落とし物   作:ミルクティー365

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1話 5年後の君へ

坂道の両脇に、桜の花が咲いていた。

高校に繋がるこの坂道は、毎年春になると桜の花が満開に咲く。

桜の木を立ち止まって見る人もいれば、俺みたいに歩きながら見る人もいる。

「あれ?」

目の前の方に見覚えのない制服の女の子がいた、ここの坂は高校にしか繋がっていないためほかの学校の人が来ることは非常に珍しい。

その女の子は、長い黒髪で身長は低めの童顔の女の子だ。

その女の子は、桜の木をじっと見ていた。

周りを見渡す訳でもなく、ただ同じ木をずっと見ていた。

気づけば自分の足も止まっており、その女の子が気になって見ていた。

女の子がこっちを振り向いて目が合った、慌てて顔を背けた。

女の子は疑問に思ったのか首を傾げて、坂道を登って行った。

「坂道を登っていったということは、この学校の生徒か、転入生かな?」

まぁいいかと思い、学校へ行こうと足を進めた時、さっき女の子がいた所に何かが落ちていた。

落とし物かと思い、さっき女の子がいたところに歩み寄った。

落ちてたものを拾い、何を落としたか確かめた。

「懐中時計?」

かなり古い時計だ、大事な物かもしれないし、早く渡した方がいいよね。

まぁ早く学校に行ってさっきの女の子を見つけて返さないとな。

 

 

学校に着いたのはいいものの、さっきの女の子と会うことが出来なかった。

制服が違うから見つけるのは簡単なはずだし、早歩きで学校まで行ったから途中で見かけてもおかしくはなかったのだがいなかった。

最悪の場合、先生に落とし物として預ければいいし、問題は無いんだけど。

もう一度、あの女の子と会ってみたいという感情もあった。

それに、この懐中時計はどこかで見覚えがあるような気がした。

「どこで見たんだろう、まぁ気のせいかな。」

 

「なーに考え事してるんだ、新しいクラスになったんだから、クラスの人達と話してみたらどうだ。」

 

突然話しかけてきた人がいた。

「翔太、別にクラスの人は大して変わってないし、俺は人とはあまり関わらない方なんだ、それはいちばん翔太がしってるだろ。」

今話しかけてきた人は稲葉翔太、俺の中学校時代からの友人だ。

 

「お、小洒落た時計を持ってるじゃん、買ったの?」

 

「いや違うよ、これは落とし物、もう落とし主は知ってるからあとは渡すだけ、まぁ渡せなかったら先生に渡す。」

 

「落とし主は知ってるって、この学校の生徒なの?」

 

「うんまぁ、生徒と言うよりは転入生かな?制服はちがかったし。」

 

「転入生?珍しいね。」

 

「まぁたしかに珍しいな、それとお前の好みのタイプだぞ。」

 

「マジどういう人?」

 

「長い黒髪の身長は低めの童顔の女の子、しかも見た目は幼いけど美人だよ。」

 

「マジかよ、バリバリのタイプじゃん。」

「このクラスにその転入生が来て欲しいな。」

 

「新一年生ではないはずだし、見た目も幼かったから3年生でもないと思う、だから2年生と思うけど。」

ちなみに俺がいる学年は2学年だ。

 

「まぁ、確かに2年生の可能性も高いね。」

 

すると教室の扉が開き、先生が入ってきた。

 

「お前ら席につけ、ホームルームを始めるぞ。」

 

みんな一斉に席に着いた、俺は先生の表情を読み取りだいたい察した。

 

「静かになったことだしお知らせすることがある、今日このクラスに転入生がやってくる。」

 

教室が一気に騒がしくなった、それもそうだ、転入生は珍しいしな。

それにしてもまさか同じクラスになるとは思ってなかった。

 

「とりあえず自己紹介をしてもらおう、入ってきていいぞ。」

 

教室の扉が開き1人の女の子が入ってきた。

女の子が入ってきた瞬間、男達のメスに飢えているような声が教室中に響いた。

長い黒髪、低めの身長、少し幼いけどスタイルのいい体つき、ロリコン歓喜である。

女の子は黒板の前まで行くと、自分の名前を書いた。

成瀬結一(なるせゆい)、これがあの女の子の名前、それにしてもまさか俺と苗字が同じだとは。

すっかり忘れてたが自己紹介をしよう、

俺の名前は成瀬結一(なるせゆういち)

「……………は?」

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