ISの世界の強き竜の者   作:大鉄人ワンセブン

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まず一言目、今まで待たせてしまって申し訳ございませんでした。最近やっとエンジンが掛かって来て時間をかけて何とか書けたまでです。

スランプ……と言えばいいのか、自分がこの小説を書くのが恥ずかしくなってきたり、この小説のどこがおもしろいんだろうか? と悩んできたりもしてきましたて、完全にとは言えないですが、何とか少し吹っ切れて書けました。これも応援して下さる皆様のおかげです。本当にありがとうございます。

次回の投稿も遅くなるかもしれませんが、これからも応援よろしくお願いします。


……あ、ごめんなさい。キョウリュウジャーの戦闘シーンは結局書けませんでした。


ブレイブ23 『問われる意味!力のあり方』

 〈ナレーションSIDE〉

 

 

ここは宴会用の大座敷・風花(かざはな)の間。山田先生が焦っていた理由というのは先程、ハワイ沖で試験稼働をしていたアメリカ・イスラエルの共同開発のIS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』通称福音が2時間前に、制御化を離れて暴走したからだ。厄介なことに監視できる範囲の空域から離脱されてしまい、それをIS学園の方で止めろと御達(おたっ)しがあり、その作戦会議の為に現在、専用機持ち達は居るのだ。

 

 

「では作戦会議を始める。意見のある者は挙手をするように」

 

 

「ハイ」

 

 

真っ先に手を挙げたのはセシリアである。

 

 

「目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

 

 

「分かった。ただし、これらは二ヶ国間の最重要機密だ決して口外はするな。情報が漏えいした場合、諸君には査問委員会による裁判と最低でも2年の監視が付けられる」

 

 

「了解しました」

 

 

福音の詳細なデータが表示され、皆が一斉にそのデータを見ている。

 

 

「シーちゃんと同じオールレンジ攻撃みたいだね」

 

 

「そのようですわね」

 

 

「攻撃と機動の両方に特化してる……これは厄介」

 

 

「特殊機動……これは曲者って感じだね」

 

 

「このデータでは格闘性能が未知数だ。持ってるスキルもわからん。偵察は行えないのですか?」

 

 

美喜、セシリア、簪、シャルロットがそれそれの意見を述べ、ラウラが千冬に尋ねた。

 

 

「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。最高速度は2450㎞を超える。アプローチは一回が限界だろう」

 

 

「つまり、一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかないですね」

 

 

山田先生の言葉に全員が千秋の方を見る。

 

 

「そうか、僕の零落白夜で……」

 

 

「そういうことよ、ただ問題は……」

 

 

「どうやって千秋を運ぶかだよね」

 

 

それは自身のシールドエネルギーを消費する零落白夜の攻撃を使用するために、目的地までの

移動の問題、さらには目標に追いつけるだけの速度が出せる機体であることも必要となるからだ。そこへセシリアが挙手をする。

 

 

「織斑先生、それならわたくしのブルー・ティアーズが。ちょうどイギリスから強襲用高起動パッケージ『ストライク・ガンナー』が送られてきていますし、超高感度ハイパーセンサーもついています」

 

 

「オルコット、超音速下での戦闘訓練時間はどのくらいだ?」

 

 

「約20時間です」

 

 

「そうか、それなら適任──」

 

 

「待った待ったぁ~! その作戦は待ったなんだなぁ~!」

 

 

そこへ、天井から第三者の声が聞こえ、全員が上を見上げるとそこに篠ノ之束が首を出していた。

 

 

(・・・かんちゃん)(あれってガーラの真似でも)(してるつもりなのかな?)

 

 

(どうせやるならガブラの方がよかった・・・)

 

 

美喜と簪がそんな会話のやり取りしていると篠ノ之束がジャンプし。

 

 

「とうっ!」

 

 

っと声を上げながらくるりんと一回転して着地し、篠ノ之束はパッと立ち上がる。

 

 

「一体何なんだ束?」

 

 

「聞いて聞いてちーちゃん! 私の頭の中にもっといい作戦がナウ・プリーティング!」

 

 

「……山田先生、今すぐこいつを外に出してくれ」

 

 

「聞いて聞いて! ここは断然、紅椿の出番なんだよ!」

 

 

「何だと?」

 

 

「紅椿のスペックデータを見てよ~! 展開装甲を調整してホホイホイっと! これならパッケージが無くても超高速起動ができるんだよ~」

 

 

一部のメンバーを除いて『展開装甲』と言う聞きなれない用語にキョトンとする中、篠ノ之束が画面のディスプレイに福音のスペックデータに重ね合わせるように紅椿のスペックデータが表示されている。

 

 

「説明しよう! 展開装甲とはこの天才の束さんが作った第4世代型ISの装備なんだよ~」

 

 

「「「「「だ、第4!?」」」」」

 

 

旅館の部屋に揃っている一部のメンバーが驚きの声を上げた。ISは現在各国が第3世代の試験機が完成したばかりなのだ、そんな中で次世代機が作られたとあったら各国のIS技術者からすれば”俺達の苦労は一体何だったんだ”という状態なのだ。

 

 

「因みにあっくん」

 

 

「何ですか?」

 

 

千秋は篠ノ之束に声を掛けられるが、彼女が何を言おうとしてるのかは何となく予想がついた。

 

 

「実はね~あっくんの白式の《雪片弐型》には試験的に展開装甲の技術が使用されてま~す!」

 

 

「・・・」

 

 

「あ、あるぇ~? どうしたのあっくん? その顔、まるで”そんな事とっくに知っとるわ! 嘗めてんのかオイコラ!”みたいな感じだよ」

 

 

「そこまで思ってませんよ!」

 

 

「『そこまで』ってことはちょっとは思ってるんだ! 酷いや、うわぁぁぁん! てか何で知ってるんだよぉぉぉ!」

 

 

(いや、何でって言われても・・・)

 

 

千秋はチラッと美喜の方へ顔を向ける。以前シャルロットが男装をして、白式のデータを手に入れるために千秋に近づいていたが美喜にその事がバレ、白状した後のやり取りで、白式に展開装甲が積まれている事を知ったからだ。その時いたメンバーも勿論白式に展開装甲の技術が搭載されているのを知っていたため、これまでの話に別段驚いている素振りは見せず、皆それぞれ呆れたり苦笑いを浮かべたりしていた。

 

 

『ソれハ~、僕ガ~、調べタカらなノさ~』

 

 

そこへ突然室内に聞こえてきたその独特の喋り方に室内にいたメンバーたちは驚き、室内を見まわしていると千秋の肩からシムがヒョコッと飛び出してきた。

 

 

「ぎゃあ! 何なんだよお前は! シリンダー見たいな恰好しちゃってさ!」

 

 

『・・・ソンな”怪奇大作戦”の主題歌のあノ叫ビ声みタイな声ヲ出さレても・・・』

 

 

「知らないよそんなの!」

 

 

「えぇ! あの今から50年近く前に放送されて日曜日の午後7時台という時間ながらその不気味さやリアルな描写などから未だに根強い人気を持っててその後数十年経って2回も新作が作られたあの名番組を知らないの!?」

 

 

「知るか! てか束さん生まれてないし!」

 

 

美喜の(無駄に詳しい)解説に束がそのように答えると彼女は漫画で言えば背後に"ガーン!"という文字を浮かべている状態のようにショックを受けた表情をしており、シムも目のシグナルが垂れ下がっており、その表情から主人と同じくショックを受けているのが伺える。

 

 

「ううぅぅぅ……かんちゃんは知ってるよね!? 怪奇大・大・大・大・大作戦!」

 

 

「ご、ごめん美喜ちゃん。私、怪獣ものや変身ヒーロー系が専門だから・・・」

 

 

「・・・」

 

 

美喜は簪から告げられたその言葉があまりにもショックだったのか、体が硬直して一歩も動かなくなっていた。そんな彼女の元へシムが向って人間の腕に該当する部分で彼女の頬をペシペシと叩く。

 

 

『・・・返事ガナい、タだの屍のヨウだ』

 

 

「色々、違あぁぁぁう!」

 

 

「あ、復活した」

 

 

シムの発言にどこぞの宇宙飛行士のように背筋を正して体をX字に伸ばしてツッコミを入れ、千秋がそれに対して間延びしたように呟いた。そこへ千冬が”コホン”と咳払いをする。

 

 

「そろそろ本題に戻っていいか? ここで時間を潰してる暇はないのでな」

 

 

専用機持ちは皆自分の持ち場に戻って再び話を聞く体制となり、千冬はその様子を見て束に向けて顔を近づける。

 

 

「束、紅椿の調整にはどれくらい時間がかかる?」

 

 

「お、織斑先生!? わたくしとブルー・ティアーズなら──」

 

 

「シーちゃん、それ量子変換(インストール)は済んでるの?」

 

 

「そ、それは……」

 

 

セシリアが自分が作戦に参加できると思っていた為か、驚いた声を上げていが美喜に痛いところを突かれてしまう。確かに今から調整を始めようものなら大体20分くらいは掛かってしまい、それでは作戦に支障をきたす可能性もあるからだ。

 

 

「因みに紅椿の調整は7分あれば余裕だね♪」

 

 

束が首を上下に二回動かしながら頷いている。それを見た千冬は今回の作戦を千秋と箒の2人に任せようとしたが、そこに挙手をする者がいた。

 

 

「何だ歌原、何か意見でもあるのか?」

 

 

「織斑先生、今回の作戦……私も同行してもよろしいですか?」

 

 

「……それは何故だ? お前の事だ、何か理由でもあるのだろう」

 

 

「私の専用機、アメシスターには完全装甲(フル・スキン)モードになれるのは覚えてる?」

 

 

美喜の説明に千秋達は以前、学園にデーボ・モンスターが現れた時に彼女が完全装甲の状態のISを纏って現れたのを思い出す。完全装甲時の実力はデーボ・モンスターを倒したこともあるほどであるが、だから何なのだ? と疑問に感じていると美喜が説明を続ける。

 

 

「あの時、私の体データ化されてるんだよ」

 

 

「「「「「・・・え?」」」」」

 

 

「つまり、完全装甲時は装着者の身体をデータ化して、従来のISでは不可能だったことも出来るように──」

 

 

と、淡々と説明説明しだす美喜であるが、それは実際とんでもない代物でる。先程束から第4世代機の話を聞いていたが今回はそれ以上の驚きであった。人間の身体をデータ化するなんてSFの世界での技術は夢のまた夢と思われていたのだから。

 

 

「──という事によって、さらに大玲音はタッグマッチの事を想定して完全装甲状態のISそのものを変形させることに成功。私のアメシスター、キリちゃんのウォルクルに……あともう一つのISに実装されてて、私のには他のISを1機か2機程度なら簡単に乗せて運ぶことができる飛行特化形態が……あれ? 皆どうしたの?」

 

 

(えぇ~? 何これ? 何か唐突に新しい戦力が出てきました~みたいな展開、あれか? オーレバズーカの時みたいな感じなのか!?)

 

 

美喜が説明中に皆が開いた口が塞がらない様となっていたために首を傾けてキョトンとしているが、実際これが普通の反応であろう。何気なく、唐突に、今まで夢物語と思っていたことが実現したと言いたらどうなのか? その反応は人それぞれであろう。しかし、ISも当初はロクに相手にされなかったのだ、当然それを信じない者も・・・

 

 

「え? 何言っちゃてるの? そんなの出来る訳無いじゃん」

 

 

「束さん?」

 

 

「だってさ~、それこの天才の束さんが研究中のモノなんだよ、今もそれを実現させるための課題に取り組んでて結構苦労してるんだから~」

 

 

「じゃあ証拠見せてあげようか?」

 

 

と言って美喜は部屋を出た先のベランダを超えて外に出て、背中に無双セイバーとそれを収める鞘を装着させ、左手を握って脇腹あたりへ、右手はピンと伸ばして空高く上げる。

 

 

「吹けよ嵐! ……嵐! ……嵐! とりゃぁあああああああ!」

 

 

キュィイイイイイイイイイン……!

 

 

美喜は背中に装備された無双セイバーを一度引き抜き、もう一度鞘に納める。そこから奇妙な音色が鳴り響き、美喜の周りで竜巻が起こり始め、徐々にその勢いは増していく。

 

 

『……ハアッ!』

 

 

そこへ一振りの手刀を入れて竜巻を切り裂くとそこには完全装甲状態のアメシスターの姿があった。

 

 

「おぉ~! カッコいい~!!」

 

千秋がヒーローを目の前にして今にもはしゃぎそうな子供のように目をキラキラさせながらアメシスターの変形シーンの感想を述べていた。特撮好きの彼にとってやはりそれほどの魅力があったのだろう。そして美喜は左手に左手にバックレットコントローラーを出してカバーを開く。

 

 

『チェーンジ! ジェットモード!』

 

 

美喜がバックレットコントローラに向かって音声入力するとアメシスターの正面の装甲が光りだし、その姿を変え始め、変形を完了すると一台の小さな飛行機が姿を現していた。

 

 

「それは……まさかコンコルドか?」

 

 

その姿を見たラウラが問いかける。それはかつて超音速旅客機として世界にその名と姿を知らしめたイギリスとフランスが共同開発したコンコルドに近い姿をしていたからだ。

 

 

『おぉ~! 流石ラウラちゃん、詳しいね! 因みに本来のコンコルドはマッハ2ほどのスピードだったけどこの形態のアメシスターはその3倍は出せるよ!』

 

 

美喜が喋ると、ジェットモードとなったアメシスターの操縦席に当たるバイザー部分がそれに合わせて紫色に点滅している。実際に変形したその姿に霧花を除いたメンバーは度重なる驚きの連続でもはやどう反応していいか分からずにいた。

 

 

「う、うううう嘘だ! これをできる人と言ったら束さんの他には……!」

 

 

束はディスプレイの向こうで何かに気づいたように”ハッ”とした表情となる。千冬たちはそれに気付くことは無く、彼女はそのまま最終に参加させるメンバーの名を口にする。

 

 

「よし、本作戦では織斑、篠ノ之、歌原による目標の追跡及び撃墜を目的とする。作戦開始は30分後だ。各員、準備にかかれ」

 

 

その言葉を合図に教師陣はバックアップ等に必要な機材の準備、千秋と箒、美喜はそれぞれ他の仲間たちに協力をしてもらいながら各自のISの調整を始める。

 

 

 〈千秋SIDE〉

 

 

僕は今回の作戦を行う為に、白式のシールドエネルギーを満タンにしておいたり、セットアップを済ませたりしていた。箒ちゃんは束さんに、歌原さんは久留宮さんと簪さんに協力してもらいながら各機のチェックや調整を済ませていた。

 

 

「これで白式の準備は完了と……」

 

 

「意外と早く終わりましたね」

 

 

「何だかんだであんたこういうの得意だったりするわよねえ……」

 

 

勿論僕の白式の調整にも皆に手伝てもらっていた。僕のメンバーは2人に協力しているのとは他のメンバーのセシリア、鈴ちゃん、シャルロット、ラウラの四人だ。確かに自分で言うのもなんだけど同世代と比べたら機体の調整とかは得意な方だけどこれだけ早く終わったのは皆の協力があったからだ、決して僕一人だけの力じゃない。他の2人はどうなってるのだろうか? 気になって耳を澄ませてみると・・・

 

 

「……………」

 

 

「ん~? もっと笑ってよ。ほらほら、スマイルスマイル」

 

 

「この顔は生まれつきなので」

 

 

「え? 生まれた時は猿顔だったよ?」

 

 

「誰だってそうでしょう!」

 

 

……うん、いつも通りだ。そして、ある意味一番心配且つ一番気になる三人はというと・・・

 

 

「え~と・・・どれ持っていこうかな?」

 

 

「どうしたの? そんな顔をして」

 

 

「あ、霧ちゃん。今回はどれを積んでいこうか迷ってて」

 

 

「どれにしようとしてるのかしら?」

 

 

まあ、確かに相手によってどんな武装を積んでいくかはきちんと考えた方がいいよね。人の意見聞くのだって悪くないどころか自分自身が気付けなかった点に気が付けるメリットがあるから正しい判断だろう。

 

 

「今回は”乱舞Escalation”にするか”Never Surrender”にしようか迷ってるんだよ」

 

 

……そっちいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! 楽曲じゃん! 特撮ソングじゃん! 少なくとも今回の作戦には一切関係ないよね!? てか音楽プレイヤー持って行く気!?

 

 

「……それはどんな武器なのかしら?」

 

 

……ダメだ、久留宮さんもそこから武器と連想できるのがある意味スゴイよ。果たして今回の作戦はうまくいくのだろうか……。

 

 

 〈ナレーションSIDE〉

 

 

今、3人は海岸の砂浜に到着して並んで立ち、互いに目を合わせて頷いた。

 

 

「来い、白式!」

 

 

「行くぞ、紅椿!」

 

 

「出陣だよ、アメシスター!」

 

 

僕達それぞれの専用機が体に装着されて、そこへ歌原さんが背中に無双セイバーを出して先程と同じポーズを取り始める。

 

 

 

「吹けよ嵐! ……嵐! ……嵐! とりゃぁあああああああ!」

 

 

キュィイイイイイイイイイン……!

 

 

そして彼女の周りで竜巻が発生し、ある程度まで勢いが増したところで一振りの手刀が入り、歌原さんの専用機、アメシスターは完全装甲状態へと変化する。

 

 

『……ハアッ! チェンジ、ジェットモード!』

 

 

さらにアメシスターは飛行速度が強化された飛行形態(ジェットモード)へと変形し、右翼と左翼にそれぞれ白式と紅椿を載せる。

 

 

『2人とも、準備はいい?』

 

 

「うん、僕は大丈夫だよ。でもこれ」

 

 

「……思っていたよりも乗り心地がいいな」

 

 

『でしょ、でしょ! それじゃあ出発するよ!』

 

 

ビュン!

 

 

一瞬のうちに僕たちを乗せたアメシスターは通常のISでは考えられない速度で飛んでいく。そしてある程度時間が経った頃。

 

 

(今回の作戦に失敗という二文字は許されない……僕が……僕達で成功させなきゃいけないんだ!)

 

 

千秋は今までと違ってれっきとした任務であることに緊張している、その心は時間が経てば経つほど大きくなっていく。

 

 

『ねえねえ』

 

 

「「何?/何だ?」」

 

 

美喜が千秋達に何かを話そうとして、2人はそれに返事を返す。

 

 

『こんな時になんだけど、しりとりでもしない?』

 

 

ガクッ

 

 

とでも言いそうなくらいに2人は上半身を反らしている。こんな状況で何を言い出すのかと思ったらまさかのしりとりである。無理もないだろう。

 

 

「やるにしても何でしりとりなのさ」

 

 

『い、いや~……私もこのままただ飛ばすだけなのもつまんないと思ってさ、目標までまだ時間あるし』

 

 

千秋と箒は目を合わせる。今ここで彼女に付き合わないと後で何されるかわからないとでも言わんばかりに降参し、仕方なくしりとりを始める事になった。

 

 

『じゃあ私、千秋君、箒ちゃんの順ね、”しりとり”の”り”からでリンゴ』

 

 

「ゴ、ゴリラ……」

 

 

「ラ、ラ……ラッパ」

 

 

『パ、パ……! パインロックシード!』

 

 

「ド? ド、ド、ド……ドリアンロックシード」

 

 

「またドか……ドンカチ?」

 

 

『チ!? チ……チーム鎧武!』

 

 

「む、無双セイバー」

 

 

「あ…あ、あ、あ、アイアンブレイカー」

 

 

『あ、あ、アームズチェンジ』

 

 

「ジ…ジ…ジ…ゴメン、ギブアップ」

 

 

思い浮かぶワードが思い浮かばなかったため、千秋があっさり降参した。

 

 

『はい、千秋君の負け。という事で今度の夏祭りみんなに何か1つづつ奢るという事で!』

 

 

「ちょ、聞いてないんだけど!」

 

 

『あれ? 言わなかったっけ?』

 

 

「言ってないよ!」

 

 

『あはは~、今の気分は?』

 

 

「最悪だよ、せっかく気を引き締めていこうと思ったらこんな目に合うし」

 

 

『でもそのおかげで緊張が解けたでしょ?』

 

 

「・・・あ」

 

 

この時、千秋は美喜の目的に気づいた。自分は任務成功に執着するあまり必要以上に気を引き締めすぎていたのだ。それは返って任務の支障になる……彼女はそれを(ほど)こうと思ってしてくれていたことなのだという事を。

 

 

「その……ゴメン、歌原さんが意味もなくこんなことするわけないよね」

 

 

『まだ目標地点到着まで時間あるからラジオが楽曲でも流していい?』

 

 

(前言撤回、やっぱり考えてるのか天然なのか分からない!)

 

 

「歌原……まさかとは思うがISに楽曲を落としてると言うのか?」

 

 

『え? してないの?』

 

 

いや、普通しないだろう。と言うツッコミをしたところで彼女には通用しないのだろうと悟った千秋と箒、先程の霧花との会話はこの事であったのだろう。取り敢えずそのコメントに対してはスルーすると何やら下の方から電波を受信する音が聞こえてくる。まさかと思って下に顔を向けると……。

 

 

【Pppppp……!】

 

 

(歌原さんがチャンネル合わせ始めてる!)

 

 

 

美喜がどうやってかラジオの放送局から電波を受信しようと機体内でチャンネルを合わせ始めてると音声か聞こえてくる。

 

 

【パジ○△マ○体操~始めるよ~!】

 

 

「それえぇぇぇ! てかテレビとラジオって周波数違うでしょ!」

 

 

『ゴ、ゴメン。ついうっかり』

 

 

美喜は再びチャンネルを合わせ始める。そして一連の流れに対して箒は・・・

 

 

(全然付いていけない・・・)

 

 

ただ、いつもの事といえばいつもの事であるが。

 

 

『あ、回せたよ』

 

 

【──以上をもって、本日の”教えて、黒岩先生”を終了とする、次回のお題についても君は……知っているか! ……また会おう】

 

 

「終わったぁぁぁ! チャンネル合わせた途端番組終了って何!?」

 

 

まさかのチャンネルを合わせたところでラジオが終了し、そこからCMが流れ始める。

 

 

【”この炭酸こそ……私が求めた未知の味わい!” ”美味しさ弾ける! ユグドラ汁 MSレモン味!”】

 

 

「あ、ユグドラ汁だ!」

 

 

「う~ん、でも僕全部聞き終えたしな~」

 

 

【”フレッシュって……そんなに違うのか? ……! フレェェェェェッシュ!” ”フレッシュ爽快! ユグドラ汁 フレッシュなオレンジ味! 夏限定で新登場!”】

 

 

「……!」

 

 

新登場したというそのユグドラ汁のCMを聞いた途端に千秋の眉間が”ピクリ”と動き始め、その眼差しは真剣なものへとなり、そして生唾を飲み始めて口を開く。

 

 

「箒ちゃん、歌原さん……」

 

 

「『???』」

 

 

「僕、この任務が終わったら……ユグドラ汁を飲みに行こうと思うんだ……」

 

 

『ちょっと! そこで変な死亡フラグ建てないでよ!』

 

 

「う、歌原、私たちは今の発言に心配すればいいのか! それともこいつの頭を心配すればいいのか!?」

 

 

『さすがに分かんないよ! って、見えたよ!』

 

 

美喜の言葉に我に返る千秋と箒、見上げるとそこには確かに今回の目標である銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)、通称福音がいた。

 

 

『敵機確認、迎撃モードへ移行開始。銀の鐘(シルバー・ベル)、稼働開始』

 

 

『2人とも、三方向に分かれるよ!』

 

 

「よし!」

 

 

「任せろ!」

 

 

美喜は完全装甲状態へと戻り、千秋、箒を含めた3人はそれぞれ3方向へと散り、まず最初に千秋が零落白夜で攻撃を仕掛ける。が、福音は高出力の多方向推進装置(マルチスラスター)を駆使してその攻撃を(かわ)し、機体に装備されている銀色の翼を展開し、そこから3人目掛けていくつもの光弾が降り注がれる。彼らは1つ1つ避けていくが弾数の多さと発射速度が速いために中々次の攻撃に移れないでいた。

 

 

バキュン!

 

 

と、そこへ美喜が無双セイバーの鍔にあるバレットスライドをスライドし、ガンモードへと切り替えると引き金を引くと銃口のムソウマズルから光弾が一発発射され福音にわずかながらダメージを与える。

 

 

『さすが軍用、これくらいじゃ思ったほどのダメージは与えられないか』

 

 

「あの状況で正確に当てといてよく言うよ」

 

 

「だが今ので奴は怯んだ! 行くぞ!」

 

 

箒は敵の攻撃をよけながら二刀流による斬撃をかまして攻撃し、美喜もセイバーマグナムやジャンデジック等による遠距離攻撃を駆使して援護に回る内に福音に隙ができ、千秋はそれを見逃しはしなかったがそこで何かに気付いて動きを止めてしまった。それは―――

 

 

 〈千秋SIDE〉

 

 

何で……どういうこと……?

 

 

「何をしている千秋! このチャンスに!」

 

 

『ちょっと待て、あそこに船があるよ!』

 

 

海上は先生たちが塞いだはずなのに……これって―――

 

 

「もしかして密漁船!」

 

 

こんな時に……! でも……ここを逃すとチャンスが……そんな事を思っているうちに零落白夜が解除されてしまう。

 

 

「馬鹿者! 犯罪者など庇いおって、そんな奴らは――!」

 

 

”見捨ててしまえばいいものを”と言おうとした時―――

 

 

『そんな事言わないでよ!』

 

 

「う、歌原さん?」

 

 

歌原さんが普段の彼女からは想像できない程に感情をこめて怒鳴りだしたのだ。あの彼女が、一体どうしてそこまで―――

 

 

『あの人たちが犯罪者? 確かにそうだよ。でもね、考えてみてよ! あの人たちが誰かに”もし”他の誰かに脅されて無理矢理やらされてたらどうなの!? それに犯罪者だからって死んじゃったら……死んじゃったらそれで終わりなんだよ! それに……たとえ犯罪者だとしても、死んじゃったら……()()()()()()()()()!!』

 

 

「なっ! しかし、結局奴らが自分自身でやったとしたらどうなんだ!」

 

 

『それは──』

 

 

歌原さんが何か言おうとした時、福音が一斉射撃モードへと入ろうと攻撃準備体制となっていた。その狙いは──!

 

 

「箒ちゃん、危ない!」

 

 

「!?」

 

 

僕は必死になって彼女を守ろうと残ったエネルギーを使って瞬時加速(イグニッション・ブースト)を発動させる。箒ちゃんの紅椿もそろそろ限界に来ているはずだ! あれを喰らったらさすがにマズイ!

 

 

「!? 千秋!?」

 

 

福音が一斉発射を開始して、僕が2人の間に割って入ってきたことに箒ちゃんが驚愕しているが、彼女を助ける事ができる。

 

 

そう思っていたのだけど──

 

 

「……あれ、何で?」

 

 

何故か僕と箒ちゃんは2人して先程までいた位置から離されていた、まるで()()()()()()()()()──!

 

 

そこにいたのは、まるで既に何かを()()()()()()()体制をとっているアメシスターだった、つまり……。

 

 

「何で? 何でこんなことしたのさ、歌原さん!」

 

 

そうだ、これはつまり彼女が僕と箒ちゃんを押したという事であったそんな事をしたら歌原さん、君がっ!

 

 

『なんでって、そのままだと千秋君も箒ちゃんも2人ともやられちゃいそうだったから、アメシスターならある程度は何とかなるし……2人ともそのままじゃ危なかったでしょ?』

 

 

そんな事、そんなこと言われても! それに危ないのはそっちだって同じじゃないか!

 

 

僕は必死に彼女の元へ手を伸ばそうとするが、もうすでに届きそうな距離では無く、むしろ僕も箒ちゃんも彼女から一向に離れて行ってしまっている。

 

 

『……箒ちゃん』

 

 

「な、何だ……」

 

 

『さっき箒ちゃんが聞いてたこと、答えるよ”あの密漁が船員自身の意思でやっていたら”って話だよね? それはね──』

 

 

そして彼女は一呼吸おいてから。

 

 

『私がそれまでの人間だったって事だよ……』

 

 

「!?」

 

 

横にいた箒ちゃんがそれを聞いてハッとした表情を浮かべる。もう一度正面を向くと完全装甲となった事で顔にマスクのようなものを被ったかのような彼女の顔から笑っている表情が嫌でも思い浮かぶ……何で、何でそこまでして。

 

 

『……なんでそんな顔してるの? 2人にそんな顔似合わないよ、だから……』

 

 

やめて、その続きは……聞きたくない!

 

 

『笑ってよ……』

 

 

「「!?」」

 

 

その声を出した瞬間、アメシスターは……福音からの一斉射撃を全弾受け……そのまま海へと墜落して行った。

 

 

「歌原さあああああん!!」

 

 

僕達はこの時、一つだけ理解した。それは──

 

 

今回の作戦は一人の犠牲を出し、失敗したという事だ。それは何とも・・・後味の悪すぎる景色であった。

 

 

 

──次回予告──

 

時間は少し遡り、千秋達がまだ束たちと出会っている中、大牙達は・・・えっ、ドライブ!? ドライブ!?

 

 

次回 ISの世界の強き竜の者

 

 

『車でGO!カオスなドライブ』

 

 

あ、カオスって言っても百面神官の方じゃないよ?

 

 

 

 

 

 




睦月「なあ、作者」

作者「何?」

睦月「次回やっと俺達の出番らしいけど……一体何をするんだよ!」

作者「じゃあ逆に聞くけど、ドライブ中にする事と言えば?」

光汰「……ラジオ聞いたり?」

瞬「音楽聞いたり?」

大牙「雑談したり?」

???A『車が喋ったり?』

大牙・睦月・光汰・瞬(以下、4人)「!?」

睦月「だ、誰だ今の!?」

作者「ああ、君たち一度会ってるよ」

4人「え?」

作者「まあとにかく、ラジオは考えてるかな?」

瞬「番組やコーナーは考えてるのか?」

作者「それは……」

???B「ぎゃあああああああ!」

4人「!?」

???C「絋汰さ~ん♡」

睦月「……今、葛葉絋汰が誰かに追い掛けられてなかったか!?」

光汰「誰かって……誰?」

大牙「今のはまさか…あの特撮ヒーロー番組で多くの視聴者に多大な恐怖を与えたストーカーのプロか!?」

睦月「ちょっ! それ色々まずいだろ!」

作者「まあ次回はこんな感じで行くつもりです」

瞬「この小説の行く先が不安だ・・・」

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