アクアがギルドに呼び出しを受けた。
また、なにかやらかしたのかと冷や汗を掻いていたが、戻って来て事情を聞けば、予想以上にとんでも展開だった。
なんと、あのベルディアが復活したのだと言う。
アクアは、ベルディアにやられて重症を負ったキリトの回復の為に呼び出されていたのだそうだ。
正直、ぞっとした。以前、キリト達の戦闘を見学してる俺は、キリトがやられる姿が想像が出来ない。
しかも、そのベルディアは一週間後、この街を攻めにやってくるらしい。その上、俺たちは名指しで逃げるなと釘を刺されている...
正直、逃げたい...
いや待て...
ヤツの弱点はわかってるんだ。そう怖がることもないか。
「アクア、キリトは明日には目を醒ますと言ってたよな。」
「うん。かなり強力な呪いを掛けられてたから、すぐに完調はしないだろうけどね。」
「とりあえず詳しい事情を聞きに、明日はキリトの見舞いにでも行くか。」
そう決めて、その日は就寝した。
翌日...
俺たちは、キリトの取っている宿屋に向かった。
部屋に着くと、キリトは目を醒ましていた。
アスナとユイが、付きっきりで看病していたが...
相変わらず羨ましいヤツだ。
「ああ、カズマか。入ってくれ。」
俺たちに気付いたキリトが中に促す...
キリトはまだ身体を起こせないようで、横になったままだ。
「アクアから話は聞いたぜ?手酷くやられたみたいだけど...大丈夫なのか?」
「見ての通りさ...っとその前に、アクアさん。ありがとうございます。貴女のお陰でなんとか、助かりました。」
「無理はしないようにね。貴方の受けた呪いは、この私の魔法をもってしても直ぐに完治は出来ない位強力なもの。ベルディアの侵攻に間に合わないかもしれないわ。」
それは、悪い話だ...キリトの戦力を当てに出来ないのは大きい。正直、このアクセルの街で最も強いのはキリト達だ。
「それで...何があったんだ?お前がそこまで重症を負うとは思えないんだけど。」
「ああ...それか...」
詳しい話を聞くと、どうやら武器が問題だったらしい。
アスナの細剣は、一度の攻撃で折れ、キリトの剣も刃こぼれを起こしてろくにダメージを与えられなかったのだそうだ。
まあ、あの剣はこの街の武器屋にある安物だしな。俺の相棒(ちゅんちゅん丸)なら傷を付けられるかもしれんが...
そんな剣でベルディアの攻撃を防げる訳もなく、剣ごと切られたらしい。
とにかく、話を聞く限り戦いそのもので、ベルディアに遅れを取っていた訳ではなさそうだ。
「あの...ゆんゆんが見当たらないんですが、ゆんゆんはどちらに?」
めぐみんが尋ねる。
思えば、部屋に入ってからキョロキョロと部屋を見たり落ち着きが無かった。ゆんゆんを探していたのか...。
「ああ、ゆんゆんは特訓をするって言って、朝早くから出掛けてるよ。」
「私たちは、気にしてないって言ったんだけど、ゆんゆん...昨日ちょっとしたミスをしてね。それを気にしてるみたいなの。昨日と違って落ち込んではいなかったけど、私たちは自分が守るからって言って...気負いすぎてなければ良いんだけど...」
「そうですか...」
めぐみんは、かなり心配そうだ。
「あら、めぐみん。来てたのね。」
ちょうどそのタイミングでゆんゆんが(恐らくキリトの)ご飯をもって部屋に入ってきた。
間の悪い...
「ゆんゆん、大丈夫なのですか?」
「???なんのこと?」
「昨日、なにかミスをして落ち込んでいたと聞きましたが...今朝も早く特訓に行ったと言ってましたし。」
「え?もしかして心配してくれてるの?」
「ち、違わい。」
「私は大丈夫よ。確かに昨日の私のミスは忘れられないけど...まずは今度のベルディアの侵攻を防ぐ事を考えなきゃ。今は、やれる事をやるだけよ。」
...ゆんゆんってこんな前向きな子だったかな?
めぐみんも、かなり驚いているようだ...
「あいつは、水が弱点なんだよ。前回それで倒してるし、今回も大丈夫さ。」
俺が元気付けるように、気楽に伝える。
「あの...カズマさん。それなんですけど...クリスさんも言ってたんですが...前回と同じ弱点を残して正面から攻めてくるのはおかしいです。きっと、その弱点はもう無いと思いますよ?」
た、確かに一理ある...ってことは何...?
あいつとガチバトルしなきゃならないの?
無理ゲーじゃね?それ...。
いや、まて。落ち着くんだ。サトウカズマ...。
昔から再生怪人は弱いと相場が決まってるんだ。
ウチのパーティーには対アンデッド最強の駄女神アクアと、火力最強の爆裂狂めぐみんがいるんだ。
きっとなんとかなる...と...思う...多分...きっと...そうなるといいなぁ...。
「と、とにかく、安静にな。キリト。」
(そして、ベルディアの侵攻に間に合わせてください)
俺たちは、キリトの部屋を後にした。
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あっという間に一週間が経ち...
ベルディアの侵攻当日...
俺たちアクセルの街の冒険者は、街の正門前に集まっている。
キリトは間に合わなかった。
せめて、あと一日猶予があれば...
復調していないキリト。
キリトが出て来ないよう監視するためアスナが残り、キリトのパーティーからはゆんゆんのみが参加している。
そして、いよいよその時はやって来た。
「大勢の出迎えご苦労。俺はデュラハンのベルディア。貴様らに、間抜けな倒され方をしたベルディアだ。魔王様のお力で、貴様らに地獄を味あわせるために、こうして蘇ってきた。さあ、それでは始めようか...。俺の復讐を!!」