皆さん、こんにちは。
私は、ゆんゆん。紅魔族の長の娘です。
え?あの独特の名乗りはしないのかって?
しませんよ?恥ずかしいし...
モノローグ位、普通にやらせてください。
今は、めぐみんと勝負をするために、初心者冒険者が集う街『アクセル』にいます。
めぐみんと再会してしばらく経ちました。
久しぶりに会っためぐみんは、私の知らない人たちとパーティーを組んでいて、楽しそうでした。
再会したときは、カエルに食べられそうになってたけど...
正直、毎日楽しそうに仲間と過ごすめぐみんが羨ましかったです。
だから私は、時間があるときはめぐみんに勝負を持ち込んだ。
カズマさんが家に遊びに来いと言ってくれた時は、お邪魔しちゃ悪いかなと思いつつも、嬉しかった。
そうして、私もアクセルの街に居着くようになった。
それから1ヶ月以上が経つけど、その間にめぐみんのパーティーは、魔王の幹部を討伐すると言う大金星を挙げていた。
聞くところによると、以前にも幹部討伐を行っていたり、機動要塞デストロイヤーの破壊まで行っているのだとか。
確かに、めぐみんは爆裂魔法しか習得していない。
そのせいで一日に一度しか魔法が撃てない。
でも、その威力は人類が出せる最強のもの。
ボスクラスのモンスター相手には切り札となりうる魔法。
そんなめぐみんが、金星を挙げるのも当然なのかも知れない。
それに比べて、私は里にいる時と変わっていなかった。
クエストも一緒に行く人はいない。一人でクエストをこなし、一人で食事をし、一人で宿に帰る。
ライバルのめぐみんとの差を実感させられている気がしていた。
そんな毎日を送っていたある日、私の人生が劇的に変わる転機をもたらす人と出会った。
小さな妖精を肩に乗せ、全身黒ずくめのその人は、私をクエストに誘ってくれた。
生まれて初めてパーティーに誘われた私は、嬉しさで直ぐにうなずいた。
今考えると、ちょっと軽率だったかな。
キリトさんが良い人だったから良かったけど...
その事でめぐみんに説教されちゃったし。
キリトさんと初めて行ったクエストでは、驚きばかりでした。
キリトさんの強さにも驚いたけど、キリトさんの判断力や指示の正確さにも驚いた。
キリトさんは、冒険者に登録したばかりの新人のはずなんだけど、まるで百戦錬磨のベテラン冒険者のように頼りになります。
その日は私に、パーティーとしての戦い方も教えてくれました。
それから、キリトさんが娘のように可愛がっているピクシーのユイちゃん。
ピクシーは初めて見たけど、凄く物知りなんです。それに、とても素直な良い子で、キリトさんが娘のように可愛がるのもわかる気がします。
そんなキリトさん達と一時的にせよパーティーを組んで三日目、キリトさんを追いかけて、恋人のアスナさんがアクセルの街にやってきました。
キリトさんに恋人がいたのを知ったときは驚いたけど、幸せそうなお二人を見ていると、私も幸せな気分になります。
アスナさんと話をしてみると、キリトさんが好きになるだけあるなぁと感心しました。
綺麗だし、優しいし、とても素敵な女性だ。
なんだか『大人の女性』ってこんな人なんじゃないかなって思います。
うちの里の大人は何て言うか...変わってるからなぁ...
そして、私たちは改めて正式にパーティーを結成した。
キリトさんとアスナさんの戦闘を初めて見たときは、凄く感動したのを覚えています。
まるで、次にお互いが何をするのかわかっているかのように、交代で敵にダメージを与えるその姿は、正に『理想のパートナー』と言った感じでした。
今日は、めぐみん達が私たちの戦闘を見学していたけど、やっぱり二人の戦い方に驚いていたみたい。
めぐみんなんて、口を開けたまま呆けていたもんね。
めぐみん達は、私達がクエストを達成するのを見届けると、先に帰っていっちゃった。
一緒に帰れば良いのに、なんだかカズマさんが強硬に先に戻ると言って、未だに呆然としていためぐみんとダクネスさんを引っ張って帰っていった。
アクアさんは楽しそうだったけど。
そして、今私は、アクセルの街の冒険者ギルドに併設された酒場にパーティーの皆で来ています。
今日は、私達がパーティーを結成して、初めてクエストを達成した日。
パーティーの結成と、クエスト達成の祝いを兼ねて打ち上げパーティーを行うことになった。
皆でパーティーをするなんて、初めてで舞い上がってしまった私は、お金は私が払うと言ったんだけど、それは皆に止められた。
結局、今回の報酬から払って残りを分けると言う話で落ち着いた。
おかしいな?友達のふにふらさんやどどんこさんなら、ありがとうって言って高いものをどんどん頼むんだけど...おかげであの時は大変だったな...
二人に奢る為に、バイトしないとお金が足りなかったし...
私がこれまでの事を振り返っていると、
「それじゃあ、俺たちのパーティー結成と初クエストの達成を祝して...」
「「「「カンパーイ」」」」
いよいよ打ち上げが始まった...
楽しいな。凄く楽しい。
皆でパーティーをするってこんなにも楽しい事だったんだなぁ...
私は、今のこの幸せに少し泣いちゃいました...
キリトさん。あの時、私に声を掛けてくれて、ありがとうございます。
きっと役に立ってみせますからね。
私は、キリトさんの横顔を見て
決意を新たにした。
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オマケ
「高級しゅわしゅわ追加お願いしまーす。」
「おい、アクア。まだ飲むのか?どんだけ飲む気だ。お前は...」
「ハァ?賭けを持ち出してきたのはカズマでしょう?カズマは黙って私に奢れば良いのよ?」
「もう勘弁して下さい...」
「なあ、アスナ。あそこにいるの、カズマとアクアさんだよな?」
「うん。そうだと...思うけど...なんかアクアさんの雰囲気が昼間と違うような...」
「パパ、ママ、あの女性はアクアさんで間違い無いと思われます。アクアさんと外見情報が完全に一致します。」
「............見なかった事にしておくか。」
「......そうだね。」
「わかりました。」
早速ボロを出したアクアでした(笑)