更新が遅れて申し訳ないのは山々なんですが、前回の予告で「白式と紅椿が出撃する」と書きましたが、そこまで書くとキリが悪くなそうだったりとの都合でそこまで書けませんでした。
楽しみにして下さった読者の皆様、誠に申し訳ございませんでした。
〈千秋SIDE〉
臨海学校一日目の夜、僕達は夕食を食べるために大宴会場へと足を運び食事を堪能していた。
「う~ん!さすが本わさ、口に来るものが違う!」
「本わさ…ですか?」
ん? あ、そうか。外国人のセシリアさんには馴染みが無いのか。
「うん、本物のわさびをおろしたのを本わさって言うんだ、学校の定食についてくるのは練りわさって言って着色や合成したりして見た目や色を似せてるんだ」
でもいいのだろうか。いくらIS学園の生徒とは言えどこんなに豪華なものを出して……。
「そうなのですか……。はむ」
……………え? 今、丸ごと食べなかった!? そんなことしたら——。
「っ~~~~~~~~~~~‼」
案の定、鼻を押さえて涙目になるセシリアさん。外国人とはいえ、ワサビを丸ごと食べる人初めて見たよ……。
「シーちゃん、私そこからお茶持ってきたけど飲む?」
「
歌原さんがセシリアさんに湯呑み茶わんを渡してきた。へぇ、歌原さんにもこういう面があるのか……いつもセシリアさんをおちょくってる感じがするからてっきり何か仕掛けて来るんじゃないかと思っていたけど、
確か辛い物を食べた後に熱いものを飲むと……まさか!?
「セシリアさん!飲んじゃダメd——」
僕がセシリアさんにお茶を飲むのを止めようとしたが、時すでに遅し。セシリアさんは歌原さんから受け取ったお茶で早くワサビの辛味成分を流したいからなのか一気に飲んでしまった。ああ……そんなことしたら……
「っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
さっきより勢いを増したかのようにスゴイ表情になるセシリアさん……。実は『
何より、うまいやしょっぱい、苦いなど『味』として定義されてるものの場合はお湯などの熱い飲み物でも流せるが、『辛い』ものを食べた後に『熱い』お茶を飲むと『熱い』が加わる事によって、今のセシリアさんのように流す事が出来ない。こういう理由で味の種類に『辛い』というのが存在しないんだ。
「あ、ゴメン。間違えた♪」
拳を頭に当てて舌を出しながら”てへ”っと言わんばかりのポーズをする。100%狙ってやったでしょ。
「セシリアさん大丈夫?」
「え、えぇ……大丈夫です……わ……」
セシリアさんはそう言うと起き上がり、そのまま食事をはじめる。うん、やっぱり美味い。
「みんなみんな! ここは宴会場らしく、皆で何か歌おうよ!」
「イエェェェェェェェェェェェェェェェェェェイ!」
歌原さんがいきなりそんな事を言い出して、周りの女子達も酔ってはいないのに(そもそも問題なのでお酒を飲んですらいないが)その場の雰囲気で何か乗ってきていた。
「じゃあまずは私から一曲目、『この星のためならば』」
(『重甲ビーファイター』の挿入歌か)
「~♪」
そのまま立ち上がって彼女による歌が始まったけど……普通に上手い……。独自の振り付けも曲のリズムや歌詞と見事にマッチしていて……それ以上、何も出てこなかった。
そして、もうすぐサビに入ろうとしていた。
ガラガラガラガラッ!
「お前達、何を騒いでいる! 五月蠅くてまともに食事が出来んぞ!」
そこへ姉さんが扉を開けて部屋に入ってきた。ノリにノッテいたさっきまでの雰囲気とは討って変わり、一気に重たい雰囲気へとガラリと変わった。そして歌っていた歌原さんはいいところで止められたためか、がっかりした表情になり、座っていく。
「ったく、いきなり歌いだしてここは宴会か?」
一応は大宴会場なんだけど……。
「まあいい、取り敢えず静かに食べろ様にな」
姉さんはそうして部屋の扉を閉めていった。しかしその場の空気はまだ重いもので、当の歌原さんは体育座りで落ち込んでいた……何かブツブツ言ってるな……。気になるな……僕は耳を澄まして聞いてみる。
「~♪(『ザ・モンスター』)」
何かどえらい歌うたってた……。
〈ナレーションSIDE〉
食事が終わってしばらくした頃、セシリアは千秋の部屋へ行きたいのは山々であったが、当然織斑千冬と同室という事も知っていたために、あきらめている頃であった。
「シーちゃんシーちゃん、千秋君の部屋に一緒に行こうよ!」
一体彼女は何を言ってるのであろうか?目の前の同級生である歌原美喜の言葉に疑念を抱いていた。疑念を抱く理由はいくらでもあったが最近で言えばさっきのお湯に関することがある。ワサビを一気に口に含んでしまい、彼女が持って来た熱湯を飲んだら辛さが消えず、逆に痛みが増してしまった。そんな事があったので正直何をしようとしているのか疑っていた。
「一体わたくしに今度は何をしようとしているのですか?」
「え? 行かないなら私一人で行くけどそれでもいいの?」
「そ、それは……」
“まずい”美喜と千秋は趣味が同じで気が合う仲だ。彼女の方はそうでも無い事が分かってる……それに以前婚約者がいるなんて話もしてたくらいだ。美喜が千秋に惚れているんんて事はまずないだろう。だが、千秋の方はどうなのだろうか?話し合いをはじめるなら世間の話より共通の趣味や出来事の方が盛り上がるであろう。だが残念なことに自分は2人が好きな“特撮”に関する知識は皆無だ。せめて『ゴジラ』という何かがあることくらいしか知らない。ここで千秋が美喜を気にするようになってしまえば自分に勝ち目はないかもしれない。
「分かりました、一緒に行って差し上げますわ」
「もう、最初かそう言えばいいのに~」
こうして二人は千秋の部屋に向かって行く。美喜はステップを踏み、セシリアは普通に歩きながら彼女が何をを企んでいるのかを探りながら歩いていた……が、特に何も起きることなく、セシリアは角を曲がると普通に部屋の前に着いた。だが、そこには見知ったメンバー……箒、鈴、シャルロット、ラウラ、簪もいて何やら耳を立てて聞いていた。
「あの……皆さん何をしておられますの……?」
「しっ! 静かにしろ……」
箒に言われて耳を澄ますとそこから何やら声が聞こえる。声の当事者は当然部屋にいる千秋と千冬であった。
「で…これが――で……」
「あぁ……でこれが――らしい……」
その内容は何だか何かをチェックしている様子であった。しかし、一体何のチェックをしているのか? もしかしたら得体のしれない何をチェックしているのではないか……いやそんなことはさすがに無いか。セシリアも聞き耳を立てて聞いてみようとすると――
「貴様ら、そこで何をしている? 気になるなら直接入ってくればいいだろ?」
「「「「「「!?」」」」」」
扉の前にいたメンバーたちは千冬に気付かれてたことに驚いて扉を倒してしまう。その光景に千秋は何が起こっていたのかよく理解できずにいた。
「えっと……みんな何やってるの?」
この時セシリアは焦っていた。これでは人の部屋の前で会話を盗み聞きしていた不届き者と思われるのではないか……と。しかし、彼女はここに来た理由は誘われたからだ。すぐにそのことを思い出して口にする。
「ち、千秋さん!? わ、わたくしはですね、歌原さんに誘われましてね! そ、それで――」
「え? 歌原さん何処にもいないじゃん……」
「……え?」
千秋に指摘されてセシリアは自分の周りを確認する。確かに何処にも美喜の姿が確認出来なかった。セシリアは慌てて事の事態を説明する。
「あ、あのですね。わ、わたくしは歌原さんと一緒に……!」
しかし、そこで簪が一言。
「美喜ちゃん……居なかったじゃん……」
「……へ?」
では、自分と一緒に来た美喜は何処へ行ったのか?まさかいつの間にかいなくなっていたというのか? 確か日本には都市伝説が数多く存在するがセシリア自身も聞いたことがあるもので『神隠し』というものがある。これは要約するとある日、突然人が消えていなくなるというものだ。まさか美喜はこの神隠しにあったというのか? だとしたら何とも恐ろしいことが起きてしまったことになる……セシリアは少し…ほんの少しだけ震えている。
「あら? みんなどうしたのかしら?」
そこへ廊下から霧花がやって来てセシリアや千秋達の様子を見て声をかけてきた。
「く……久留宮さん……そ、その…歌原さんg――」
チョンチョン
霧花がセシリアの肩を人差し指でつつき、無言でその指を上に上げる。何やら上を見ろを言いたいようであった。部屋にいたメンバー全員が顔を上げるとそこには――
「ハッ! バレた!」
「「「「「「「「歌原((さん))(美喜ちゃん)!?」」」」」」」」
美喜が天井に張り付いて部屋の様子を伺っているところであった。
「お前は忍者か!?」
箒が美喜に対してツッコミを入れると美喜は天井から一回転しながら下りて着地する。
「よっと…ところで千秋君と織斑先生は何をしていたの?」
「あぁ、これの種類分けをしてたんだよ」
千秋がそう言って美喜達に見せたものは飲み物の容器であった……しかし、一部の者はその容器を見て目を輝かせた。
「そ……それは!?」
「ユグドラ汁!?」
美喜と簪は千秋の元へ向かい、ユグドラ汁の容器を手に取る。よく見ると色んな味があり、やたらと興奮している様子であった。
「な、なんだそのユグド何チャラは?」
「ユ~グ~ド~ラ~汁! いまCMもやってて大人気商品なんだよ! 知らないの!?」
「まずCMがあること自体知らない…」
ラウラが答えると美喜と簪は“ハァ…”とため息を吐き、呆れた顔をする。
「じゃあ私が役者さんやるから、かんちゃんナレーションよろしく」
「分かった…」
美喜はそう言ってユグドラ汁の容器を一つ取り、すぅ……と深呼吸している。どうやらCMを再現しようとして落ち着かせてるらしい。箒達はその様子を伺っている。
「この程度でワテクシを満足させようなんて、まだまだアマチュアね!」
「キツイ! ユグドラ汁 破壊と暴力のドリアン味!」
『……………………………………………………………』
美喜と簪の行為、恐らくCMの再現をしたのだろうが一体何をしたかったのかといった雰囲気であった。
何か会話を交わした2人は容器を変えてもう一度行うようだ。その容器はオレンジと桃があしらわれたデザインであった。
「あれ……? あれぇ~? 聞こえる……アッ聞こえる!」
「これであなたも耳がよくなる! ユグドラ汁 陣羽織ミックスエナジーピーチ味!」
『……………………………………………………………』
またもや無言である。専用機持ち(+α)の彼女たちからしたら本当に何をやりたいのか? といった状況であった。すると美喜が後ろへ向きだし、“クックック"と笑い出した。
「アーハッハッハッハッハ! もう何もいらない……」
「「「「「!?」」」」」
箒達は突然大声で笑い出し、そのような言葉を出す美喜を見て驚き出す。もしかして自分達が無反応だったからなのか? そんなことになってしまったのは自分達の性なのか? 5人は妙な罪悪感に追われていた。そう考えていると美喜が再び口を開く。
「僕には……」
(((((僕………?)))))
美喜の一人称は『私』だったはずだ。それが何故いきなり『僕』に変わったのか? 疑問に思っていると三たび口を開く。
「僕にはユグドラ汁さえあればいいんだ!」
そう言って彼女の手に握られてるユグドラ汁がいつの間にかブドウのデザインに変わっていた。
「でも美味しい! ユグドラ汁 黒き
「「「「「CMかよ!」」」」」
簪の一言でまだCMが続いていたことを理解した5人。一方の千秋は知っていたようで箒たちを見て笑っていた。
「嫁よ、何故笑っているのだ……」
「いや、だって……何処からどう見たって今のユグドラ汁のCMじゃん、皆本当に知らないんだなあと思って」
「「「「「知ってたんかい!」」」」」
女子メンバーから突っ込みを喰らう千秋であった。その後、千秋は千冬に言われて部屋を出て、部屋の中にいるのは完全に女子だけになる。
「まずはお前たちに聞きたいことがある……ラウラ」
「は、ハイ、教官」
「タッグマッチトーナメントの時、お前のISはデーボ・モンスターに乗っ取られたのは覚えてるか?」
「はい…あの時は私が未熟ゆえに……」
「いや、私が聞きたいのはそこではない」
その言葉に皆は首を傾げる。いや、千冬が何を聞きたいのか心当たりがある者もいた。
「あの時奴は私が第2回モンド・グロッソで使った剣を使っていたな……」
「え、えぇ……」
「でもそれがどうかしたんですか?」
「あれは……私の剣ではない」
「「「「!?」」」」
千冬の一言に衝撃を受けるセシリアにシャルロット、ラウラと簪は心底驚いた顔をしている。今まで彼女が使って世界最強の力を手に入れたとされるもの、中にはその洗練された動きによって千冬のファンになった者もいるほどだ。それが本人のものではなかったとなると一体それは誰の剣なのか? それが彼女たちの頭の中をよぎっていた。そこへ箒が千冬に問いかける。
「では……やはりあれは……」
「ああ…」
「……ヤッパリそういう事なのね」
その問いに千冬は頷き、鈴も心当たりがあったように呟く。その反応に何が何だか分からない4人であった。
「一体どういうことなの?」
シャルロットが聞く。あの剣を作ったのは一体誰なのか、その人物は今どこで何をしているのかを……。
「あの剣は……私のもう一人の弟……『織斑一夏』が作ったものだ……」
「え? じゃあ……つまり」
「織斑先生は真壁君の剣を奪っていったことになるね」
「「「「!?」」」」
美喜が言うと周りの空気が重くなる。それはその場にいた全員が同じことを考えていたからだ。しかし、その織斑一夏は一体どうしてるのか? そこが特に気になっていた。
「あの、その教官のもう一人の弟は今は何処に……?」
「「「!」」」
ラウラの言葉に千冬、箒、鈴は“ビクッ”と体が震えだす。それは…彼、織斑一夏は第2回モンド・グロッソ決勝戦の日に悲惨な出来事に遭ってしまったからだ。3人はその事を口に出すのに躊躇いがあった。
「……彼は……真壁君は第2回モンド・グロッソ決勝戦の日に誘拐されて……その現場には何も無くてそのまま見つからずに『死亡』扱いされたんだよ」
「「「「「「「!?」」」」」」」
そのことを口にしたのは意外にも美喜であった。そしてある者はその真実に驚き、そしてある者は――
「歌原、何故貴様がその事を知っている!?」
何故美喜がその日の出来事の真相を知っているのかであった。理由として千冬に弟がいること自体は知っている者も多い。現に千秋は大抵の事はやればできてしまう人間だったため、世間から期待の目を掛けられていた。しかし、第2回モンド・グロッソ決勝戦の日に何があったのかを知ってるものは少ない。織斑一夏に何があったのかは噂として様々な憶測が立てられたりしているが、真相を知ってるとすれば当時の同級生たちや各国政府のお偉い方くらいだ。この出来事を知る者の間ではこう呼ばれている――
「『モンド・グロッソの悲劇』……私がこの事を知ったのは自分で調べたからだよ」
「調べただと?」
「うん。でも、その時真壁君はどんな気持ちだったんだろうね?」
「何だと?」
「だってさ、自分の“もの”を他人に使われて、それによって自分が得るはずだった“名誉”とかを、“全て"奪われていったに等しいんだよ?」
この言葉に千冬は何も言えなくなる。傍から見れば……いや、一般的に見ればそれが自然な感想であるからだ。そこに霧花が口を割って入る。
「恐らく……いや、確実にいい思いはしないわね。むしろ私ならその相手に嫌悪感を抱くかもしれないわ」
「ああ……そうだな、私は愚かな人間だ。大事な家族を失ってしまったのだからな」
霧花の言葉を肯定し、自らの罪を吐露した千冬はその場に座り込んでいる。
「先生、少し落ち着こう。折角ユグドラ汁があるんだからみんなで飲もうよ」
「……そうだな、では私はそこにある『しぶといメロン』とやらを貰おう」
千冬は机にあった白いパッケージにメロンがデザインされたものを手に取った。
「ふむ。なら私はこれにしよう」
ラウラが手にしたのは千冬が選んだのとはまた違う青いパッケージにレモンがデザインされたユグドラ汁であった。
「『
「何? そうだったのか、しかし私は炭酸は平気だぞ」
「私はどれにしようかな~?」
鈴が自分が飲む味を選んでいると美喜が横から一つ差し出す。鈴はそれを受け取ってみると先程美喜がCMを再現していた葡萄味のユグドラ汁であった。
「……どうしてこれを選んだか一応聞いてみようじゃない」
「武器の名前が被ってるから」
「どういう理屈よ! それにこの『黒き葡萄』って何か悪意を感じるわね……」
「それは自意識過剰だよ…」
「どういう事よ!」
「えっと、僕は『始まりのオレンジ』にしようかな?」
「私は…『不滅のバナナ』にする、美喜ちゃんは?」
「私はヤッパリ……『
「ハァ…わたくしはどうしましょうか……」
それぞれが味を選んでる中でセシリアはどの味にするか悩んでいた。一体どれが自分の好みに合うのだろうか? ユグドラ汁など一度も飲んだことが無いので味そのものがどんなものなのかわからずにいた。
「シーちゃんにはこれのチェリー味が似合うんじゃない?」
鈴と同じように美喜が缶を渡してきた。それ自体は悪くは思わなかったがセシリアは念のために缶を見るとそこに書いてあった味の名前は――
『子供染みたチェリー味』
であった。このあからさまに嫌がらせに近いと受け取れるものに流石に堪忍袋の緒が切れた。
「歌原さん! 夕食の時からわたくしの事をおちょくって! わたくしの事を何だと思っているのですか!?」
「え~いまさらその事を言われても……それにその味は飲みやすくて子供にも人気あるんだよ?」
「知った事ではありませんわ! ヤハリわたくしは自分で味を選びますわ!」
そう言ってチェリー味を置いて他の味を探し始めたセシリアであった。そしてこの光景をドアの端に突っ立って見ていた霧花は特に関心を持たずにいたがそこに美喜が駆け寄ってくる。
「き~りちゃん! はい、霧ちゃんに似合いそうなユグドラ汁も選んでおいたよ!」
「……そう。取り敢えず貰っておくわ」
そう言って美喜から受け取ると美喜は気安く肩をたたきながら喋りだす。
「も~いつまで暗くしているの!? ほ~ら、スマイルスマイル!」
「調子に乗らないで頂戴……」
美喜は霧花の両頬を掴んで横に伸ばすと霧花はあからさまに嫌そうな表情になり、その手を振りほどく。
「逃っげろ~!」
美喜は一目散にその場を去り、簪達の元へ行く。霧花はその光景を見て、お気楽なものだと感想を抱いた。そして彼女から貰った『ユグドラ汁 勝利のカチドキ味』を飲む。そして意外にもその味は美味であった。
(勝利……ね)
その文字に何か引っかかった霧花であった。しかし、気にしたところで何か変わるわけでも無いので霧花は飲み続ける。
「あー! 箒ちゃんの陣羽織ミックスエナジーメロン味じゃん!」
「な、何故そんなに驚くのだ!?」
「本来陣羽織ミックスエナジーシリーズは自販機用なんだよ! そしてメロンは10000本に1本の割合でしか作られていなくて、それを当てると願い事が一つ叶うって言われてるんだよ! 私は願い事は興味ないけどレアだからな~……いいな~。よし、探そう!」
(願い……か、そう言えば……)
明日は七夕だ。旅館の外に笹の葉が飾ってあって売店では
◇
その頃、旅館のとある部屋の生徒達は
「はぁ~あ、折角織斑君とお近づきになれるチャンスだと思ったのに」
「ぶ~残念だな~おりむーといたかったのに~」
「マジ引くわー……ねぇ、ここに短冊があるんだけど誰が買ってきたの?」
相川、布仏が呟く中、谷本が旅館の部屋の入り口に買った覚えの無い3つの短冊を発見し、誰のものか尋ねた。
「え~私は知らないなー」
「私も知らないよ~?」
「う~ん……折角だし私たち3人でこれに何か書いちゃおうか!」
「「さんせ~い!」」
三人はその短冊に願い事を書き始めた。それぞれ願い事を何にするか悩んでいたが、暫くして参人とも書き始めた。
「私は……っと、『織斑君とお近づきになりたい』っと!」
「え~それじゃあ普通の女子高校生と変わんないよ。折角だからIS学園の生徒らしいことを書こうよ」
「む~? 例えば~?」
本音が谷本に問うと“バン!”とでもいうくらいの勢いで短冊を前に突きだす。
「ズバリ! 『篠ノ之束博士に会いたい!』よ!」
「「へぇ~……」」
「ちょっと、何よその反応!」
「だって有り得ないことを書いてもね~」
「ね~」
有り得ない、というのも無理はない。篠ノ之束は唯一ISのコアを作る事が出来る人物とされているが、現在行方不明となって世界各国の政府が血眼となって探しているのだ。そんな人物との出会いが短冊で書いただけで叶ってしまったら世界各国の努力は何だったのだという話になる。
「いいじゃん短冊に書くくらい!」
「もっと現実味のある願いにしようよ……」
「何よ! 清香のだって可能性低いじゃん! 専用機持ちが独占してるんだから織斑君とお近づきになれる訳無いじゃん!」
「何ですって! 癒子のだって無理よ! 篠ノ之博士は今どこで何をやっているのか分からないのよ! 突然明日の装備試験の時にでも来るっていうの? それこそ有り得ないよ!」
「何ですって~!」
「何を~!」
相川と谷本がそんな言い争いをしていると本音は願い事を書いた短冊を笹に飾ろうと外に出る。
「今年こそは私のお願いが叶いますよ~に!」
「ん? 本音は何を書いたの?」
「私~? 私は『友達がここの近くを訪れますようにって』」
「友達?」
本音の願い事がよく分からず首を傾げてその事について詳しく尋ねる谷本に本音が答える。
「うん。昔よくお姉ちゃんたちと一緒に遊んだ人がいてね」
「今……その人は?」
「………………………………………………………」
珍しく無言になる本音に2人は何かただならぬものを感じ取り、アイコンタクトをしてその場の空気を誤魔化そうとする。
「さ、さ。今日は短冊を笹に結んで今日は寝ましょ!」
「そ、そうだね! この年でいつまでも短冊くらいであれこれ言ってもしょうがないしね!」
相川と谷本は2人で笹に短冊を結び付けて部屋のメンバーと一緒にテレビのスイッチを入れた。その画面には全身黒ずくめの帽子の男が映っていた。
『くぅ~~!……もう、誰にも舐めた口は聞かせねぇ……』
『程よい甘さ! ユグドラ汁 子供染みたチェリー味!』
「あ、ユグドラ汁だ!」
「私この味好きなんだ~」
「え~私は執念のマンゴーが好みだな~」
「いやいや、そこは黒き葡萄でしょ」
CMを見て自分の好みを教えあう。1組女子達一同であった。
『明日の天気をお伝えします。明日は朝から一日中快晴となり、良い日和になることでしょう。日焼けには充分に注意してください』
CMが空けて天気予報のニュースが報道される。明日の予報に暑くなるために嫌がる者もいれば予定通りに行事が行える事に喜ぶ生徒もいた。
◇
その頃、部屋での一件が終わった後、箒は飲み干したユグドラ汁を見つめたていた。それは美喜から教えてもらったあることがきっかけだ。
(この味を当てると願いが叶う……か)
何でも千冬の知り合いが送ってきた物を整理していたらしいが、自分が取ったのは自販機用でこれを当てると
願いが叶うとか、明日は七夕……しかも自分の誕生日である。本来こういうものには興味のない箒であったが今日ばかりは気まぐれか、缶をもって願い事をする。
(私の願いは……)
「篠ノ之さん? そこで何やってるの?」
「な、久留宮!? 貴様何故ここにいる!」
そこに空気を読まないかのようにやって来る霧花、箒は慌てて缶を後ろに回そうとするが、霧花には何をしようとしていたのか見通されていた。
「へぇ~あなたにもそういうところがあったのね。結構意外だわ」
「……貴様には関係なかろう」
「そうね。ところで一つ言いかしら?」
「? 何だ」
「あなた、篠ノ之束から専用機とかもらう予定あったりするの?」
「……一応頼んである」
彼女に誤魔化しは通用しないだろう。今までの彼女の印象からそう感じ取った箒は正直に答える。以前行われたタッグマッチトーナメントの後、箒は束に連絡して自分の専用機を造ってもらえないか頼み込んでいたのだ。このやり方はいろいろ問題があるやり方であったが。
「ふ~ん。ま、私からは特に何も言いはしないけど、精々気を付ける事ね」
「……何を言いたい?」
「これだけは言っておくわ、強大な力を持つと……時に人は過ちを犯すことになる。ま、あなたの知ってる人物で言うなら織斑千秋は大丈夫ね」
「千秋が?」
「ええ。あくまで今のところ、だけど。じゃあね」
その言葉を残して霧花は去っていった。そして箒は彼女が残した言葉の意図を掴めずにいた。
◇
その頃、大牙達はというと――
「明日は七夕か~小学生の時七夕の歌音楽の授業で歌ってたよね」
「あぁ、懐かしいな、俺子供のころ『大統領!』とか書いてたな」
「睦月さん、ここは日本ですから『総理大臣!』って書くべきですよ」
「いや、大統領にしろ総理大臣にしろどうしたかったんだよ」
「世界征服?」
「睦月、お前なんで疑問形なの?」
大牙、睦月、光汰、瞬、美九が光汰(&美九)の自宅にて集まっていた。折角の七夕だから皆で何かしようというものであった。当然、霧花はIS学園の臨海学校の行事があってこれなかったが。
「そう言えば大牙は子供のころどんな願い事を書いてたんだ?」
「俺? 子供の頃しばらくアメリカにいたしなぁ……」
「え? アメリカに行ってたんですか? そこで何をしてたんですか?」
美九が興味本位で大牙に聞いてみる。大牙がアメリカにいた時のことは睦月でさえあまり知らない。一体どんな生活をしていたのか気になった。
「大学通ってた」
「え? 大学!? どこ!?」
「MIT」
「「「「……えぇぇぇぇぇ!?」」」」
まさかの名門大学出身であったことに驚く睦月達であった。
「お前……そんな頭良かったのか?」
「10歳の時に入って12の時に卒業した」
「たった2年で卒業かよ!」
「睦月、ツッコむべきところはそこじゃない!」
「ところでどの授業が一番楽しかったですか?」
「美九、どさくさに紛れてどんな質問してるのさ!」
光汰に突っ込まれてる美九するであったが、大牙は腕を組んでいるとすぐさまその質問に答えた。
「やっぱりウルシェード博士……いや、大学だから教授と呼ぶべきか? その人の授業が一番面白かったかな?」
「え、えっと……うるし?」
「誰?」
「さあ?」
聞いたことのない人の名前が出てきて困惑する4人、まあそもそも大学の教授など名前を知らない人の方が多いが。
「まあ一度だけ大学側が呼んだことで暫く来たんだけどさ、結構面白かったな。確か『量子変換技術』や『反重力は実現できるか?』とかいうものだよ」
「……何かどこかで聞いたことあるような?」
美九はその講義に関する内容に聞き覚えがあった。確か中学くらいの頃の友達との会話で何か話してた記憶があった。
「あ、あとさ。超光騎士のコアあるだろ? あれやガブリスコートも元々ウルシェード博士が立てた理論を基礎に造ってんだ」
「何気にスゴイ人なんだな……」
「因みに30年くらい前から」
「ハァ!? おま、それってスマホどころか携帯すら満足に普及していなかった時代だろ!? その頃からそんなすごいの立ててたのか!?」
意外や意外、大牙が造っていたものはウルシェードなる人物が関わっていたのだ。しかも結構スゴイ人であったという事実を理解した睦月達。
「というか。さっき言った講義の内容、あれISに使われてるやつだぞ? それは大体20年くらい前から思いついてたらしい」
「あ、そうでした! 反重力云々はたしかPICの話でしたよね?」
「あぁ、恐らく篠ノ之束はいくつかウルシェード博士の理論を参考にして造ったんだろう。その結果が女尊男卑なんて世界の構築だけどな」
これはあくまで大牙の推測にすぎない。だとしても、ISに関する技術の一部が実は別の人物によって構築されていたことには驚きだ。
「そう言えばあの声どっかで聞いたことあるような……?」
「マジか……あれ? そう言えば短冊どうした? 光汰、お前知らない?」
「え? 誰かが買って来てくれるのかと思ったけど……」
「おい……ってなんだ、ここにあるじゃん」
睦月が近くにあった短冊を拾い上げ、皆に配ろうとするが、大牙はそれを受け取ろうとしなかった。
「あれ? お前何も書かないのか?」
「いや、俺は短冊に何か書いてる暇なんて無いしな、別にいいよ」
「ハッ、後で後悔しても知らねぇぞ。瞬は何にするんだ?」
「俺は『新しい竹刀が欲しい』だな。光汰は?」
「う~ん…思いつかない……」
「ハハッ、まぁ今日中に書ければいいさ。書けたら笹に飾ろうぜ」
こうして、短冊を受け取らなかった大牙と願い事がまだ決まらない光汰を除いた3人は短冊を笹に結び付けた。
◇
「にしても……七夕の日に短冊とか、あの年でそんな事やってる家庭未だにあるんだな」
「そりゃあるだろ? 俺としては願い事を書かないお前の方がどうかしてるぜ」
用を一通り終え、大牙と睦月は自宅へ帰るところだった。
「にしても睦月はどんな願い事書いたんだ?」
「俺か? はっは~そんなに知りたいか?」
「あ、ヤッパいいや」
「おい、そっちから聞いてきたんだからちょっとくらい聞けよ……」
大牙は睦月の方へ顔を向けて話を聞くことに知る。大体の察しはつくが。
「明日ある美九ちゃんのイベントの成功とかだろ?」
「お前、人が言う前から当てるなよぉ~」
“やっぱりか”といった顔をして半ば呆れた顔をする大牙。子供では何かのイベントの成功を願う人などいないだろう。
「明日の美九ちゃんのイベント『美九ウィーバーフェスティバル』の大成功を願ってね」
「お前らしい……」
「悪かったな、そういやガキの頃は3人でここの近くの公園で遊んでたっけ?」
「あ~あったなそんな事、ずいぶん懐かしいな」
「美琴のやつ、今じゃ世界中回ってるアイドルなんだろ? 今は何処にいるのかねぇ~」
大牙と睦月は幼い頃の事を思い出していた。よく3人で主にヒーローごっこしたりヒーローごっこしたりヒーローごっこしたり……。
「ってヒーローごっこの思い出しかねぇ!」
「むしろそれ以外に何があったっけ?」
「うぉい! 何かあるだろ、鬼ごっことかボール遊びとか!」
「あ~園長先生と麻雀やってたの思い出した」
「何思い出してんだ!」
これ以降、何をやっていたか思い出そうとしたが、結局思い出すことが出来ず、時間も遅いという事で大牙と睦月は別れて自宅へ帰宅した。
――その頃――
「……そうだ、これだ!」
光汰はギリギリ願い事が決まり、自宅の笹に短冊をかけ、
「どうか、僕の願い事が叶いますように!」
<千秋SIDE>
あれから一日が過ぎて、今日はISの各種装備試験運用とデータ取りが主な目的だ。特に専用機持ちは一般の生徒と比べて大量の装備が待っているからこれはまた大変な事だ。因みに一学年全員が並んでいるが、僕はこの日一番前ではない、だから女の子に囲まれてて非常に恥ずかしかった。
「これで全員集まったな、専用機持ちは専用パーツのテスト、他は各班ごとに割り振られたISの装備試験を行うように」
『『『はーい!』』』
その返事の後、各人の移動が始まる。僕も急がないといけない。
ドンッ!
ちょっと早歩きで行動してると他の生徒とぶつかってしまった。僕の方は尻餅をついたけどそれ以外は大した怪我はなかった。
「いった~って織斑君!?」
「え? 相川さん?」
ぶつかったのは同じクラスの相川さんだった、良かったこれが見ず知らずの生徒だったら何と言われていたか。
「えっと……取り敢えず大丈夫?」
「う、うん。ありがとう」
僕は手を差しだして上げると、相川さんも自分の手を出して立ち上がった。彼女の方も大した怪我はしてなかったので安心――
「……うっ!」
出来そうにもなかった。相川さんが突然胸を押さえつけて苦しみだしたからだ。
「姉s……織斑先生! 急病人! 急病人です!」
「何だと!? オイしっかりしろ! ……クッ、彼女は旅館で安静させといた方が良さそうだな。誰か、こいつを旅館に連れてって行ってくれ!」
相川さんは結局、他のクラスの先生に付き添われて旅館の方へ戻っていった。こんな時に可哀想だと思ってしまったが、事実上兵器であるISの装備試験というものは危ない、だからある意味では旅館に戻って行ったのは良かったのかもしれない……いや、兵器だからこそ、間違って事故を起こしたりしないようにするためにする意味もある。そんな事を考えるのは野暮だ。
「ちょっとした騒ぎがあったが気にするな、それと分かってるとは思うが専用機持ちは私のところに集まってくれ」
あ、そうだ。迅速に行動しないと、僕は急いで千冬姉さんのところへ走っていく。そこにはセシリアさんやラウラ歌原さんたち専用機持ちが――あれ? 何で箒ちゃんがいるの?
「織斑先生、箒ちゃんは専用機を持っていないのに何でここにいるんですか?」
歌原さんが姉さんにそう質問してきた。確かに箒ちゃんは専用機を持っていなかったはずだ。何でだろう?
「それは今から説明――」
「ちーちゃ~~~~~~~~~~ん!」
そこに忽然と姿を現した人影、それは間違いなく束さんであった。束さんは姉さんに向かって飛びかかって行った。
「やあやあ! 会いたかったよちーちゃん! さあ、ハグハグしよう! 愛を確かめ――グヘッ!」
飛びかかろうとした直前に姉さんが束さんの顔面を思いっきり掴んで指を食い込ませてた。 あれは多分手加減していないだろう。すごく痛そう……。
「グググ……相変わらず容赦のないアイアンクローだねっ」
束さんはそう言って今度は箒ちゃんのところへと向かう。
「やあ! 箒ちゃん、久しぶり!」
「……どうも」
「本当に久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかな? おっきくなったね。とくにおっぱ――」
ガンッ!
「殴りますよ?」
「殴ってから言ったぁ。しかも日本刀の
「殴ってません、叩いたんです」
いやいや、箒ちゃん暴力を振るったというところは同じだよ。
「あっ、確かに! 束さん間違えちゃった、メンゴ」
納得しちゃうんだ! さすが束さんというべきなのか?
「おい、束。自己紹介くらいしろ、突然お前が現れたことにポカンとしてる奴等もいるぞ」
「えー、めんどくさいなぁ。私が天才の篠ノ之束さんだよー、ハロー。終わり」
「え? 篠ノ之束ってあの?」
「あれが篠ノ之博士?……どうしてここに?」
「何かイメージと違う……」
束さんが自己紹介を終えると他の女子生徒たちがガヤガヤ騒ぎ出す。まあISの生みの親である束さんが現れたとなるとIS学園の生徒としては驚きを隠せないだろう。
「うそ……叶っちゃった……うっ!」
そんな事をつぶやいていた谷本さんが急に倒れだし、それに続いて他にも何人か急に倒れだした生徒が続出した。先生たちが旅館に運び出したりしているが……相川さんの時と言い何か倒れる人が多いな……。
「むむ。何だか束さん疫病神みたいな感じになっちゃってるけど本題に入るよ!さあ、大空をご覧あれ!」
すると大空から何かが落ちて来る……あれはまさか!
「えっ、バナナ!?…バナ、バナナ!?」
「「「……………………………………………………………………………」」」
歌原さんが鎧武ネタを出すけど当然知ってる人の方が少ないというべきか、知ってる人も“それは無い”と思ってるのか、そもそも“あの人”ポジションの人がいないからか、だれも反応しなかった。あ、歌原さんしょげた。そんな事をしているうちに空から鉄の塊が降って来てその中からISが現れた。
「これが箒ちゃん専用の『紅椿』! そのスペックは全ISの中でもトップクラスレベルの束さんお手製だよ!」
……え?今さらっととんでもない事言わなかった?
「え? あの機体篠ノ之さんが貰えるの? 身内ってだけで?」
「だよねぇ。何かずるくない?」
「おやおや、君たちは歴史の勉強をしたことが無いのかな? 有史以来、世界が平等だったことは一度もないよ」
「……一理あるわね」
久留宮さんの指摘もあってみんなが気まずそうに各々の作業に戻る。確かに一理あることはあるけど……悪い事とは言わないさ、それで苦しんでいった人だっているんだからあまりいい思いはしない。
「
ん? 歌原さんが何かボソッと呟いていた。有史以前?でもその頃ってまだ文字が出来ていなったんだから調べようも何も……。
「さあ箒ちゃん、フッティングとパーソナライズを始めよう!」
箒ちゃんは紅椿に乗り、束さんがものすごいスピードでキーボードをカタカタ鳴らしてあっという間に終わる。そして紅椿の試験稼働が始まった。武器の威力を試したりミサイルを迎撃したりとしていた。確かにスゴイ威力だ。その力を体感した箒ちゃんは満足そうに笑みを浮かべている。
「やれる! この紅椿なら!」
何だろう……なんだかよく分からないけど、ものすごく心配になってきた。そんな事を考えてると山田先生がこちらへ急いでやって来ていた。
「たっ、大変です! お、織斑先生!」
何やら姉さんに話があるようだった。山田先生と姉さんは何か深刻な事態が起きたよな顔をしている。
「ねえねえ、おりむ~」
えっと……確か同じクラスの布仏さんだっけ? が、いつの間にか僕の近くに来ていた。
「どうしたの? 布仏さん」
「さっきの2人の事なんだけど~」
2人? ああ、相川さんと谷本さんの事か。
「それがどうしたの?」
「2人とも、昨日短冊に願い事を書いていたんだけどね~」
ああ、そう言えばもうそんな時期か。子供の頃はよく下らない願い事を書いたりしてたっけ?
「2人とも、その願い事が叶ったとたんに体調悪くなっちゃて……」
…………え?
「それってどういうこと?」
「うん、相川っちがおりむ~とお近づきになりたいって……」
あ、確かに僕が相川さんとぶつかって近くなったら体調悪くなってたね……。
「でもって~、谷本っちが篠ノ之博士に会いたいって……」
…………今いる! モロ目の前にいる! え、どういうこと!? 願いが叶ったら……倒れるって……これ、何だかただ事ではないような……?
「稼働試験は全て中止だ! 全員部屋に戻れ! 専用機持ちは直ちに集合! 篠ノ之、お前も来い」
姉さんに言われてみんなが迅速に動き出す。僕は姉さんの隣へ行く。さっき布仏さんに言われたことを伝えるためだ。
「織斑先生」
「どうした?」
「旅館内にある笹について調べてくれない?」
「何故だ?」
「もしかしたら……今回の件、裏があるかもしれないんだ」
「それに根拠は?」
明確な根拠がるとは言い難い、でも……。
「……短冊に書いた願いが何か関係あるのかもしれないんだよ」
「何? うむ、分かった」
〈ナレーションSIDE〉
『で? つまり、その短冊には何かあると?』
「ああ、だが私の方も今は忙しい。だからこういうのはお前達に頼んだ方がいいと思ってな」
今、織斑千冬は大牙に連絡をしていた。理由は短冊に関する件だ。千冬は以前行われたタッグマッチトーナメントで大牙の正体を知り、そして今回の件にデーボス軍が関わっていないかというのを調べてほしいというものであった。
『ああ、今回の短冊騒動、おそらくデーボス軍が関わっているだろうな』
「何? 何か心当たりあるのか?」
通信先で大牙がデーボス軍がらみだという可能性を告げる。その根拠は何なのか? 気になって聞いてみると返ってきた返事は予想が外れていた。
『……こっちも2人願い事が叶って寝込んでる』
「……何?」
『まあ取り敢えず一人は無事だ。今から調査に行く』
「ああ、すまないな」
『いいって事よ。困ったときはお互い様だ』
千冬は通信を切る。そこへ山田先生が駆けつけてくる。
「織斑先生! 専用機持ち全員、大座敷に集まりました!」
「分かった。今そっちに行く」
千冬はそこから別の部屋へと移動する。
――次回予告――
福音を迎撃するために出撃する白式と紅椿。
だが、そこには……!
「船がいる!?」
「何をしている! 犯罪者だぞ!」
力を手にした者は……弱い人間を見下してしまうのか?
次回 ISの世界の強き竜の者
『問われる意味!力のあり方』
「私は……私はッ!」
果たしてどうなる……?
次回、書けそうだったらキョウリュウジャー側の戦いも書きます。書けなかったら申し訳ございません。
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いつもの事ですけど今回は特に自信がない……色々と……。