4話
「サトル、アローラ」
職員室までにいろんな子に挨拶された。しっかり教育されてるし、連れてるポケモンも楽しそうだな。こんな感じのスクールをこっち側の地方に増やした方がいい気がしてきた…そして職員室に着くと、
「アローラ、ククイ博士」
最初にククイ博士に挨拶されたので返す。…まだ慣れん。
「サトシは置いてきたのか?」
「はい、ここら辺の地理も覚えないといけないですからね。これも勉強ですから。あっ、俺はもう覚えましたんでしっかりボーさんと飛んできました」
この世界良いなぁ…出勤と退勤、両方空飛んで帰れるんだぜ?前世だったら領空侵犯で撃ち落とされてる。
「もう覚えたのか、【しんそく】並の速さだな」
「意外とすぐ覚えれましたよ。今度の休みにとりあえず全ての島を回ろうと思います。…ライドポケモンで島渡っても大丈夫ですよね?」
「あ、ああ…大丈夫だけど… まさか、全ての島の地理覚えたのか?」
博士が信じられないような目でこっちを見てくる。変なこと言ったか?
「完璧に…ではないですけど主要な街や公共施設などは網羅しました」
「…優秀な講師が増えて嬉しいよ。…おっと、そろそろ朝礼の時間だ。新任の挨拶もあるから、考えといてくれよ」
挨拶!?
「うげっ…俺、そういうの得意じゃないんですけど…てか、今からですか?」
「なぁに、簡単で大丈夫さ。…どうせオーキド校長が微妙な雰囲気を作って誰も気にしなくなるから」
聞かれないように小さな声で言った博士…ポケモンギャグか。…受けは取れないけど良いネタだと思うけどなぁ…受けは取れないけど。
「あはは…分かりました」
その後、滞りなく朝礼と新任の挨拶も済みほかの教職員の人と話したりして時間が近づいてきた。
「よしサトル、教室に行くか」
「了解です。教育係になってもらってすいません。お手数かけます」
朝礼で決まった俺の扱いは、教育実習生に近いものだった。1人の教師の元で学ぶという感じだ。ククイ博士が立候補してくれたのでこうして改めてお礼を言っている。
「良いってことよ。アローラでは人もポケモンも助け合って生きているからな」
「なるほど、街で野生のポケモンが販売品などのきのみを持っていくのはそういうことか…覚えておきます」
旅のとき使ってた携帯できる調理器具持ってきて正解だったかもな〜
「あっ、そういえばサトル先生は生徒たちにどんなことを教えるんだ?」
「そうですねぇ…一般科目やポケモンについてはほかの先生方がしっかりやってくれるでしょうから…う〜ん」
俺だから教えれることとかやりたいよなぁ…
「サトル先生ならではってことか…ここにくる前は旅をしてたんだよな?」
「えっ、はい。まだまだ行ってない地方もありますけど6つの地方を回りました。あとは、息抜きでオレンジ諸島も少し行きましたね」
水の都、アルトマーレも行ったな〜 …俺の前にもアイツらが来てくれると思ってなかったけど。今度行ったらまたお菓子作ってやるか。
「じゃあ、ちょうど良いじゃないか」
「え?」
ちょうど良い?………あっ!!
「そうか、俺が旅してきて体験した事を伝えたらいいのか…現役トレーナーの体験談は大いに興味をそそられるものもあるし、そうしたらほかの地方への興味も出て生徒の卒業後の選択肢も広がる…」
「お、おう…最後のは考えてなかったな」
ボソッと博士が何か言ったが聞こえなかった。
「今日の先生の授業はオーキド校長のポケモンサイエンスの後だな。まあ最初の時間は自己紹介で終わるだろうから、どちらかといえばコミュニケーションの方が大事だ」
コミュニケーション…前世ではマジで無理だったなぁ…
「まあ、良い子達でしたしうちのポケモン達ともすぐに仲良く慣れますよ。今日は全員と触れ合ってもらおうと思いますし」
「プラスルとボーマンダ以外のポケモンもか。どんなポケモンがいるのか気になるなぁ」
「それは出してからのお楽しみってことで」
朝ちゃんと言ったから大丈夫だとは思うけどな…まず無口だからコミュニケーションが取れるかどうか…
「サトル先生、そろそろだぞ」
「っ!…緊張してきました」
「【かたくなる】し過ぎないようにな」
一応、会ったことある子たちだからまだましかな?
「あっ、兄ちゃん、ククイ博士!!」
よく効いた声の主へ顔を向けると…
「おお、サトシ来たか」
「アローラ、サトシ。昨日はよく眠れたか?」
「アローラ!ククイ博士。もうぐっすりでした!」
サトシに楽しみすぎて寝れないという言葉はないからな。なんなら明日しっかり楽しむために寝るっていう感じだ。
「そうか、それは良かった。……ん?それは…Zリング…しかもデンキZまで…カプ・コケコの仕業か…?」
サトシのリングに気づいたククイ博士がチラッとこちらに目を向ける。俺はそうです、と頷き反応を返した。
「へぇ…カプ・コケコがここまで…面白い」
ニヤッとしながらいう博士を、初めて研究者っぽいと思いました。すいません…
「サトシ、楽しみか?」
「うん!楽しい事がいっぱいありそう!兄ちゃんの授業も楽しみだし」
おお…嬉しいこと言ってくれるじゃん。
「そうかそうか、でもなサトシ…せめてスクールでは先生と…いや、面倒だからいいか」
「?」
サトシが首を傾げていると、ネッコアラと話してたっぽいピカチュウもこっちへ来た。
「ピカッ!!」
俺に飛び込んでくるピカチュウをキャッチ。
「うおっ、どうしたピカチュウ?急にこっちに来て…って、こらお前。よだれを垂らすんじゃない。分かった、家帰ってから作ってやるから我慢しなさい。てか、さっき朝飯食べたよね君!?」
「チュウ〜♪」
お菓子をねだってきたピカチュウを撫で回しながらサトシに渡す。
「サトシとピカチュウは元気いっぱいだな。よし、揃ったことだし、教室に入るか」
話していたら教室についていたようだ。俺はネクタイを確認し気持ちを引き締める。
「「「アローラ!」」」
「「「「「アローラ!」」」」」
教室に入ってきた俺たちに気づいたみんながこちらに視線を向ける。カキ君はやっぱサトシのZリングが気になるか。
すぐにみんな席に着き、それぞれのパートナーも側にいる。
「アローラ!!」
サトシが勢いよく挨拶。
「サトシも今日からこのポケモンスクールの仲間だ。わからない事があったら【てだすけ】してやってくれ」
「俺、ポケモンマスターになりたいんだ。こっちの事色々教えてくれよな!よろしく!!」
「そして、今日から先生としてここにきたサトル先生だ。サトシ同様慣れない事が多いだろうから手伝ってくれな」
俺の番か…
「みんなアローラ。カントー地方出身のサトルだ。先生としてここにいるけど、15歳だからみんなとも歳が近い。あんまり緊張せずに話しかけてくれたら嬉しいかな」
その時、カタカタと腰のボールが動き出す。…そうか、出たいよな。
「プラッ!!」
「ピッカァ!!」
俺がボールを手に取る前に勝手にプラスルが出てきた。
「それと、コイツもな。みんなのポケモン達とも仲良く慣れたら嬉しい」
〜サンサンもっと熱くなれ〜
1分30秒ほど謎の音楽が聞こえた気がしたが…気のせいだろう…
自己紹介が終わり、ククイ博士が連絡事項を伝え終わるとみんなはサトシのとこに集まった。やっぱ同年代の子の方が気になるよなぁ… てかやっと名前覚えた。カキ君、リーリエちゃんは覚えていたけどそれ以外がなぁ…とか思ってたんだ。アシマリの子がスイレン、アマカジの子がマオ、トゲデマルの子がマーマネだな。…見た目通りのタイプって感じだな〜
俺とククイ博士はそんな生徒達を眺めていた。みんなやはりサトシのZリングが気になるらしい。それに答えたサトシは、カキ君にZワザについて教えれていた。Zワザは神聖でなくてはならない、か…俺には扱いきれないな、メガシンカで精一杯だ。
「【10まんボルト】と【かえんほうしゃ】ぶつかり合いか…良いねぇ…」
「それ結構大惨事だと思いますけど…」
「ハハッ、良いじゃないか!仲良くなれたんだからな」
「そうですねぇ」
ククイ博士の例えも良いところついてるなぁ…
「よしみんな、そろそろポケモンサイエンスの時間だぜ。今日の講師はオーキド校長だ」
そしてチャイムがなる。気づかなかったけどよく聞いたらポケセンの回復音だ…ハマりそう、耐久動画みたいなの欲しいな。
オーキド校長の授業はなかなか為になった。リージョンフォームについては俺もあまり詳しくはない為、知りたいと思っていた。今回は俺も同席させてもらったが、授業の進め方も上手で尊敬できる。…ただ思ったのが、あのアローラナッシーどっから教室に入れたの?あっ…サトシが吹っ飛ばされたのは自業自得なんで。スーパーマサラ人の体もあるから怪我もなかったし。
次は俺の番だ。
「みんな、次は俺の授業だ。…って言いたいところだけど、俺はみんなと仲良くなりたいしレクリエーション的な感じで遊ぼうと思う。俺のポケモン達も一緒にな」
「兄ちゃんのポケモン!?やったぁ!!俺初めて見るよ!!」
こらこらサトシ、落ち着きなさい。
「その前にお互い自己紹介だ。みんなの事、俺に教えてくれ」
「はいはーい!!私からやる!!」
元気よく手を挙げたのはマオちゃん。
「じゃあマオちゃんよろしく!」
「はーい!私はマオって言います。アイナ食堂の看板娘です!こっちはアマカジ、うちの看板ポケモンで大切なパートナーなんです」
「カジッ!!」
食堂の娘っていうのはゲームと変わってないな。
「へぇ…アイナ食堂の。今度行ってみようかな」
「是非来てください!!」
若い子は元気だな〜
「じゃあ次は…」
「私が行きます」
次に立候補したのはスイレンちゃん。
「じゃあ、どうぞ!」
「スイレンです。実家は漁業をしていて妹が2人います。水タイプのポケモンと釣りが好きです。この子がアシマリって言って、私のパートナーです」
「アウッ」
釣りかぁ…あれはいい思い出と言って良いのかなぁ…
「俺もジョウト地方で釣りはよくしたよ。ハクリューを釣ったことがあるんだが、群ごと怒らせてな。めっちゃ追いかけられたことがある」
「ハクリュー…すごい!!」
キラキラした目で見てくる。あの時はプラスルが頑張ってくれたさ。…【かみなり】一発で終わったけど。
「次は僕の番!」
「マチュ!」
ポケモンと一緒に手を挙げたのはマーマネ君。
「よろしく!」
「僕の名前はマーマネ!いろんな情報を集めるのが好きなんだ!こっちが相棒のトゲデマル。いつもデータを取るのを手伝ってくれる自慢の相棒だよ!」
「マッチュ!!」
この子は多方面で将来有望だな。
「すごいな!俺はそういう細かい作業苦手だから羨ましいよ」
「ま、まーね!…エヘヘ」
「じゃあ俺がいこう」
「おっ、カキ君か」
…この子はゲームで面白かったな。…あの山男はいつ入ってきたのかわからないけど。
「俺はカキ。アーカラ島出身で実家が牧場をやっています。毎朝いろんな場所にリザードンと絞りたてのモーモーミルクを配達しています。相棒はバクガメスで、背中の棘に触れると爆発するから気をつけてほしいです」
「了解、今度ウチのボーさんと一緒に配達手伝うよ」
「ッ!…ありがとうございます!」
キリッとした顔が少し綻んだ。おやっ?楽しみにしてもらえてるのか?
「では、最後はわたくしですね」
「うん、リーリエちゃんよろしく」
ポケモンを連れてないけどまだパートナーがいないのか?
「リーリエです。趣味はポケモンに関する本を読むことやお世話です。まだパートナーはいませんが、いつか必ず!」
「リーリエはまずポケモンに触れるようにならないとね〜」
「うっ…触れます!理論的結論に基づき、私がその気になれば…きっと…」
あ〜、何かトラウマがあってポケモンもさわれないタイプか。
「なるほどね…俺も協力するから少しずつ克服していこうな。前にもそういう子と会ったことがあるけど、小さなきっかけで触れるようになったからさ」
「…はいっ!!」
うん、いい返事だ。
「さてと、じゃあ最後は俺だな」
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