この素晴らしいキリアスに祝福を!完結   作:アーク1

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今回も三人称


アクセル防衛戦4 黒の剣士と閃光再び

突然の乱入者に、ゆんゆんは驚いていた。

 

自分がベルディアに止めを刺される...まさにその瞬間...ベルディアの身体が吹き飛んだ。

 

「よく頑張ったなゆんゆん。あとは...俺たちに任せてくれ。」

 

ベルディアを吹き飛ばした乱入者の片割れは、そう言ってゆんゆんに微笑みかけた。

 

黒ずくめの衣装に身を包んだ剣士、キリト。

 

キリトは見慣れぬ二本の剣を携えていた。

 

今まで、キリトが二本の剣を使っている所を、ゆんゆんは見たことが無い。

 

それなのに、その姿は何故かキリトにしっくりとハマって見えた。

 

ゆんゆんは、複雑な心境だった。

 

自分が救いたい人に救われてしまった悔しさと、助けてもらえた嬉しさ。そんな感情がない交ぜになり、どんな表情をしたら良いのかわからない。

 

それでも、言われた通り、後の事はキリト達に任せよう。そう考えて、キリトに頷き返す。

 

 

一方、吹き飛ばされたベルディアは、なかなか起き上がらない。

 

それでも、油断なくベルディアを見るキリト。

その間に、アスナはゆんゆんをカズマ達のもとへと運んだ。

 

それを見計らったかのように、ベルディアは起き上がる。

 

「ハハハハハハ。待っていたぞ、貴様があの程度で終わるとは思っていなかったからな。」

 

ベルディアは、さも嬉しそうに笑いながら話し出す。

 

「それに、その剣。それが本来の貴様の武器か。確かに以前貴様が持っていた剣は、明らかに貴様の技量には不釣り合いだったからな。二刀流が貴様の本来のスタイルとは見抜けなかったが...それも、これからの戦いの楽しみと言えよう。」

 

「カズマ達への復讐が目的じゃなかったのか?」

 

キリトが聞き返すと、

 

「それは、目的の三分の一と言ったところだ。」

 

ベルディアは続ける。

 

「確かに、サトウカズマ一行への復讐心から俺は蘇った。だが...」

 

「先日のお前達との戦いを経て、俺の本来の未練がサトウカズマ達への復讐心を大きく上回ったのだ。今の俺が望むは、強き者との死闘。それだけよ。」

 

「そうか...だったら...存分に楽しんでいけ。お代はあんたの命で賄ってもらう。俺の仲間をこんなにして、手加減してもらえると思うなよ?」

 

ゆんゆんを、カズマの元に送ったアスナがキリトの隣に立つ。

 

「戦いを始める前に...騎士として名乗るとしよう...。俺は魔王軍の幹部...デュラハンのベルディア。さあ、貴様達も名乗るが良い。」

 

「キリトだ。」

「アスナよ。」

 

「そうか...ではキリト、アスナ。お前達の本当の力...見せてもらおう。」

 

「行くぞ、アスナ。」

「うん。」

 

戦いが始まった。ベルディアは、廃城でキリトを戦闘不能に追い込んだ上段からの降り下ろしを行う。

 

キリトはすぐさま反応し二刀を頭の上に翳す。

二人の武器が激突する。

 

「なっ!?」

 

驚いたのはベルディアだった。

以前の戦いでキリトはこの攻撃で致命傷を負った。

 

今回は、回避して反撃に転じると思っていただけに、まさか正面から受け止められるとは思わなかったのだ。

 

ましてや、キリトの体躯は自身より遥かに小さく、手に持った剣も片手剣。いくら二刀を重ねているとはいえ自身が持つ大剣とは比較にならない。

 

だと言うのに、武器同士がぶつかった時に剣から伝わる衝撃は尋常なものでは無かった。

 

まるで、大岩にでも打ち付けたかのような衝撃に、一瞬硬直するベルディア。

 

その隙にキリトは、ベルディアの大剣を跳ね上げた。

 

そして、そのタイミングを逃さずアスナが突っ込んでくる。

 

「ハアアアアア!」

 

アスナは『フラッシング・ペネトレイター』を発動した。

 

狙うのはベルディアの右腕。

 

キリトが大技を出すために、ベルディアの武器を落とす狙いだった。

 

高速で繰り出されるその攻撃は、それでも正確に狙いを付け放たれる。

 

「くっ」

 

ベルディアはなんとか回避に成功するも、そこに待っていたかのようにキリトが攻撃を繰り出す。

 

ベルディアは防戦一方に追い込まれた。

 

そんな戦いを、アンデッド達を一掃した周りの冒険者たちは自分達が戦いに参加するのも忘れ、茫然と見つめていた。

 

いや、参加できるはずも無い。その戦いは自分たちの知るものとは次元が違う。

 

キリトとアスナによる超高度な連携の上に成り立つ剣劇の嵐。

 

それを、防戦一方に追い込まれながらも凌ぎ続けるベルディア。

 

「お、おい。あいつらスゲーな...」

 

一人の冒険者が口を開く。

 

「誰だよ。キリトが臆病者だなんて言ったのは。」

 

「こうなったらやっちまえ~!」

「キリト~!」「アスナ~!」 

 

冒険者たちは声を出して二人を応援した。

 

一方、押しているはずのキリトたちは、内心焦りを感じていた。

 

押しているように見えるその戦いは、ペース配分も無く、最初から全力で行っているが故だった。

 

もともと、病み上がりのキリトは体力的に問題があった。

 

そのために、最初から全力で攻撃を行っているのだが、それでも決定打を与えられないでいた。

 

このままでは、遠からず先に体力が尽きるのは自分達の方...

 

"クソッ、一体どうしたら..."

 

キリトは心の中で舌打ちをした...

 

 

周りがキリト達の戦いに熱狂するなか、ゆんゆんはしかし、一人冷静にその戦いを見ていた。

 

キリト達が、焦りを感じているのをゆんゆんだけは感じていた。

 

この世界で、誰よりも二人の戦闘を見てきたゆんゆん。

 

今のような全力の戦いを見たことは無かったが、それでもパーティーメンバーとして、二人の考えや気持ちが伝わってくる。

 

ゆんゆんは、ふらふらになりながらも立ち上がり、カズマに話しかけた。

 

「カズマさん。お願いがあります。」

 

ゆんゆんの突然の行動に驚くカズマ。ゆんゆんは構わず話を続ける。

 

「カズマさん。私に一発で良い、魔法を放つだけの魔力を補給してもらえませんか。」

 

ゆんゆんは、カズマがドレインタッチと言うスキルで魔力を他人に分ける事ができるのを知っていた。

 

「ど、どうしたんだよ、ゆんゆん。このまま行けば、キリト達の勝ちだろ?ゆんゆんが無理しなくても良いだろ?」

 

「そうですよ。今のゆんゆんじゃ足手まといになるだけです。大人しくしていましょう。」

 

カズマ達は訳もわからず、ゆんゆんに話しかける。

 

「いえ。このままだとキリトさんたちは、負けます。」

 

ゆんゆんは、自分が感じた事を、感じていた事をカズマに伝えた。

 

驚くカズマだったが、ゆんゆんの真剣な瞳に頷くしかなかった。

 

カズマは自分に残った魔力を、ギリギリまでゆんゆんに与える。

 

冒険者であるカズマは、もともと魔力が少ない。ギリギリまで渡して、それでもゆんゆんが放つ中級魔法一発分にしかならなかった。

 

「頼むぞ。ゆんゆん。」

 

魔力切れで倒れるカズマ。それでも親指を突き出しカズマは笑った。

 

戦況は、いつの間にか拮抗していた。

キリト達の反応が、体力の消耗で遅くなってきていたのだ。

 

それを敏感に察知したベルディア。

 

「このまま行けば、お前達の負けだな。残念だが、そろそろ終わりにしよう。」

 

自分の優位に、意気を上げ決着を迫るベルディア。

 

そこに...

 

「ベルディア、これを食らいなさい。『フリーズランサー』!」

 

ゆんゆんの魔法が炸裂する。狙いはベルディアの右肘間接。

 

寸分違わず、ベルディアの右肘間接が凍りつく。

 

「なんのつもりだ。」

 

だが、それは一瞬の出来事。魔力の残り少ないゆんゆんの魔法は一瞬にして消失してしまった。

 

だが、その一瞬にキリト達は動き出す。

 

アスナは、動きの止まったベルディアの右腕。

 

その腕が持つ大剣に向けて、自身が作り、切り札であるオリジナルソードスキル『スターリィ・ティア』を発動した。

 

迎撃しようとするベルディアだが、ゆんゆんの魔法により、腕の動きが止まっていた。

 

「ハアアアアアッ!!!」

 

アスナのソードスキルはベルディアの大剣の全て同じ場所に当り、ベルディアの大剣は砕け散った。

 

「バ、バカな...」

 

そう、アスナの狙いは武器破壊。かつてキリトがSAOで得意としていたものだ。

 

ベルディアの剣を振るスピードは早く、狙えるものでは無かったが、ゆんゆんの魔法のお陰で、破壊に成功した。

 

「キリト君!」

 

その時キリトは、既にベルディアの懐に飛び込んでいた。

 

アスナの狙いを読み、アスナを信じて最高の一撃を放つ。

そのために...

 

「終わりだ、ベルディア!...『スターバースト・ストリーム』!」

 

キリトが持つ二刀流ソードスキル。その中でも上位に位置する、二刀による16連戟。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

キリトの攻撃を無防備に受け、ベルディアはなす術もなく、倒れるのだった...

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