぉ!!!」」
「おい睦月、勝手にばらすな!」
大牙が睦月にそう突っ込むと千秋が大牙に詰め寄る。
「だだだだ大玲音って久留宮さんと歌原さんが所属していて特撮の武器を造っているあの!?」
「あ、あぁ…そうだけど…」
「すっごい…まさかこんなところで会えるなんて」
「それよりいいのか?あと試合まで20分だけど機体のチェックくらいしたらどうだ?」
「ゲッ!もうそんな時間!?シャルル、急ごう!」
「うん、そうだね!」
「よしっ、俺もそろそろ観客席に行くか、じゃあな睦月」
「おう、お前も頑張れよ!」
「あっ、おいそこの金髪の」
「ん?何ですか?」
「ほらよっと、そいつをやるよ」
大牙はシャルルに円柱状のものを投げ渡し、彼女はそれをしっかりとキャッチする。
「え…でも僕は…」
「デュノア社のテストパイロットって言っても非公式なんだろ?なら問題ねぇだろ、いざという時にそいつを使え」
「あ…えっと…じゃあ…使わせてもらいます」
こうして四人はその場で解散してそれぞれ自分たちの目的地まで行った。
「いいなぁ…シャルル、大玲音の装備もらえるなんて…」
「ぼ、僕なんかでいいのかなぁ…ってのはあるけどせっかくだからと思って、でも…」
そう言うとシャルルは突然黙ってしまう。それを怪訝に思った千秋はシャルルにどうしたのか聞いてみる。
「でもどうしたの?あの社長さん、シャルルに無償で装備くれるなんていい人じゃないか」
「それもそうだけど……」
「だけど?」
「なんであの人、僕が
「………あっ!?」
それに気づいて千秋は自分たちが歩いてきた方向を向くが…すでにそこに大牙の姿はなかった。
◇
そして、タッグマッチトーナメント第一回戦が始まろうとしていた、そして千秋達の組み合わせは…ラウラ&箒ペアであった。
「まさか初戦で当たるとはな、これは待つ手間が省けるというものだ」
「そうですかい、それはこっちもだよ!」
その言葉と同時に試合開始のブザーが鳴り、千秋は
「ふん……」
ラウラは動じることなく、そのまま右手を前に出す。すると千秋の動きが止まり、ピクリとも動かなくなった。
◇
その頃、大牙は観客席にて千秋達の戦いを眺めていた。そこには当然ほかにも観客がいたがそのメンバーには各国のIS関係の者たちや政府関係者もいた。
「ほう…あれが噂の男性IS操縦者ですか、テレビではよく見ますが生で見るのは初めてですな」
「彼はIS学園にいるのだ、そして私たちは目的があってこのトーナメントを見に来ている…当然といえば当然ではないのですかな?」
「あなたたち静かに出来なのですか?私たちは彼を見るために来たのではないのですよ?そもそも彼はまだ一年ではないですか」
「む……それもそうだな」
そんな会話が聞こえてくる。彼らは三年生へのスカウトや二年生の一年間の成果の確認に来ている。一年生にはあまり関係ないが高い結果を残したものにはさっそくチェックが入るのだ。
「ミスター大牙、あなたもやはり彼を見に?この場はやはり不慣れですかな?」
大牙に対して一人の人物がそう聞いてくる。それは彼が少し辺りをキョロキョロしていたからだ。その言葉に他の者たちも彼の方に顔を向けると彼は右手をゆっくりを上げる。
その動作に場にいた全員が息を詰まらせると彼は口を開く。
「あの……トイレ行ってもいいですか?」
…ズコッ!
その場にいた全員がズッコケた。比喩などでは無い、ガチで全員コケている。そしてIS学園の教員に許可をもらって大牙はその場を立ち去ると一人の男性が口を開く。
「まったく、何を考えているんだ彼は…こんな時に」
「でもおかげで場の緊張が解けたではありませんか、これはこれでよかったと思いますよ」
「確かにそれも…ん?あれは一体?」
「どうしました?」
「いや、ドイツの代表候補生のISが…」
「なっ、なんだあれは!?」
◇
試合では千秋がシュヴァルツェア・レーゲンのAICによって白式を止められたがシャルルの協力もあって危機を回避、さらには見事な連係プレーで箒が身に着けている打鉄のシールドエネルギーを0にした後、2人でラウラを追い詰めていく。彼女もワイヤーブレードやプラズマ手刀で応戦していくが―――
(そんな…私は…負けるのか?)
ラウラは焦っていた。相手の力量を見誤り、相手に押されてしまっていたからだ。
(いや、負けられない!あの人を…教官にあのような表情をさせる存在そのものが!奴を倒せるだけの力が欲しい!!)
《―――願うか………? 汝、自らの変革を望むか………? より強い力を欲するか………?》
(あぁ…力があるなら…奴を倒すだけの力が手に入るなら…その絶対無比の力を私によこせ!)
ラウラが力を望んだとき、今聞こえてきたのとはまた別の…より
『そうか……ならばくれてやる!全てを破壊し、全てを滅ぼし尽す……我が力を!!』
◇
「あ、ああああああああっ!!!!!!」
突然ラウラが絶叫を上げると彼女のISが悍ましく姿を変えていく。
「なっ、一体何が!」
「何あれ!?」
黒く濁ったような何かによってラウラは飲み込まれていた。その異様さに2人は不気味がっている時だった。
『やったぞ…遂に成し遂げたぞ!』
「「!?」」
突然、変化したシュヴァルツェア・レーゲンから声が聞こえてくる。それはラウラとは全く別のものであった。
「何だお前は!?」
千秋がシュヴァルツェア・レーゲンから聞こえてくる
『俺か?俺の名はデーボ・ウイルスン!このISは今をもって俺様が乗っ取った!』
「なっ!お前はデーボ・モンスターか!」
千秋が言うとデーボ・ウイルスンがそれに答える。
『あぁ、だがな…ただのデーボ・モンスターと一緒にされては困る!何せ俺は一億年前に恐竜を滅ぼしたと幹部からも一目置かれているのだからな!!』
「なっ!?」
かつてこの地上を支配していた恐竜…それを絶滅させたという程のデーボ・モンスター…ただでさえ厄介すぎる相手であるのにラウラが取り込まれている…。その状況によってそこにいた者たちは今はただ見届けることしかできなかった。
―――次回予告―――
VTシステムを発動させたシュヴァルツェア・レーゲンを乗っ取り、その力を手に入れたデーボ・ウイルスン!
彼女を救うために千秋が…そしてキョウリュウジャーが立ち向かう!
しかし、雪片を使うその太刀筋は圧倒的で…
だがその時!新たな戦士が姿を現す!
そしてキョウリュウレッドは千秋にあるものを託す!!
次回 ISの世界の強き竜の者
『登場!新兵器と新戦士と新合体』
「Hey!みんな、お待たせしました~」
え?……あんた誰?
何かセシリアがギャグキャラ化している気がする……。
因みに名刺爆弾にはちゃんと元ネタがあります。