白燐に煌めく光の下で   作:柏コア

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まず始めに、投稿が遅れてしまいすみませんでした…現実の方でかなり忙しくなってしまいまして…これからも絶対続けてはいくつもりなのでよろしくお願いします!!
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第13話 人は支え合って人と読む

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫?」

 

「ああ、おかげさまでありがとな。」

 

「もうなんでも一人で解決しようとなんてしないでね……私がずっとそばにいるから」

 

この感覚はなんだろうか。

一度失った幼馴染が俺の事をもう一度受け入れてくれて治せた関係。

その中で固まった俺の決意は燐子を守ること。

そのはずなのに、俺は燐子に助けられて守られてばっかりだ。

らしくないのなんて分かってる、だけど

一度離れて優しく抱きしめてこう口を開く

 

 

「ありがとな、今度は俺が燐子を守る番だ。」

 

そう言って燐子の返事を待っていたが、一向に返事がない。

もしやと思って耳を澄ませてみると

 

 

「そうだよな、学校からここまでわざわざ走ってきてくれたんだよな。」

 

規則正しい寝息が聞こえてきた。

 

 

「本当にありがとな……燐子」

 

優しく燐子を膝枕にしてあげる。普段の大人びた様子とは違った、子供のような寝顔につい頬編んでしまう。

明日のことなんか考えずに、背もたれにもたれて眼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー龍樹サイド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんなんだこの状況は…」

 

昨日和士が欠席して今日も欠席してる。最近こっそり偵察して仲がいいんじゃないかと思った白金さんの所に行ってもその白金さんも欠席だと。

普通ならただの偶然かも知れないけど和士が休みだった昨日に白金さんが何処かに急いで向かっている様を見てしまった翌日だと、どうも関係あるように思えても仕方ないだろう。

どうも掴みかけていそうな事実が掴めないことに多少の苛立ちを覚えながら、とりあえず忘れようと思いクラスの様子を見回す

 

 

「あっやべ、次移動教室やん……」

 

誰もいないクラスをダッシュで飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ダッシュしたお陰でギリギリ授業には間に合った。

とでも言えてるような時間帯だが残念ながらチャイムはもうなり終わっていて、今俺は廊下にいる。

何故かというとそんな重大な事でもなくて、目的の教室に向かうために通らなきゃいけない階段で先生と氷川さんが話をしていて、どうにも横を通るには気が進まないからだ。

 

 

「あー……アイツに怒られんのダリィなぁ」

 

そんな愚痴を吐きながら話しが終わったみたいなので階段の1段目に足をかけた最中、

 

 

「カシャン」

 

前を歩いていた氷川さんの筆箱が落ちてきたので、拾って返そうと思い前を向くと

 

 

「バサバサッ」

 

抱えていたはずの教科書と共に、氷川さんが落ちてきた。

 

女子の怪我なんて流石に間近で見たくないので、しっかりと抱き抱え、氷川さんと共に階段の前の広間まで落ちた

すぐに起き上がり氷川さんの無事を確認するように

 

 

「氷川さん!!大丈夫!?」

 

こう声をかけたが、返事が無い。

流石に考えたくもなかったが、最悪の事態ではない事を確認するために、彼女の鼻の前に指を近づけてみる。

 

 

「……!?よかった……。」

 

しっかり俺の指には規則正しい呼吸の息の感触があったのでひとまず安心した。

だけど無事ではなさそうなので保健室まで運んでいくことにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー紗夜サイド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……?」

 

目を開くと、真っ白な天井が見える。

状態を起こして周りを見渡してみると、ベージュ色のカーテンに包まれていてそこには何故か私の知る人物がイスに座って眠っていた

 

 

「米川さん……何故ここに?」

 

そう声をかけても私が小さく声をかけたのもあって起きなかったので、少し揺すってみると

 

 

「ふぁ……!?氷川さん!大丈夫!?」

 

「ひっ」

 

急に起きるなり大声を出すので、かなり驚いてしまって情けない声が出てしまった。

 

 

「ここは保健室ですね、米川さんは何故ここに?」

 

「あぁ氷川さん、それはね……」

 

それから米川さんから何があって今こうなっているかを聞いた。

私は急に階段で倒れてしまったらしく、それを米川さんが助けてくれてここまで運んできてくれたそうだ。

 

 

「ご迷惑をお掛けしてすみません米川さん、米川さんは怪我はありませんか?」

 

「俺は全然余裕だぜ。氷川さんの方は大丈夫?」

 

「ええ、もう大丈夫ですよ。ありがとうございます。」

 

そう言って話を終えたのだが、米川さんは何故か私のことを見つめっぱなしで目線を一向にそらしてくれない。

 

 

「あの……米川さん?」

 

「氷川さん、本当に大丈夫なんだね?」

 

改めて米川さんが聞いてくるので珍しいとは思ったが、心配をかける訳にはいかないので

 

 

「私は全然大丈夫ですよ。」

 

そういって起き上がろうとすると米川さんは手を出してきて起き上がるのを防ぐようにしてきた。

 

 

「どうかしましたか?米川さん」

 

「大丈夫なら……なんで寝ながら泣いてたの、日菜って誰なの……?」

 

「えっ……?」

 

米川さんがそういうので自分の頰を触ってみると、確かに涙が乾いた跡があった

 

 

「それは……」

 

ここまで言われてしまうと心当たりがありすぎる。でも認めてしまったら自分には耐えられる自信が無かった。

これ以上は言葉が出ない

 

 

「氷川さんが頑張ってる姿はいっぱい見てる。だからさ……」

 

"もう、無理しないでいいんだよ?"

 

彼が優しい顔でそう言ってくる姿は今の私を壊すのには十分すぎた。

 

 

「米川さんに……っ、あなたに……っ何が分かるんですか……!」

 

こんな風に強がってるけど今の私は涙が溢れて止まらない状態。こんな姿の女に、覇気を感じる人間なんて居るだろうか。

 

 

「うん、俺は何も分かんないよ。分からないから分かりたいんだ。」

 

「なんで……っ!」

 

「なんでもだよ。だからさ……話してくれよ」

 

ここまで優しくされた経験なんて少ない私からしたら彼の優しさが恐ろしいほど愛おしくて全てを曝け出してしまおうと簡単に思えてしまった。

私の心の中に溜まっていた感情を全て話した。

 

 

日菜と比べられてコンプレックスを感じている私のこと。

 

追いつきたくて練習しても全く成長できない私はのこと。

 

あの日……品崎さんを突き放してしまった日の私の"後悔"

 

 

全てを話し終わった頃には、もう涙は止まっていた。

 

 

「やっぱり辛かったんだね。これからは俺がいるから安心してな。」

 

「ありがとうございます……。あの、今日は情けない姿を見せてしまってすみませんでした。」

 

「謝る必要なんてないよ。今日だけは氷川さんに情けなくなって欲しかったんだもん。」

 

「それはどういう……」

 

「氷川さんに全部話して欲しかったってこと。話してくれてありがとな。」

 

「本当にこちらこそありがとうございます。米川さんになら、本当に安心出来そうです。」

 

できる限りの笑顔を作って彼にそう伝えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー和士サイド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ……?」

 

照りつけるような太陽の光で起こされた。周りを見渡してみると、ここは屋上みたいだ。

そこで思い出した。ここは病院で、ベンチに座って寝てしまった訳だ。

下を見てみると燐子はまだすやすや寝ているので、子供みたいな寝顔のほっぺたをつつくと

 

 

「んん……?」

 

本当に子供みたいで、可愛い寝起きでこっちが少し照れてしまうが平然を装って

 

 

「おはよう燐子、よく寝れた?」

 

俺がこういうと燐子は俺を見つめて固まっている。そうしてすぐに何かに気づいたような顔になったので

 

 

「どうした?俺の顔になんかついてるか?」

 

「いや……今日学校じゃ……」

 

「アァァァァァァァ!!」

 

「ふふふ……あはは……!」

 

なんだか無意識に学校をサボっちゃったことに面白くなって、二人で笑いながら時を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









この場を借りて高評価をつけてくださった方をご紹介させていただきます!


評価10という最高評価をつけてくださったぴぽさん!!


本当にありがとうございます!!これからもよろしくお願いしますね!!






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