私が、その報せを聞いたのは学校から帰って、しばらく経ってからだった。
くそー。明日奈めー。しばらく、おとなしくしていたと思ったら今日は、幸せオーラ出しまくってたな。周りの迷惑を考えろっての。
今日は、明日奈はキリトと久し振りにデートをすると朝からそれはもう幸せオーラを出していた。
正直、ユウキと会ってからアスナは、ユウキにかまけてキリトを放っているように見えていたから、心配していたんだけど、どうやら杞憂で済んだようだ。
それでも、幸せオーラで周りを圧倒するのは止めてもらいたかったが...
私は、苦笑しながらのんびり過ごしている
と、直葉から電話がかかってきた。
きっと、まだキリトが帰って来てないから、どこにいるか聞きたいのかな?
残念ながら、今日は明日奈とデートなんですよー、なんて気楽に私は電話に出た。
『もしもし、リズさんですか?お兄ちゃんが、お兄ちゃんが今日の帰りにトラックに轢かれて、意識が戻らないんです。』
私は、何を言われてるのか、すぐには理解できなかった。
キリトがトラックに轢かれた?だって、今日は明日奈とデートしているはずだ。そんなハズないじゃないか。
『リズさん、今からこちらに来れませんか?川越の○○病院です。お兄ちゃんを助けるには、お兄ちゃんの友人や家族の励ましの声が何より薬になるってお医者さんが言ってたんです。だから、お願いします。』
私は、すぐに言われた病院に駆けつけた。私が、着いた頃にはエギルがクライン...それにシリカやシノンもキリトを慕っている仲間達がすでに到着していて、必至にキリトに話しかけていた。
キリトは、全身を包帯で覆われ、酸素マスクを付けてベットに横たわっていた。一目で、重症だとわかった。
私に気づいた直葉が声を掛けてきた。
「リズさん、来てくれてありがとうございます。それと、明日奈さんがどうしてるか知りませんか?明日奈さんだけ連絡が付かなくて。」
私は、明日奈がそこにいない事に初めて気づいた。
おかしい、明日奈は今日キリトとデートに行っていたはずだ。
だったら、この場にいないのは不自然だ。
私は、慌てて明日奈に電話を掛けるが繋がらない。
もしかして、一緒に事故に巻き込まれたのではないか?そんな不安が頭をよぎる。
でも、それは無いらしい。キリトは、道路に飛び出した少女を救う為に飛び込み、キリトだけがトラックに轢かれたのだそうだ。
だとしたら、明日奈はどこにいるのだろう。
いや、今はキリトを励ますが先だ。私も、キリトの励ましに加わった。
それから、どれくらい経っただろう。
時刻は夜の9時を廻っていた。その時、キリトの指が少し動いた。
キリトは今、懸命に生きようと頑張ってる。
でも、私達の声に覚醒する気配はない。
明日奈、今こそ明日奈の声が必要だ。電話ごしでも良い。
お願い。明日奈。電話に出て。
私達は、交代で明日奈に電話を掛けたが繋がらない...それから30分後、キリトは息を引き取った...
「キリトー。何でだよ。何もかもこれからじゃねぇか。なんで、おまえが逝っちまうんだ。アスナはどうすんだよ。なぁキリトよぉ。」
クラインは怒ってるのか泣いてるのかわからない声でキリトに話しかけていた。
エギルは、静かに泣いていた。
そして私達は、なにも考えられず放心していた。
間に合わなかった...なんで、どうして...
それからしばらくすると、明日奈から電話が掛かってきた。
もう、遅い...私は、電話に出る気力が沸かなかった。それは皆も同じだった。
エギルだけは、なんとか明日奈の電話に出ることが出来たようだった。
そして、明日奈にキリトの訃報が伝わった。
明日奈は、最初信じなかったようで直ぐに電話を切ったみたい。
私が、アスナの親友の私が伝えないと。
そこから、明日奈とどんな会話をしたのか私は覚えていない。
ただ会話の途中で、直葉が明日奈を罵倒していたのは、覚えてる。
私は、止められなかった。その言葉は、私も少し思ってしまった言葉だったからだ。
外伝投稿開始。
まずはリズから。