この素晴らしいキリアスに祝福を!完結   作:アーク1

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キリト視点に戻ります。


異変の前触れ

俺たちが、この世界に来て1ヶ月以上が経った。

 

この1ヶ月の間、出来る限りの討伐クエストを行い、レベルアップに励んできた。

 

まだ、ゆんゆんとのレベル差はあるが、多少は縮まっている。

 

また、連携の訓練も継続して行い、連携プレイに最初は慣れていなかったゆんゆんも、今では簡単な指示でこちらの行って欲しい事を察知し、実行できるまでになっていた。

 

課題も見つかった。

 

俺たちのパーティーは、戦線を維持する前衛が足りない。具体的にはタンクが欲しい。

 

敵が弱い今はともかく、強くなって来たときに、俺がダメージを受けて後方に下がると、回復役のアスナが前衛に出るしか無くなり、そうなるとアイテム以外での回復手段が無くなる。

 

できれば、あと一人タンク役をこなせる仲間がいれば安定するんだが...

 

次点で、アスナとは別に回復役に徹したヒーラーがいれば...

 

ただ、俺たち...と言うか俺のこの街での評判は、あまり良くない。ただでさえ、アスナやゆんゆんとパーティーを組んでいることに妬まれている所に加えて、上級モンスターの討伐を行っていない。

 

ステータス的には討伐可能ではあるだろうが、安全を考えればもう少しレベルを上げておきたい所だ。

 

これは、アインクラッドでの二年間の考え方に影響されてるんだろうと思う。

 

安全マージンを充分取ってなお、犠牲者をゼロには出来ない事を、俺たちは身に染みてわかっているから...

 

そんな俺の方針のせいで、周りの冒険者からの評判は、あまり良くない訳だ。

 

ステータスが高いのに強いモンスターと戦わない俺は、冒険をしない冒険者、弱虫、臆病者と陰口を叩かれている。

 

アスナやゆんゆんを狙って、正面から言ってきた挙げ句、アスナ達を自分のパーティーに誘うやつらも、何度も見られた。

 

まあ、そんな場合、当のアスナもゆんゆんも、そいつらの言葉に激怒してパーティーに誘う所じゃ無くなるんだけどな。

 

むしろ、陰口を叩かれてる俺自身は、大して気にしていなかったりする。

 

SAOで卑怯者のビーターと言われていた時に比べれば、臆病者なんて気にもならなない。

 

アスナやゆんゆんの命に比べれば、臆病者の謗りなど、問題にもならない。

 

勿論、俺の考えに賛同してくれる人たちも少なからずいる。

 

ギルドの職員はもちろん、カズマ達や、カズマの知り合いの冒険者も、良くしてくれている。

 

とは言え、そんな状況でパーティーメンバーを募集しても、ろくな奴が来ない為、未だに三人(ユイは戦闘要員ではない)でクエストをこなしている。

 

 

そんな、1ヶ月を過ごして来た俺たちだが、最近...張り出されているクエストに違和感を覚えた。

 

ジャイアントトードのような、比較的弱いモンスターの討伐依頼が無く、中級~上級のモンスター討伐の依頼しかないのだ。

 

張り出されているクエストの数事態も少ない。

 

一体、どういう事なのだろうか...。

そう思っていると、ルナさんが話しかけてきた。

 

「キリトさん、何かクエストをお探しですか?」

 

俺は、気になっていたことを質問してみた。

すると、ルナさんは困った顔をしながら、

 

「それなんですけど、最近、比較的弱いモンスターが姿を隠している様なんです。まるで、何かに怯えているかのように。」

 

「なにが原因なんですか?」

 

「今のところ、原因は不明です。ただ...以前にも同じような事があったんです。その時は、近くの廃城に魔王の幹部が住み着いていたんですよ。」

 

「その幹部は、カズマさんのパーティーを中心としたこの街の冒険者によって、間違いなく討伐されたハズなんですが...」

 

ルナさんは、思案顔をしたあと、

 

「キリトさん。もし宜しければ、キリトさんのパーティーで、廃城の調査を行ってはもらえないでしょうか。この街で最も安定して戦闘が行えて、生存率も最も高いのはキリトさんのパーティーだと私は思うんです。」

 

俺たちにクエストを提案した。

 

さて...どうするか...

 

「皆はどうしたい?」

 

一応、パーティーの意見を聞こうと皆に訊ねてみた。

 

「私は...私達が行くべきだと思う。はっきり言って、この街で私達より強い冒険者はいないよ。もし、他のパーティーにこの話が行って、そのパーティーが帰って来なかったら、またキリト君の悪口が出そうだし...」

 

真っ先にアスナが賛成した。

 

「私も賛成です。それに、私はテレポートの魔法が使えます。例え、不足の事態があっても逃げるだけなら可能です。」

 

ゆんゆんもそれに続く。

 

「...わかった。ルナさん、このクエスト...俺達が請け負うよ。」

 

俺は、クエストを請け負う事を決めた。

 

「さて、討伐ではなく異変の調査となると、俺たちだけでは難しい。できれば、盗賊系のスキルを持っている冒険者に同行して欲しいんだけど...ルナさん、誰か紹介できる冒険者はいないかな?」

 

カズマが持っているハズだけど、異変の調査には向いてないだろうしな...

 

「それでしたら、クリスさんがオススメですね。クリスさんは、パーティーを組んでいないフリーの盗賊ですし、戦闘力も高めで、盗賊スキルもかなり高いです。色んなパーティーに引っ張りだこな所を見ても、実力が高いからでしょうし...それに...」

 

そこで、ルナさんは一度止めて、次に小声で

 

「キリトさんに、偏見も持っていないでしょうから。」

 

その言葉にアスナ達がムッとする。

 

この話題は俺たちのパーティーには禁句と言って良いからなぁ...

 

それにしても、クリスか...

確か、カズマの知り合いだったな。

 

上手く会えれば良いんだが...結構、神出鬼没だからな。あの娘...

 

そんな事を考えていると...

 

「呼ばれた気がしたんだけど、私に何か用事かな?」

 

目の前に笑顔のクリスが立っていた...

 

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