サトシの兄な転生者   作:ゼノアplus+

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サトルの休日withデラさん

19話

 

 

 

『モシッ!!』

 

『え、おわっ!?ヒトモシ?なんでここに……ってそっか、そりゃそうだよな。ははっ、びっくりした』

 

 

えあ?あー……懐かしい、デラさんか……

 

 

『モシ?…………モシ!!』

 

『おお?なんだよ、え、浮いた!?ヒトモシって飛べるっけ!?ちょ、お前ゲームじゃ飛んでるところ見たことっ…………へ?なんでリュックを……』

 

 

ハハッ、そういやこんな感じだったっけな?他のゴーストポケモンの例に漏れずイタズラ好きだったし。まあちょっと食欲に正直だけど。いやそこがいいんだけどさ

 

 

『モシ…モシ……モシィ!!』

 

『あ、それ結構並んで買ったヒウンアイス!!……欲しいのか?』

 

『モッシ!!』

 

『えー……あーうん……ま、いいか。ほら、ちょっと貸してみ?』

 

『モシ?』

 

 

溶けないようにしっかりした容器に入ってたっけなぁ……やべ、思い出したら食べたくなってきた……

 

 

『こーしてっと、ほら』

 

『モシ!?モッシ!!』

 

 

おいおい、急いで食べんなよ……喉つまらすぞ〜ってあれ?そんなことなかったような……?

 

 

『美味そうに食べやがって……』

 

『モシ』

 

 

ビビったよなぁ……俺の空のモンボなんかリュックから盗みやがって……

 

 

『あちょ、それモンスターボール!!プラスルとボーマンダとニダンギルの……じゃない!!入ってないやつ!?』

 

『モ〜シ』

 

『え?』

 

 

俺が呆けてるうちに、突起部のボタンを自主的に押しボールに入ったデラさん(ヒトモシ)はピコンとそのまま捕獲された。

 

 

『えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?』

 

 

あぁ……懐かしいなぁ……あれから俺達、頑張ったよなデラさん。

 

 

『…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ?ああ、夢?いつものやつか」

 

 

おはよう諸君。なかなか懐かしい夢を見たサトルだ。あれはイッシュ地方のタワーオブヘブン……ポケモンの墓地で冥福を祈ってた時の事だよ。まあ俺の昔話はいずれ話すしここじゃ置いておいていいだろう。

 

 

「おはようデラさん」

 

「………♪」

 

 

何故唐突にこんな夢を見たかっていうと、そもそもたまにある事だ。案の定俺に腕?(シャンデラの体から4本伸びてるやつ)を絡めて昼寝中に潜り込んできたらしい。

 

 

「この甘えん坊め」

 

「………♪」

 

「プラスルは?」

 

「………」

 

「モミジちゃんのとこ?なんで……って、そういう事か。まったく、変なとこで律儀だよなアイツ」

 

 

今日はデラさんの日らしい。なんか昔からいつのまにか俺の手持ちの間で決まってたんだけど、俺がオフで予定が無い日は順番制で一日中俺を独占できるのだとさ。それでプラスルは遊びに行ってるらしい。アイツが自主的にマイナンのとこ行くのも珍しいな……他のメンツもどっかにいるんだろうけどボーさんだけはマジで分からん。以前、俺がジムリーダーの勉強中にジョウトのアサギシティからカントーのシオンタウンまで飛んでたらしいからな。

 

 

「……博士とサトシは、いないらしいな」

 

「…………」

 

 

 

博士は分からんけどサトシは遊びに、か。元気でいいねぇ…………友達が増えてお兄ちゃん嬉しいよ。いや……ほんとにさ。なあデラさん、お前はもしかしたら俺よりそう思うんじゃねえの?

 

 

「……………………」

 

「俺ほどじゃない?……またまたそんな謙遜してからに……まあいいか」

 

 

デラさんったらサトシのことが可愛かったのか、昔はよく一緒に遊んでは記憶吸ってたからな。小1時間安全な行為か確かめたから後遺症もないらしい。じゃなかったらプラスルでフルボッコだよ。なぜかサトシにそれ知られるのは恥ずかしかったらしい。

 

 

「デーラさん」

 

「?」

 

「アイス食いに行くか」

 

「!!!!」

 

 

とんでもない喜びようである。タワーオブヘブンでの出会い以降アイスが好物となったデラさんはいろんな地方でいろんなアイスを食った。食いに食いまくった。ゴーストであり、ほのおタイプであることが幸い?したのかいくら食べても太らず虫歯(そもそも歯があるのかも分からない)もなく味わった後はすぐ消化?して次をねだってくる。今でこそ自重という言葉を覚えているがランプラー時代は本当にやばかった。

 

 

「最近懐に余裕があってなー」

 

「!?」

 

「ま、たまにはいいだろ?」

 

「!!!!!!!!」

 

「こらこら熱い熱い。家燃やす気かって」

 

 

感情大爆発。勢い余って炎が大きくなった。とくせいが【ほのおのからだ】だから余計に熱い。忘れてるかもしれないけど俺抱き付かれてるからね?

 

 

「んじゃ、思い立ったが吉日……行くか!!」

 

「……!!」

 

 

そうと決まれば話は早い。デラさんと手分けして掃除、皿洗い、戸締まりを済ませ一応冷蔵庫の中を見ておく。

 

 

「ふむふむ……」

 

 

さらさらっとスマホに足りない物をリストアップしていく。何が良かったってサトシはほとんど嫌いなものがない。なんでも良く食べるしまあそういうふうに母さんや俺が言って聞かせてたからだ。

 

 

「デラさん、お土産何がいいと思う?」

 

「…………」

 

「そう言うと思ったよ」

 

 

アイス、ノータイムで返事したデラさんの声はうわずっていてよほど楽しみだと伺える。

 

え、喋ってない?ああ、そういえばそうだったわ。

 

 

別に隠してることじゃないし今更だけどちゃんと説明をしておこう。わかりにくいので種族名で呼ぶな?

 

 

ギルガルド、シャンデラ、ヨノワールの3体は俺に()()()()()()()。何を言っているか分からないと思うだろう?うん、俺もテキトーに言ったら出来ただけなんだ。

 

これもまた今更なんだけど俺って転生者?っていう存在に該当する。この15年一度も同類に出会ったことはないけど、自分の経験から推測するに記憶を保持したままの輪廻転生しかも世界を超えた?ことでこの世界の住民とは魂の質が違うらしい。きっかけは俺が旅デビューする直前に出会ったあるトレーナーのサマヨール。トレーナーによるとあまり人に懐かないらしいんだけど、興味深そうに俺を見つめた後友好的に接してくれた。その時はなんとも思わなかったんだが色々経験してのこの結論だ。

 

ということで、転生して魂が一般人とは違う俺はゴーストポケモンの目に付きやすく興味を引きやすいらしい。もちろん危ないケースもあった。過度なイタズラ好きくらいならいいんだが、場合によってはマジで魂狙いにきた奴もいたからな。そんな俺に対して当時ニダンギルだったガルさんが提案してきたのがさっき言った取り憑くって方法。

 

まああれだ。コイツは俺のだからお前ら手を出すなよーってやつ。それがギルガルド、シャンデラ、ヨノワールの3体分。まあ並大抵のゴーストポケモンにはちょっかいかけられなくなったよ。我の強いポケモンにはやられた時もあったけど、それは全て俺達の実力不足。鍛えに鍛えまくって今じゃ全く無くなった。その分……ティナとかギラティナ様とか、まあ言う必要も無いけどゴーストかくとうのアイツとか例外に目をつけられる機会も増えた。

 

ただ悪い話ばっかりじゃない。1番最初の話に戻ろう。この2、3年間ずっと手持ち達に取り憑いてもらってたお陰か分からないがぶっちゃけて言うとテレパシー的なことが出来るようになったのである。手持ちの間でだけだがね?証拠にティナやギラティナ様の仰ることは全く分からない(高次元過ぎて人間じゃわからない説はある)。そんなこんなでまあサイキッカーとかのレベルじゃないが、多少そういうことができるようになったという話だ。

 

 

さて、みなさんお楽しみ悪い話のお時間だ。コレが原因で喋らなくなった輩の話をしよう。そう、デラさんである。何があったかと思うかもしれないが至って簡単、テレパシー出来るんなら喋らなくていいんじゃね?を体現しやがったのだ。そんな状態が3年近く続き最早発声を必要としなくなったデラさんはモノの見事に喋らなくなった。必要とあれば喋るだろうがそんな場面はアローラにいる限りなさそうだしな。

 

 

「鍵、オッケー。行こうか」

 

「………」

 

 

鍵を閉めてデラさんと歩き始める。今日はボーさんもどっか行ってるし普通に歩きだ。たまにはこういうのも良いだろう。

 

 

「最近、お前らが暇してるんじゃないのかって思ってさ」

 

「………?」

 

「いや、カントーで俺が勉強してる時あんまり構ってやれなかっただろ?最後の方は()()()のところで修行してたとはいえ、今はバトルする機会もないし」

 

「………」

 

 

 

デラさんは別に好戦的な方じゃない。でも、鈍るからたまにはするべきだという考えはある。

 

 

「言い方悪いけどさ……モミジちゃんじゃ物足りなくなってるじゃん?」

 

「…………」

 

 

当たり前の話だが、ジムリーダーであると同時にイッシュジムバッジ8個歴代最速攻略した俺と、ホウエンジム3個止まりのモミジちゃんとでは雲泥の差がある。だからこそ指導という形が成立するんだけどな。さらにモミジちゃんの手持ち内でのメインウェポンはかくとう技。ゴースト主体の俺に対しては『みやぶる』とか使わなければそもそも厳しい。

 

 

「アローラでの仕事がひと段落したらどうする?」

 

「…………」

 

 

答えない。こんな時期からこの話を投げかけるのは少し酷だろうか。ウチの手持ちはみんなコミュニケーション能力も高く既にこの島の野生ポケモン達との間でも仲の良いポジションにいる。離れたくないという気持ちはもちろんあるだろうし楽しいんだろう。

 

 

「ごめん、まだ当分終わんねぇしいいよ。それよりほら」

 

「……!!」

 

 

話をしているうちに街に着いた俺達。デラさんもそれに気づきさっきのことを忘れてアイスに目を輝かせている。

 

 

「お!!食べにくいで有名なフリージオアイスバーがあるぞ。行こうぜ!!」

 

「…………!!」

 

 

 

た、食べにくい……!!ただでさえアイスバーで硬いのにフリージオ型であるが故に棒を保てていない。死ぬほど食べづらい!!

 

だが、それが良い!!

 

 

「………!!!!」

 

「よし次だ!!」

 

 

シンプルイズベスト、モーモーミルクのバニラアイス。コレが原点にして頂点……!!

 

 

「くっ……頭が!?」

 

 

キーンという頭の痛み。だがそれが良い!!(bot)

 

さすがに連続してアイスを食べ続けるのは健康的に良くないので一度休憩を挟む。やっぱね、結局はね、おいしい水なんですわ。

 

 

「………」

 

「え、もういいのか?た、体調悪い?」

 

「………」

 

 

手で×を作ってそうではない事をアピールして来た。

 

 

「………」

 

 

ふむふむ。えー、要約すると……もう満足したから皆で遊ぼうとのことだ。

 

 

「全く…お前が1番、俺らのこと好きだよな」

 

「………///」

 

 

照れてる照れてる。

 

 

「じゃあ、お土産買って帰るか」

 

「…………シャン」

 

「おう……って、ひっさしぶりに聞いたな」

 

 

それから俺達はサトシ達やプラスル達のお土産にアイスを買った。デラさんがそわそわしながらついてきているが、自分の熱でアイスが溶けないか心配なのだろう。しっかりと保冷バッグを持ってきているのでそんな心配は無用なのだがこういうデラさんも可愛いので当分放置しておくとする。

サトルの6体目は?

  • (ピカチュウ大好き)ミミッキュ♂
  • (海で出会った)プルリル♀
  • (いたずら大好き)カゲボウズ♂
  • (ポケヒロイン!)ムウマ♀
  • (タイプは被らないように!)ユキワラシ♀

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