〈久留宮SIDE〉
あの後は特にこれといったことは何もなく、普通に授業が進み初日の学校は終了した。今は割り振られた寮の部屋に向かっているのだけれど…
「……長いわね。この廊下」
流石は国立のIS学園ね。まあ、迷うほどのものでも無かったけど
「1010号室は…ここね」
そう言ってドアの前に立つ。確かIS学園の寮は二人一部屋と聞いてるわ。変な人が一緒じゃなければいいけど、そう思ってノックをするけど返事がない
(まだ来てないのかしら?)
そのように思ってドアを開けると
「イヤッホー!私の名前h」
バタン!
私は開けたドアを思いっきり閉めた。今すっごく鬱陶しい人がいた気がする。朝からよく騒いで担任を含む教師に何度か注意を受けていた人だ。
気のせい?ならいいけどそしたらそれは幻覚を見たことになる。この私が?幻覚を?でも現実だとしたら……どの道嫌なことね、部屋も間違ってないことだし仕方ないわ。私はもう一度ドアを開けると
「うぅ…ひどいよ、クルちゃん。私が名前を言う前にドアを思いっきり閉めるなんて」
「ごめんなさい。目の前に見たくないものが入ってしまったからツイ」
「ひ、ひどいよクルちゃん!私のことそんな風に見てたの!?ガッカリだよ」
少し落ち着きなさい。それに彼女とは少し話しておきたいことがあったので
「というか、クラス代表決める時からずっと私の事をクルちゃんって呼んでるけどその呼び方やめてくれないかしら。私には久留宮霧花という名前があるの、呼ぶならもっとマシな呼び方してもらえないかしら」
私はそう訴えると彼女は表情を明るくして
「私は歌原美喜!よろしくね!き〜りちゃん!」
「霧ちゃん……」
「そ!これから一年よろしくね霧ちゃん!私は霧ちゃんのパートナー、何があっても霧ちゃんのこと信じるよ!」
本当に鬱陶しい娘ね
「さあ、さっそくアッキーのところへGO!だよ。お部屋を探しに行こー!」
「アッキー?」
「織斑千秋君!」
「なるほど。それでアッキーね」
「ほら霧ちゃんも霧ちゃんも!」
「!私は行かないわ、その腕を離してちょうだい!」
「あ、ごめんね…私一人で行くよ」
歌原さんはそう言って部屋を出ていった。彼女、少し暗い顔をしていたけど…ちょっと言い過ぎてしまったかしら?
〈千秋SIDE〉
「え〜と、1025号室は…何処だ?」
僕は今、寮で自分の部屋を探していた。本当はあと一週間は自宅からだったんだけど事が事で変更になったらしい。日用品は姉さんが揃えてくれたみたいで助かったよ。そんなことを考えてるうちに
「1025室…あ、ここか」
コンコン
僕は部屋の前でノックをした。一体誰と一緒になるのか緊張した、下手したら僕は少なくともこの一年間使いっぱしりにされる可能性があるからだ
「誰だ?」
この声は…
「箒ちゃん?」
「千秋か?」
やっぱり箒ちゃんか。箒ちゃんなら安心かも
「うん。部屋入って大丈夫?」
「いや、今シャワーを浴び終わったところだ。少し待ってくれ」
……セーフ。勝手に入ってたら殺されてたかも
「待たせたな。入って大丈夫だ」
箒ちゃんがドアを開けてきたので僕は部屋の中に入っていった
「ここが僕の部屋か…」
「ああ、私もこの部屋だ」
僕と箒ちゃんがそう言い終わると僕はあるものを取り出す
「それは…写真か?」
「うん。僕のお守り、姉弟が全員揃った最後の写真だよ。あれから二年も経つのか…」
「一夏は…未だに見つかってないのか?」
「うん。でも僕は信じてるよ。兄さんは生きてるって、連絡がないのはきっとそれ相応の事情があるんだよ。あの優しくて努力家だっだ兄さんが何も連絡をよこさない筈ないから」
世間では兄さんは死んだ事になっているけど僕はそう思ってない。死体が見つかってないんだ。きっと何処かで生きてる筈だよ
「そう…だな。私も信じるぞ。なにせ私が惚れた男なのだ、私より早く死ぬなど許さんぞ」
箒ちゃん凄い事言うね
「うぐっ、えぐっ」
…なんか泣き声が聞こえる。玄関の方からだ。僕達はその方向に顔を向けると
「うぅ〜、いい話だよ〜聞いてて思わず涙が出ちゃったよ〜」
歌原さんがいた。ちょっと待って幾つか聞きたことがあるんだけど
「いつから聞いてたの?てかなんで部屋にいるの?」
「『それは…写真か?』の辺りからだよ、えぐっ、扉開けっ放しだったからツイ」
ツイじゃない!ヘタしたら不法侵入ものだよそれ。てか最初から聞かれてたの?すっごく恥ずかしいんだけど
「それで、その写真に写ってるのが…」
「うん。この人が僕が一番尊敬していt「ジョージ真壁とその弟のベン藤波」違うよ!」
てかそれだと僕初登場した次の回で壊滅した組織の首領じゃないか!ヤダよそんなの
「本当は霧ちゃんも連れて行こうとしたんだけどね」
「「霧ちゃん?」」
僕と箒ちゃんはその霧ちゃんなる人が誰なのか気になったのでそう言い返したら
「久留宮さんの事だよ!本名が『久留宮霧花』って言うんだって」
久留宮さんって霧花って名前だったんだ…てかそれだと呼び方が
「クラスでは『クルちゃん』って呼んでなかった?」
「部屋が一緒になったんだよ。そこで『もっとマシな名で呼んでもらえないかしら』って言われたから」
確かにクルちゃんよりはマシな気もするけどね。てか『S判定』同士が同室?性格も違うのに…
「大丈夫なの?」
「……さっき嫌われちゃった」
言わんこっちゃない
「でもね…‥」
「「?」」
僕と箒ちゃんは首を傾げる。でもって何だろう、どうするのか?
「私、信じるよ!霧ちゃんと友だちになれる日が来るって、二人が真壁君の生存を信じてるように!」
そのネタまだ続いてたんだ、気持ちは嬉しいけど…‥
「歌原、そろそろ寮長の見回りチェックがあるから自室に戻ったほうがいいのではないのか?」
箒ちゃんがそう言ってきたので時計をチェックすると…あ、本当だ!時間ない!
「そうだね!そろそろ部屋に戻るよ!私と霧ちゃんは1010号室だからね!じゃあ〜ね~」
歌原さんはそう言って部屋を出ていくが
「ちょっと待って!」
「?…何」
僕は歌原さんに一言だけ言いたかった
「僕の兄さんの名前は真壁じゃなくて一夏だよ」
「うん。分かった!じゃあね、アッキー!〜♪(『怪傑ハリマオ』の一番のサビ)」
「あ、アッキー?」
彼女はそう言ってスキップをしはじめた……演歌?
〈久留宮SIDE〉
「少し言い過ぎてしまったかしらね…」
私は先程同室となった歌原さんに怒鳴って手を振りほどいてしまった。その結果彼女は気を落として部屋を出てってしまった。
「やはり…謝ったほうがいいかもしれないわね
意図しなかったとはいえ同じクラスの人に失礼な事をしてしまったのだ。これはやはり…
「イヤッホー!帰ってきたよー!き〜り〜ちゃ〜ん!」
…別に必要ないみたいね。出ていった時に見えた表情が嘘のようだわ
「元気そうで何よりね。部屋を出ていく時、少し表情が暗かったから」
「ハッ!それはもしや私のことを心配して!?霧ちゃんやっさすぃ〜」
心配して本当に損したわ
「殴ろうかしら?」
「え、ちょ、痛い痛い!グーは本当に痛いから!」
「まだ何もしてないでしょ!」
この娘と同じ部屋はどうやら疲れそうね
「あっ、そろそろ見回りチェックの時間だよ。その後すぐにお風呂入って就寝だよ!OK?」
「分かったわ」
私たちはその後、チェックを終えてからすぐに布団に入ったけど…
「Zzzz……」
「…寝れないわね」
歌原さんのいびきが授業時以上に五月蝿かった
次回あいつが少しだけ登場