ダイヤのA 熱血右腕   作:ニャン吉

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第8話

ランニングをしながら俺はいつも通り唯と話をしていた。東条達3人は何とか着いてくるのがやっとのようだ。

「よかったの。3人も一緒に走らせて。いつもよりペースが遅いけど。」

「気にしない。それに俺の練習に着いてきた程度で俺に勝てるとは思えないしあの3人は俺のお気に入りだ。面倒をみてやりたいだろ。」

と3人の事を話しながら走っていると唯の家の前に着いた。

まだ5km(20分)しか走っていないのに

少し遅れて3人が唯の家の前に着いた。

「まったく・・・遅いぞ3人とも。ここまで5km。そんなに距離は無いだろ。」

と言うと東条が

「ペ・・・ペースが・・・は、速い・・・です。」

と答えた。

俺はあとは3キロ先まで行ってUターンしてここの前を通るから

「唯。悪いんだけど」

とここまで言うと

「わかってる。お茶を3人分とここで休ませてあげるから夏樹君が戻って来たら一緒に走って帰りなよ。」

と唯が俺に続いた。

3人は目をキラキラさせている。

「すまんな。唯。それじゃあ3人はここで待ってろよ。」

そう伝えて俺はまた走り始めた。

 

side夏川唯

私が家の中からお茶を3人分持ってくると東条君が突然

「えっと夏川先輩はなんで吉川先輩と付き合ってるんですか?」

と聞いてきた。

もう慣れた質問だから何とも思わないけど

「夏樹君が好きだから。どうして?」

「吉川先輩は自分にも他人にも厳しい人なので何故かと思いまして。」

と続けてきた。

自分にも他人にも厳しい人か。

「夏樹君が厳しいのは野球に関わる時だけだよ。まあ自分には常に厳しいけど生真面目でも無いし。それに・・・私は夏樹に君一目惚れしたの。」

と答えると3人は驚いたような顔をしていた。

「別に驚く事でも無いでしょ。初めて会ったのが中1の夏休み前夏樹君がランニングをしている時にたまたま私がまぁ怪我をしたの。そこで痛くて立ち止まってる時に夏樹君がやって来て私に声をかけてくれた。そこでまあ家までおんぶして連れて来てくれて私が夏樹君にお礼をしたいからってメアドと電話番号を教えて貰ったの。付き合ったのはその後すぐの夏休み中にね。」

と言うと東条君達はいがいそうな顔をしていた。

 

 

そんな話をしていると夏樹君が戻って来て

「悪い唯。俺もお茶を貰っていいか?」

と聞いてきた。

「うん。・・・お母さんがたまには中に来いって言ってたよ。」

「そうか。じゃあ少し邪魔する。」

そう言って夏樹君は家の中に入って行った。

 

10分位で夏樹君は家から出て来て

 

「さぁ3人とも。帰るぞ。後ろから追い付くから先に行ってろ。俺に抜かれたら・・・明日のランニングをタイヤ1つ追加な。」

と言って先に走らせてから私の方を見て

「唯。」

「何夏樹君?」

と答えると突然私を抱き締めて

「先輩達の最後の大会まで後2ヶ月。これからも頼むな。今回こそは甲子園で優勝して見せるから。」

と耳元で囁くと私の唇にキスをして返事も聴かずに走り出してしまった。

 

そこから私は多分顔を真っ赤にして夏樹君を見ているしか出来なかったと思う。


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