新入生が自己紹介をしている中、一也がまだ来ていない
遅刻確定だ。
そしてもう1つ問題が。
沢村も来ていない。
隣にいる洋一に話を聞く。
「洋一。沢村が来ていないようだが？」
「まだ寝てるぜ。」
「起こさなかったのか？」
「声は一応掛けたんだけどよ･･･起きねえんだ。」
「その時に増子さんは？」
「早めに出て自主練。」
「なるほど。･･･洋一。今日、俺の部屋で新入生を3人誘って歓迎会をやるもりだが来るか？」
「誰が来るんだ？」
「同室の東条に中学からの東条のチームメイトの金丸。あとは沢村でどうだ？」
と聞くと
「賛成。」
「あとは一也と唯を誘っておく。というか唯には声をもう既にかけてある。」
「早いな。」
「朝のランニングの時にな。」
と話ていると沢村と言って一也が忍び込もうとして失敗して洋一に増子さんまで走らされていた。
その頃俺は
「ノリ、少し球が早くなったか？」
「夏樹に言われると嬉しいな。･･･相変わらず夏樹の球は痛いね。」
とキャッチボールをノリとしていた。
しばらくキャッチボールをして、終わって朝飯の時間になった。
食堂に行こうとすると妹が声を掛けてきた。
「お兄ちゃん。」
と春乃が声を掛けてきた。
「どうした春乃？」
「マネージャーは今からなんだ。」
「そうか。どうだ青道高校は？」
と聞くと春乃が
「先輩達は優しいしいい人達だから。」
と言っていると後ろから唯が来て
「夏樹君の妹なのにドジっ娘だけどね。」
と声を掛けてきた。
「まぁそれが春乃だから辛抱強く頼むよ唯。」
と言うと春乃が
「お兄ちゃん酷いよ。」
「でも転けるだろ？」
「転けないよ！」
「今日中に2回くらい転けるな。
･･･唯、報告よろしく。」
「任せて夏樹君。」
と話していると春乃が
「お兄ちゃんも唯先輩も酷いですよ！」
と言っているが俺は飯の為に食堂に入る事にした。
いつもの席に座ると一也が
「エース様の飯は用意しといたぜ。」
と言っていたが山盛りもいい所･･･富士山盛りとでも言おうか。
「なんの嫌がらせなんだ一也。」
と一也をジト目で睨むと笑いながら
「エースの馬力を上げようと思ってな。」
と返してきた。
数週間前に自己最速の153キロを記録して一昨日の練習中に155キロを叩き出した俺にどこまで。
「何処まで増やせばいい。」
と聞くと一也が笑いながら
「某日本人最速投手クラス。」
と言われて椅子から俺は落ちてしまった。
「165キロか？」
と聞くと
「いけるだろエース。」
と返してくる。
「高望みし過ぎじゃねえか？」
と俺は聞くも一也は
「来年のドラフトを確実に1位で通過するならこのぐらいやってくれないとな。」
とキツイ言葉を言ってきた。
「一応、現段階では大学進学希望なんだが？」
と言うと一也が
「夏樹は絶対にプロに行くべきだ。俺は夏樹以上のピッチャーを見たことが無い。」
と返してきた。
と言うよりそろそろ関東大会への予選中にこいつは何を求めてるんだ。
「夏、158で許せ。」
と言うと一也が間髪入れずに
「夏、160」
と返してくる。
「そもそも俺は変化球投手だ。」
と言うと一也が
「夏樹はスーパー万能型だ。」
と返してくる。
「関東大会に入るまでにランナー無し又は一塁の状態であと2本スタンドに打てばやってやる。そもそも俺はあと一つ変化球を覚えようと思ってたの。」
「変化球を活かすも殺すもストレートだ。変化球よりもストレートだ。」
と睨み合いになるとキャプテンが
「･･･夏樹に御幸。お前達の高い目標はとてもありがたい。だが俺達は打撃の青道だ。打撃を疎かにするなよ。」
と言ってきた。
「それは勿論です。こんなチャンスにしか打てないやつに通算本塁打数で負ける訳にはいかないんです。」
「こいつに打点だけは負けられないんですよ。」
と言っていた。
ちなみに通算本塁打と打点は
俺が 30本 83打点
一也が28本 98打点
とお互いに結果を残している。練習試合も込だが。
ちなみに純先輩曰く
俺は飛ばし過ぎ
一也は返し過ぎ
らしい。
そう。飛距離だけで言えば去年から東先輩に引けを取らないだけ飛ばしていた。でも確実性が東先輩程無かった。
一也もランナー無しでは三振確定だったがランナーが1人でもいれば誰よりも読み打ちだけは上手かった。
白州が羨ましい。
ミスター堅実マンめ！