この素晴らしいキリアスに祝福を!完結   作:アーク1

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引き続き、ゆんゆん視点。


立ち上がれ、ゆんゆん!

ベルディアに見逃された私たちは、転移魔法でアクセルの街に戻りました。

 

大怪我を負ったキリトさん...。

 

キリトさんを助けるには、アクアさんの力が必要です。

 

屋敷にいるとは限らないため、クリスさんの提案で冒険者ギルドに行き、ルナさんに放送を掛けてもらって、アクアさんを呼んでもらいました。

 

直ぐに、アクアさんは駆け付けてくれました。

 

「アクアさん。お願します!キリト君を...キリト君を助けて。私のヒールじゃ回復しきれないんです。」

 

アクアさんの姿を見つけたアスナさんが、必死に助けを求めました。

 

「大丈夫。私に任せて。」

 

キリトさんの傷を見て、一瞬目を見張ったアクアさんですが、直ぐ自信の表情を浮かべて、アスナさんを元気付けます。

 

「ブレイクスペル...かーらのー...エクストラヒール!」

 

なんと言うことでしょうか。アレだけ大きな怪我だったキリトさんのキズがみるみる塞がっていきます。

 

「アスナ、貴方のヒールが彼に効かなかったのは、キズそのものに呪いが掛かっていたからよ。先にブレイクスペルで呪いの効果を打ち消してから回復魔法を掛ければこの通りよ?」

 

すごい。普段はカズマさんとお馬鹿なことをしてる印象しかないけど、回復魔法にかけては、アクアさんは本当に天才です。

 

「これでよしっと。明日には目を醒ますと思うわ。ただ、かなり強力な呪いが掛けられてたから、完調には一週間位はかかると思うけど...」

 

一週間...ベルディアが攻めてくる日...

 

「ありがとうございます、アクアさん。本当にありがとう。」

 

アスナさんが泣いてアクアさんにお礼を言いました。

 

「アスナ。ちょっときついことを言うわよ。貴女も同じアークプリーストよ。貴女にも同じ事が出来るはず。もっと癒しについて勉強しなさい。彼を癒すのは貴女の役目なのよ?」 

 

「はい。本当にありがとうございました。」

 

私は、そんなやりとりをずっと眺めていました。

 

「それで?キリトはどうしてこんな事になったの?」

 

アクアさんが質問します。

 

「それなんですけど...」

そう言って、クリスさんに話を聞いていたルナさんが会話を引き継ぎました。

 

「なぁんですってぇ!ベルディアが復活した?ちょっとどういう事よ。あいつは私のセイクリッドターンアンデッドで浄化したのよ?いくら高位のアンデッドだからって、おいそれと復活なんて出来るわけないじゃない!」

 

ルナさんに食って掛かるアクアさん。

いつもの事なのか、冷静に話を続けるルナさん。

 

その原因を聞いて固まるアクアさん。

 

「とにかく、一週間後、ベルディアはこの街を攻めにやってきます。冒険者の皆さんは、武装を整えて防備に当たってください!」

 

ルナさんが号令を掛けました。

 

「へっ、あいつの弱点はわかってるんだ。楽勝だぜ。」

「そうだな、水に弱いことは前回でわかってるんだ。そんな構えることもないだろ。」

 

周りの冒険者達は気楽な様子でした。

 

「それはどうかな?弱点が露見してるのに、わざわざ、侵攻日を知らせた上で正面から戦いを挑むと思う?きっと対策をしてきてるハズだよ?それに...戦闘力も前回よりかなり上がってるみたいだった。真剣に取り組まないと...死ぬよ?」

 

そのお気楽なムードにクリスさんが冷や水を浴びせます。

 

「と、とにかく、一週間後は皆さんお願いします。特にアクアさん。カズマさん達を必ず引っ張って来るようにお願いしますね。」

 

ルナさんの一言で、その場は解散となりました。

キリトさんを宿屋に運んで、私は自分の部屋に戻りました。

 

一人になり、やることが無くなった私は、あの時の事をどうしても考えてしまう。

 

私が犯したミス。どうして私は、あの時大声でテレポートするなんて言ってしまったのだろう。

 

そのせいでキリトさんは...本当なら無傷で帰れたハズなのに...

 

気がつくと、私はキリトさん達の部屋の前に立っていた。

 

そっと扉を開くと、アスナさんが祈るようにがキリトさんの手をとり、必死に声を掛けていました。

 

その手にはユイちゃんも乗っています。こちらも必死にキリトさんに話しかけていました。

 

その姿に、私はいてもたってもいられず、宿を飛び出しました...

 

どこをどう歩いたのか覚えていません。いつの間にか私は街のハズレに座り込んでいました...

 

「どうかしたのかい?ゆんゆん。」

「どうしてクリスさんがここにいるんですか?」

 

何故かクリスさんが声を掛けてきました。

 

「今日のクエストで消耗したアイテムの補充をしてたら、ゆんゆんがふらふら歩いているのを見かけてね?心配になって後を付けてきたのさ。」

 

「それで...何かあったのかな?随分落ち込んでいるようだけど...私でよければ話してみない?これでも、人の悩みを聞くのは慣れてるんだ。」

 

私は、何故か私の胸の内をクリスさんに打ち明けていました。

 

キリトさんに、孤独を救ってもらったこと。

パーティーでの戦いが楽しかったこと。

一緒にご飯を食べて嬉しかったこと。

 

恩人のキリトさんを自分のミスで殺しかけたこと...

 

「私は、誰かと一緒にいる資格なんて無かったんです。私のせいでキリトさんは...」

 

「あの場には、私もいたし確かに君のミスはあったけど...キリトがあんな怪我をしたのは不可抗力だと思う...ってありきたりな事を言っても納得しないだろうね。」

 

「だから、私は慰めの言葉は掛けない。でも、これだけは言わせてもらうよ?ゆんゆんはこれからどうするんだい?」

 

「私は...」

 

私は、どうしたいんだろう。キリトさん達の側にはいたいです。でも、今回みたいに足を引っ張ってしまうのは怖い...

 

...思えば、私は昔からそうだった...

 

一人は淋しい...でも、人に嫌われるのは怖い。だから人を誘えない。待っているだけの私に声をかけてくれる人なんてほとんどいなかった。

 

唯一、めぐみんだけは、他の人から奇異の目で見られていためぐみんだからか、気軽に話しかけられた。

 

めぐみんは、私と似ていると思ったから...

 

それからは、勝負を持ちかけてみたりして、めぐめんの気を引こうとした...

 

打算的なのだ。私は...。

 

「ふむ。大分迷ってるみたいだね。私はアクシズ教徒じゃないけど、アクシズ教徒の教義に、今の君にピッタリの言葉があるから教えようか。『迷っているときに出した決断は、どの道どっちを選んでも後悔するもの。なら、今が楽ちんな方を選びなさい』...まあ、楽ちんって言うのはどうかと思うけど...。」

 

「君にとって、一人に戻ることと、パーティーの足を引っ張っること...どっちが嫌かな?」

 

どっちも嫌だ...でも...やっぱり一人に戻りたくない。何より、私はキリトさんに恩を返していない...

 

「答えは出たみたいだね。」

 

「ありがとうございます、クリスさん。私は、今のパーティーを離れたくないです。だから...私がキリトさん達を守ります。」

 

「よし...なら一週間後は頑張ろう。」

「はい。」

 

私は、キリトさん達を守る。絶対に...

決意を胸に、私は宿へと戻った。

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