ハンターが飛び込んだ先がダンジョンなのは間違っているだろうか?   作:あんこう鍋

22 / 26
忘れられたかな? って頃にUPしに来ました。一応生きています。
プロット自体はそれなりにできているんですが、物語にするのは簡単ではありませんね。
遅遅とした速度ではありますが製作はしていますのでお見苦しい作品ではありますが
よろしくお願いします


第二章 『戻ったけど、色々と忙しすぎるかな?』

 アスフィ・アル・アンドロメダは腕の中にいる友人を抱きしめていた。

 

 腕の中でぐったりとしている彼女はアスフィが一年半ほど前に短い間だが旅をした仲間であり、先日には【ファミリア】の危機を救ってくれた恩人でもあるが、付き合いの長さとしてはそれほど長い訳でもない。

 

 何処か憎めない明るさと、軽口や毒を吐く傾向にあるがそれが不思議と嫌味に聞こえない人柄の少女。パイ・ルフィルは会って間もない頃から居心地の良さを感じさせる人物であった。

 

 いくら主神、ヘルメスの友神の頼みがあるといえど、そのヘルメスとの三人での旅・・・・・・警戒しない方がおかしい状況であるはずなのに、気がつけばパイは古来からの友人であるかの如く振る舞い、つい愚痴を聞いてもらうような仲になっていた。

 

 アスフィ自身もロクでもない主神の悪巧みなどに巻き込まれたせいか性格・・・・・・というよりも考え方が斜めに構えてしまうような節を自ら自覚している。その考え方のおかげで救われた場合も多く、また厄介事に巻き込まれてしまうこともあったがそのこと自体に後悔はない。

 

 そんな、“団長として思慮深くあろうとした自分”でさえも気がつけばパイという人間に絆されてしまったのだ。

 

 そして、そんなパイの交友関係というべきか、彼女の事を大なり小なり好意的に見ている人物は【オラリオ】に多くいる。まさか、リヴェラの町にすらその交友関係があるとは思ってはいなかったが……

 

 そんな中でリヴェラの町で突如として現れた“漆黒の巨人”十八階層という本来であれば安全圏と呼ばれるこの場所の事を思えば 異常であることは直ぐに理解できる。

 

 今は嘗ての正義の体現者達の残した“疾風”が黒いゴライアスの相手をしながら他の『冒険者』と共に戦っている。彼らは驚く事に自らの身の安全よりも『ハンター』の安全を優先したのだ。

 

 アスフィも『冒険者』である。荒くれ者と呼ばれる要因も明日の希望よりも今の快楽を優先する思考も、理解できないわけではない。

 

 そんな、者たちがたった一人の人間を守るために戦っているのだ。今も彼女の弟子である白髪の少年が放った豪炎が黒いゴライアスの右手を吹き飛ばしたのが見えた。

 

 だが――

 

 そんな彼らの努力を嘲笑うかの如く直ぐに損傷した箇所を修復してゆく、明らかに異常とも言える性能のゴライアス相手ではこのままの持久戦は悪手である事は遠目で見ているアスフィは嫌でもわかってしまう。

 

 そんな時、蹴り飛ばされた上に正拳突きを受けて壁に激突した割りには怪我の少ない『ハンター』のパイが腕の中で微かに動く。

 

「――っ!? 気がついたのですか・・・・・・大丈夫ですか? パイ」

 

「・・・・・・アスフィさんかな、ちょっと気絶してた上に体力も九割持って行かれたかな」

 

 体力を九割持って行かれたという割には意識がしっかりしている姿に、ジョークの類だとその場で自然に微笑みを浮かべてしまう。

 

 腕の中から地面にしっかりと足を付けるパイの姿に安心したアスフィは直ぐに鋭い視線を黒いゴライアスへと向けながら若干下がった眼鏡の位置を調整する。

 

「では・・・・・・状況は切迫しています、迅速かつ確実に奴を滅ぼせる方法を考えましょうか・・・・・・」

 

「ごめん、その前に何処かにベッドとかないかな?」

 

「・・・・・・はい?」

 

 パイの質問の意味を測れずに間の抜けた返答をしてしまったアスフィだが、この状況でベッドを所望する理由がわからない。

 

「ひょっとして、先ほどの体力九割の件は冗談ではなかったのですか!?」

 

「冗談だと思われていたのかな!? 酷いかな! 信用がないかな!」

 

 無論のことながら、この場合はアスフィの感覚の方が正しい。大まかな感覚の違いはあれど“九割”の体力の消耗など普通に考えれば“瀕死”と呼ばれても仕方のない事である。

 

 決して、今も鼻息荒く・・・・・・したせいで鼻血を流しているが見た目では元気そうな人間であるパイの姿を瀕死の重体であるとは見ないだろう。

 

「えっと・・・・・・けが人を集めている場所がここより西の方角に仮設されています。そこならばベッドもあると思いますが」

 

「まじかな! よし、回復剤を一個飲んでそこまで行くかな! すぐに戻ってくるからアスフィさんはリューとベル達に助太刀して欲しいかなー!」

 

 そう言い残し回復とポージングを行ったパイが西へと向かって走り出す、そして、奇跡的に激戦区から飛んできた土の塊に巻き込まれ、高く飛んでいくパイ。『ぬあー、回復剤飲んでなかったら一乙だったかな~~!』っと宙で叫びながら、おそらくは救護所の場所へと向かっていっただろう。

 

「まったく・・・・・・パイは何時でも賑やかですね」

 

 困ったように苦笑を浮かべたアスフィも暴れる漆黒のゴライアスのいる戦場へと羽ばたく。あの漆黒のゴライアスに対抗できる手段は今だに決まっては居ないが少しでも勝率を上げる為に【万能者】と呼ばれる『冒険者』は戦場へと向かうのであった。

 

 そして、このような状況になった経緯も語らなければなるまい、そう、それは【オラリオ】基準にして数日前まで遡ることとなるだろう・・・・・・それは『モドリ玉』で【大陸】へと帰還した少し後のパイ・ルフィルの話である。

 

 

――――――――――――――

 

 

 我らの団のハンターは悶々とした思いをしていた。

 

 パイ・ルフィルの帰還。その情報は【大陸】の『ハンターズギルド』各支部に届いた。

 

 彼女を知る者はその帰還の朗報に喜んだ。勿論の事ではあるが我らの団のメンバー達もパイの帰還に大手を上げて喜び、我らの団のハンターもその喜んでいる一人であった。

 

 しかしだ、一個人として――彼女を探していた苦労が無駄になった――ような感覚をどうしても覚えてしまう。

 

 だからこそ、複雑な気持ちを抱えながらも、捜索期間中にG級ハンターと昇級した、我らの団のハンターはその時の人でもあり、馴染みの相棒と温泉大好きな女ハンター事、ユクモ村の専属ハンターの三人で『天空山』へ狩りに来ていた。

 

 切り取られたような絶壁と足場の悪さ、そしてかなりの高度に達している為か気候の変化の幅が大きく、一括りの土地であろうと場所によって厚い雲と雷鳴轟く場所がある『天空山』とはそういう場所がある。

 

 そんな、雷鳴轟く場所の高台から我らの団とユクモ村の専属のハンター二人が見下ろす先に、彼女はいた。

 

「ふはははは! まてー、わんこー!」

 

「トビ子ちゃんは元気だねー。お姉さんそろそろ、依頼って言葉が嫌いになりそうだってのに」

 

「トビ子ちゃんが言うには、「向こうでは歯ごたえのない獲物ばかりで弟子育てがはかどったかなー」って言ってましたけどね」

 

 狩人の猛攻にたまらず逃走する【雷狼竜《ジンオウガ》】を追いかけるパイ・ルフィルの手には『ヘヴーボウガン』に分類される『メテオバズーカ』が握られている。先日、鉱石とかの簡単な素材で作れるとお手軽に作った武器である。

 

 狩猟本能を開花させた同期の姿を眺めながらも、我らの団のハンターは思い出す。なぜこうなったのかを・・・・・・それは今から数日前の事を語らなければなるまい。

 

 

――――――――――――――

 

 

「トビ子の奴がアイツと一緒に戻ってきたぁ!?」

 

 キャラバンと呼ばれる旅団。『我らの団』の団長は旅団に所属する受付嬢からの報告に口を開け用としていた酒瓶を落としそうになりながらも驚きの声を上げた。

 

 改造されて飛空船となった『イサナ船』で【バルバレ】に滞在して数週間。そろそろ別の場所に移動しようかと思っていた矢先の事であった。その報告を上げた我らの団の受付嬢もまたその緑色の服装の袖をはためかせて興奮気味に続ける。

 

「そうなんです! ハンターさんが【砂漠】で【千刃竜《セルレギオス》】の狩猟依頼の最中に発見したそうです!」

 

 我らの団の受付嬢の言葉に団長だけではなく他のメンバーも集まってくる。初めは半信半疑であったようだが受付嬢の様子に真実味が加わってきたのか各々の表情に喜色が溢れてくる。

 

「アイツ・・・・・・ついにやったんだな・・・・・・」

 

「オッショサン! ハンターさんがトビ子さんを見つけたんだよね! よかったよー!」

 

 団長の相棒の竜人の加工屋がその巨体の力を抜いたように肩の力を落とし、その隣になっていた加工屋を師とする加工屋の娘も嬉しさでベソをかいていた。

 

「やる時にはやる奴ニャルよ。旦那はそういう奴ニャル」

 

「そうじゃの・・・・・・して、トビ子の奴はどうしてそのような場所に?」

 

 団長の目の前でチンチラで賭け事に興じていた、屋台の料理長と竜人の商人は安堵の吐息を漏らし、そのまま旅団の受付嬢により詳しい状況の尋ねる。

 

「それが・・・・・・千刃竜との狩猟中に突然何もない空間から飛び出してきたらしく、そのまま千刃竜の背中に乗って、狩猟の貢献したらしいです」

 

「「「「「・・・・・・どういうこと?」」」」」

 

 旅団の受付嬢の説明に、個性派ぞろいの『我らの団』のメンバーは口を揃えるのであった。

 

 とにかく、【大陸】へ帰還したパイは『ハンターズギルド』への報告を後日にする事にした。そして【バルバレ】のマイルームに戻るや否や、オトモであるアイルーのシロや『我らの団』の女性陣にもみくちゃにされながらの再会を果たす。

 

 後日、報告などを済ませたパイと、発見者である我らの団のハンターが『ハンターズギルド』の質問攻めから解放されるまでの間、パイは辟易としながらもその質問に全て答えていった。

 

 それから、数日後・・・・・・我らの団のハンターが『バルバレ』の『ハンターズギルド』の集会所へクエストの報告の為に赴くと、そこには連日の休みなしで指名された依頼をこなし、帰投したユクモ村の専属ハンターの姿があった。

 

 彼女は疲れ果てており、集会所に設けられたテーブルに突っ伏しながら何やら赤い液体でテーブルに『過労』と書かれていた。これは所謂ダイイングメッセージと言うヤツであろうか? となれば彼女がこうなったのは不特定多数の依頼人になるのか・・・・・・。

 

「あら・・・・・・姉さんが死んでるかな」

 

「トビ子ちゃん・・・・・・一言目がそれなのはどうかと思うよ?」

 

 我らの団のハンターがそんな下らない事を考えていると背後から、同期であり先日、奇跡の生還(?)を果たしたパイが脇から覗き込んでいた。そんなパイの不謹慎な言葉に視線を向けながらツッコミ。視線をユクモ村のハンターへ戻すと・・・・・・そのハンターの濁った瞳と目が合った。

 

「――ヒッ!? おっ起きてたんですか、ユクモの姉さん・・・・・・」

 

「小さく悲鳴を上げるのも結構どうかと思うかな・・・・・・とはいえ、今の死人みたいな姉さんにギョロって見られたら確かに怖いかな」

 

「・・・・・・トビ子ちゃん? とぉぉぉビィィ子ちゅぁぁぁぁん!!」

 

 全身の筋肉としなりを全力で使った跳躍。無意味に身体能力の高さを披露しつつもドコをどうやったのか、横に捻りを加えた回転を行いながらユクモ村の専属ハンターはパイに飛びかかる。しかし、パイはそれを横に一歩動くことで避ける。避けられた事で床に激突するユクモ村の専属ハンター。

 

「べぶぅ!? ひどい、トビ子ちゃん! 私の愛が受けられないの!?」

 

「今の姉さんに捕まったら、何されるかわからないかな。所で、大丈夫? なんだかお疲れみたいかな」

 

「避けた事への謝罪はないのね・・・・・・まぁ、それはともかく、聞いてよー二人共!」

 

 避けた事をスルーするパイに、疲れた表情を浮かべていたユクモ村の専属ハンターだが、直ぐに起き上がると今までの不満を爆発させた。

 

 やれ、微妙な事で来る依頼や、わがままな第三王女の“いつもの事”や、わがままな第三王女の“いつもの事では済まされない鬼畜な依頼”などなど、話の六割がわがままな第三王女の話題なのが恐ろしい。

 

 そんな、ユクモの村の専属ハンターの愚痴を料理を味わいながら聞いていた我らの団のハンターとパイはお互いに同情を含んだ視線でユクモ村の専属ハンターを見る。

 

「ってか、なに!? 【金獅子《ラージャン》】に前世でいじめられてたの!? あの王女・・・・・・いくら何でも金獅子狩りすぎよ! アイツ私の弓と相性わるいのよぉぉぉぉ!」

 

 ついには酒が入り日頃の鬱憤を叫びながら泣き出すユクモ村の専属ハンターの姿にパイが声をかける。

 

「えーと、じゃあ姉さん。私と一緒に狩りに行くかな?」

 

「えっ? トビ子ちゃん大丈夫? まぁ。お姉さんはいいんだけど、一年半・・・・・・だっけ? ほとんど狩りしてなかったんでしょ?」

 

 ユクモ村の専属ハンターが尋ねると自信げに頷くパイ。そんな同期に対して我らの団のハンターも先日から気になっていた事を改めて口に出す。

 

「それも不思議ですよね。僕達はこの“四ヶ月”の間探してたのに帰ってきたら一年半ぶりって・・・・・・どういう事なんでしょうね」

 

「それは私にもわからないかなー」

 

 そう、不思議な事にパイが居た【オラリオ】での時間と【大陸】の時間に大きな誤差があった。理由も原因もわからない現象ではあるが細かいことに関しては気にしないのが彼らの常である。

 

「もし、トビ子ちゃんがその・・・・・・オラリオだっけ? 次にそこに行ったらこっちで何年もいてるのに、向こうじゃ三日しか経ってなかったって事もありえるかもねぇー」

 

「逆もしかりって事かな、まぁそのあたりわからないけど、帰り方に関しては『ハンターズギルド』に報告したからね。事故は減ると思うかな」

 

 帰還を果たしたパイは我らの団のハンターと共に【千刃竜《セルレギオス》】を討伐後、自身の体験談と共に『モドリ玉』を使用しての帰還方法を『ハンターズギルド』へと報告した。報告を受けた『ハンターズギルド』は直ぐに下位の各クエストの支給品に『支給品専用モドリ玉』を配布。上位以上のクエストを行うハンター達には確実な安全確保が難しい故に各自にモドリ玉の携帯を促している。

 

 これが、確実ではない事は明確ではあるが、少なくとも実例を作ったパイの言葉を無視できるほどの優著な状況でもなかったのでその案件は以上とも言える速度で浸透していった。

 

「とにかく、私はリハビリついでに狩りに行くから・・・・・・よかったら二人共来る?」

 

 パイの誘いに我らの団ハンターとユクモ村の専属ハンターは顔を見合わせ、一人は心配だからと、一人は依頼を受けない口実にしたいからと、お互いに違う理由でパイと同行することとなったのだが・・・・・・。

 

 当人曰く一半年ぶりの【大陸】での狩りだと言う。先に報告を済ませてきた我らの団ハンターがついでにと、リハビリの意味も兼ねた下位の依頼を見繕っていると横からユクモ村の専属ハンターがあるクエストを持ち出してきた。

 

 それは“上位雷狼竜”狩猟のクエストだった。我らの団ハンターは笑顔でソレを持って来たユクモ村の専属ハンターに引きつった笑顔のまま尋ねる。

 

「あの・・・・・・ユクモの姉さん? さすがに上位はまずくありません? しかも、ソイツはトビ子ちゃんの嫌がる相手ですよ?」

 

「あっはっはっは! 大丈夫、大丈夫! お姉さんにまかせなさい! トビ子ちゃーんこのクエストどうー・・・・・・えっ? うん・・・・・・うん・・・・・・」

 

 アイテムボックス――なぜか、誰が触っても各自のハンター達が所持するアイテムが入っている実に摩訶不思議なボックス――から、持っていくアイテムを選別していたパイに先ほどの依頼書を持っていくユクモ村の専属ハンターは一言、二言と声を掛け・・・・・・意外そうな表情で戻ってくる。

 

「えっと・・・・・・どうしたんです?」

 

「・・・・・・いや、なんでもないよ? 決して嫌がるトビ子ちゃんを見たかったのに笑顔で許可されたとかじゃないよ?」

 

「・・・・・・」

 

 嫌な予感を感じていた我らの団ハンターは自らの勘が当たった事と、同期の・・・・・・どこかパイらしくない行動に疑問を覚える。

 

 いつも、安全第一というか、どこか一歩引いているような立ち位置を厳守していたパイからすれば、格上、それも相性の悪い相手の狩猟など難色を示す事はあっても嬉々として受けるというのが、どうも腑に落ちない。

 

 しかし、同時に今回は『G級』とそれ相応のハンターが二人も同行するのだ。そういう安心感もあるのだろうと納得させる。

 

 我らの団ハンターとユクモ村の専属ハンターのクエスト受諾に未だ『☆6』のクエストを受けるメンバーに『ハンターランクが』『☆4』のパイが居る事に対して疑心を帯びた視線を向ける。受注資格に満たないパイの参加は本来できない。しかし、ユクモのハンターが過去にそんな規定を無視して何回もランク以上のクエストにパイを連れて行っているのを知っているが故の――そんな実に微妙な表情の受付嬢も、パイのリハビリであり彼女には無理させないと我らの団のハンターが告げると渋々ながらクエストの受注手続きを行う。

 

 そして・・・・・・現在、リハビリと言う名の狩りは今だ下位の防具で戦う『ハンター』は人が違うと思えるほどに果敢に雷狼竜へと挑み、攻めていた。

 

「所でさ、我らの団のハンター君・・・・・・ちょっと思ったことがあるんだけど聞いてくれない?」

 

「奇遇ですね、ユクモの姉さん。実は僕も気になることがあるんですよ・・・・・・」

 

 下の方で飛びかかりながらヘビィボウガンから放たれる散弾を雷狼竜の顔面へと当てながら優位に立ち続けるパイを眺めながら二人は同時に言葉を発する――トビ子ちゃんってあんなに好戦的だったっけ?――っと

 

「あははは! 絶好調かなぁー!」

 

 【オラリオ】での完全不燃焼な生活を一年以上もしていた結果。パイの中での狩人三大欲求の一つ、“飛び込みたい欲”でストレスを解消していた物の結局の所の“狩猟したい欲”を発散できなかった。ベルの修行などである程度のごまかし(ストレス発散ではない)をしていたが【大陸】に戻ってきたことでその欲求が爆発した。

 

 以前は、“飛び込みたい欲”の欲求の爆発によって、不幸にも事故に巻き込まれたパイだが、今回はそのような事もなく無事に狩猟も終了し、そんな事も二ヶ月もやっていればすっかりと狩猟技術も向上していた。ちなみに最後の欲求は“無駄に装備制作したい欲”である。

 

 その破竹の勢いのまま、多くの依頼を達成していったパイ。以前とは見間違うほどに精力的な狩猟の受注率と個人での達成率に『ハンターズギルド』も実績を積み上げてゆくハンターを昇進させないという訳にはいかないと、パイ・ルフィルに『緊急クエスト』を発注する。

 

 基本的に『緊急クエスト』はハンター側からすれば勃発的に出された上に、格上とのモンスターとの狩猟となることが多い。そして、それを成功させる事でハンターの『ハンターランク』を上昇させることができる。

 

 パイはこの短い間で二回目の『緊急クエスト』を受けていた。そして、現在『☆5』から『☆6』に上がる為のクエストを受注したのだが・・・・・・。

 

 その緊急クエスト・・・・・・その内容は『【角竜《ディアボロス》】の狩猟』であった。角竜はその頭部に生えた二本の角が特徴の大型のモンスターであり【大陸】ではよく砦を破壊しに来る厄介者で、その割には餌はサボテンだったり愛嬌も忘れないモンスターである。

 

 その角竜は主に突進による攻撃方法を多用し、時折体を回転させながら振り抜かれる尾を使った攻撃など『ハンターズギルド』も強力なモンスターとして認識されている為、それなりの実績と実力を持ち、信用の置けるハンターでなければ狩猟の許可が下りる事もない。逆に言えばそれだけの実力がパイにはあると『ハンターズギルド』が判断したと言う言う事でもあった。

 

 角竜狩猟の当日。その日はお目付けとしてユクモのハンターと共に『旧砂漠』へと狩猟に趣いた二人だったが・・・・・・そこで行われたのは狩猟ではなく命懸けの追いかけっこであった。

 

「なぁぁぁぁぁんでなのかなぁぁ!!」

 

 『旧砂漠』は直射日光による酷暑と呼ぶにふさわしき砂漠と洞窟内はそれとは真逆に氷点下まで冷え込むエリア。そして、暑いが体力を削るほどではないエリアに別れている。基本的には岩場で囲まれた土地である『旧砂漠』は広い砂場である砂漠を除いて、戦闘可能なエリア自体は狭い。それは『ハンター』にとっても攻撃しやすいと言う事でもあり。モンスターにとっても同じことでもあった。

 

 暑くもなく寒くもない。そんなエリアの一つで泣きそうな声音で叫ばれる悲鳴とその悲鳴をかき消すほどの足音が響く。現在、パイは角竜に追い掛けられていた。理由は不明だが、出会い頭からかなりの時間が経過しているのに角竜の突進攻撃以外の行動を取ることなく、執拗にパイだけを狙って西から東へ、北から南へ、その巨体を走らせる。その角竜に向けてやや遅れて戦線に入ったユクモ村の専属ハンターも不可解な状況に珍しく困惑した表情を張り付けながらも矢を弦に当てて引き絞り、放たれた矢は角竜の硬質な皮膚に刺さってゆく。

 

「おっかしいなぁ・・・・・・当たってるわよね? トビ子ちゃーん? 前世で角竜をいじめたりしてない?」

 

「前世の話を今されても困るかなぁ!! 問題は今なのかな! なんで攻撃している姉さんじゃなくて一回も攻撃されていない私に怒りをぶつけてくるのかなぁぁぁ!!」 

 

 重たい装備を担ぎながら全力で走り込むパイが、涙を浮かべながらも不思議そうに尋ねるユクモ村の専属ハンターに悲痛な叫びで返す。何が気に食わないのか角竜の攻撃対象はパイのみであり、先程から念の為にと持ってきていた『強走薬』を飲みながらの全力疾走。効果がある間は疲れる事がなくなる薬品であり。ハンター業界ではモンスターの素材を使って生成することから体に悪そうなイメージもある薬品でもある『強走薬』も残り少なく、これが切れた時の事を早くも思うと背筋に嫌なものを感じてしまう。

 

 なにより、現在パイが装備している『ヘビィボウガン』。これがやや厄介であり、その砲身から放たれる弾丸は確かに強力である。使いこなせばかなりの火力を見込める武器である。しかし、それなりの利点もあれば問題もある。その一つが装備を展開する時に掛かる時間であった。重量もあり取り回しも決して楽ではない。何よりもそんな隙をくれるような相手ではない。迂闊にパイが攻撃に転じようとすればその瞬間には強大な質量による突撃に巻き込まれるだろう。

 

 何よりも、同じ分量の素材を使用して防御性能が『剣士』装備の半分しかないという誠に理解と納得に苦しむ品物となっている『ガンナー』装備なのだ・・・・・・圧死する未来を脳裏にチラつかせながらも現状は逃げ続けるしかない。

 

「あっ、御免!! 間違って拡散矢撃っちゃった!? トビ子ちゃん避け……あっ……」

 

 弓の打ち方の一つに拡散という撃ち方がある……扇状に広がる様に放たれた矢がちょうど走っているパイの横っ腹に直撃する瞬間を目撃したしまったユクモ村の専属ハンター。

 

「おぶぅ!? 何やってるのかな姉さん!?」

 

 幸い防具の上からだったので肉に刺さることはなかったが対モンスター用の巨大な矢である。当たればそれなりに衝撃が襲い掛かる。しかも、認識外からの攻撃だったこともあってパイはその動きを止めてしまう。

 

「ちょちょちょ……いいからトビ子ちゃん!! 早くそこから逃げっ……oh……」

 

 背後から地響きを鳴らしながら追いかけてくる【角竜】の目の前で立ち止まればどうなるか……「ぷぎゅえ!?」っと悲鳴を上げてぶっ飛ばされてゆくパイは、高く吹き飛ばされた後に顔面から砂漠の固い地面にキスをする。

 

 そして、それでよかったのかどうか、目の前の鬱陶しい奴をぶちのめして溜飲が下がったのか、【角竜】は威嚇するかのように吠えると地中へ穴を掘って現在、パイ達がいるエリアから移動してゆく……。

 

 現在パイやユクモ村の専属ハンターの居るエリア外への移動してしまった【角竜】。そして、そのエリア移動と共に力尽きたパイをどこから見ていたのか大量のアイルー達が物陰から飛び出して来て、乱暴な動作で荷車の上に倒れているパイを放り込むと一目散に駆けてゆく。きっと、安全なベースキャンプまで運ばれていき、ゴミを運搬するように乱雑に放り込まれるのであろう。

 

 その後……復活したパイだったが、嫌がらせを超えていっそ、奇跡的と呼べるほどに狙われ続けたパイと遠巻きに攻撃していたユクモ村の専属ハンターが与えていったダメージによって瀕死にまで追いこんだ【角竜】が回復に専念するために寝床に戻るまで生死をかけた鬼ごっこは続いた……そして、怒りと狂気が織り交ざったような凶悪な笑顔を浮かべたパイが、スヤスヤと眠る【角竜】の尻にぶっとい杭を打ち込む『ヘビィボウガン』の狩技を叩き込み狩猟を達成するのだが……ユクモ村の専属ハンターはそのパイの様子に本気でドン引きしていた。

 

 そんな、楽しい狩猟生活を満喫していたある日の事、パイの急激な成長に竜人である老いたギルドマネージャーがひとつの頼み事をパイに話す。これが、パイにひとつの一人の後輩ハンターに出会う切っ掛けとなる。

 

 

――――――――――――――

 

 

 パイ・ルフィルは『ハンターズギルド』のギルドマネージャーに呼び出されていた。

 

 その人物はいつも酒瓶を持ち歩いている老人であり。パイとユクモ村の専属ハンターにとってはユクモ村の集会所での顔なじみでもある人物であった。

 

「新人ハンターの育成?」

 

「そうじゃ。それをパイ君。チミにやって貰いたいんだぜ」

 

 バルバレのハンターズギルドの集会所、そこにやってきたギルドマネージャー肩書きを持つ竜人の老人の言葉にパイは自らよりも適した人物がいるのにと不思議に思っていると、ギルドマネージャーは続けて“パイに頼む理由”を語る。

 

「『カリスタ教官』を知っているだろ? チミの狩技の師事をした教官だ・・・・・・あの者にその新人ハンターの育成を任せていたんだがね。チミと同じく例の失踪を遂げてしまったようでの・・・・・・ああ、『モドリ玉』は持って行ってたようでな、今まで戻ってきていないのは・・・・・・“帰れない状態なのか”それとも、“帰りたくない状態なのか”・・・・・・」

 

「確実に後者だと思うかな・・・・・・んで、狩技等の実技訓練をしたらいい感じなのかな? でも私は現役のハンターだよ? 大丈夫なのかな?」

 

「ほっほっほっ・・・・・・アタシはチミが思っている以上に育成者としての素質はあると思うぜ? それにその子も十二分に基礎をならっておるからの、そんなに難しいものじゃないぞ」

 

 ギルドマネージャーの言葉に一瞬目を逸らすパイ。【オラリオ】での一番弟子の修行内容へのバッシングを受けている為、若干の不安を残していた。しかし、彼女とて馬鹿ではない。

 

「所で、その訓練方式って・・・・・・ユクモハンター式かポッケハンター式かどっちで行けばいいのかな?」

 

「二つを足して割ってから、半分は優しさで組んでくれたら最高かのーっほっほっほ・・・・・・」

 

「あー・・・・・・聞いといて良かったかなぁ……さすがに、下手にして壊しちゃったらまずいしね。うん確認は大事かな!」

 

「チミ・・・・・・ひょっとして、誰かにアレに近い訓練を強いたんじゃないよな?」

 

 二人の熱心的な教育者・・・・・・が行っていた、“狂育”と言う名の鬼畜じみた訓練の様子を知っているギルドマネージャーはパイの言葉にちょっと、人選を誤ったかも・・・・・・っと不安を覚えるのであった。

 

 

――――――――――――――

 

 

 新人ハンターは所属するであろう『龍歴院』に入る為に訓練する女ハンターである。

 

 同性からみても高い身長とどこか引っ込み思案な性格で今まで、性格的に『ハンター』に向いていないと言われてきた。それでも愚直な努力を重ねてどうにか最終審査まで漕ぎ着けた矢先の教官不在という事を知り、その心は折れかけていた。

 

 しかし、捨てる神あれば拾う神もある。『龍歴院』から新たなる教官代理が決まった事を聞いて彼女は早速その訓練先である【孤島】のベースキャンプに着いたのは先ほどの事であった、話では先に教官代理が着いているはずである・・・・・・そして――

 

「ぬぉぉぉぉぉ!! ドス大食いマグロぉぉぉ獲ったかなぁぁぁぁ!!」

 

「ひゃぁぁ!?」

 

 突然の叫びに情けなく悲鳴を上げる自分の行動に頬を染めながらもベースキャンプの裏側、小さな泉――水汲みなどで使う――から迷い込んだ魚を釣り上げようとしている小柄な人影が見える。その人影は身体全身を使って、その身長よりも遥に大きい怪魚を釣り上げていた。

 

 なにゆえ釣りをしているのか、そのあたりの事は分からないがここまで送ってくれた飛行船の船員から聞く話によれば、自分以外に訓練を受ける人も狩りに来る人も居ないらしい。そして他に教官らしき・・・・・・というか自分と、目の前の小柄な人物しかこのベースキャンプにはいない。状況判断を下し、おっかなびっくりといった感じで、その人物へと近づくと白髪の子供と同じような身長の女性だった。

 

 驚く事にその女性は釣り上げた巨大な怪魚を、なんと生のまま齧りだしたのだ。

 

「ふぇ!?」

 

「もぐもぐ……うぇ!? ぺっ、ぺっ!! おっ『電光虫』かな!」

 

 いきなり生の魚を調理もせずに噛り付くと言う、奇行を行った人物ーー臨時の教官代理を受けたパイは『ドス大食いマグロ』の腹からでてきた素材をアイテムポーチに入れると、背後から聞こえた声に振り返る、そこには『ハンター装備一式』を身に着けた長身の女性が居た。

 

「おおぅ……変な所見られてしまったかな? えっと、君が龍暦院のハンター候補生でいいのかな? 私は教官代理のパイ・ルフィルだよ!」

 

「えっ……? あっごめんなさい、私が龍暦院のハンター候補生です、今日はよろしくお願いします!」

 

 生で魚の腹を齧る女が教官……新人ハンターの中で不安が募る。その表情がでていたのかパイは朗らかに笑いながら言う。

 

「あっはっは、大丈夫かな、ハンター生活に慣れてきたら皆“こんな感じになる”から」

 

「……はぁ……? えっとルフィル教官、今日はどのような訓練をするのでしょう?」

 

 つまり、『ハンター』にとって生の魚を齧るのは比較的常識的な物なのだろうか? 正直、納得も理解もできないが素直に受け入れておく。新人ハンターはこれ以上の自身の許容範囲外の出来事を避けるために訓練する方向へと会話を進める。

 

「うん、それなんだけど、“正直君がどこまでできるかも知らないから”まずはその確認からかな……使用できる武器から効いても良いかな?」

 

「はい。えっとですね――」

 

 パイは新人ハンターの話を聞きながら内心で驚愕する。体躯は大きく、男性のハンターと比べても遜色ない上に骨格もしっかりしている体格に恵まれたハンターは大成するというのも一種の定説になるほどに体格は大事である。

 

 なにより、この新人ハンターは“武器を選ばないハンター”の素質があった。大概のハンターは多くの種類の武器を扱いきれない場合が多い、どうしても器用貧乏になりがちな傾向が多く、近距離と遠距離用の武器を一種類づつ扱えれば優秀だと言われている。

 

 だが、この新人ハンターは違う。武器の特性を理解し、操作する過程でもそつなくこなしている。実戦でそれを活かせるかどうかは分からないが逸材であることは明白である。むしろ、コレだけの人材の育成に関わらされた事実がパイにとっては軽いプレッシャーを感じていた。

 

「よく、ここまでいろんな武器を使いこなしているかな、それに、操作とかの方も特に言うべき事も無いかな……じゃあ、狩技についてはどこまで聞いてるかな?」

 

「いくつかは、カリスタ教官から師事して貰いました……あとは『双剣』と『ガンランス』と『ヘビーボウガン』の狩技が知らないですね」

 

「分かったかな、そのあたりなら私も覚えてるから何とかなりそうかな……あと、私に教官って呼ばなくてもいいかな? 私は君の事後輩ちゃんって呼ぶかな……じゃあ、始めようか!」

 

 パイの指導が始まり、新人ハンターはその指導の分かりやすさに感激する。以前のカリスタ教官の指導も理解しやすかったが、パイの指導は同時に反復させるやり方で行われるために理屈だけではなく身体にもなじませていった。新人ハンターはそのとき“は”思った、この教官に出会えた事は間違いではないと……。

 

……

…………

……………。

 

「そう思った一ヶ月前の自分を叱りたいぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

「どうしたのかな? いきなり叫んだりしてー」

 

 新人ハンターの教官を引き受けてから一ヶ月、現在二人は『竜の卵』を担いで【森丘】を駆けていた。走る度に感じる風は普通であれば心地よく、開放感あふれる気持ちにさせてくれるであろう。

 

「ぎゃわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

 後方から【雌火竜≪リオレイヤ≫】が追いかけて来なければ……だが、この日の訓練は『運搬クエスト』の訓練であった。内容は『竜の卵』二つの納品。竜の“卵”というからにはそれを産み落とした存在が居る。そして卵を産んだ母親からすれば卵を奪いに来る不届き物に怒りをぶつけない理由など無い。

 

 それは理解できる。それでも依頼があればそれをするのが『ハンター』である事もこの一ヶ月の間でよく理解した。しかし、本来であれば『卵を護る親を倒せば運搬も楽なんだけどね、今回はあえて倒さずに運搬しようかな』などと言い出した教官代理のパイと共に一人一個のペースで運ぶ事となり、竜の巣から卵を拝借し、あえて、崖のある方から慎重に運んでゆく、凹凸の少なく落としやすい卵はちょっとした衝撃で落としてしまったりする。一歩一歩に神経を使いながらも何とか一番下まで降り、別の場所の最後の段差も無事に降りて一息つこうとしたその時、大きな影が『ハンター』二人を覆った。

 

「「……ですよねー」」

 

 同時に上を向いたパイと新人ハンターがつぶやき、見たのは凶悪な口から炎を漏らしながらもにらみ付けてくる……大層ご立腹な卵の母親であった。そしてその瞬間から地獄の鬼ごっこが開催され、そして現在に至るのだ。

 

「あっ、そうだ、ちなみに後輩ちゃん、卵を抱えてる時はできればジグザグに走ると被弾する確立が下がるかな」

 

「もう、息が切れそうです! なんで先輩はそんなにも余裕なんですか!?」

 

 そもそも体格差を考えても並走しているのがおかしい、新人ハンターは自分よりも小柄なパイがなぜ自分と同じ速度で走れているのか本気で理解できなかった。しかも、本人にその気はないだろうが見本のつもりだろうかジグザグに移動しはじめそれが余裕のようにも煽っているようにも見え、新人ハンターは小さく苛立ちを感じた。そして、苛立ちを感じたのは彼女だけではない。憎き卵泥棒に向け怒りの火球を吐き出した雌火竜の火球が奇しくもジグザグに動いていたパイの尻に直撃した。

 

「ぎゃぁぁ!? ケツがぁぁ!! 竜の卵がぁぁぁぁぁ!!?」

 

「せっ……せんぱぁぁぁぁい!!?」

 

 吹っ飛ばされるパイの手から卵が離れ、それが地面に激突し……哀れにもその中身がこぼれ出る。――ベチャ――っと音を立てて割れた卵を見つめていた雌火竜は怒りの咆哮を上げ、その咆哮を耳にしながらも安全なベースキャンプへと逃げ込むのであった……ちなみに落としてしまった竜の卵は再度パイが取りにいってなんとか、無事にクエストは終了した。

 

 新人ハンターは本当の意味でこの一ヶ月で色々な事を体験した。下地を積み重ねてきたお陰ではあるのだがそれでも、他の教官ならどうであっただろうか、新人ハンターは最近のことを思い出すと、突拍子も無い訓練内容であるとは思うし、普通に生傷もできるし、疲れ果てて帰ってくるから泥のように寝るなんて当たり前であった。

 

 それでも、常に教官であるパイはしっかりと見守っていた。失敗談やワザと失敗させてくれた事が考える事を覚えさせてくれたとも自覚できる。

 

 きっと、知識だけを教えるだけではなく経験させるやり方がパイの人を育てる方法なのだろう。土俵を常に下の者に合わせてくれるパイの教育方針とそれを実行することに慣れているように自然にそういう接し方をするパイを新人ハンターは尊敬していた……実際はそのようにやらなければ死ぬような地獄の訓練を元に一番弟子という名の被害者の時の失敗の対応策を織り込んだ結果ではあるのだが……。

 

「そういえばさ、龍暦院の最終審査っていつだっけ……? っお、かかった……何だ、『眠魚』か」

 

 夜の【森丘】で帰りの飛行船の時間まで暇だったのでベースキャンプで釣りをしながら時間を潰していると、唐突にパイが新人ハンターへ声を掛ける。

 

「審査ですか? 審査は後一ヵ月後ですね、その審査が通ったらすぐに試験ですので、先輩との訓練はあと半月ぐらいですね……っと! 『キレアジ』ですね」

 

「結構近いかな……まぁ、私が知る限りの知識は教えたから大丈夫じゃないかな……おおっ! 『黄金魚』だ!」

 

「えっ!? いいなぁ……まぁ、学科もかなり勉強しましたし落ちない自信はありますよ……やった! 『サシミウオ』ですよ!」

 

「ひゃっほー、今日はご馳走かな! さっき取った生肉も焼いちゃおうかなー!」

 

「いいですね! よーし、後、数匹は釣りますよー!」

 

 なにより、妙にノリの明るいパイと一緒に居てることで、自身の性格が知らずに改良されているなど、多感な年頃の少女でもある新人ハンターには分からない事でもあったのであった。

 

 その夜は遅くまで、笑い声が【森丘】に響き、それからあっという間に半月の時間が過ぎていった……。

 

 

――――――――――――――

 

 

 ギルドマネージャーは目の前の人物の変化に驚いていた。

 

 素質は十分ではあるが、自信なさげにうつ向き気味であった気弱な少女はどこにも居ない。未だに試験官も到着していない室内で落ち着いた様子で待機している。しかしその顔立ち自体に変化があるわけではなくしっかりと見れば、以前に出会った候補生である事が分かる。

 

 印象と言えば、地味と言える反復練習を延々とできる我慢強さとその恵まれて体格だろうか……技能などは後からでもついて来るのでギルドマネージャーは彼女を龍暦院の知り合いに紹介した。『ハンターズギルド』と『龍暦院』は組織も違うし昔は仲が良い訳ではなかったが『ハンター』という共通の戦力を保有する以上、情報を含めた繋がりを強くしてゆくという方向性は間違いではないはずだ。

 

 特に、モンスターの生体調査という研究員としての部分が大きい『龍暦院』ではある程度は学者としての素質を持つ人材を欲していることも知っていたので、そういう点では頭もいい彼女は逸材であると思っていた。大体“実力だけで言うならば”ハンターズギルドは現在でもかなりの戦力を保有しており、龍暦院の戦力になるハンターを増やして行く事は後々の余計な不安を消してゆく為の布石であった。

 

(印象だけでこうも人の見かけが変わるとはの……トビ子に任せたのは正解だったようだ)

 

 おそらく、カリスタ教官に任せていればここまでの変化は無かったであろう、関わる人々を良い意味で変化させてゆく。そんな逸材は自らの価値を知らずにその真価を発揮してゆくのであろう。

 

 不安材料を無くしてくれた恩はまた違う形で返そうと思いながらも、試験官が入室し室内に緊張が走るが、それでもなお変化の無い少女の対応に、ギルドマネージャーは決定された未来をみるような気持ちのまま旨そうに酒瓶を口に当てるのであった。

 

 正式な龍暦院のハンターとなった新人ハンターはその一報を親愛する師へと届けるために【バルバレ】にあるパイのマイルームへと走っていた。

 

 しかし、その場所へとたどり着くと彼女は困惑する事となる。理由は簡単であり、そのパイのマイルームその前に三人の同業者と一匹のアイルーが思案顔で佇んでいたからであった。

 

「あのー、ここってパイ・ルフィルさんの家ですよね?」

 

 新人改め、『龍暦院のハンター』は同姓のユクモの伝統装備に身を包むハンターへと話しかける。話しかけられたユクモ村の専属ハンターは軽く笑いながらも龍暦院のハンターにそのマイルームのドアの掲げられた立て札を指差す。

 

『現在、『危険物』調合中』

 

 実にシンプルに書かれた立て札に、理由をいまいち理解できていない龍暦院のハンターはその瞳をぱちくりとさせる。

 

「【アレ】といっても分からんな、現在トビ子は特製の『こやし玉』を作っておるのだ」

 

「『こやし玉』ですか? 特製って・・・・・・」

 

 『レックスX』装備一式に身を包んだ大柄な男ハンター。ポッケ村の専属ハンターが思案顔でそう告げる。すると、部屋の中からパイの叫びが木霊する。

 

「うん!! この香りかなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 使っている原材料も原材料なのでその叫びをどう捉えればいいのか、取り敢えず危険物の制作は順調そうであることだけはよく理解できた。声に反応して全員の視線が家屋に繋がるドアへと一瞬だけ向くが、すぐに戻し、何事もなかったかのように会話が続けられてゆく。

 

「トビ子ちゃんの【アレ】はぶつけたら確実にモンスターが逃げ出すからねぇ・・・・・・昔、爆弾の起爆に投げられた時は・・・・・・お姉さんあの時から少しの間、ちょっと臭いが取れなかったのよね」

 

 龍歴院のハンターはその時点でこのメンバーの付き合いの深さを肌で感じて押し黙る。そもそも、以前に講習で受けた内容では『こやし玉』は当てるとモンスターが逃げ出す効果はあるものの確実ではないとも聞いている。きっと、かなりの危ない物に変貌させているのだろうとだけは理解できた。

 

 何よりもだ、『こやし玉』と『大タル爆弾』。考えるだけで恐ろしい組み合わせに全員の背筋が凍りつく。確実に爆発の衝撃で四散するであろうモノが無差別に降り注ぐ可能性、いくら『ハンター』でもそれは嫌であったし、精神衛生上無事では済まない可能性など考えたくもない。

 

「あはは・・・・・・所でそういうわけだから、後で来るといいと思うよ、えっと・・・・・・」

 

 そして、誰もが思う事を考えない我らの団のハンターでもないので、引きつった笑顔のままパイを訪ねてきたであろう、恐らく新人のハンターに声をかける。我らの団のハンターから声をかけられた龍歴院のハンターも挨拶が遅れたことに気づき、姿勢を正すとともに頭を下げる。

 

「ごめんなさい! 挨拶が遅れてしまって、この度、龍歴院所属のハンターになった者です!」

 

「ああ、君が? トビ子ちゃんから聞いてるよ。僕は我らの団の専属ハンターだよ。所属は違うけど同じハンターだ、これから宜しく」

 

「私は、ユクモ村の専属ハンターだよ。お気軽にユクモのお姉さんって呼んでくれたらいいよー、よろしくね龍歴ちゃん」

 

「俺は、ポッケ村の専属ハンターだ。筋肉お兄さんとも筋肉の化身と呼んでくれてもいいぞ! 狩りの事でなら相談に乗るぞ! 龍歴の!」

 

「・・・・・・」

 

 自己紹介を交えた後、三人の専属ハンターは、何故か硬直してしまった龍歴院のハンターを不思議そうに見つめる。

 

「ええぇぇぇ!? あの伝説の・・・・・・しかも三人もですか!? 嘘ぉ!?」

 

「ん? 伝説? どういう事、龍歴ちゃん」

 

 あからさまに驚く龍歴院のハンターにユクモ村の専属ハンターが聞き返す。その様子に信じられない、とでも言いたげな表情を浮かべて龍歴院のハンターが知り得る情報を語りだす。

 

「ご存知ないんですか!? ユクモ村の専属ハンターといえば、ユクモ村の麓まで降りてきた【雷狼竜《ジンオウガ》】を村の子供を守りながら討伐成功させて、天災級の【古龍】が来た時も貴女の事を信じて誰一人としてユクモ村から避難しない村人の話とか感激しました!」

 

 龍歴院のハンターの説明にユクモ村の専属ハンターは何とも言えない複雑な表情を浮かべる。

 

(いや・・・・・・危ないから、避難してって言ったのに、なんでか皆、避難しなかったんだよね・・・・・・村長からは謎の信頼を寄せられるし意味も分からずに信用されるのもけっこうなプレッシャーなんだけどね・・・・・・ってかそんな状況だったの? 皆も普通に生活してたからそんなに危機的状況だとも思わなかったんだけど・・・・・・あれって結構やばかったんだね)

 

 当時の事を思い出し苦笑いを浮かべるユクモ村の専属ハンター。お気楽な村人達の行動を信頼だと受け入れるにはやや考えるところがあり、かと言ってこの純粋な視線を裏切りたくないという気持ちも存在していた。

 

 なにより、自称『ユクモの鬼門番』だと言う青年など、結構あっけらかんとしていたのだ。今に思えばあのような雰囲気であったからこそ肩に力が入らずに狩猟に向かえたとも言えるが・・・・・・。

 

「くっくっく・・・・・・よかったなユクモの。英雄様だと・・・・・・ぷっ」

 

「ポッケの・・・・・・矢で射るよ?」

 

 笑いを堪えるように小刻みに震えるポッケ村の専属ハンターにジト目で辛辣な対応を取るユクモ村の専属ハンター。しかし、先ほどの『伝説の三人』というフレーズからその次の矛先がポッケ村の専属ハンターに向かう。

 

「ポッケ村の専属ハンターさんも英雄じゃないですか! 【轟龍《ティガレックス》】を退けた上に、多くの【古龍】を打倒してきた豪傑の英雄じゃないですか!」

 

(ぬぐぐぐ・・・・・・なんか、村人も村長も“お前ならできる”って感じに持って行かれた上にネコートにも持ち上げられて渋々行ったとは言えぬ!? この無垢な瞳を裏切るのは俺にはできぬ!)

 

 ぷふぅ――っと吹き出すユクモ村の専属ハンターに眉間にしわを寄せて睨むポッケ村の専属ハンター。ポッケ村の村長と同じぐらいの立場にいる存在の、ネコートと呼ばれるアイルーにはよく強烈なクエストを受けさせられた記憶の方が強い。かといって難易度の高いクエストを見事に成功させ、普段は堅苦しい言葉遣いのネコートをアイルー独特の『ニャ』を使わせるほど驚かせるのも、当時の楽しみであった。

 

「お二人共、歴戦のハンターですからね・・・・・・ちなみに三人って言ってたから・・・・・・僕も入っているのかい?」

 

「もちろんです! パンツ一丁でなんでもできるまつげの長いハンターの我らの団のハンターといえば、飛ぶ鳥を落とす勢いの有名人ですよ! 装備も何もない状態で【豪山竜《ダレン・モーラン》】の背に乗り込んで当時見ず知らずの我らの団の団長の帽子を奪還(?)して、さらには『筆頭ハンター』達でさえも撤退に追い込んだ【黒蝕竜《ゴア・マガラ》】を狩猟しただけではなくその秘密すらも解き明かしたハンターですよ! っというよりも、なんというか・・・・・・似顔絵と似てませんね」

 

「「「・・・・・・ぶふっ」」」

 

 その龍歴院のハンターの言葉に三人は以前に見た我らの団ハンターの――酷く尖った――似顔絵を思い出し吹き出す。

 

 全然特徴を捉えておらず、そのおかげか名前の認知度に比べて顔を知られていないという不思議な状態である我らの団ハンター。彼自身がめっぽう無頓着な為に現状訂正することなく放置しているのだが、何故ああいう感じになったのかは分からないが、当時は知り合いとその似顔絵をみて腹を抱えて笑ったものである。そんな四人の邂逅が後に龍歴院最強のハンターへと成長させるとはその時は誰もが思っていなかったのだった。

 

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 そして、それから更に二ヶ月が過ぎたある日【森丘】にパイとシロの姿があった。最近【ガンナー】装備の魅力に取り付かれたパイは相変わらずのキメラ装備に身を包みながら最近の愛用の武器である『メテオバズーカ』と全身“上位”の素材で作られた装備が彼女を飾っていた。

 

頭装備 アイルーヘアバンド《白》

 

体装備 混沌のイー・覇《黒》S3(罠師珠)(狩人珠)(茸食株)

 

腕装備 三眼の腕輪《白》S3(罠師珠)(狩人珠)(茸食株)

 

腰装備 クロメタルコート《黒》

 

足装備 ナルガSレギンス《黒》S1(跳躍株)

 

御守り 龍の護石《回避距離+5》S3(罠師珠)(狩人珠)(茸食株)

 

 発動スキル

 

 〈回避距離UP〉〈ハンター生活〉〈キノコ大好き〉〈罠師〉

 

 地味にスキル重視なパイにとってアイルーヘアバンドとクロメタルコートに付属している【胴系統倍化】と胴装備の『混沌のイー・覇』のスロット3と言うのは実にいい組み合わせであった。強力なスキルは発動できないが、地味に汎用性が高いうえに、今だに手放せない『ハンター生活』は今までのベースキャンプからの安全なスタートを望めない状況において余計に手放せない物となっていた。

 

 そして、救済のようなスキル『キノコ大好き』ふざけた様な名前だが、なかなかに凶悪なスキルでもある。効果はキノコが食べれるようになり、食べたキノコによって様々な恩恵を受けると言うものである。

 

 何より不思議な事に、このスキルが発動していないとキノコが一部を除いて食すことが出ないのである。むしろ、何故スキルが発動するだけで食べれるようになるのか・・・・・・。

 

 パイも新人時代は不思議に思い、首をひねっていたが、最近では考えることをやめていた。『そういうものである』という魔法の言葉が『ハンター』達の中での定説になっていた。

 

 以前の装備に比べるとロングスカートのように見えるとコートを混ぜたような黒光と所々に金色の細工が施されている装甲が貼り付けられている。そして、その胴には彼女の限りなく絶壁でなければセクシーな胸元を強調するような装備であり、その何処か異国の衣装を思わせるデザインが胴と腰の装備がまるで異彩なドレスのような見立てに仕立て上げている。腕はほぼ素肌であることもその要因に一役買っているだろう。

 

 そして、以前から装備しているアイルーヘアバンドの存在によってパイの姿はさながら“白黒の柄の猫”のようなイメージを他者に与える事だろう。

 

 どちらにしても、前回とは異なる“痛い”系装備に身を包んだパイは【森丘】のベースキャンプからほど近いエリアでキノコを採取していた。

 

「アオキノコかな! ニトロダケかな! マヒダケかな! ウホッ!? マンドラゴラとクタビレダケかなー! キノコの天国かなー!!」

 

「ご主人のテンションが上がってちょっと気持ち悪いニャー」

 

 相棒のアイルーでもあるシロでさえも主人のテンションの高さに若干引き気味であった。とはいえ、比較的に手に入りやすい割には“効果の高い”キノコ達を見てパイのテンションはかなり上がっていた。そして、彼女は不幸の星に好かれていた。それはもうその星が隕石とかして彼女の頭上に落ちてくるなんて奇跡が起こりそうなぐらいに好かれていた。

 

 不幸の一つは、鬱蒼と生い茂る森の中にいる事で空に赤い光がある事に気がつかなかったこと。パイは慎重な性格ではあるので、嘗ての状況に近いことを理解すれば警戒を怠ることはなかっただろう。

 

 不幸の二つは、そのエリアは『ファンゴ』が生えてくる事で有名な場所であった事だ。猪の形状をしているファンゴはどういった生体なのか、それとも地中が程よい温度なのか定かではないが、地中から抜け出しながら登場する姿を多くのハンターが目撃している事もあってか、いつしかファンゴ=生えてくる物という認識を持たれている。そして、ファンゴといえばハンターが嫌いなモンスター上位の『ホーミング生肉』の一匹である。

 

 周りに無警戒にキノコを採取するハンターに突撃するファンゴ。丁度、背後に向いていたパイはその突撃を尻越しに受けて吹っ飛ぶ。

 

「こんの生肉がぁぁ!! 許さないのかなーー!」

 

 顔面に土をつけながらも怒り心頭と言いたげに立ち上がったパイの『メテオバズーカ』が火を噴きアッと言う間にファンゴはハチの巣となったが、同時に理不尽な攻撃に晒されたパイの苛立ちは相当の物であった。不思議な物であるが、人間どうでもいい事で邪魔されると怒りの沸点が一時的にかなり下がる時がある……パイにとっては今回の事がソレであった……。

 

「ぬぐぐ……なんだか、腹正しいのかな!! こうなったら飛びこみに行くのかなー!!」

 

「ご主人? 『森丘』に飛び込むポイントはないニャよ?」

 

『孤島』や『渓流』などには存在するが、いくつかの狩場にはシロの言う所の『ジャンプポイント』は確かに存在しない。だが、ひと時のスリルを感じる事に快感を覚えてしまった駄目な人であるパイには心当たりもあるのかそのままエリアを三つほど通り過ぎ場所。周りを岸壁に囲まれた場所にたどり着く。その場所は飛竜種の巣に繋がる場所裏手に当たる場所であり、やや回り道はしないと行けないが龍の巣に繋がる場所に行くことができる。

 

 かなりの高さがあり、底では豚に近いモンスターであるモスがモソモソと草を食んでいる。そのモスを無視して崖を登り始めたパイとシロは、登れる最高の位置である龍の巣への入り口付近に立つと、そのまま助走をつけて飛び立った……今まで死角になっていて気付かなかった空間のゆがみに向けて……。

 

「あっ!? ありえないのかな~~~!!」

 

「ニャ!? ニャンとぉぉぉ~~~~!!」

 

 恐ろしいぐらいに不幸の星に溺愛された『ハンター』。パイ・ルフィルは【大陸】帰還後、半年と少しも経たずに空間の歪みの先、久々の【オラリオ】へと飛び立つのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。