9話
「行ってらっしゃいククイ博士!」
元気のいいサトシの声が外で聞こえる。今日は休日だけど、ククイ博士は研究者同士の会合みたいなので今しがた家を出た。
俺はというと、まあ朝食の食器の片付けとか博士の白衣の洗濯をしている。……白衣ってあんまり洗うようなものじゃないんだけど、博士は素肌に直に着てるし洗ったほうがいい。
「サトシ、俺も今日は用事があって出ないといけないんだ。留守番頼めるか?」
「うん!コイツらと特訓してる!」
「ピカッ!」
「クルルゥ……zzz」
「アンッ!」
「僕も協力するロト!」
一名寝てるけどいい返事だ。
「そうか、昼飯は作っといたから、適当な時間に食べなさい。キッチンに置いとくからな」
「分かった!」
「それと……俺、用事が夕方までかかりそうだからさ、お使いも頼んでいいか?」
今日の分くらいで冷蔵庫の中身がなくなるからなぁ……
「任せて兄ちゃん!」
「ありがとうなサトシ。……そうだ、これで好きなもの買ってこい」
俺はサトシに少しお金を渡す。
「んじゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃ〜い!」
……島間って勝手に飛んでいって良いんだっけ。やめとくか、わからない事をしてミスっても嫌だしな。
「プラスル、出ておいで」
「プラッ」
「一緒に歩こうぜ、面倒だったら頭の上に乗ってて良いし」
「プラ〜」
仕方ねえなと言わんばかりに頭を振り、俺によじ登るプラスル。
「プラァ?」
「ラナキラマウンテンって言ってな。ウラウラ島にあるんだよ。ポケモンリーグ建設予定地?になる筈なんだ」
「プ……ラ?」
難しいか〜
「ポケモンリーグはわかるだろ?あれをどこに作るかって事だよ」
「プラ〜」
「ちなみに雪山だからめっちゃ寒い」
「プラッ!?」
「多分な〜」
まあ、十中八九寒いだろうな。ゲームだとコオリZ落ちてたし(関係ない)
ちなみにボーさんを出してないのはウラウラ島の位置を正確に覚えてないからです。
「見えたぞ、今日はあの船に乗って行くぞ」
街の船着場へ到着。今日乗る船はよくある普通の連絡船だ。
「さてと、じゃあ行こうかプラスル。また、見たことないポケモンがいるかもな」
「プラ?…プッラ!」
〜一方、サトシは……〜
「あーあ……ちらかしやがって……」
いろんな物が散乱しまくったククイ家。遊んでいたピカチュウたちがモクローにぶつかり、驚いて起きたモクローが棚の物を吹っ飛ばし、それで埋もれたピカチュウが電撃を撒き散らす。
サトシが飲んでいたジュースが入ったコップも倒れ服はびしょ濡れだ。
「これは……兄ちゃんに怒られる!?」
「ピカ!?」
「クル…?」
「クゥン?」
「そんなにロト?ちゃんと片付けて、謝ったら許してくれるロト!」
ロトムは当たり前と行った感じでサトシに言う。しかし……
「ロトムは兄ちゃんが怒ったのを見たことがないから言えるけど、怒った時の兄ちゃんは恐ろしすぎるんだ!」
「あのサトルがロト?予測不可能ロト」
「ピカッ!ピカピカ!……チュウ〜」
「ピカチュウもロト?……でも、とりあえず片付けるロト〜!」
原作より、洗濯機やら料理やらの被害がないだけまだマシということは、誰も知る由も無い。
〜サトル〜
「うっし、到着だ!」
「プラッ!」
やって来ましたウラウラ島!え、着くのが早い?ハハッ、なんのことだかわからんなぁ?
「マリエシティ……やっぱジョウトのエンジュシティ似てるな〜。舞妓さんとかいるのか?」
「プラッ?」
マリエシティを歩くこと数分。
「おお〜、あれ五重の塔っぽいな。ヒヒダルマの顔がついてるけど。んっ?羊羹かあれ?プラスル、ちょっと食べていこうぜ」
「プラッ!!」
……街のことを知るのも、仕事の一環だよな!!ウンウン。
バチッ
「すいません調子に乗りました……」
「プラ」
分かればよろしい、さあ早く羊羹をよこせ。……ってことか?コイツめ…
「はい、プラスル。トサキント型だったぞ。すごい食べにくいな!」
「プ……プラァ……」
トサキント型の羊羹……すげぇけど、これを切ることにすごい抵抗がある。プラスルも微妙な顔してんな。
「プ……プ……プラァ!」
おお!プラスルお前勇者か!?がっつり尻尾の部分切った。
「プラァ♪」
「美味いか?じゃあ俺も頂こうかな。………美味ッ!メチャクチャ美味いなこれ」
その後もパクパクと食べ進める俺たち。
「あっ……」
「プラ?」
そして残ったのは、頭部……
「プラスル、お前食べていいぞ?俺は十分堪能したから」
「プラッ、プラプラ、プラァ」
いやいや、そちらこそ。とでも言うように皿をこっちに寄せてくるプラスル。……頭部だけ残ったトサキントとか罪悪感で食えねえよ!?
「遠慮すんなって……なっ?プラスル?」
「プラ……プラプラ……?」
俺たちが謎の意地の張り合いを続けていると……
「ケラ〜」
「「あっ!? / プラッ!?」」
飛んできたツツケラがパクッと食べて行ってしまった。
「「…………」」
「丸く収まった……てことで良いのか?」
「プゥ……ラ?」
少し変な雰囲気が流れたが、気を取り直して行動再開。
「えっと……あ、あのすいません。ちょっとお聞きしても良いですか」
俺は通りすがりのおばあちゃんに声かける。
「どうしたんだい?」
「この島のしまキングのクチナシさんにお会いしたいんですけど、どこに行けば会えますか?」
「しまキングなら………この道をずっと歩いて行ったら交番があってね〜。そこにいるはずだよ」
「分かりました。ありがとうございます」
「しまめぐりの途中かい?」
「いえ、仕事でして」
「若いのに偉いねぇ〜」
「プラッ」
「おや、可愛い子も一緒で」
ちょっと会話をして、もう一回礼を言って俺たちは歩き出す。
「お前がいるおかげで人に話しかけるときも雰囲気が和らぐからありがたいよ」
「プラッ」
「ん?バス停?」
そこには時刻表が書かれている。
「ウラウラ島交番前?………バスがあるってことはそこそこ距離ありそうだな………」
「プラ?」
「いや、バスはちょっと……多分酔う」
「プラプラァ……」
「仕方ない。歩くか。まだ昼にもなってないし」
「プラ」
〜またまたサトシ〜
「よし、なんとか片付いた〜」
「疲れたロト〜」
「ペカ〜」
グデ〜ンとなったサトシ達。先ほどの大惨事を片付け終わった後のようだ。
「なんかお腹すいて来ちゃった……」
「まだお昼前ロトよ?あんまり食べるとお昼ご飯たべれなくなるロト」
「お使い行ったときになんか買って食べるよ!兄ちゃんが作ってくれたのは……これだ!いっただっきまーす!」
作り置きの昼食とポケモンフーズを全員で食べ始める。なんだかんだでピカチュウたちもお腹が空いていたようだ。
「美味い!」
「ピカッ!」
〜サトル〜
「いやこんなところに交番あるのかよ?」
「プラプラァ〜」
結構歩いて来た俺たち。見渡す限り森、という中で道だけが続いている。
「プラスル、疲れてないか?……ってお前は頭に乗ってたんだったな」
「プラ?」
「なんでもないさ。……ん?あれは……」
見えて来たのは、メレメレ島でもよく見かける形の交番。
「あれか……やっと着いたな」
ちなみにプラスルはボールに戻った。寝るらしい。
「アローラ、しまキングのクチナシさんはいらっしゃいますでしょうか?」
「………ニャ〜」
「え!?……ビビった、ニャースか」
足元を見たら沢山のアローラニャースがいた。
「ここを溜まり場にしてんのか。……にしてもくつろいでんな」
「はぁ〜、誰だあんちゃん?」
おっと、奥から人が……
「この度アローラ地方にポケモンリーグを作る協力のために、カントー地方ポケモン協会より派遣されて来ました。ジムリーダーのサトルです。以後お見知り置きを」
出て来たのはやる気のなさそうな中年のおっさん。
「そんなかたっ苦しいのはやめてくれ。俺はクチナシだ。……でわざわざこんなところまで何の用だ?まさかしまめぐりじゃないんだろ?」
「はい。ポケモンリーグをどこに作るか、という点で候補を何箇所か絞ったのでその視察に来ました。つきまして、ラナキラマウンテンに入りたいのです。その許可をいただきたいと思いまして」
ダメなのに勝手に入って、ジムリーダーの品格を落とすわけにはいかない。
「そんなわざわざ許可なんぞ取りに来なくても……勝手に入っていいぞ。ほら許可は出したから、行った行った。俺は忙しいんだ」
この人よく警官としまキングになれたな……
「はあ……分かりました。では失礼します。お忙しい中すいませんでした」
俺は出て行こうとする。しかし……
「ちょっと待ったあんちゃん。サトルって言ってたな。ジムリーダーって事はタイプ統一してんだろ?何タイプだ?」
「一応、ゴーストタイプですけど?」
三体しかいないし、ボーさんとプラスルがいるから統一はしてないけど。
「……ZリングとゴーストZ、欲しくないか?」
「は?」
突然何を言いだすんだこの人、唐突にやる気出して。
「なんだ、欲しくないのか?」
「どっちかって言われると、必要ではないですね」
「へぇ……どうしてだ?」
「過ぎた力は人を堕落させますし、何より私はしまめぐりの儀式を受けていません」
「しまめぐりなんぞ形骸化してるだけだ。別にしまめぐりを受けていなくてもZリングとZクリスタルを持っている者もいる」
しまキングが言うセリフじゃないな。
「だからですよ。カプに気に入られたなどのような特殊な事例以外で特別扱いをされるのは嫌なんです。私は……人の努力を、否定されたくはない。それはその人が必死の思いで積み上げて来たものだから」
まず、俺はキーストーンとメガストーンも持ってるしな。ゲームで言うところのグズマとか、スカル団のような奴らが生まれる原因の一つだ。
「……なるほど、サカキが自慢していたのも分かる」
「今何かおっしゃいました?」
「なんでもねぇさ。いやすまん。もういい、その言葉は人前ではあんまり言わない方が良い」
「はぁ……ご忠告痛み入ります。では失礼します」
なんだったんだ?
「ニャ〜」
「ん、じゃあな」
俺は外に出てあらかじめ聞いていたラナキラマウンテンの方に進む。
「変な人だったな。……ここなら出せるか。ボーさん」
「ガウッ」
少し広めの道に出てボールからボーさんをだす。
「ここからあの山まで頼めるか、結構寒いから近くまででいいぞ」
「マンダッ!」
「じゃあ……GO!」
一気に飛翔する。
「今日もいい調子だなボーさん。最近こんな感じばっかりでごめんな」
「マンダ」
大丈夫、と首を振って伝えてくれる。
「んー……あの場所にしようか」
「マンダァ」
俺が指定した地点にしっかりと足をつけ着地。
「ありがとうボーさん」
そしてボールに戻す。
「プラスルは……まだ寝てるだろうな」
まあ一人で行くか。ちゃんと上着持って来たしいけるだろ。
「おっ、ユキワラシだ。あれは……白いロコンて事はアローラの姿か」
こおりポケモンがやっぱり多いな。チラッとこっち見てくるけど慣れているのか素通りしていく。
「コォン」
「ロコン、どうしたすり寄って来て?食べ物か?こおりポケモンが好みそうなものは……」
「コン!」
「うおっと……どうした?」
ロコンが俺のズボンを噛んで引っ張っている。
「こっちに来い、って事か?」
「コンコン!」
何があるのか、どうして俺なのか、疑問は多いがまあ行ってみるしかない。
ついていくと、そこそこ大きい洞窟が見えて来た。そこでロコンが止まりこちらを見てくる。
「コォン」
「行けってか?分かった」
俺は1人で洞窟を進む。ズバットの鳴き声が聞こえるけど襲ってこないあたり様子見ってところか。
「なんかさらに寒くなって来たな……プラスルはボールの中にいてよかったかもな」
今回はデラさんの出番かな。相手によるけど。
さらに進むと光が見えて来た。
「あそこか、一体何が……ッ、眩しい」
光に目をやられたが少し待つと回復。そして見えた光景は、
「ッ!?こんな場所があったのか……」
とてつもなく広い空間、空が見えるので山は貫通しているのだろう。しかも周りには花が咲いている。この寒さで、よく咲いている…… ポケモン達の姿も見える。憩いの場、と言ったところか。
「ロコンはなんで俺にここへ来させたのんだ?人間が踏み込んでいい領域じゃないぞ……」
「クォーーーーン!!」
「ッ!!この声は……?」
目を向けるとこ、この場所の中心でこちらを向き寝そべっているキュウコンの姿があった。
俺は近づき話しかける。
「俺を呼んだのはお前か、キュウコン?」
コクッ、っと頷く。
「どうしてだ?なあキュウコn……ッ!?……それは」
キュウコンはその体を丸めて、タマゴを温めていた。
「そうか……お前、その子を産むのに頑張ったんだな……」
体力を消耗しすぎたのか震えているキュウコン。俺は専門家ではないけど、これくらいは分かる。
このキュウコンはもう長くない。産んでから今までもわずかな体力で守り続けて来たのだろう。他のポケモン達も集まって来た。
「良いのか?野生のアローラのキュウコンは確か人間を避けていたはずだ。人間である俺をここに招かないほうがよかったんじゃないのか?」
「クォン」
キュウコンが別の方向を見る。そこには赤色が目立つポケモンが……
「……カプ・ブルル。ウラウラ島の守り神か。つまるところ……認められたって事で良いのかな」
どのタイミングで……あっ、そういやクチナシさんが変なこと聞いて来たな。あの時もいたのかカプ・ブルル。
「クォン」
「もう一つ聞きたい。それは、カプ・ブルルが認めたから、じゃなくてお前の意思か?お前が、その子を本当に守りたいから俺に……人間に預けるのか?」
俺はキュウコン目を見て聞く。
「クォーーーーン!!」
「……お前の気持ち、しっかり受け取った。任せろ」
俺はキュウコンに近づき、タマゴに触る。冷たいけど暖かい、命の温もりだ。
俺はカバンからタマゴ用の携帯カプセルを取り出す。なんでこんなの持ってるかって?使うかもしれないと思って買ってたんだよ。
「今からタマゴをこれに入れるんだ。何かしてあげるか?」
「………クォン!」
「おお……」
キュウコンはオーロラベールを発動し辺り一面に広げた。
「見えてないだろうけど、きっと伝わってるぜ」
親からの我が子に対する最期の愛情。
「この子に相応しいパートナーを絶対見つけてやる……じゃあな」
そして俺は洞窟を出る。
「コォン……」
「ロコン、待っててくれてたのか。もしかして、お前の兄弟になる予定だったか?」
「コン!」
元気よく返事するロコン。
「コイツは俺たちがちゃんと育てるから、安心しろ」
「……コン!」
信じてくれたようだ。
「ボーさん出てきて。今日はこのままメレメレ島に帰るよ」
「マンダ?」
「ああ、このタマゴをオーキド校長に預ける。俺よりは詳しいし、ちゃんと対応してくれるからな」
「マンダァ!」
サトシ達が持ってきたタマゴもあるから扱いはわかるだろうしな。
「朝くらいの速さで頼む。丁重に扱わないといけないしな」
「ガウッ」
そして俺は、ポケモンスクールに向かい、休日出勤していたオーキド校長に話を通して、タマゴを預かってもらった。俺自身の手で孵化させるには他の仕事が多すぎる。オーキド校長が暇ってわけじゃないけど、引き受けてくれたことには感謝だ。
「……もう夕方か。帰るか、サトシの奴ちゃんとお使い言ってくれてんのかな……」
ひと段落ついて、どっと疲れが襲ってきた。
Pi Pi Pi……
「ん?誰だ……アローラ?」
『アローラ、サトル!もう用事は終わったのか?』
どうやらククイ博士のようだ。
「ククイ博士、今ちょうど終わりましたよ。博士の方もですか?」
『さっきな。今サトシとマーマネと一緒なんだが、これからアイナ食堂で夕飯なんだ。来れるか?』
マーマネ君も?
「スクールから出たんですぐ行けますよ。てか、サトシにお使い頼んだんですけど荷物大丈夫なんです?」
『あー、そのことなんだが……かくかくしかじかで……』
デパートでロケット団?あの人ら懲りねえな。まあ、仕方ないか。
「了解です。じゃあすぐ行くんで先入ってて下さい。【ウルトラダッシュアタック】で行くんで!」
『おう!じゃあお言葉に【あまえる】をして【さきどり】して待ってるぜ』
「『………ハハハ!!』」
その後、無事合流しみんなで夕飯を食べた。飯に反応して起きてきたプラスルも一緒にな。
………本来の目的である、ポケモンリーグ建設候補地の視察はすっかり忘れていた。仕方ないね、結構濃い1日だったし。
今回は完全オリジナルで、リーリエ のロコン出生の秘密を書いてみました。アニメではまだ語られていない事なので勝手にやっちゃって良いのかわかりませんでしたが、まあ大丈夫でしょっというノリです。
何文字くらいが読みやすい?
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2000文字
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5000文字
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7000文字
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10000文字
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10000〜20000文字くらい