今、キョウリュウレッドこと大牙がいるのは、IS《アメシスター》の機体の中、所謂電脳空間というやつであった。空間のあちこちに数字の0と1が交互に入れ替わりながら縦横に動き回る他、いくつもの幾何学的な模様が浮かび上がり、その模様から紫や緑などのあらゆる色の光が配線のようにして伝わっているという不可思議な世界であった。アームド・オン状態でキョウリュウレッドへの変身を保ったまま彼はドゴルドに捕らわれている美喜を探し出すためにあちこちを探しているのだが、中々見つからないのだ。
「一体……どうなってるんだ」
「オイオィ……まさかそんな歳にもなって迷子か? 腹立たしいぜッ!」
「……!? ドゴルド!? どこだ、出てこい!」
「言われなくても、上を見れば分かるぜ」
「……?」
大牙はドゴルドに言われて上を見ると、そこに写っていたのは上半身のみが飛び出た巨大なドゴルドであった。腰から下はデータになっていて実体化していない。
「……デカイな」
……
…………
…………………
……………………………
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「……おい、それだけか?」
あまりにもドライな反応だったためにドゴルドは軽く困惑している。
「いや、いつも巨大戦してるから、慣れちゃって」
「テメェ! 何が『慣れちゃって』だ! もうちょい驚けよ!
「そう言われてもな……また出やがった! とでも言えばいいのか? 大体こう言う電脳空間で巨大な敵が現れるのって一種のお約束だろ?」
キョウリュウレッドが頬を指で掻いて対応に困っているとドゴルドがその怒りが頂点に達してブチギレた!
「貴様ァアアア! 調子こくのもいい加減にしろ!」
「怒りの戦騎とは言え流石に気が短すぎないか!?」
「五月蝿ぇ! こうなったら……え~と……その~……あー………な、何か出ろォオオオオオオ!!!!」
(アバウトだぁー!)
が、その掛け声によって電脳空間からあらゆる特撮作品の敵戦闘員たちがうじゃうじゃと湧き出るように出現した!
「嘘ォ!?」
ショッカー戦闘員並びにゲルショッカー戦闘員、黒ジューシャ、アリコマンド、チャップ、マスカレイド・ドーパント、グール、ゾルダー、クライマー、カットマン、ジンマー、シッポ兵、グリナム兵、コットポトロ、ドロドロ、クネクネ、バーミア兵、メーバ等の歴代の仮面ライダーとスーパー戦隊の戦闘員を始め、ファントム兵士にアグマーや妖鬼、クラッシャー、軽闘士影、ジャマー、ブラックマン、更にはギグファイターやデビラに凶鬼兵、牛頭人&馬頭人などがおり、全て合わせると歴代の特撮作品の8割程の戦闘員はざらにいる。その上、嘗て各々のヒーロー達と激闘を繰り広げた怪人達、闇将軍ザンダー、マッドギャラン、ナゾー、合体ウデスパー、バングレイまでもが現れた。
「ハッ、案外なんとかなるものだな。桐生大牙、そんなにこのISの持ち主を救いたいんだったら、この先にも現れる怪人どもを倒していくことだな」
ドゴルドはそれをキョウリュウレッドに言って姿を消した。
「……流石にヤバイな。
キョウリュウレッドはもう一度5体の怪人達を確認する。
(一人……明らかに浮いてる……)
一人だけ着ぐるみと言うよりは被り物をしているかのような姿をしており、尚且つ下半身がまんま円盤の出で立ちの怪人がいたため、キョウリュウレッドは心の中でツッコミを入れた。
「フッ、まさか俺達を相手に一人で挑もうとは……飛んで火に入る夏の虫とは正にお前のことだな」
「言っておくが、共同戦線など俺はするつもりはない。奴を倒すのはこの俺だ!」
「ハッ、俺はただバリ楽しければどうだっていいぜ~」
「
「だがまずは奴の実力を知る必要もあろう。戦闘員共よ、行けー!」
ナゾーの声によってあらゆる組織の戦闘員達が、それぞれの独自の掛け声を出しながらキョウリュウレッドに向かって駆け出した!
「「「「イーッ!」」」」
「「「「ミューッ!」」」」
「「「「ゴー!」」」」
「「「「ケーイッ!」」」」
「「「「ゲラッパゲラッパ、マゲマゲ! ゲラッパゲラッパ、マゲマゲ!」」」」
「「「「ギル! ギルギル!」」」」
「「「「ウガッ!」」」」
「「「「ギラ! ギラギラ、ギラ!」」」」
「「「「ディー!」」」」
「「「「見るでヤンス! 見るでヤンス!」」」」
「「「「ホイッ! ホイッ!」」」」
「「「「チャリリリン!」」」」
「「「「ショワショワショワショワ……」」」」
「「「「ダイン! ダイン! ダイン! ダイン!」」」」
「ちょっと待て! 一組掛け声おかしいのがいる!」
一組だけ次回予告の時の台詞を言ってることにツッコミを入れながらも、自分に向かって前進してくる戦闘員軍団を蹴散らしていくが、いかせん数があまりにも多い。さらに戦闘員軍団は数で押しきろうとキョウリュウレッドに向かって一斉にジャンプしてのし掛かりによる圧殺を仕掛け、戦闘員の山が形成されていた。
「おいおい、もう御仕舞いかよ? ケッ、バリつまんね~」
ドカァン!
「……あ?」
が、キョウリュウレッドがあっさりと戦闘員軍団にやられたと思い込んだバングレイが悪態をついていると戦闘員の山が大爆発を起こし、その爆風で戦闘員達は一気に吹っ飛んだ。そしてその中心には何事もなかったかのように佇んでいるキョウリュウレッドがいた。
「この俺を……なめるなよ!」
「……その色、その出で立ち、そしてその台詞……アイツの事が頭に浮かんできて、バリムカつくんだよ!」
バングレイは自身の武器である錨の大剣、バリブレイドを手に装備してキョウリュウレッドへ向かっていき、キョウリュウレッドもガブティラファングで受け止め、ガブリボルバーやガブリカリバーで応戦するが、バングレイもバリブレイドからの電撃攻撃で攻撃する。
バチッ!
だが、キョウリュウレッドはその電撃を片手を前に突き出して受け止めた。
「何ッ!? 何で俺の攻撃が効かねぇ!?」
「そんな事、俺が知るか!!」
大牙はコピーした能力を1日5つまで使用できる
「トウッ!」
キョウリュウレッドは空高くジャンプして空中からガブリボルバーで攻撃するためにバングレイに向けてガブリボルバーの銃口を向ける。しかし、敵はバングレイだけではない!
「合体ウデスパー落とし!」
「うわっ!」
合体ウデスパーが左腕の鞭の先端を発射してキョウリュウレッドの右足を捉え、そのまま地面に強く叩きつけた。合体ウデスパーはそこからまた腕を上下に振るって、何度も何度もキョウリュウレッドを地面に叩きつける事でキョウリュウレッドにダメージを与え続けている。
(このままやられる訳にはいかねぇ。だったら……電力3倍アップだ!)
バチッ、バチバチッ!
キョウリュウレッドは右足を曲げて上体を起こすなどして右足の鞭が手の届く位置にまで近付け、右手に
「エレクトロファイヤー!」
「グワァアアアアアアアアアア!」
キョウリュウレッドの真紅の稲妻が鞭を媒介にして合体ウデスパーの元にまで伝わり、体のあちこちから蒸気が吹き出る。強力な電撃を喰らった事で合体ウデスパーの回路がオーバーヒートを起こしたのだ!
「今だッ!」
「待ちな、お前の相手はこの俺だ!」
キョウリュウレッドが合体ウデスパーに止めを誘うとしたその時、バングレイがキョウリュウレッドの前に立ちふさがった。
「よっと!」
「何ッ!?」
キョウリュウレッドは足を高く上げてバングレイの肩に乗り、そのまま踏み台にして空高くジャンプした。そして最高点に達した所でガブティラファングに真紅の稲妻を纏わせて一気に合体ウデスパー目掛けて落下した。
「喰らえ! ガブティラ岩烈稲妻パンチ!」
キョウリュウレッドは合体ウデスパーの顔面に目掛けて必殺パンチを御見舞いした。それによってオーバーヒートしていた回路が更に熱を上げて蒸気を吹き出す勢いが一気に増していく。更にキョウリュウレッドはもう片方の手をチョキの形にして真紅の稲妻を纏わせる。
「チェスト!」
そこからキョウリュウレッドは合体ウデスパーの弱点である両目に向かって、真紅の稲妻を纏わせた二本の指で攻撃し、その眼球を貫いた!
バチッ、バチバチバチンッ!!
「ギャアアアアアアアアアア!」
流石の合体ウデスパーも
「まさか……この合体ウデスパーがあっさり負けると言うのか……? 高が……高が人間一人如きにィイイイイイ!」
そして遂にオーバーヒートが限界を越えた合体ウデスパーはその場に倒れて爆発し、跡形もなく散っていった。
「まさか……あの合体ウデスパーが!?」
マッドギャランは合体ウデスパーがキョウリュウレッドに敗北を期した事に驚愕を隠せないでいる。だが横にいたナゾーがマッドギャランに対して状況を告げる。
「安心しろ。こっちは4人、向こうは一人。更に戦闘員共はまだまだいる。いくら奴が強かろうと戦力としてはこっちが上だ」
ナゾーはバングレイと再び戦い始めたキョウリュウレッドを相手に、後ろにスタンバイしている戦闘員達を再び出陣させようとする。
「ハァッ!」
そこに何者かが現れて戦闘員達を素早い身のこなしで一人一人蹴散らしていく。戦闘員を一通り倒すとキョウリュウレッドや怪人軍団に背を向けて立ち止まる。
「
「その後ろ姿……まさか……!?」
ザンダーは突然現れた乱入者に戸惑うが、マッドギャランはその姿に心当たりがあった。
「いくらなんでも、弱い者苛めは卑怯じゃないのか? マッドギャラン」
「その声は……もしかして……!?」
彼の声にバングレイと剣を交わしていたキョウリュウレッドもその男の正体に気付いた。
彼は素早い動きで両手をS字に構え、そこから上半身を左に向けるように腰を曲げながら両手をN字に構え直す。更にそこから上体を起こして背を伸ばしながら両方の手の平を頭部の横にかざすと彼の体が白い光に包まれる。やがて光が晴れると、彼の全身が白を基調としたパワードスーツに覆われる。
「メタルテックスーツ、準備OK!」
そう。彼はかつて全銀河の支配を企んだサタンゴース軍団と激闘を繰り広げ、仲間たちと共に地球、延いては全銀河を救った正義の王者の名を冠する
挿入歌:『おれが正義だ!ジャスピオン』
「まさか奴がここに現れるとは……」
サタンゴース軍団の幹部であり、尚且つ軍団の首領サタンゴースの息子であるマッドギャランからして……いや、他の怪人達にとってもジャスピオンが現れると言うのは正に想定外の事であった。
「行くぞ!」
ジャスピオンは右手を後頭部に収納されている己の武器、ブレーザーソードを取り出し片手で握れるほどのサイズにまで大きくする。
「ココハ、
ダークザイドの聖幹部のリーダー格であるザンダーが青竜刀型の大剣を手にしてジャスピオンと対峙する。互いに一歩も引かぬ鍔迫り合いが起き、更にそこへマッドギャランが乱入する。一方のキョウリュウレッドもバングレイにナゾーが加勢してきた事でそれぞれ2対1という状況に追い込まれていた。しかし、キョウリュウレッドもジャスピオンも1歩も引かずに立ち向かう!
「これでも喰らうが良い!」
ナゾーは自身の4つあるの内の左下の目から螺旋状の怪光線をキョウリュウレッドに向けて発射した。
「よっこらせっと」
が、キョウリュウレッドはガブリカリバーの刀身で怪光線をバングレイの方に向けて反射した。
「何だと!? グハッ!」
バングレイは反射されたナゾーの怪光線を浴びてたじろいだ。
「しまった! ならばこれならどうだ!!」
ナゾーはキョウリュウレッドに左腕の三日月状の鉤爪を飛ばして攻撃を仕掛けるが、キョウリュウレッドに紙一重でかわされた挙げ句に素早い飛び込み前転で間合いを詰められて自身の右腕を捕まれてしまい、そのままジャイアントスイングのようにその場を何回転もした後に遠方へ投げ飛ばされた。
「隙がバリ有りすぎ何だよッ!」
「そいつはどうかな?」
その隙にバングレイがバリブレイドで攻撃を喰らわせようと首目掛けて横に振るうが、キョウリュウレッドはバングレイの斬撃をしゃがんで避け、ガブリボルバーの銃口を後ろに向けて銃身を肩に置きながらトリガーを引いてバングレイの腹を撃ち抜いた。
「グッ!? ……テメェ!」
一方、ジャスピオンもマッドギャランとザンダーとの激しい戦いを繰り広げていた。
マッドギャランの斬撃をジャスピオンはブレーザーソードで弾き飛ばし、反対方向から来たザンダーに対しては遠距離用の武器、ビームスキャナーガンを右腰のホルスターから取り出して撃ち抜くとザンダーはその威力にたじろいだ。
「クッ、
ザンダーはビームスキャナーガンで攻撃された脇腹を押さえる。かつて彼が戦った戦士シャンゼリオンは
「グハッ!」
と、そこへキョウリュウレッドに飛ばされたナゾーが飛んできてマッドギャランの近くで体勢を立て直すとある策を思い付き、マッドギャランに話し掛ける。
「マッドギャランよ。悪いがワシはここから離れる」
「貴様、逃げるつもりか!」
「違う! 良いか、よく聞け。奴等は強い!! 最早誰が
「……なるほどな。時間稼ぎと言う訳か、だが悪くない」
ナゾーの策を理解したマッドギャランはその案を了承すると、二人の間にジャスピオンがブレーザーソードを振りかざしてきた。二人は咄嗟に避けたが、ジャスピオンはナゾーに向けてブレーザーソードを振り降ろす。だが、すぐにマッドギャランがジャスピオンとナゾーの間に入り込み、ブレーザーソードを自身の剣で防いだ事で二人の鍔迫り合いとなる。
「行けナゾー、お前はお前のやるべき事を果たせ!」
「任せたぞ。マッドギャラン!」
「フッ、すぐにお前の仕事を無くしてやるさ」
マッドギャランの言葉は、目の前の敵を自分の手で倒せばナゾータワーでキョウリュウレッド及びジャスピオンを攻撃する必要性が無くなることを意味していた。それがこの戦場の中で彼を生き延びさせる為なのか、自らが手柄を頂く為の皮肉なのかは分からない。だが、どちらにしろナゾー自身にとってはどちらでもよい。何故なら敵を排除出来ればそれで良いからだ。ナゾーはその場をマッドギャランに任せて一旦立ち去る。
「あっ、待ちやがれ!」
「それはこっちの台詞だせ!」
「うわっ! 危ねぇ!!」
バングレイはキョウリュウレッドの頭部に触れようと右手を伸ばすが、キョウリュウレッドはバングレイの持つ、相手の頭部に触れてその記憶を読む事で対象を実体化させると言う非常に厄介な能力を知っている為、頭部に触れられないように一歩後方に下がる事で避ける。そして避けた後にバングレイが右手を伸ばしきったその隙を突いて、スライディングしながら腹に蹴りを入れて怯ませると戦場から去ろうとするナゾーを追跡しようとする。
「待ちな」
だがその時、頭上から巨大なドゴルドが再びキョウリュウレッドの目の前に現れた。
「ドゴルド!?」
「テメェが中々
「面白いものだと? 何だそれは!?」
「それは出てきてからのお楽しみってヤツよ」
「お楽しみだと?」
ドゴルドは不適な言葉を残すとまた姿を消した。キョウリュウレッドはドゴルドの言葉が何を意味しているのかを考えていると、自分の床の下から何かの気配を感じ取った。
(何かが来る!)
キョウリュウレッドやジャスピオン達は咄嗟にその場を離れると、キョウリュウレッド達が顔を見上げる程の巨大なデータの塊が2つ現れ、徐々にそれぞれが1つの形を形成して実体化していく。そのシルエットは巨大な怪物の姿をしていた。
「あれは巨獣!?」
「いや、違う! あれは……」
その怪物は、片方は青を基調とした体色をしており、巨大な翼と前脚が独立している鳥と西洋の龍を合わせたような姿。もう一方は黒を基調とした体色をしており、頭部には2つの顔面があり、上半身は複数の刺々しい突起が生えており、下半身は冷え固まった溶岩の様にひび割れた姿をしている。そして2体に共通しているのは……頭頂部に赤いクリスタル状のモノが存在していることであった。
「あれは……!」
それは──
「魔王獣だ!」
世界を滅ぼす存在
─魔王獣─
─次回予告─
魔王獣の登場によって戦場が不利になるキョウリュウレッドとジャスピオン。
だが、ジャスピオンに続いて現れたのは魔王獣退治の専門家。
そう、クレナイ・ガイ/ウルトラマンオーブ!
そして戦いが激しさを増す中でオーブは新たなる姿へ変身を遂げる!
次回、ISの世界の強き竜の者
『
「変化球、頼みます!」