13話
〜翌日〜
「サトシ、準備は出来てるか?」
「うん、バッチリ!」
「じゃあ……行ってらっしゃい。俺も後で行くよ」
「行ってきま〜す!!」
「ピッカァ!!」
「サトル、いつも任せて悪いな」
「いえいえ〜、ククイ博士、サトシの事お願いします」
「了解、任された。行ってきます」
「行ってらっしゃ〜い」
……行ったか。
皆さんどうも昨日ぶり、サトルだ。今日はサトシがハラさんに試練をお願いしに行った。まあ、いつでも良いって言ったのはハラさんだからね。行動力の化身サトシなら次の日あたりに行くとは思ってたよ。
「プラスル〜、あいつらを呼んできてくれ。近くの日陰にいると思うから」
「プラ〜」
「アン!」
「おっ、イワンコも行ってくれるのか?よし、頼んだぞ〜」
ククイ博士がイワンコのために作った出入り口からプラスルとイワンコが出て行く。イワンコもウチの濃いメンツに慣れてくれてよかったぜ。
ちなみに、今は手持ちを全員外に出している。まあちょっとの事ではアイツら平然と対処するしな。問題ない。
前に野宿していて俺が寝ている間に、ポケモンハンターに襲われた時があった。その時は俺が起きると所々凍ってるのに丸焦げになったポケモンハンターとマニューラが縄に縛られて気絶していた。……うちの手持ちが優秀すぎて泣ける。もう俺要らないのでは?
「さてと、家事もだいたい終わったな。……この見覚えのあるマスクはそっとククイ博士のタンスに入れておこう」
イヤ、オレハナニモミテナイケドナ。
「モミジちゃん電話出るかな?」
……prrr……prrr
携帯で電話をかける。……正直この地方で携帯とか使えないもんだと思ってました、すいません。
「もしもし、サトルです。
『もしもし、サトルさん?どうしたんですか?』
「昨日の件なんだけど、今日でも良いかい?都合が良くてね」
『全然大丈夫です。わざわざありがとうございます!!』
「オッケー、じゃあ昨日の場所で待ち合わせしよう。……2時間後でどうかな?」
『分かりました!よろしくお願いします!!」
「うん、じゃあまた後でね」
そして通話終了。……モミジちゃん心広すぎね?昨日の今日だぞ。予定もあっただろうに……
さてと……2時間後って言ったのは良いけど暇だな。何かする事は……
〜その頃のモミジ〜
「ふふふ……♪」
突然かかってきた電話。何気に友達の少ないモミジには誰からの電話なのかすぐにわかった。まさか昨日の今日で連絡してくるとは思わなかったが、そんなことは今のモミジにとってはどうでもいい。
(サトルさんと一緒にお出かけだなんて!これってもしかしてデート?)
「マ……マイ?」
相棒の少し引き気味の声も届かない。この恋する乙女はある意味で盲目的なのだ。
(キャー!!私たちまだお付き合いもしてないのに!!待ってモミジ。私はサトルさんの弟子、いついかなる時も弟子ということを忘れてはいけないのよ!!……でもやっぱりデートだよねぇ〜エヘヘ〜♪)
突然ブンブンと首を振ったり、顔に両手を持ってきて体をクネクネさせる主人に思わずマイナンは逃げた。マイナンは感じ取ったのだ。
今のモミジはヤバイと……
ダッシュして向かった先は同じ主人を持つ仲間の元。しかしそこはそこで喧嘩中というカオス。今日もマイナンの苦難は始まる。……しかし最近仲良くなった、自分と同じ色違いのプラスルに会えることは何気に楽しみなのであった。
〜2時間後〜
「プラァ……」
「お前……俺の頭の上でよくそんなにくつろげるな。何でそんなにバランス取れるんだよ」
あの後、外に出してた手持ち達を回収しに行くのに、地味に時間を使った。そろそろ待ち合わせの時間なんだが……まあ気長に待つか。
「サトルさ〜ん!」
……噂をすれば来たようだ。
「アローラ、モミジちゃん」
「あ、アローラ、サトルさん。遅くなりました」
まだ、アローラ式に慣れてないっぽいな〜。恥ずかしさが伝わってくる。
「いいや、丁度だよ。……飲み物いるかい?」
「大丈夫です!」
「マイ〜!」
モミジちゃんが来た方向から疲れ切った様子のマイナンが走ってくる。……置いてきたんかい。
「あっ、マイナン!大丈夫?」
「マイィ……」
「ほい、プラスルよろしく」
「プラ?……プラ!」
地面でぐで〜ってなっているマイナンを見て、俺はプラスルに水筒から注いだ水を持って行かせる。プラスルは、なんで自分が持っていくの?みたいな顔してたけどな。……ポケモンにも鈍感ってあるんやな。
……あっ、特性で《どんかん》ってあったな。
「プラッ」
「マイ?マイ!」
「ありがとうプラスルちゃん。……マイナン、落ち着いた?」
「マイ」
状況も落ち着いたらしい。……いや自分で言うのもなんだが、面白くないな。
「じゃあ行こうか」
「はい!」
そして俺たちはハラさんの家に向かって歩き出す。まあそこまで遠くもないし、すぐ着くだろう。
「そういや、キノガッサを持ってるって言ってたけど他にも手持ちはいるのかい?」
「えっと、マイナンと、ワカシャモ、キノガッサ、アサナンがいます」
なんか俺みたいな構成だな。
「かくとうタイプが多いな。好きなの?」
「かくとうタイプは好きですけど、意識してゲットしたわけじゃないんですよね。ワカシャモは元々アチャモですし、キノガッサもキノココでしたから」
たしかに、進化してかくとうタイプが増えたってことか。うちの面子も意識したわけじゃないからな〜。まあ、そういう縁があってゴーストタイプのジムリーダーにも慣れたんだけどね。
「俺も似たようなもんだな〜。……ホウエンを旅してたんだよね?ジムはどこまで行ったの?」
「えっと……ツツジさんに勝って、トウキさんにも勝って……テッセンさんにも勝って、アスナさんに負けてアローラに来たので3つです!」
「センリさんのところには行かなかったんだ。確か……コトキタウン出身って言ってたから一番近くなかったっけ?」
コトキタウンからだったら……すぐ隣の街だったような……?
「そうですよ。よくお母さんと一緒に買い物に行きました。でも、一番近くて馴染みがあるところだから、最後に行きたくて」
笑顔でモミジちゃんが言う。やっぱこの子、心意気も十分だな。……一年でジムを周り切らないといけないことを抜けばね?トクサネシティやルネシティからトウカシティの距離考えたら……やめよう。悲しくなる。
「それに、友達もトウカシティにいたのでポケモンたちを自慢したかったですし!」
「友達?」
「はい!ハルカちゃんて言うんですけど、語尾に『かも〜』って言う面白い子なんですよ〜」
「へ……へぇ……なかなか個性的な子だな」
この子何気に原作キャラと会ってるゥ!?……あれ?俺はホウエン編見てないけどハルカのポケモンにもアチャモがいたような……?覚えてないや。
「おっ、着いたな。ここが今日お世話になる、しまキングのハラさんの家だ」
「大きい家ですね〜」
本当にすぐ着いたな。まだサトシ達は話し込んでるのだろうか……もしくは試練の場に向かった?
「プラスル、マイナン、少し大人しくしててくれよな」
「プラ」「マイ!」
当たり前だと言わんばかりのプラスルと元気のいいマイナン。……主人に似てるなこいつら。プラスルに関しては特に、俺が育て方をミスったか?
そして俺たちが家に近づくと、勝手に扉が開いた。……いや、誰かが出てきた。
「あっ、ククイ博士」
「サトルじゃないか。俺たちは丁度終わったぞ。……ん、そっちの子は……ああ、モミジって言う子か。サトルから聞いてるよ」
「えっ、あっ、はい。モミジっていいます!ホウエン地方から来ました!」
突然現れた、日焼け真っ黒の半裸に白衣の男(ククイ博士)にビビっているのか緊張しているのか、モミジちゃんが少しビクビクしながら挨拶する。
「よろしくな。俺はククイ。今アローラ地方でポケモンの技について研究してるんだ。ポケモンスクールで教師もやってる。わからないことがあったらいつでも聞きに来なさい。なんなら編入も待ってるぞ」
「あっ、ありがとうございます!」
しっかりと宣伝もしていくあたりさすが大人だな。……俺も同じようなことしたことあるな(1話冒頭)
「そういえばククイ博士、サトシは?」
「もうすぐ出てくるはず……ほら、出てきた」
「う〜ん……うん?」
なにやら悩んでいる様子のサトシが扉から出てきた。奥にはハラさんも見える。……サトシが悩むのも珍しいな。ハラさんが何か言ったのか?
「サトシ、どうだった?」
「……う〜ん……?」
「サ、サトシ?」
「う〜ん……」
「サトシ!?」
ついに反抗期がきたのかサトシ!?俺は……兄は悲しい……
俺を無視して少しずつ歩くサトシ……どうしたのと言うのだ……今まで兄ちゃん兄ちゃんと俺の後ろを追いかけてきてくれたのに…………いや、最近そうでもねぇな。……寂しい。
ちなみにピカチュウはプラマイコンビと遊んでる。ロトムは色違い2体を前に興奮しながら写真を撮ってる。
「ハハッ、心配しすぎだぞサトル。大丈夫だ。ハラさんから課題を出されて悩んでいるんだよ」
「あっ、なるほど。俺はてっきり、ついにサトシにも反抗期が来たのかと……」
「まだ10歳だぞ……ちょっと早いな。サトルは、これからか?」
そういや俺、前世でも反抗期らしい反抗期を経験してないな。
「反抗する相手がいないんでねぇ……ククイ博士、迷惑かけたらすんません」
「子供らしくていいと思うけどな。……おっと、サトシに着いてないとな。じゃあ、また後でなサトル」
「はい、頼みます。ロトム!ピカチュウ!置いていかれるぞ〜!」
「ピカッ!?」「サトシ、待つロト〜!!あっ、サトル、写真ありがとうロト!!」
お前が勝手に撮ってたんだろ…… そんな言葉を投げかける前に行ってしまった。
「サトルさん、今のは?」
「ああ、この前あっただろ?弟のサトシに、その相棒のピカチュウと……あいつどういう立ち位置なんだろう?まあポケモン図鑑に入ったことで喋れるようになったロトムだな」
「サトルさんの弟さん……なんか腕につけてましたね」
「Zリングって言ってな。まあ、すぐにわかるさ」
サトシ達を背に俺たちはハラさんの家に入る。
コンコン
「ハラさん、お邪魔します」
「おっ、お邪魔します」
「おやサトル君、昨日ぶりですな。どうかされましたかな?」
「ええ、ちょっとご相談があって」
「ふむ、そちらの少女は?」
「モミジって言います。修行のためにアローラに来ました!」
「元気が良いですなぁ。私はハラ、このメレメレ島のしまキングをしています」
昨日も来たなぁ……申し訳ないです。連日兄弟共々。
「それでサトル君どうしたのですかな?」
「実はこの子が……モミジちゃん、昨日のアレを出してもらえる?」
「はい。ちょっと待ってください……この辺に……あった!」
ゴソゴソとカバンを探し取り出したもの。
「っ!?それは……」
「やはりですか。これは、Zリングの原材料ですね」
「……これはどういう経緯で?」
ハラさんは訝しげな視線をモミジちゃんに向けてそう聞く。
「えっと……昨日アーカラ島に行ったんですけど、ピンク色のタマゴみたいなものに入って、人っぽい形をしてるかわいいポケモンにもらったんです」
「なんと!!カプ・テテフが……珍しい。余程のことがないと出会う事はないのですがなぁ……モミジ君に、なにかを感じたのかもしれませんな」
「そうでないと、こんな代物をくれないでしょうし。……さて、
俺の含みを持たせた発言にハラさんは深く考える。
「……それを見定めるのが、私達の役目ですからな。ふむ、モミジ君、島めぐりに挑戦してみませんかな?」
「島……めぐり?」
「このアローラ地方で、古くから執り行われてきた『儀式』とも言える風習ですな。成長を促すためのものですが、島の守り神から直接これを貰ったのなら挑んでもいいでしょう」
「俺は実際に見たことがないからあまり言えないけど、モミジちゃんの目的の修行にもなるよ」
「……」
まだ実感できていないのか、戸惑いの表情で考えている。
「……強くなれますか?」
「それは、君の頑張り次第ですな。ですが、資質は十分にあります。あのカプ・テテフが認めたのなら尚更」
「サトルさん?」
「俺も出来るだけ協力する。うちには島めぐりに挑戦してる弟もいるからな。サポートは任せろ!」
「……」
やっぱり、不安かな。突然過ぎるからね。
カタカタ……「マイッ!」
「マイナン、勝手に出てきちゃダメでしょ!」
「マイ!マイマイ、マイ!」
「マイ…ナン?」
短いその腕を必死に振って伝えようとするマイナン。
「一緒にやりたい、って言ってるんじゃないかな?」
「マイナン……そうなの?」
「マイッ!!」
「……ハラさん、サトルさん。私……島めぐりに挑戦します!!」
「しまキング、ハラ……しかと聞き届けましたぞ!」
こうしてモミジちゃんの島めぐり挑戦が決定した。若いっていいねぇ(15歳の思考)ハラさんも満足げな表情だ。
やっぱり、パートナーの存在っていうのは大きいなプラスル。俺もいつも、お前に助けられてる。ありがとうな。
カタカタ……っとボールが少し揺れる。
「ところでモミジ君、この石を預からせていただけないですかな?」
「どうしてですか?」
「Zリングに加工するため、だよ」
「Zリング……?」
「これです」
ハラさんは隣の部屋に行き、白い、サトシもつけているあのZリングを持ってきた。
「ここにひし形状の窪みがあるでしょう?これは、試練を突破するとその証として受け取るZクリスタルというものを嵌めるためなのですな」
ハラさんはさらに、少し大きめの箱を持ってきた。
「わあ……綺麗」
「これがZクリスタルですな。ここにあるのは18種類、分かりますかな?」
「18……?あっ!ポケモンのタイプの数!」
俺も黙ってみているけど、口を挟める雰囲気でもないなぁ……
「そう!Zクリスタルは各タイプごとに種類があり、そのタイプの技を覚えているポケモンが使用することができるのですな」
「使用……?」
「モミジちゃん、参考映像をどうぞ」
「あっ、ありがとうございます!」
『ダイナミック……フルフレイム!!』
この前許可を取って、撮影させてもらったのだ。カキ君、協力ありがとう!
「これが……Zクリスタルを使った攻撃」
「我々はZ技と呼んでいます。しかしZクリスタルとZリングがあればいいというわけではないのです。ポケモンとトレーナー、2人の心が一つとなり、特定のポーズと共に
「ポケモンとトレーナーの全力……すごいです……」
初めて見るZ技にトレーナーとしての好奇心が強いのだろう。わずかに口角が上がっている。俺も初めてみたときは興奮したからな。
「ハラさん……どうして、私だったのでしょうか?」
「ふむ……長年しまキングを務めて来ましたが、出せる答えは……守り神のみぞ知る、ですな。守り神は気まぐれですからなぁ」
「なるほ……ど?」
さすがは神様だよ。テテフの逆鱗に触れなかっただけ運がいいと思う。
「この原石をZリングへと加工するのに少し時間がかかるので、完成したらサトル君に預けてもいいですかな?」
「俺に、ですか?」
「ええ、会うことも多いでしょう?」
「まあ確かに、週一でコーチをする予定ですので。でもいいんですかハラさん。しまキングがZリングを渡すべきでは……?」
「昔ならそうすべきでしょうが、大丈夫でしょう」
「そういうことなら……」
なぜ俺なのだろうか?まあ信頼の証だと考えればいいか。
「では私は早速準備に取り掛かるとしますかな」
「っ、じゃあ俺たちはお暇しようか」
「わかりました。マイナン、行こっか」
「マイ」
「「お邪魔しました!」」
「こちらこそ、貴重な体験を聞かせてもらって感謝ですな」
そして俺たちは家を出る。
「さてと、どうする?宿まで送るよ」
「いえ、歩いて帰ろうと思います。出会ってないポケモン達に出会えるかもしれないので!」
「了解。気をつけてな」
「はい!サトルさんもお気をつけて!」
「ボーさん、頼む」
「マンダ!」
「わぁ……ボーマンダだ!」
すごいキラキラした目のモミジちゃんを横目に、俺はボーさんをボールから出しその背に乗る
そしてモミジちゃんに手を振りながら飛翔を開始。
「サトルさ〜ん!さようなら〜!」
「よし、ボーさん、let's go!」
こうして、1日が終わった。昼飯に誘えばよかったかもしれないと気づいたのは、家に帰った後だった。
〜その後〜
「う〜ん……」
「サトシ、昼ごはんだぞ?食べないのか?」
「う〜ん……」
「サ、サトシ?」
「う〜ん……」
「サトシィィィ!?!?」
ある兄弟のポケモン達はその主人達を横目に楽しく遊んでいる。ロトムはなぜか弟の唸りを数えているようだ。兄は「反抗期だァァァァ!!!!」と叫び、弟は聞こえていないのか「う〜ん……」と考え込むばかりだ。
ちなみに夜も同じような光景が繰り返されるのであった。
サトルの6体目は?
-
(ピカチュウ大好き)ミミッキュ♂
-
(海で出会った)プルリル♀
-
(いたずら大好き)カゲボウズ♂
-
(ポケヒロイン!)ムウマ♀
-
(タイプは被らないように!)ユキワラシ♀