そして〈〉のセリフはキャラクター達が外国語で喋っているのを和訳したものと解釈してください。
〈ナレーションSIDE〉
先の戦いが終わったあと、大牙は光汰に睦月と瞬の二人を任せ、彼はデーボ・モンスターの事を探るためにまだ部屋に戻らない事を伝え、光汰は二人をガブリスコードの後部座席に乗せて自身は助手席に乗って旅館へと急がせた。
──その頃、旅館では──
大牙達が泊まっている旅館のとある和風の一室にて、日本人とは違う風貌の人物達がいた。一方は髪を整えてラフな服装を身に付けている人物であり、もう一人は背の高さが日本で言うところの幼稚園児程度の一卵性双生児の男の子達であった。双子は一緒に部屋にいる男性……もとい彼等の父親の元へ駆け寄る。
〈パパ~、仮面ライダーの変身ポーズして~〉
〈おねが~い〉
〈あのな、もうパパはそう言う事をする年じゃないんだ。勘弁してくれ〉
父親は子供達の頼みをやることへの恥ずかしさから拒否するが、双子は食い下がらずに机を叩いている。
〈〈おねがいおねがいおねがいおねがいおねがいおねがい〉〉
〈分かった! 分かったから、やってやるよ変身ポーズ!〉
父親は双子の懇願に腰を折り、その場から立ち上がり、左腕を右斜め上に真っ直ぐ伸ばし、指先から左へゆっくりと動かす。
〈ライダー……〉
そこへ、部屋の入り口の向こう側の廊下から誰かが走ってくる音が聞こえ、部屋の襖が開かれる。
「ワリィ、光汰! 睦月と瞬は──」
〈変し──あたっ!〉
部屋の襖を開いた大牙であったが、部屋にいた人物が明らかに違う事から襖の上側にある部屋の名前を確認すると自分達が泊まっている部屋とは違うことに気が付く。
「
大牙は流暢な英語で部屋にいた双子の父親に言うと襖を勢い良く閉じて走り出した。そして部屋にいた父親は大牙が急に来たことで驚いてしまい、着地に失敗して足を床にぶつけて少し足を痛めている。
〈痛って~……髪乱れたりしてないよな?〉
父親は着地の失敗時に足を痛めたことよりも自分の髪が乱れた事を心配し、部屋にあった鏡の元へ駆けつけてセットし直し始めると襖が開かれる。
〈ベッキーか? ちょっと待ってくれ今髪をセットし直している所なんだ……〉
父親は一緒に旅に来ている妻が戻ってきたものだと思ったが、その襖の間から顔をひょっこりと出していたのは先程部屋を間違えた人物、即ち大牙であった。
〈あの、何か?〉
〈言い忘れてましたけど、さっきの変身ポーズ左右逆ですよ〉
それを言い残すと大牙は再び襖を勢い良く閉じて自分の部屋へと戻っていった。
〈……何だったんだ一体〉
そこへ
〈何だ、今度は何なんだ! 何を間違えてたんだ!!〉
父親はまた大牙が何か指摘しに来たと思い込んで強く言うが、襖から出てきたのは大牙では無く、自分の見知った顔であった。
〈ちょちょちょちょ、待ってくれ。僕だよ何するんだジェシー〉
〈……何だジョーイか〉
〈何だって何? 僕が何かしたの?〉
〈ドアを開けた〉
双子の父親、またの名をジェシーが一緒に旅行へ来ている親友のジョーイに襖を指差して指摘するとジョーイは首を振り向かせて襖の方を見ると、ジョーイは親指を立てて後方にある襖へ向ける。
〈あれは襖って言うんだよ〉
〈……じゃあ襖開けた〉
〈……別に対した事無いじゃないか〉
〈あるんだよ。さっきニッキーとアレックスに仮面ライダーの変身ポーズせがまれたんだ。それに答えてやったらその~、他の宿泊者が間違えて入ってきたんだ。そして謝って出ていった。そこまでは良いよ、でもすぐにそいつは戻ってきたんだ。そして何て言ったと思う?〉
ジェシーは少し落胆したような顔をして先程大牙に何を指摘されたのかをジョーイに問う。
〈……ポーズが左右逆だったとか?〉
まさか当てられるとは思わなかったのかジェシーは少し驚いている。そしてジョーイは何故そう答えたのか説明をし始める。
〈イヤね。さっき僕も外で子供の頃見てた日本のテレビ番組のキャラクターのポーズを取っていたんだよ。そしたら近くに来た人にポーズが左右逆って言われたのよ。〉
〈……因みに何をやってたんだ?〉
〈宮本武蔵〉
〈……日本のサムライ何てよく知ってるな。お前、そう言うキャラだっけ?〉
〈何言ってるの、ちっちゃい頃からテレビで見てたよ。『何だかんだと言われたら』って〉
〈……それ多分……違うムサシ〉
ジェシーはジョーイが言ってるのは別の人物であることを即座に指摘した。
〈つかさ、俺のはまだ分かるけど、お前の場合は確か400年くらい前の昔の人物だっただろ? それほど昔の人物のポーズを指摘できる人なんているのか?〉
〈あぁ、いたよ。だってその人、サムライだったもん〉
〈……サムライ? サムライってあのサムライ?〉
〈あぁ、どういうサムライ想像してるのか分からないけど、多分そのサムライで合ってるよ〉
〈嘘だろ!? サムライ何てもう日本にいないはずだろ!? 俺一度日本に来たことあるから知ってるぞ!〉
〈語尾にござるって付けてた〉
〈サムライだな〉
ジェシーはジョーイの言葉に即座に納得するが、先程からある1つの疑問があった為、それをジョーイに聞く。
〈そう言えばさ、ヒーローにしろサムライにしろ、ポーズってそんなに重要か?〉
〈そりゃあ重要だよ。特に日本のファンは昔からそう言う美の様式とかを重要視してただろ? それこそちょっとでも間違えて覚えてると物凄く怒るって聞くよ〉
〈どのくらい?〉
すると窓の外で
〈あれくらい〉
〈あぁ、そりゃ怖ぇ。そう言えば日本人は昔から良く言うよな。この世の中で最も怖いのは地震雷火事親父って〉
〈あぁ、そりゃ怖ぇよ〉
◇
そして大牙はあの後、自分の部屋で睦月と瞬の容態が未だに安定していないのを確認したが、唯一無事である光汰がいる事に加え、何もしないわけにはいかないとガブリスコードに乗車して調査を再開していたが、先程の戦いでギンクロンを破壊された事をまだ少し根に持っているようだ。
「あのやろ~、せっかく造ったギンクロン破壊しやがって~」
『ま、まあ、彼もきっと反省はしているだろう。だからそこで怒りを鎮めてくれないか? 運転が少々荒いぞ』
「あぁ、悪ぃ。でもあそこまでやる必要があるかよ。今度弁償させてもらうぞ。」
『……彼はまだ日本で言うところの
大牙がギンクロン製作に費やした予算は普通のバイクよりも割りと高い。それこそ高校生の貯金で支払えるのかと言うレベルだ。
「俺のところ来てから業務を手伝ってもらってるからそれなりにあるだろ。俺達現役メンバーの中では4番目にキョウリュウジャーになってる訳だし」
『となると3年くらいか?』
「正確には2年半───ん? あいつは……」
大牙はガブリスコードのブレーキを踏んで止めると、海辺の砂浜に踞ってる人物を見つける。その人物の制服からしてIS学園の生徒であることが分かった。更にその制服は男子のもの、つまり……。
『彼は……織斑千秋か』
「……だな」
『彼は確か暴走したISの討伐任務に向かっていたハズだが……って大牙、車内から出てきてどうするつもりだ?』
「ちょっくら聞き込みしてくるわ。あ、そうだ……」
大牙はガブリスコードから拳台の大きさのモノをポケットに閉まうと車体から下りて、そのまま彼の元へ行く。
◇
織斑千秋は悲しみに暮れていた。先程行われた
(……何で、こんなことになっちゃったんだろう……)
彼女はあの時、自分達を庇って福音の攻撃を喰らって海に落下してしまった。その後、彼女の捜索が今も行われているが今のところ良い知らせは来ていない。つまり彼女はまだ見つかっていないのだ。
(僕の身近な人達がまた……いなくなった……)
3年前には兄の織斑一夏が誘拐されてそのまま行方不明、今度はクラスメイトが消息を絶ってしまった。人の命は尊い。ゲームとは違って1度消えたらそこで終わり。コンテニュー何て出来ないたった1つのものなのだ。彼女は少し変なところもありはしたが、趣味が互いにあっていたりとしたために親しい仲であった。それだけに……彼の心には言葉では表すことが出来ないほどのショックを受けていた。
(こんな……こんなことになるなら……!)
「な~にやろうとしてるんだテメェは」
千秋は自身の頭が何かに捕まれる感触がして、首を後ろへ向けるとそこにいたのはタッグマッチトーナメントの時に出会った桐生大牙であった。
「どわぁぁぁぁ! 何でこんなところにいるんですか!?」
「何って旅行に来てるんだよこっちは」
「りょ、旅行ですか……」
大牙は千秋の隣に座ると彼の思い詰めた表情をした顔を見て話しかける。
「ソレよりさ、な~んか思い詰めた
「・・・」
千秋は、自分が思い悩んでいたことの原因を話すべきかどうか迷った。美喜は大牙の大玲音社のテストパイロット話したところで何か問い詰められるのではないかと思ったからだ。しかし、ここで嘘を言ったりするのはよくないし彼には通じないだろう。だから討伐任務の最中に美喜が自分達を庇って墜落したことを話した。それに、今回の任務は
「──と、言うことなんです」
「なるほどね、美喜がそんなことを……まあ、IS装着してたんならデーボ・モンスターからの攻撃の場合は
「でも、レーダーにも反応が一切無くて……だから僕……!」
「なあ、
「え? あ、はい。そうですけど……?」
大牙は美喜の機体であるアメシスターの反応がレーダーに無いことに関して原因を考え、アメシスターの機体の性能を思い出した。
「なあ、アメシスターには
「はい、確か久留宮さんのウォルクルにも同様の機能があると聞きましたけど……」
「そうだ。あれは本来1つだけ、戦闘機へ変形する“ジェットモード”だけなんだ。でもアイツは自分の機体に地上及び地中での捜索を想定した“タンクモード”海での活動を想定したマリンモード”がある。そして、水中でマリンモードになるとステルス機能が働いてレーダーに反応が出なくなるんだ」
「え? そ、それじゃあ!!」
「ああ、そのあとマリンモードになっていたなら、美喜は無事である可能性が十分に高い。でも何かしらの事情があって来れないかもしくは……」
大牙は片手を自分の口元へと持っていくと、さっきまでの陽気な雰囲気が嘘のように真剣な表情となり、ソレを見て千秋は大牙に疑問をぶつける。
「もしくは?」
「……いや、何でもない。それよりも、お前はこれからどうするつもりなんだ?」
「どうって……僕は……今何をしたいのか分からないんです。だって、だって僕と関わっていった人は!」
「バッカ野郎!」
突然大牙は千秋の頬を殴り飛ばした。大牙は怪力能力を使わずに且つ、ダメージが拡散して軽減されやすい部分を殴ったために千秋は少し痛みを感じる程度であったが、少し殴られた頬をさすりながら大牙の方へ顔を向ける。そこには普段の彼からは考えられない程熱い表情をしていた。
「確かに、確かに辛いことや逃げたくなる事だって人生誰にだっていくらでもある! だけど……! だけど、それを理由にして、自分が信じたものを裏切るような真似は絶対にするな! 俺だって、今までの人生の中で挫けそうになったことや悲しくて仕方なかった時もある、けど! 自分が信じて来たモノだけは裏切った事はない! お前も、自分が信じてきたものを、もう一度信じてみろ」
「自分が信じて来たモノだけは、裏切らない……」
大牙に言われて千秋は自身の腕にある白式の待機形態のガントレットを見ると、太陽光の光の反射具合によるものか、はたまた白式が何かに答えようとしているのか、ガントレットがキランと光った。
「……!」
そして、千秋は何かを決意したかのように表情が凛々しくなり、浜辺を走り出した。
「おい待て!」
「……! 何ですか!?」
大牙が千秋を呼び止めると千秋は一旦走るのをやめて大牙の方へ振り向いて叫ぶと大牙はポケットから取り出したモノを千秋に向かって投げ、千秋はそれをキャッチする。
「美喜と一緒に研究していた、パススロットの領域を更に増やすためのサブスロットのプロトタイプだ。きっとお前のその思いに答えてくれる!」
「……! ありがとうございます!」
──次回予告──
福音への元へ向かう千秋達。福音との戦いが激しさを増す中、大牙から与えられた装備によって白式に変化が……。
次回、ISの世界の強き竜の者
『