マザロザif 完結   作:アーク1

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次はユウキ視点です。


マザロザif 外伝2ユウキ その1

なんで、こんな事になったのかな。

ボクは、ただアスナにボクを覚えておいてもらいたかっただけなのに...

 

アスナと別れてからもう1週間経った。

ボクは、あれからスリーピングナイツの皆とも一切会わずに、独りで過ごしている。

 

ここが何処なのかも、良くわからないけれど、ずっと空を眺めて過ごしていた。

 

考えるのは、いつもあの事。アスナに拒絶されて、アスナの自殺も止められなかった。

 

先日、確かキリトの葬儀が行われていた日、アスナからメールが届いた。

 

もしかしたら、思い止まってくれたのかと喜んだけど、すぐにそれは絶望に変わった。

 

メールのタイトルは遺書。

どうやら、時限式で送られてきたもののようだった。

 

 

ボクは、怖くてメールを開くことができなかった。

もし、中身にボクへの恨みや罵詈雑言が書かれていたら...そう思うと怖い...

 

神様は、どうしてボクをそんなに嫌うのかな?

 

ボクは、それほどまでに罪深い存在なのだろうか。

長く生きる事もできず、ようやく見つけた生き甲斐も奪われ好きな人には厭われ...

 

ボクはなんの為に生まれたのだろう。どうして生きているんだろう...

 

ふいに、声がかけられた。

 

「探しましたよ。ユウキ。こんな所で、なにをしているんですか?」

 

シウネーだった。ボクを探しに来たらしい。

でも、ボクは誰とも話したくなかった。

だから...

 

「放っておいてよ。ボクはもう誰とも関わりたくないんだ。ボクがそばにいると、皆不幸になる。だから、もうボクに関わらないで。」

 

ボクは、ボクの仲間を拒絶した。

 

大切な仲間を不幸にするなら独りで良い。

大切な仲間に嫌われる位なら独りが良い。

 

でもシウネーは...

 

「お断りよ。」

 

ボクの拒絶を拒絶した。

 

「ユウキ、貴方が嫌がっても、私達は、貴方を独りになんてしてあげない。貴方は私達が不幸になると言うけれど、私達は貴方がいない事のほうが不幸だもの。」

 

...本当は、独りになんてなりたくなかった。

気がつくと、ボクはシウネーの胸に飛び込んでいた。

 

ボクは、弱虫だ自分から、独りを望んだのに独りは嫌なんて。

ボクはおもいきり、泣いた。

姉ちゃんが死んだ時と同じくらい泣いたかも知れない。

ボクが、泣き止むまでシウネーはボクを抱き締めてくれていた。

 

それから、どれ位そうしていただろう。

ボクが落ち着いた頃、シウネーがこう言った。

 

「ねえ、ユウキ。その様子じゃ、アスナさんの遺書、まだ読んでいないんでしょう?」

 

ボクは、自分の気持ちを素直に伝えた。

アスナに直接拒絶された事。遺書にボクへの恨み言が書いてある気がして、怖いこと。

 

その間シウネーは、黙って聞いてくれていた。

ボクが、心のうちを話終えると、シウネーはボクの手を握ると、

 

「ユウキ、貴方の知っているアスナさんは、本当に、人に恨み言を言う人間かしら?それに、仮に、貴方の言う通りの事が書いてあったとしても、私達は貴方の味方です。世界中の誰もが貴方を批判したとしても、私達は貴方を守ります。だから、勇気を出してください。」

 

そう、言ってくれたんだ。

 

「シウネーは強いね。なんで、そんなに強くいられるの?」

 

ボクが聞くと、

 

「この強さは、貴方が私にくれたものなのよ?」

 

ボクは驚いた。だって、ボクは何もしていない。

 

いつも、能天気に遊んでいただけだ。そう思っていた。

 

「私はね...ユウキ...貴方と出会っていなかったら、きっともう、とっくに死んでいたと思う。貴方も知っていると思うけど、私は、今の病を患って3年になるわ。その間、いろんな薬や治療を試したけど、副作用がかなり厳しくてね。何度も諦めようと思った。どうせなら、残り短くとも安らかに過ごしたい。そう思っていたわ...。」

 

「そんな...。」

 

はじめて聞く話だった。シウネーがそんな弱音を吐いた所を見たことは無かった。

 

「でもね、ユウキと会う度に諦めちゃダメだって、私よりずっと年下の貴方が15年も、同じ苦しみと戦っているのに、それでも笑顔を見せる貴方に、私が挫けてどうするんだって。そう思った。私は貴方の笑顔に勇気を、強さを貰ったの。」

 

「だから、ユウキ。今、貴方に勇気が足りないなら、私が貴方に勇気を上げる。貴方が、私にそうしてくれたように。」

 

ボクは、もう一度シウネーに抱きついた。

嬉しかった。

 

こんなボクが、誰かに何かを与えることが出来るのだとわかって。

 

嬉しかった。いつでもボクに寄り添ってくれる仲間がいることに気付けて。

 

シウネーから勇気をもらったボクは、アスナの遺書を読む事を決めた。

 

例え、アスナの恨み言を聞くことになるとしても、今のボクは受け止められる。そう思った。

 

...そこには、ボクへの恨み言なんて一言も書いてはいなかった。

 

そこに書かれていたのは、ボクへの謝罪と、ボクへの心配。そして、ボクへの感謝だった。

 

そう。あの時、仲間じゃないなんて言ったのは、ただの演技だったのだ。自殺を止められない為に言ったウソ。

 

酷い事を言ったと、謝り、酷い事を言われたボクへ心配、でも、ボク達との冒険は楽しかったと、そこにはそう書かれていた。

 

自殺をしたアスナは、やっぱり許せそうにない。

でも、アスナに嫌われていないとわかって、心が少し軽くなった。

 

我ながら、現金なものだなぁ。

 

アスナ、ボクは最後まで生きてみせるよ。

それが、ボクがキミに出来る精一杯の嫌味で、精一杯の感謝だ。

 

「シウネー、スリーピングナイツの皆の所に戻ろう。」

ボクは、一目散にホームを目指した。

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