ブレイブ1 『オッハヨォォォ!朝のHRは波瀾万丈』
〈千秋SIDE〉
僕はあの日の事がキッカケでIS学園に入学する事になってしまった。
う〜ん、周囲の視線が…。
これは…想像以上にキツイ。
「ハーイ。全員揃ってますねー。それではSHRを始めたいと思います。私がこのクラスの副担任の山田真耶です。皆さん一年間よろしくお願いします。」
身長が低めのその先生はそう自己紹介をするが皆は先生の方を見ていない。
何故か?
視線が僕の方を向いているからだ。その所為で先生は落ち込んでいた。
にしてもこの席、真ん中の最前列って…そしてクラスメイトが全員女子…僕、高校三年間大丈夫かなぁ。
「…君、…斑君、織斑君!」
「ひゃ、ひゃい!」
あ!しまった!名前でいきなり呼ばれて思わず変な声出しちゃったよ。第一印象酷いことになってなければいいけど…。
「あっ、あの、いきなり大声出してごめんね。自己紹介で『あ』から始まって今織斑君の番なの。だから自己紹介してくれるかな?」
「いや、謝らなくても…ちゃんと自己紹介しますから落ち着いてください」
「本当に?本当ですか?や、約束ですよ。絶対ですよ!」
そう言われて後ろを振り向くが…。
(うわっ)
僕は今クラス全員の女子に視線を向けられているのを自覚した。…いや一人だけ、窓際の
後ろから二番目の娘が外の景色を見ていた…それはそれで凹むなぁ…。
「えーと、織斑千秋です。よろしくお願いします」
一応自己紹介するが…何その他に何か無いの的な眼差し…これ以上言うことは特に何m『つまらない男…』ちょっと待って…誰?今の言葉…周りを少し見渡すが誰も何も言ってないようである。
「…以上です!」
殆どの女子がずっこけた…そんなに期待されてm『貴方はもっとまともな自己紹介できないの?』だから誰!?怖いよ、何これ!心霊現象!?
パアンッ!
そんなことを考えていたら頭を強く叩かれた。滅茶苦茶痛い、僕は顔を上げるとそこにいたのは。
「げっ!綾小路麗子!?」
スパアンッ!
今度は更に強く叩かれた。僕はあまりの痛さに叩かれた頭に手を置いた。
「誰が過激派科学研究団体の首領だ馬鹿者」
姉さんにそんな事を言われた。
「全くお前はもっとまともに自己紹介出来んのか」
あぁ、それは…。
「さっきも誰かに同じこと言われたよ」
僕はそう言うが
「えっ!?そんな声聞こえた?」
「知らないよ!?」
「全然聞こえなかったよ!?」
「織斑君、耳大丈夫かな?」
あれ?何で?本当だよ。本当に聞こえたんだよ!?
ちょっとそこの女子!何その可哀想なものを見るような目で見てるのさ!
ちょっと君、数珠やめて!洒落にならないよ!てか何で学校に持ってきてるの!?
「織斑先生。もう会議は終わったのですか?」
「ああ、すまない山田君。クラスへの挨拶を任せてしまって」
「いえっ。問題ありませんよ。これくらいはきちんとしないと」
そう言うと千冬姉さんは教卓の前に立つと
「諸君、私が織斑千冬だ。君達新人を一年で使い物になるように育てるのが私の仕事だ。私の言うことはよく聞き、よく理解しろ私の仕事は弱冠十五歳を十六歳にすることだ。分かったら返事をしろ。わからなくても返事をしろ。イイな」
うわーすごいな…何という暴力発言だこと、けど教室から聞こえてきたのは
「きゃーーー!千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです。北九州から!」
海外から来てる娘もいるから別に大した事じゃないよね?
「Zzz…」
あれ?おかしいな。いびきが聞こえる。いやさっきの幻聴(?)の件がある。気を付けないといけない。
「あの千冬様にご指導頂けるなんて嬉しいです!」
「私、千冬様のためなら死ねます!」
…ここ本当に高校?SS-Nの本拠地の間違いじゃないの?そうとしか思えない
「Zzzz…」
…まただ。またいびきが聞こえるよ。
「まったく。…毎年よくもこれだけの馬鹿が集まるものだ。感心する。それとも何だ?私のクラスに馬鹿者を集めているのか?」
姉さんが何か言っていたが僕は例のいびきが気になってしまった。
さっきのように幻聴なのかもしれない…そうだ!これは幻聴だ!
だって千冬姉さん相手に…
「きゃあああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」
寝る人なんて…
「でも時には優しくして〜!」
いるわけが…
「Zzzz…」
……あった。
「そしてつけあがらなきように躾をして〜!」
もう嫌だ、このクラス!なにこれ!?一部除けば完全にSS-Nだよここ。
もうこうなったら…助けて!ジャンパーs
スパアンッ!
…痛い
「言っておくが革のジャンパーとズボンをしたロボットなどここには来ないぞ」
…ですよねぇ。
「ところで織斑、さっきから辺りを気にしているようだか気になる女子でもいたのか?」
その言葉にクラスの人達が反応する。何でそんな考えが浮かぶの?
「いびきが聞こえたんですけど寝てる人いるのかなと思って」
ぼくは正直にこたえると
「…ああ、廊下側の一番後ろにいるな」
やっぱりいたんだ!良かった今度は幻聴なんかじゃなくて。そして皆が廊下側の一番後ろに目をやると…
「Zzzz…」
いた。しかも両手を机にのせてうつ伏せにしていた。
「私が話をしている時に寝るとはいい度胸だ…起きろ、馬鹿者!」
そう言って姉さんはその娘目掛けて出席簿を…投げたァァッ!?
そ、それはさすがにやりすぎじゃあ!?
「…う〜、うにゃっ!」
すると彼女は左手で素早く出席簿を弾き飛ばした…えぇ!ウソ〜!
出席簿はまた違う娘のところに…あっ!あの娘さっき僕が自己紹介した時、唯一僕を無視して窓の景色眺めてた娘だ!
あ、でも廊下側の娘もその時から寝てたのかな?だとしたら
って今そんなこと考えてる暇なんてなかった!
てか窓側の娘、まだ外の景色を見てるよ!
(危ない!)
そう思い僕は声を出そうとしたが…
シュン!
彼女は出席簿を飛んできた時の勢いを殺さず、ブーメランのように姉さんの元に投げ返した…スゴっ!
そして姉さんは出席簿を見事にキャッチする。
僕たちは唖然としていた。目の前の光景が信じられなかったからだ。
しばらく沈黙が続くが誰かが拍手を始めてから次第にクラス中の人が拍手し始めていた。
気が付くと僕も拍手していた。
「何をしている。これは見世物ではない」
姉さんのその言葉に拍手が止み
「久留宮、何故出席簿を投げ返した。そのままキャッチして持ってくればいいだろ?」
彼女、久留宮さんっていうのか…
「…面倒臭かったからです」
そんな理由で!?だからってそこまでする!?
「う~ん」
そんな声が聞こえ声の主の方に目をやると…さっきまで寝ていた娘が起きたようだ。
「う~ん。左手がすっごく痛いんだけど何があったの?」
…それは君が出席簿を弾き飛ばしたからだよ。本当だよ。嘘ついてないよ。
「やっと起きたか。たしか歌原といったな、私h」
「げっ!綾小路麗子!?」
彼女…歌原さんが姉さんの言葉を遮ってそう言うけど…絶対あの時起きてたよね!?さっき僕が言ったセリフまんまだよね!?その後寝たんだよね!?きっと
「…もうツッコまんぞ」
姉さん…
「な~んだ。つまんないなぁ~。もっとハキハキしていこうよ。ハキハキ!」
やけにハイテンションだな。冷静な久留宮さんとはまた違う印象だ。
「で?SHR中なのにお前は後ろを向いているのか?」
あっ、いけない。今までの事がいろんな意味で凄すぎてHR中なの忘れてた!
「いや、姉さん僕は…」
パアンッ!
また叩かれた。本日何度目になるんだろうこれ?
「学校では織斑先生と呼べ」
「…はい、織斑先生」
僕がそう答えると
「え…織斑君ってあの千冬様の弟?」
「いいなぁ。変わってほしいなあ」
色々好き勝手に言ってくるよ皆
「綾小路せんせ〜、生徒を…ましてや弟さんに暴力振るっちゃ〜だめだよ〜」
歌原さんがいきなり立ち上がりそんなことを言い出すけど、綾小路先生って…姉さんの事そう呼ぶつもり?
「織斑先生と呼べ馬鹿者」
「あっ!ツッコんだ!」
そう言うと千冬姉さんは「やられた」みたいな顔をしていた。姉さんを手玉に取るなんてこの娘凄いな。
「でも~。弟さんに酷いことをしないほうがいいよ〜……昔の二の舞になりたくないでしょ?」
「「!?」」
その言葉に僕と姉さんは反応する…それって…
「…何の事だ?」
姉さんはあくまで冷静に対処しようとするが
「…ううん。なんでもな~い」
彼女はそう言うと自分の席に着席した。その間ほかの女子は
「え、どうゆうこと?」だの「千冬様に何があったの?」だの言っていた。あの娘本当に一体何者なんだ!?
「…これで朝のHRを終了とする。各自手洗いうがいはしっかりするように。返事は?」
『ハイ!』
こうして波瀾万丈な朝のHRは幕を閉じた。
因みに当初は
「げっ!蜂女!」
「誰が世界征服を企む悪の組織初の女怪人だ」
ってのがありました。
あと何で生徒が寝ていることに織斑千冬自身が気づかないんだ等の指摘は受け付けませんよ。