サトシの兄な転生者   作:ゼノアplus+

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弟の試練

14話

 

 

「よし、今日はここまでにしよう。復習のプリントを作ってるから次の授業までにやっておくように!」

 

「「「「「「え〜!!」」」」」」

 

「ちなみに全問正解だった子には休憩時間にプラスルと遊ばせてあげよう」

 

「「「「「「頑張ります!!」」」」」」

 

「よろしい!」

 

 

ガタガタガタガタ!!!!

 

 

腰のボールがありえない速さで揺れているが気にしない。しかも最近運動してないから体重増えてきてるんだよ。せいぜい鬼ごっこして運動してこい。

 

現在、サトシ達のクラスではない教室で授業を行なっている。静かに授業を聞いてくれる良い子達だ。

 

 

「次の授業は……サトシ達のところか。……サトシは復活しているだろうか」

 

 

昨日からずっと、うーん、しか言ってなかったサトシだが無事にハラさんからの質問に答えられたのだろうか?最近悪さしてるコラッタとラッタ達の撃退だったか?調べたけどヤングースやデカグースの力で解決しているらしい。サトシがちゃんと調べていれば良いんだけども。……まあ、そんなことしてないよな。

 

 

「アローラ、授業の準備出来てるか……って、どうした?」

 

 

サトシ達のホームルームについた俺はみんなに呼びかける。

 

 

「あっ、先生!サトシがずっとこんな調子で……」

 

「朝から、うーん、ばかり繰り返しているんです。何かあったんですか?」

 

「……サトシから聞けば良いさ。朝からずっとか?授業中も?」

 

「は、はい……」

 

「授業中も」

 

 

みんなが教えてくれる。どうやらサトシはずっと悩み混んでいるらしい。しかし、俺の不機嫌が伝わったのか少し表情が硬い。

 

 

「すぅ……サトシィィィ!!」

 

「おわっ!?……兄ちゃん?」

 

 

突然大声で呼ばれて驚いたサトシは椅子から転げ落ちる。

 

 

「サトシ、ハラさんからの課題に悩むのは大いに結構だけど、授業にもちゃんと集中しなさい」

 

「うっ……ごめんなさい。でも、全然分からなくて」

 

「ちゃんと友達に相談したのか?」

 

「えっ?」

 

「一人で考え込むなんて、サトシらしくない。ハラさんは人と相談してはいけないなんて言ってないんじゃないか?」

 

「……あっ!」

 

 

気づいたらしい。それと同時に、カキ君達もサトシによる。

 

 

「そうだぞサトシ。聞かせてくれよ」

 

「私たちもお手伝いしたいです!」

 

「おお、サトルがいつになくお兄ちゃんしてるロト……」

 

「ほほう?ロトム、ちょっと話し合おうか?」

 

「エッ!?……遠慮するロト」

 

「ピカッ!!」

 

「ピカチュウ……うん。みんな、手伝って欲しい!」

 

 

生徒達が一致団結しているところに、俺は割り込む。……申し訳ないとは思ってるからな?

 

 

「その前に!授業の時間だ。今日はポケモンの生態について勉強します。コラッタ達のことではないからお前達で頑張るんだぞ」

 

「「「「「「はい!!」」」」」」

 

 

相変わらず、良い返事だ。……最近コレしか言ってないな。

 

 

 

 

〜森、キテルグマの住処〜

 

 

「ねえ」

 

「ん?どうしたムサシ」

 

「サトルがアローラに来てること、サカキ様に言った方がいいんじゃないの?」

 

「確かに……サカキ様もサトルの事気に入ってるしニャ〜」

 

「ソーナンス!!」

 

 

最近キテルグマに養われ始めたロケット団一行は、サトルについて話し合っていた。

 

 

「そうだな〜。些細なことでも報告したほうがいいし、報告するか!……次の定期報告っていつだったか?」

 

「ん〜……あれ、いつだったかしらね」

 

 

ビービービー!!

 

 

現実は無情、今である。

 

 

「なっ!?お前ら早く並べ!!」

 

 

シュッと全員が小型の投影機の前に立つ。

 

 

『定期報告の時間だ。お前たち、成果を聞こう』

 

 

画面にはカントーのペルシアンを侍らせたロケット団のボス、サカキの姿が。別件があるのか分からないが、マトリの姿はない。

 

 

「「「はッ!!」」」

 

「アローラのポケモンには格別強い個体がいるそうです。通常の個体よりも体が大きく能力も高いのだとか」

 

『ほうッ……捕獲することができれば、我がロケット団の貴重な戦力になり得るな。お前たちで捕獲は出来そうか?』

 

 

サカキは興味深そうに報告を聞く。

 

 

「もちろん!……と言いたいところですが、正直戦力が足りません。現地のポケモンを捕獲しただけではいささか……」

 

『ふむ……精鋭部隊の派遣も検討しておこう。他には?』

 

「別件になるのですが……」

 

 

コジロウの引き気味の声にサカキは反応する。

 

 

『言ってみろ』

 

「アローラ地方に、サトルが来ていますのニャ」

 

『サトルが……!!フフフッ……良い報告が聞けた。これからもせいぜい励め』

 

 

アニメでは放送できない、大人の汚い会話だった。

 

 

「「「ありがとうございます!!(ニャ!!)」」」

 

「ソーナンス!!」

 

『期待している』

 

 

そして通信が終了する。その日は、サカキの期待に応えるためキテルグマのとこから出て行こうとするが、当然連れ戻されるのだが余談である。

 

 

「クックック、ボーナスをやるか。サトルからも、いい働きをしたものにはそれ相応の報酬を、と言われたものだしな。私から出向く事も検討しておこう」

 

 

明らかに不穏な独り言がどこかで発せられた気がするが、本人しか知り得ないので割愛。

 

 

 

〜放課後〜

 

 

 

「兄ちゃん、俺ハラさんの所に行ってくる!」

 

「おっ……答えは出たのか?」

 

「うん!!ヤングースとかデカグース達の力を借りるんだ!!」

 

「……なるほどな。よし、行ってらっしゃい。サトシ、ピカチュウ」

 

「行ってきます!!」「ピッカ!!」

 

 

……あんなスピードで走っていって、バッグで寝てるモクローが起きないのは本当にすげえな。……さてと、早く終わらせて俺も行くか。せっかくハラさんに勧められたしな。

 

この後むちゃくちゃ仕事した。

 

 

 

 

〜少し経って〜

 

 

 

 

「ボーさんありがとう」

 

「マンダァ」

 

 

あの後速攻で仕事を終わらせた俺は、ボーさんに乗ってハラさんのところまでやってきた。

 

 

「おお、サトル君ちょうどよかったですなぁ。丁度今から試練を行おうとしていたのですな」

 

「あっ、兄ちゃん!」

 

 

ボーさんから降りてハラさんの家の敷地内に入ると、ちょうど2人が家から出てきた。……俺、毎回タイミングよすぎるな。

 

 

「ハラさん、この度は本当にありがとうございます。神聖な儀式の場に立ち会う事や撮影の許可まで頂いて……」

 

「いえいえ、アローラのためですからなぁ。カプ・コケコもお許しになるでしょう。何より、サトル君の事を気に入っていますからなぁ」

 

「そうだといいのですが……」

 

 

そこがちょっと不安なんだよなぁ……

 

 

「兄ちゃん?なんの話?」

 

「なんでもないさ。ほら、行こうぜ」

 

 

俺たちは試練を行う場所まで歩いていく。

 

話を聞く感じ、どうにも主ポケモンはラッタじゃなくてデカグースっぽいんだよなぁ。ゲームの知識はあてにできんな。

 

 

 

〜試練の洞窟〜

 

 

「ここが……」

 

 

前言撤回、洞窟の構造ゲームの時と全く同じだわ。いや〜ムーンまでやってて良かったわ〜(熱い手のひら返し)

 

 

 

「ロトム、映像を録画してもらえるか?できれば写真もセットで」

 

「もちろんロト!あとでコピーして渡してあげるロト」

 

「サンキューなロトム。サトシ、ピカチュウ、準備は?」

 

「バッチリだぜ兄ちゃん!なっ、ピカチュウ?」

 

「ピッカ!」

 

「ふむ、では主ポケモンを呼び出しますかな」

 

 

そして、ハラさんが洞窟の奥に向かって叫ぶ。すると、奥から足音が聞こえてきた。現れたのはヤングースとデカグースだ、しかし……

 

 

「普通の個体に見えますが……」

 

「その通りですサトル君。あれは主ポケモンの仲間、まずは彼らをポケモンバトルで倒すのですな」

 

「バトル!!だったら……ピカチュウ、モクロー!!」

 

「ピッカ!」「……zzz」

 

「へ?」

 

「寝てるな」

 

「寝てるロト」

 

 

ダブルバトルが始まる……と思った矢先に、ボールから出てきたモクローが寝ているという珍事。いや、モクローだったら日常茶飯事か。ハハッ、ポケモンの個性っていうのは面白いなぁ。

 

 

「モクロー起きろ!!」「ピカッ!!」

 

「ポッ!?」

 

「あっ、起きた」

 

「よし、じゃあ行くぜ!」

 

 

ヤングース達も構える。

 

サトシのバトルはダイジェストでお送りしよう。苦情は作者にどうぞ。(えっ……by作者)

 

 

 

「ピカチュウ【10まんボルト】、モクロー【たいあたり】だ!!」

 

 

デカグースに【10まんボルト】、ヤングースに【たいあたり】がヒットし戦闘不能になる。モクロー……すげぇな。音もなく忍び寄るあれはもはや天性の才能と言ってもいいだろうな。

 

そして次に現れるのは……

 

 

「グゥゥゥゥス!!」

 

「いや、デカすぎだろ!?」

 

「通常の3倍はあるロト!!」

 

 

さっきのデカグースの3倍ほどある、主ポケモンのデカグース。その巨体にはオレンジ色のオーラも見える。主ポケモンの特有の能力上昇のオーラだろう。……ていうか、ここの主ってラッタじゃなかった?アニメ世界とゲーム世界はやっぱ違うんだろうか。

 

その後、モクローは寝てしまったのでピカチュウ一体でバトルを開始。あの巨体とパワーで繰り出される【すなかけ】はもはや【すなあらし】に匹敵するレベルだった。歴戦のピカチュウでもその威力にはなす術がなく、強力な攻撃をヒットさせられる。

 

俺もプラスルでならどうするか対策を考えたが、あの巨体なら【くさむすび】で躓かせてから【でんじは】を確実に当てて【でんこうせっか】で削っていくってところか。最悪の場合の奥の手もあるし、問題ないな。

 

 

「ピカチュウッ、電気を駆け上がるんだッ!!」

 

「ピカァ!!」

 

 

………………はッ?えっちょアレどうなってんの!?えっ……おかしいな、砂って電気を纏えるっけ?砂鉄?いや、アレは厳密には鉄ではなかったはずなんだがなぁ……原理がわからん。

 

巻き上げられた【すなかけ】の砂に向かって放ったピカチュウの【10まんボルト】は砂で留まっていて、ピカチュウはその電気を足場にして巻き上げられた砂の上からデカグースに攻撃を与えていた。

 

 

「えぇ……プラスル、お前アレをどんな時も確実に成功させれるか?」

 

 

フルフルッ……

 

 

無理だそうだ。いや、普通に考えて無理だ。まずその発想が思いつかねぇよ……流石だ、サトシ……。

 

 

「ハハッ……ハラさん……」

 

「どうしましたかな?」

 

「俺の弟、マジで凄くないですか?」

 

「……ハッハッハッ!!そうですなぁ、私も予想外でしたな。サトシ君は、とてもいいトレーナーですなぁ……」

 

 

そしてそのまま【でんこうせっか】で攻撃を与え続けたピカチュウはデカグースの巨体を押し倒し、戦闘不能まで持っていった。

 

 

「試練そこまでッ!!この勝負、挑戦者サトシの勝利ッ!!」

 

「よっしゃあッ!!」

 

「ピッカァ!!」

 

「ロトム、録画停止だ。ありがとうな」

 

「どういたしましてロト。いい動画が撮れたロトよ〜」

 

「グ、グース……」

 

「ッ、デカグースッ!!」

 

 

サトシとピカチュウは起き上がったデカグースに駆け寄り肩を貸す。デカグースはサトシの助けを断るが代わりに何かを渡した。

 

 

「おぉ!!あれは……」

 

「ここからじゃ良く見えないな………ハラさん、あれは?」

 

「ノーマルZですな。主ポケモンがサトシ君を認めたという事ですな。普通は早々渡されるものではないのですな」

 

「なるほど……サトシのデカグースに対する思い遣りが通じたと……なんともサトシらしい」

 

 

今までの旅路でもそうだったしな。ゴウカザルやチャオブー、最近だとゲッコウガだったな。まだまだいるが、皆がサトシからの愛情を受けているから。リザードンとか酷かったしな。アレ?ほのおタイプ率高い……高くない?

 

 

「Zクリスタル……ゲットだぜッ!!」

 

「ピッピカチュウッ!!」

 

 

しっかりとポーズを決めていくサトシ。生では初めて見たな……

 

 

「お疲れ様サトシ、そしておめでとう。俺が見ない間に随分と強くなったな」

 

「ありがとう兄ちゃん。でも兄ちゃん、俺とバトルしてくれないからわからないでしょ?」

 

「ごもっともだな。まあ、いつかバトルしてやるよ。ふさわしい場所でな」

 

 

ジムリーダーとして、挑戦を受けてやるよ。

 

 

「むぅ……絶対だよ?」

 

「おう」

 

 

その日の夕食はいつもよりちょっと豪華にした。特にポケモン達には大好評だった。最近見かけたけどククイ博士って色んなポケモン持ってるのな。なんか俺らがいない時間見つけてポケモン達と食事したのをみたんだよ。たまたま早く仕事が終わった時にな。

 

 

〜翌日〜

 

 

「皆さん準備はいいですか?」

 

 

町にある大きな倉庫の前で俺、サトシ、ククイ博士、ハラさん、ジュンサーさん、昨日サトシが戦ったデカグース達が並んでいる。今回は最初の目的である、作物を荒らすラッタ達をしばくためだ。

 

 

「ヨ〜さん、扉が開いたら連続で【きあいだま】だ。威嚇程度の威力でな」

 

「……」グッ

 

 

ヨ〜さんがこちらをみてサムズアップしてきた。準備もバッチリっぽいな。

 

 

バァン!!

 

 

「「「「「「ッ!?」」」」」」

 

「ヨノワール、【きあいだま】!!」

 

 

ジュンサーさんが扉を開けると中には数え切れないほどのラッタとコラッタ達が驚いたようにこちらをみてくる。俺はヨ〜さんに指示を出しデカグース達も【すなかけ】や【かみつく】でラッタ達を吹っ飛ばしていく。

 

 

「すっげぇ!!」

 

「サトル君のヨノワール……先日も見ましたが素晴らしいパワーですな」

 

「ありがとうございます。……ッ、皆さん避けて!!ラッタ達が逃げます!!」

 

 

俺の声でその場にいた人たちが左右に避ける。待ってましたとばかりにラッタ達が森の方へ逃げていった。

 

 

「「「グースッ!!」」」

 

「……♪」

 

「お疲れ様ヨ〜さん。ありがとな」

 

 

ヨ〜さんをボールに戻す。

 

 

「協力感謝します!!」

 

「いえいえ、これもしまキングの仕事ですからなぁ」

 

「グース……」

 

「あら?」

 

 

ジュンサーさんが主デカグースと一緒にいたデカグースに目をつけた。どうしたんだ?

 

 

「あなた……なかなか見所があるわね。私のパートナーにならない?」

 

「グ……ス?」

 

 

デカグースも迷っているようで主デカグースの方を向いた。

 

 

「……グスッ」

 

「グース!!」

 

 

主デカグースが頷く。ジュンサーさんもその反応を見てにっこりだ。

 

 

「これからよろしく、デカグース」

 

「グスッ」

 

「あっ……ボールが……」

 

 

どうやら、空いているボールを持っていないらしい。俺は、一体分の手持ちの空きがあるので持ち歩いているボールを取り出してジュンサーさんに声をかける。

 

 

「よかったら俺のボール使ってください。余ってるんで」

 

「いいの?じゃあ遠慮なく……一緒に来てくれる?」

 

「グスッ!!」

 

 

ジュンサーさんが差し出したボールに、デカグースは手を触れボールに吸い込まれゲットした時のカチッっという音がなる。

 

 

「これからよろしくね」

 

カタッ

 

 

サトシの試練突破、モミジちゃんのZリング、街の問題の解決、ジュンサーさんのデカグースゲット。とても濃い日が続いた。

 

 

「そうでした。サトル君、これを」

 

「ハラさん?……あぁ、これが」

 

「はい。モミジ君のZリングです。渡してあげてください、それと、いつでも島めぐりへ来てくださいとも伝えて欲しいですな」

 

「分かりました。責任を持って渡します」

 

「頼みましたぞ」

 

 

俺が見たことある真っ白なリングではなく、リングの部分がピンクだ。それに、Zクリスタルを嵌めるはずの場所が少しおかしい。謎の突起もある。おそらく……俺の知らないウルトラサンムーンの物なんだろうな。

 

そうだ、今度のハラさんとの大試練に誘ってみるか。




皆さまお気づきいただけただろうか……今回、相棒ポケモンであるはずのプラスルが登場していないことを……ボールをガッタガタ揺らしているだけだと言うことを……

サトルの6体目は?

  • (ピカチュウ大好き)ミミッキュ♂
  • (海で出会った)プルリル♀
  • (いたずら大好き)カゲボウズ♂
  • (ポケヒロイン!)ムウマ♀
  • (タイプは被らないように!)ユキワラシ♀

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