サトシの兄な転生者   作:ゼノアplus+

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アローラサプライズ!…守り神も添えて

6話

 

 

「うおー!いっただっきまーす!」

 

 

元気な声がリビングから聞こえる。サトシの奴、本当に飯を楽しむよなぁ…ああいう感性もトレーナーには大事だな。あっ…どうも皆さん、サトルです。現在、スクールでの授業が終わりククイ博士の家…まあ俺とサトシの今の家で夕食の時間だ。俺はククイ博士の料理を手伝い、洗い物をしていた。

 

「アローラプレート、この地方の家庭料理さ。美味いか?」

 

「最高最高!!」

 

 

サトシよ、美味いのはわかるけどそれは適当な返事に聞こえるからやめなさい。

 

 

「そうか?最高か。サトルも一旦切り上げて、一緒に食べないか?プラスル達の分も用意してあるし」

 

「そうしましょうか。あっ、でも少し時間もらって良いですか?ウチのポケモン達デカイですし、夜が好きなんで、外に用意しないと」

 

 

…本音は木造のこの家をデラさんの体の炎で燃やしてしまわないか心配なのだけど…もちろんデカイってのもある。ボーさんは絶対入らないしな。

 

 

「了解、夜の外は少し肌寒いから気をつけてくれよ」

 

「はい」

 

 

そして扉をでてポケモン達を出す。

 

 

「みんな、ご飯にしよう。今日はククイ博士がアローラ名物のアローラプレートを作ってくれたぞ」

 

「プラッ!!」

 

「マンダァ♪」

 

「「「………♪」」」

 

 

おっ、好感触。…なんか悔しいから今度ククイ博士に作りかた教わろう。

 

 

「プラァ…プラプラ」

 

 

俺の料理の方が好きだって?コイツ……あっ、涙出そう。ありがとうなぁプラスル。

 

俺がプラスルを撫で回していると、食べ終わったらしいみんなが自分も自分も、と一斉に押し寄せてくる。

 

 

「ちょっ、お前ら一気にくるなって…合計で何キロあると思ってん……デウェ!?」

 

 

総重量約550キロ。意外も意外、ヨ〜さんが一番重く、次にボーさん。続いてガルさん、デラさん、プラスルだ。いや、今はどうでも良い!!重い!!幸せな重さって分かってるけど重い!!…誰か…助けて…

 

 

「マン〜……ダ!?マンダ!!」

 

 

ボーさんが気づいたらしく号令をかけてくれた。…ありがとうございます姐さん!!

 

 

「ハハッ、サトルの奴、ポケモン達に愛されてるな」

 

 

博士、見てたんなら助けてください。夜中にデラさん強襲させますよ?紫の炎だけ見えてめっちゃ怖いですから。

 

とりあえずみんながアローラプレートを食べ終わったのでプラスル以外ボールに戻す。そしてそそくさとプラスルは中に入ってしまった。…そんなに寒いか。

 

 

「ピィカ!」

 

「プラッ!」

 

「ピカチュウとプラスルも、イワンコとすっかり仲良くなったようだな」

 

 

どうやらすぐに中に戻ったのはイワンコとピカチュウと遊びたかったかららしい。

 

 

「イワンコ人懐っこいし。ご馳走さま」

 

「早いな!?…お前らもか」

 

 

俺が中に入ると、すでに食べ終わっていたサトシとピカチュウ達。

 

 

「こらサトシ、もうちょっと味わってゆっくり食べなさい」

 

「十分味わったって兄ちゃん。すごく美味しかったし、おいで、イワンコ」

 

「アン!」

 

「全く…じゃあ俺も、いただきます。……美味し!?」

 

 

これは確かに食がすすむ!!

 

 

「サトルも良い食べっぷりだな。作った側からすると嬉しい限りだよ」

 

 

いや、これは……なかなか……アローラプレートって言うくらいだから、アローラでしか取れない物を使ってるのか?

 

 

「いてッいててて…」

 

「おっ?」

 

「ピィカァ?」

 

「アンアン!」

 

「ピカ…チュウ〜」

 

 

サトシとピカチュウの首をイワンコがめっちゃ首の岩でゴリゴリしてるな…痛そう。

 

 

「イワンコが首のところに岩を擦りつけるのは、仲間同士の挨拶だ。よっぽどお前たちのこと気に入ったんだなぁ」

 

「へぇ…そうなのかイワンコ?」

 

「アンアン!」

 

「いててて…」

 

 

その後も嬉しそうにゴリゴリし続けるイワンコ。…ん?こっちにも来た?

 

 

「アン!」

 

「……ッッ、おお〜俺にもしてくれるのか〜。俺もお前のこと気に入ったぞ〜、仲良くしような!」

 

「アンアン!」

 

「兄ちゃんすげぇ!痛く無いの?」

 

「痛いけど、我慢だよ。ポケモンからのアプローチも柔軟に対応しないとな。ポケモンに悪気はないんだから」

 

「……うん!!」

 

 

博士が電話で席を外したけど…誰からだ?

 

 

 

〜翌日〜

 

 

 

「サトシ、ピカチュウ、起きろ。遅刻するぞ」

 

「ん〜?兄ちゃん?なんでもう着替えて…ッ!?もうこんな時間!?」

 

「ピカッ!?」

 

 

いつの間に家を出たのだろうか、ククイ博士はもうおらず俺とサトシだけ。しかもサトシももう起きてると思って先に支度をしていた。…結構時間まずいな。

 

 

「サトシ、今日は特別にボーさんに乗せてってやる。起こさなかった俺も悪いしな」

 

「ボーマンダに!!やったぁ!!すぐ着替えてくる!!」

 

 

嬉しすぎてちゃんと準備し始めた!?

 

 

「あっ、ピカチュウ先にこれ食べてて。朝だから食べやすい物にしたけどゆっくりね」

 

「ピカァ!」

 

 

ぽりぽりとフーズを食べるピカチュウ。可愛い。

 

バチっ!っと腰のボールから電気が…嫉妬すんなって、あとで撫で回してやるから。さっき、ちゃんと朝飯食っただろ?

 

 

「どういたしまして。サトシにもパン用意したから、食っとけよ!」

 

「ありがとう兄ちゃん!いただきます!」

 

 

いや、もう準備したのかよ!?

 

 

「先に外で待ってるぞ。…ボーさん、頼んだ!」

 

「マンダ」

 

 

ボールから出し今日のコンディションをチェックする。……良さそうだな。

 

 

「今日はサトシも一緒なんだけど…行けるか?」

 

「マンダ!」

 

 

任せろ、か。頼りになるなぁ。

 

 

「兄ちゃんおまたせ!あっ、ボーマンダ。アローラ!今日はよろしくな!」

 

「ピカッ!」

 

 

首を振るボーさん。

 

 

「よし、じゃあ行くか。ちゃんと捕まってるんだぞ?」

 

「うん!…おわぁ!?」

 

 

サトシとピカチュウが乗るとすぐに飛び立つ。…ボーさん、そんなに空を飛びたかったか。まあ、多少高度を上げたらすぐにスクールが見えてくるからそこまで感慨とか無い。

 

 

「うわぁ…スッゲェ!!」

 

 

景色自体は飛行機でも見てるけど、こうやって島を直接空から見るのは新鮮なんだろうな。

 

 

「風が気持ちいいだろ?アローラは本当に空気が澄んでるよな」

 

「兄ちゃん…」

 

「ん?どうしたサトシ」

 

「俺、アローラ地方に来て良かったよ」

 

「そうか……俺もだよ。さてと、もう着くぞ」

 

「はっや!?」

 

「ハハッ、歩くとそこそこ距離があるけど、飛んだらすぐだからな!……ん?」

 

 

アレは……あ〜、そう言う事ね。だからククイ博士は……全く。

 

 

「サトシ、少し離れたところで降りるから歩くぞ」

 

「うん」

 

 

そして着陸。……着陸で良いのか?まあ俺たちはボーさんから降りた。

 

 

「いつもありがとな。今日は重かったろ?」

 

「マンダァ」

 

 

まだまだ余裕、か。

 

 

「ありがとうボーマンダ!また乗せてくれよなぁ!」

 

「マンダ!」

 

「いつでもどうぞ、ってよ。良かったな気に入られて。前は振り落とされた奴がいたからな」

 

「え……」

 

「ピカ……」

 

 

うわっ、すごい顔。XYサトシまでだったら絶対こんな顔見れないぞ。

 

 

「冗談だよ。ほら、行くぞ」

 

 

ごめんなサトシ、冗談じゃないんだ。何故か、少し前に知り合ったハンサムさんだけは振り落としてたんだ…何故だ?

 

 

「うん!ピカチュウ、スクールまで競争しようぜ!」

 

「ピカァ!!」

 

 

元気よくピカチュウが言うのと同時に2人が走り出す。

 

 

「兄ちゃん、置いてくよ!!」

 

「お、おい!……全く、カロスから帰ってきた時はすごい大人びてた気がするんだけどなぁ… 俺も行くか」

 

 

そしてスクールに到着。するとそこには、出待ちされていてクラッカーとアシマリのバルーンを食らったサトシとピカチュウ。

 

 

「「「アローラサプラーイズ!!」」」

 

「ピカァ?」

 

「アローラ…サプライズ?」

 

「なんだサトシ、楽しそうじゃん?」

 

「あ、先生遅い!!」

 

「ごめんって」

 

「驚いたかサトシ?」

 

「当たり前だろ?」

 

 

カキ君の手を借りて立ち上がったサトシ。俺もサトシの隣に立つ。

 

 

「サトシと先生のサプライズ歓迎会を開くことにしたんだ!今のは、最初のサプライズ」

 

「最初?」

 

「サトシと先生!二つ目のサプライズは僕、マーマネとトゲデマルからの挑戦状だぁ!!」

 

 

……マーマネ君、サプライズは先に言ったら意味がなくなるよ?嬉しいけどね。サトシを歓迎してくれてるのは。

 

 

「挑戦…?ってポケモンバトルか!?オッケー!受けて立つぜ!なっ、ピカチュウ?」

 

「ピカァ!」

 

「「……え?/ピカ?」」

 

「はいはーい!これは、先に風船を全部割った方が勝ちゲ〜ム!!」

 

「……えぇ?」

 

 

だと思ったよ。まともなサプライズじゃなさそうなのは目に見えてたし。

 

 

「風船を割るのは、ポケモンでも人間でも構わないからね」

 

「なるほどね。ポケモンの技は?」

 

「もちろん、使って良いですよ!!思いっきりやっちゃってください!!」

 

 

マオちゃんは実況とかの才能あるかな?

 

 

「……割る?……風船を?」

 

 

ニヤッと、サトシとピカチュウが口元を歪める。

 

 

「それなら簡単だぜ!!」

 

「ピッカァ!!」

 

 

あーあ、慢心王かな?

 

 

「そうだなぁ…let's go、ガルさん」

 

「……」

 

「この風船達を全部割ったら勝ちなんだと。行けるかい?」

 

「……!!」

 

 

ブンブンと盾を持ってる手を振り回す。危ないからやめなさい。……ボーさんの【かえんほうしゃ】で焼き払ったら早いとか言わない。楽しまないと。……えっ?ガルさんでもあまり変わらない?ハッハッハッ!……察しの良すぎる人は3積み【つるぎのまい】【せいなるつるぎ】か、耳元【きんぞくおん】のどっちか選ばせてやるぞ♪

 

……取り乱した。すまない。ちょっと本音が出ただけなんだ。

 

 

「よーい!」

 

 

やっべ始まる。

 

 

「スタート!」

 

 

俺とサトシ、マーマネ君が一斉に風船の場所へ走り出す。

 

 

「ふん〜!……あれ?結構硬い」

 

「ビィカァ…チュウ!」

 

 

サトシペアはようやく一個ずつ割れたっぽいな。…よし、じゃあ俺も。

 

 

「ガルさん、投げるぞ。ほいほいほい」

 

 

両手で交互に風船を投げ、宙に浮いたところをガルさんの切っ先で割ったもらう。

 

 

「はい」

 

「マチュ」

 

「はい次」

 

 

マーマネ君はトゲデマルの背中の棘に風船を当てて割っていた。順調だな。

 

 

「2人とも早い…」

 

「サトシもピカチュウも頑張って!」

 

「ポケモンの技、使っても良いんですよ!」

 

「そ、そっか」

 

 

さっき俺が聞いたのにもう忘れたのかサトシよ…

 

 

「よぉ〜し!ピカチュウ、【10まんボルト】で一気に割るぞ!」

 

「ピカチュウ!!」

 

「ニヤリ」

 

「あっ、サトシ、トゲデマルは…」

 

 

特性のせいで、でんき技は…てか、マーマネ君、自分でニヤリって言っちゃうのかい。

 

 

「ピィカァ…!」

 

「トゲデマル、チャーンス!」

 

「マチュ!」

 

「チュウ〜!!」

 

「マチュ!」

 

 

風船を狙ったピカチュウの【10まんボルト】はしっかりトゲデマルに当たる。…そりゃそうだ。

 

 

「えぇ!?」

 

「ピカッ!?」

 

 

ピカチュウの電気をまとったトゲデマル。

 

 

「トゲデマル、【びりびりちくちく】!!」

 

「マ〜チュ〜!!」

 

 

体を回転させたトゲデマルは次々と風船を割っていく。

 

 

「どういうこと?」

 

「トゲデマルはね、《ひらいしん》の特性を持ってるんだ。棘で電撃吸収が出来て、しかも電気を技としても放つことができるんだ」

 

「凄いぜトゲデマル!!」

 

 

サトシ…お前カロスリーグで特性《ひらいしん》のメガジュカイン見ただろ…

 

 

「おいおい、感心してる場合か?」

 

「ああっ、しまった!」

 

 

サトシが特性のことを聞いてて油断している間にトゲデマルが全ての風船を破り終わる。ついでにこちらも全て割終わった。

 

 

「このバトル、マーマネ&トゲデマルの勝ち!先生とギルガルドも惜しかったね!」

 

「やったね、トゲデマル!」

 

「マチュ!」

 

「負けたぁ…」

 

「ガルさんドンマイ、範囲技、覚えるか?」

 

「……」

 

 

ブンブンと首?刀身?を横に振るガルさん。流石、己の剣は曲げないね〜 カッコいい生き方してるな。

 

 

「お疲れガルさん。楽しかったな」

 

「……!」

 

 

ガルさんをボールに戻す。楽しそうだったな。

 

 

「サトシ、先生、3番目のサプライズは私達とのバトルです!」

 

 

 

「ん?……見られてる?……俺じゃ無いな。考えられるのは……カプ・コケコがサトシを見てる?…いや、流石に気のせいか」

 

「兄ちゃん、なんか言った?」

 

「いやなんでもないよサトシ、じゃあ次は…let's go、ヨ〜さん!」

 

 

「ピッカチュウ〜!」

 

「アウッアウッ」

 

「……♪」

 

 

ピカチュウがトップ、時点でヨ〜さん、最後にアシマリが水辺に向かって走る。……ごめんねみんな、うちのメンツでこれにまともに参加できるのプラスルかヨ〜さんだけなんだ。ボーさんは明らかに無理だし、ガルさんは体が錆びる。デラさんに至っては死にかける。プラスルは泳ぐ気分じゃないとか言いやがるし… 分かってる、ヨ〜さんが走ってないのは分かってる…本当にごめん…

 

「次はスイミングとランニングを合わせた競技、ポケモンアクアスロン!!勝つのは誰かなぁ?」

 

「いっけぇピカチュウ!!」

 

「ピカチュウもアシマリもヨノワールもみんな頑張れ〜!!」

 

「ヨ〜さん、ペースはしっかりな!」

 

 

ペースも何もヨ〜さんはスピードを落とさずクルクル踊りながら走っている(走ってはない)

 

 

「ピッカァ!」

 

 

陸上でのスピードにおいて分があるピカチュウが一番乗りで水に入った。続いてヨ〜さん。泳ぎに自信があるのかちゃんと水に入り綺麗なクロールでグングン進んでいく。

 

……でもなヨ〜さん。本当はこんなこと言いたくないんだ…君、足が無いから加速がめっちゃしにくいんだ……

 

 

「良いぞ!そのままゴールだぁ!!」

 

「ヨ〜さん!!腕だけじゃキツいから無理しないで!!つったらヤバイから!!」

 

「サトシ…そう上手くいくかな?」

 

 

その時、ピカチュウの下を影が通った。そう、アシマリである。ちなみに本格的にヤバそうだったのでヨ〜さんはリタイアさせました。…よく頑張った。今度浮き輪買ってあげる…

 

 

「えぇ!?」

 

「ピカ!?」

 

「もう一息だよ!」

 

 

スイレンちゃんがアシマリを追って走る。

 

「アウ〜!!」

 

 

水中から飛び出てビシッとポーズを決めるアシマリ。流石水ポケモン、水中なら敵なしだな。

 

 

「よく頑張ったね、アシマリ!えらいえらい!」

 

「水の中を時速40キロで泳ぐアシマリ!流石です!」

 

「へぇ」

 

「ピカチュウゥ…」

 

「よくやったなぁピカチュウ!!」

 

「ピカ〜」

 

 

タオルでピカチュウを拭いてやるサトシ。うん、風邪引いたら不味いもんな。

 

「ピカチュウ!!」

 

 

そして俺とサトシにカキ君が寄ってくる。

 

「4番目のサプライズは、俺とサトシ、先生で勝負だ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「行け行け〜!!」

 

「頑張れ〜!!」

 

 

ケンタロスに乗ったサトシとカキ君を応援してる俺たち。…え、俺ですか?……せっかく企画してもらって申し訳なかったんだけど、俺陸を走るポケモンは酔うんだ…空なら大丈夫なんだけど、揺れるからかな、すっごく酔って…死を感じる…

 

 

「サトシ〜カキ君〜俺の分まで頑張れ〜!!」

 

 

校舎の上の方でイワンコを抱えたククイ博士とオーキド校長がこちらを見ながら話している。…珍しくイワンコを連れてきてるあたり、博士もサプライズメンバーかな?

 

そうこう考えている間にカキ君がサトシに勝利。ククイ博士も校庭に降りてきた。

 

「ククイ博士、イワンコ?」

 

「俺たちが、5番目のサプライズ。サトシ、ピカチュウ、サトル、ポケモンバトルで勝負だ」

 

 

やっぱりね。

 

 

「おお〜!!ポケモンバトル…しかもククイ博士と!最高のサプライズだぜ!」

 

「ポケモン博士とのバトルは初めてだな…楽しみだ」

 

 

俺たちが闘志を燃やしていると…

 

 

「その前に!アイナ食堂の看板娘、マオちゃんが腕をふるった料理でランチタイムだよぉ〜」

 

「ランチ?」

 

 

グゥ〜…

 

 

「お腹減った〜」

 

 

 

〜教室にて〜

 

 

 

「おっ待たせ〜!はい、みんなもどうぞ」

 

 

昼食〜。流石に看板娘というだけあって飯もめっちゃ美味い。

 

 

「コーケコー!!」

 

「え?あの声は?」

 

 

サトシがそう言って空の方を見た瞬間、目の前にカプ・コケコが現れた。

 

 

「おわっ!?」

 

「メレメレ島の守り神、カプ・コケコ!?」

 

「初めて見た…」

 

「サトシ下がれ!!プラスル、伝説級が相手だ、構えろ!!」

 

「プラァ…!!」

 

 

いつもの掛け声なしにプラスルを出し警戒態勢に入る。

 

 

「待って兄ちゃん!!大丈夫だから…」

 

 

そう言ってカプ・コケコに近づいていくサトシ。

 

 

「だが……!」

 

「会えてよかった。Zリングのお礼、まだ言ってなかったもんね」

 

「コケー…?」

 

 

いや、分かってなさそうなんだけど……

 

刹那、カプ・コケコの姿がブレて、消えた。

 

 

「ッッ!?プラスル、見えるか?」

 

「プ…プラ!」

 

 

マジかよ相棒流石だな。

 

 

「なんだ!?」

 

 

とてつもないスピードで辺りを飛び回っている。…何が目的だよ?

 

 

「うわっ!」

 

 

そしてカプ・コケコがサトシの帽子をとったかと思うとそのまま森の方へ飛んで行ってしまった。

 

 

「あっ!俺の帽子!!」

 

 

カプ・コケコを追いかけ、サトシが行ってしまった。それを追いかけるように他のメンバーも続く。

 

 

「博士、俺は先に行きます。博士は後ろからマーマネ君とかリーリエちゃんをお願いします」

 

「ああ、分かった!」

 

 

俺は、マーマネ君とリーリエちゃんを追い抜きカキ君達のところに。

 

 

「先生早!?」

 

「流石、サトシの兄弟…じゃなかった、サトシはこの先です!」

 

「あい分かった。焦って来るなよ、いそいで怪我をするよりは良い」

 

 

「カッコいい…」

 

「ああ、なんかこう、凄いな先生は…」

 

 

俺は丸太を飛び越えさらに先に行く。…カキ君、マオちゃん、スイレンちゃんにキラキラした目で見られたけどその時の俺は知る由もない。

 

 

「バトル…伝説級が…?」

 

 

サトシとコケコのバトルが始まろうとしていると他のメンバーも追いついてきた。

 

 

「5番目のサプライズは、俺じゃなくカプ・コケコか…」

 

 

いや、今上手いこと言ってる場合じゃないです。

 

 

「わたくし、本で読んだことあります。カプ・コケコは好奇心旺盛なポケモンで昔から島の人たちにポケモンバトルやアローラ相撲を挑むことがあったと」

 

「分かったよカプ・コケコ!俺たちとバトルしようぜ!」

 

 

サトシィ!?もうちょっと考えて行動してぇ!?

 

 

「ちょっ…サトシ!」

 

「クルル〜!!」

 

 

あっ、コケコさんもうやる気満々なんですね、分かります。

 

 

その後少しの間ドンパチやったサトシとコケコ。コケコはさらにスピードを上げ、まさかのサトシにダイレクトアタック仕掛けていた。が、直前で止まりサトシのデンキZを触る。

 

 

「これは…」

 

 

おいおいまさか…そういう魂胆か…

 

 

「使えってことか?ZリングとデンキZを…」

 

「カークルルー」

 

「どうすればいいかさっぱりだけど、やろうぜピカチュウ!俺たちのZワザを!」

 

「ピカピカァ!!」

 

 

ぶっつけでなんとかなるものなのか…?

 

 

「サトシ……」

 

 

俺とみんなが心配そうにサトシを見ている。

 

 

「出せるかな…Zワザ…」

 

「よぉーし!!」

 

 

サトシが両腕をクロスさせ、カプ・コケコに合わせてポーズを決める。

 

 

「いっけぇピカチュウ!!これが俺たちの……全力だァァァァ!!!!」

 

 

ピカチュウが電気エネルギーの塊を殴ると、カプ・コケコに一直線に飛んでいく。

 

 

「でんきタイプのZワザ!?」

 

「スパーキングギガボルト!?」

 

 

サトシとピカチュウの放ったZワザがカプ・コケコを包み、爆ぜた。とてつもない爆風に飛ばされそうになる。……結果は、

 

 

「クルル……」

 

 

ダメージがあったとは到底思えない様子で浮いているカプ・コケコの姿が… あたりの木がなぎ倒されているので相当の威力はあったはずだが、流石は準伝説級のポケモンということか…

 

 

「コーケコー!!」

 

 

カプ・コケコが声を上げたと同時に、どこかへ飛び立っていった。

 

 

「カプ・コケコ!!待って!!」

 

「サトシー!大丈夫!?」

 

「ああ」

 

「信じられない…あれがサトシとピカチュウの力なの!?」

 

 

マオちゃんとカキ君がサトシに駆け寄る。…威力は本当はもっとあっていいレベルのはずなんだが…まだ熟練度が足りないしな。ドンマイ、サトシ。これから成長するさ。

 

 

「そのZクリスタル…砕けたか。Zワザを使うにはまだ早いって事だ。…試練だって受けてないしな」

 

 

試練…ねぇ… ジムリーダーとして見ると、若干難しいかなぁ… ジムリーダーっていうのは基本、挑戦してきた相手のレベルに合わせてジム用のポケモンを使う。しかし島巡りのぬしポケモン達は、一体しかいないしどちらかというとそのぬしポケモンがトレーナーを認めるシステムだ。実力も高いし、トレーナーに合わせるって事が出来ないから元々実力があるトレーナーじゃないと制覇は難しい。……まあ、そこをなんとかしてポケモンリーグ建設まで持ってくのが仕事だから、おいおい考えますかね。……ゲームの知識から行くとかのスカル団には島巡りに失敗した者が多いっぽいし、注意して考えないと。

 

その後サトシが島巡り挑戦を宣言して1日は終わった。……頑張れよサトシ。暇な時は特訓につきやってやるよ。……本気で。

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