ユウキとお別れし、私は自分の部屋に戻っていた。
少しの間、私は何も手に付かず、ぼーっとしていた。
ユウキには酷い事を言っちゃった...
少し、罪悪感があった。
ゴメンね。ユウキ。
伝わらないのは、わかっているけど、私は、心の中でユウキに謝った。
リズ達には、明日一斉に送信される遺書を残している。皆、怒るよね。きっと。
でも、もう決めたんだ。キリト君の後を追うと。
このまま、キリト君のいない世界に生きる事なんて、私はできない。
このまま、彼を思い、彼に操を立てて生涯を一人で生きていけるならまだ良い。
でも、それをあの人は、許しはしないだろう。
この後の人生に、私は不幸しか感じられないだろう。
だったら、彼のあとを追う事が、私の一番良い選択になるはず。来世では、必ずキリト君と添い遂げて見せる。
この思いは、きっと来世に持っていける。
そう信じた。
さてと、もう思い残すことも、やり残したことも無いよね。
私は、引き出しからあるものを取り出した。
大量の睡眠薬だ。キリト君の後を追うと決めたその日に、ネットで違法取引されているものを購入した。
私は、それをコンビニで受け取り、今日まで持ち歩く事でその存在を隠してきた。
キリト君...貴方を愛しています。今までも、そしてこれからも、ずっと。
そう言って、私は薬を全て服用した。
その後すぐに、アミュスフィアを装着した。
「リンク、スタート」
そう、私は、自分の最後にいる場所を決めていた。
それは、私たち、キリト君、私、ユイちゃんのホーム。
私は、ログインすると寝室に向かった。
ベッドの上には、ユイちゃんのアバターが横になっていた。
ユイちゃんは、もう何を話しかけても反応を示さない。
そう、ユイちゃんはあの日、あの時に壊れてしまっていたのだ。
いや、死んでしまったと言った方が正しいのかも知れない。AIである彼女にとっては、情報に答えないという状態は、生の放棄に等しいだろう。
私が、それを知ったのは、ユウキと別れる為にログインした時だ。
それまで、ALOにログインしていなかったし、キリト君の家にも行けなかったから、ずっとユイちゃんと会っていなかったのだ。
ずるいな、ユイちゃん。先にキリト君の所へ行ったんだね。ママも、これから追いかけるからね。
待っててね。ユイちゃん。キリト君。
私は、ユイちゃんのアバターの体を抱き締めながら眠りについた。
これで、もう私はキリト君の所へ行ける。
キリト君と生きる人生は、ほんの短い間だったけど、とても輝いていたな。
こんな終わり方だったけど、私は何故か満ち足りた気分だった。
私は、この死に対して希望を抱いているから。
さよなら、父さん、兄さん。
さよなら、リズ。それに皆。
あんな別れになってゴメンね。ユウキ。
キリト君、今いくよ...
そうして、私の意識は、途絶えた...