この素晴らしいキリアスに祝福を!完結   作:アーク1

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カズマ視点。


アクセル防衛戦2 冒険者たちの戦い!

「大勢の出迎えご苦労。俺はデュラハンのベルディア。貴様らに間抜けな倒され方をしたベルディアだ。魔王様のお力で、貴様らに地獄を味あわせるため、こうして蘇ってきた。さあ、それでは始めようか。俺の復讐を!!!」

 

そう言って俺たちの方を睨むベルディア。

 

おかしい...あの時は街の皆、総出でベルディアを討伐したハズだ。

俺たちだけが睨まれる謂われははない。

 

そりゃあ、ダクネスは変態性を存分に発揮してたし、勝負を楽しもうとした動かないベルディアにすら攻撃を外すしで、ガッカリさせてた。

 

めぐみんは、言うまでもなく城に爆裂魔法を撃ち続けて嫌がらせしてたか...。

アクアもそれに付き合ってたんだよな。

 

俺は...ベルディアの頭をスティールしてサッカーしたっけ...

 

............。

 

うん。これは仕方ないか。そりゃあ怒るよね。コレ...

 

だが、黙ってやられる訳にはいかない。

先ずは、本当に水の弱点を克服したのか見極める。

 

『クリエイトウォーター!!』

 

俺の不意討ちによる、水魔法がベルディアに炸裂する。

以前のベルディアなら大袈裟に避けるそぶりを見せていたそれを、避けるどころか、動くそぶりも見せず、まともに食らうベルディア。

 

「ふん。バカめ。弱点をそのまま残していると思ったか?水への対策は万全だ。」

 

くっ、やっぱり対策してきてたのか...

 

んっ?今なんか引っ掛かる事を言ってたな。

 

水への対策は万全だ...

水への対策は万全...

「水」への対策は...

 

「アクア、浄化魔法だ。」

「わかったわ。セイクリッドターンアンデッド!」

 

「ひあああああああああっ!!!」

 

悲鳴を挙げて転がり回るベルディア。

 

やっぱり...

前回も、かなり効いてたもんなぁ。

 

「くっ、やはりあのアークプリーストは危険だ。アンデッドナイトども、あのアークプリーストを狙え!」

 

ベルディアが引き連れてきていたアンデッドに命令を下す。

 

「嫌ぁ。またこの展開ぃ~!」

 

アクアがまたアンデッドに追いかけ回される。

 

だが、今回もベルディアに対し、ダメージを最も与えられるのはアクアだ。

 

なんとかしないと...。

 

こうなったら前回と同じ作戦でめぐみんに...

 

「そう言えば頭のおかしいそこの魔法使い。確かめぐみんと言ったか。あの時は爆裂魔法を撃ったが、今回は撃たんのか?まあ、前回も俺に大したダメージは与えられなかったものな?」

 

マズイ。これはあからさまな挑発だ。俺たちにとって切り札と言って良い爆裂魔法を先に潰す気だ。

 

「乗るなめぐみん。ただの挑発だ!!」

 

大声で叫ぶが遅かった...

 

「良いでしょう、私とてあの時よりレベルも上がり、爆裂魔法の威力も上がっています。私の魔法が上か、貴方の耐久力が上か...勝負です!」

 

そう言って、爆裂魔法の詠唱に入るめぐみん。

俺の声は、華麗に無視された...

 

『エクスプロージョン!!!!』

 

爆裂魔法が、炸裂した。

 

大爆発がベルディアを中心に起こる... 

 

「あぅ。」

 

魔力を使い果たし倒れるめぐみん。

 

あんなあからさまな挑発をしてきた位だ...きっと何かある...杞憂であってくれれば良いが...

 

煙が晴れると...そこには無傷のベルディアが立っていた。

 

「なっ!?」

 

無傷?

 

いくらなんでもそれは、おかしい。

 

あの機動要塞デストロイヤーをも破壊しためぐみんの爆裂魔法を受けて、耐えるどころか無傷なんてありえない。

 

こいつ...何しやがった。

 

「不思議そうだな。」

 

ベルディアが持つ頭がニヤリと笑った。

 

「種明かしをしてやろう。『インヴィジブル』と言うスキルを知っているか?日に一度、10秒間だけ無敵になれるというものなんだが...」

 

こいつ汚ねぇ。

 

「おい、ベルディア。いくらなんでも卑怯だろ。今のはめぐみんの魔法をお前が耐えるシーンだろ。それでも元騎士か。」

 

「『元』騎士だ。なんとでも言うが良い。貴様らを殲滅するのに騎士の矜持など邪魔なのでな。...どうせ俺を満足させられるヤツもおらん。さて、これで爆裂娘は無力化した。あのアークプリーストもアンデッドどもとの追いかけっこの真っ最中。さて、サトウカズマ。どうする?」

 

クソっ。策で完全に上を行かれた。

 

「待て、ベルディア。まだ私がいる。」

 

そう言って、前に出るダクネス。

 

「...お前の相手はせん。どうせ攻撃しても当たらんだろ。相手をするだけ無駄だ。」

 

ダクネスを無視するベルディア。

 

「ほ、放置プレイ。どうしよう、カズマ。あのデュラハン、いつの間にかそんな高等テクニックを身につけてる。前回は私を痛め付けるだけだったのに...」

 

嬉々として、ヨダレを垂らしながら俺に言ってくるダクネス。

 

お前は、いい加減時と場所を考えた発言をしろ。

 

「さて、これで終わるのもつまらんな。もう少し余興を楽しもうか。」

 

ベルディアがそう言うと、ベルディアの回りから大量のアンデッドが召喚される。

 

まだ戦力を残していたのか...

 

アンデッド達は散り散りになって、アクセルの街に侵入しようと試みる。

 

他の冒険者達が応戦するが、数が多い。

 

クソっ、どうすれば...

 

「ライトオブセイバー!」

 

俺が焦る中、アンデッドの群れの一角が吹き飛んだ。

 

あの魔法は、ゆんゆんか。

 

「ここは、誰も通さない。キリトさん達は、私が守る!」

 

「ベルディア。貴方に弱点が無いなら、物量で責めるだけ。見なさい、特訓で編み出した上級魔法の多重機動。その名も...」

 

『スペルオブボンバー!!』

 

炎が雷が氷が竜巻が...とにかくとんでもない数の魔法がベルディアに降り注ぐ...

 

アレ、範囲はともかく威力だけなら、めぐみんのエクスプロージョンに匹敵するんじゃ...

 

ベルディアは膝をついていたが、まだ戦えそうだ。

 

「くっ、やってくれるでは無いか。この間とは見違えたぞ...」

 

魔力を使い果たしたのか、ふらふらのゆんゆん。それでも倒れないゆんゆんに、ベルディアが話しかける。

 

「名を...聞いておこうか。」

 

「我が名はゆんゆん!...アークウィザードにして、上級魔法を操るもの。そして、キリトさんのパーティーメンバー!」

 

高らかに宣言するゆんゆん。

正直、少しカッコいい。

 

「そうか。ゆんゆんとやら。お前の強さに敬意を表し、騎士として止めをさしてやろう。」

 

ベルディアは大剣を構え、ゆんゆんに向かい歩き出す。

 

マズイ。ゆんゆんはもうふらふらだ。

 

「逃げろ、ゆんゆん!」

「逃げてください!」

 

焦る俺たち。

 

俺は、めぐみんを守る為に動けない。

他の冒険者もアンデッドの相手で精一杯。クソっ、どうすれば...

 

「さらばだ、ゆんゆん!」

 

ベルディアが大剣を降り下ろす。

 

「そうはさせんぞ。ベルディア、お前の相手はこの私だ。攻撃は当たらずとも、この身を盾に貴様の攻撃を受けてみせよう!」

 

ダクネスが間に入り、ベルディアの剣を止めた。

 

ナイスだ、ダクネス。

 

「邪魔だ。お前のような半人前に用はない。」

 

ベルディアはそう言うと大剣を横に凪いで、ダクネスを遠くへ吹き飛ばす。

 

な、ダクネスが一撃で...

 

もう、ゆんゆんとベルディアを隔てるものはいない。

 

「さて、仕切り直しだ。何か言っておくことはあるか?ゆんゆん。」

 

「...んは...私が...る。」

「キリトさんは、私が守る。」

 

瞳を紅く輝かせたゆんゆんがベルディアに殴りかかった。

 

無茶だ。いくらなんでも魔法使いがフルプレートの敵に殴りかかるなんて...

 

ゆんゆんの拳がベルディアに直撃する。

パンッと言う音が響き、そして...

 

ベルディアの鎧に亀裂が出来た...

 

「ば、バカな。貴様何をした!」

 

「私が特訓で編み出したもうひとつの技。自分の魔力を拳に宿して打ち付ける。『スペルナックル』よ。」

 

「だが、俺の鎧を殴った貴様の拳の骨もボロボロだろう。どうするつもりだ?」

 

「拳なら、もうひとつあるわ…!」

 

「くらえ。ベルディ...あっ」

 

倒れるゆんゆん。今度こそ魔力が切れたか。

 

「なんで、後ちょっとなのに...なんで倒れてるのよ、私は。」

 

悔し涙を流すゆんゆん。

 

「ふっ、本当に驚かせてくれる。だが...ここまでのようだな。何、ここまで手こずらせてくれた礼だ。痛みもなく送ってやる。」

 

「や、やめてぇぇぇ!!」

 

めぐみんが叫ぶ...

 

ベルディアの大剣が、ゆんゆんに突き刺さるその刹那...

 

二つの影が、ベルディアに向かい、ベルディアを吹き飛ばした。

 

「よく頑張ったなゆんゆん。あとは...俺たちに任せてくれ。」

 

そこに...二本の剣...一本は真っ黒な刀身。もう一本は水晶よように美しい刀身を持った黒ずくめの剣士と、一本の荘厳な細剣を持った白い女剣士が立っていた。


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