キリトの『スターバースト・ストリーム』を食らい、ベルディアは倒れた。
「「「「「う、うぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」」」」」
周りの冒険者達が歓声を上げる。
ズザッ...
と、その時、ベルディアが立ち上がった...
一斉に辺りは静まり返る。
だが、キリト達は動かない。
キリト達にはわかっていたのだ。
既にベルディアに戦意が無いことを...。
「俺の...負けだな。キリト...アスナ...そして、ゆんゆん。感謝する。お前達との戦い...俺は...全てを出しきる事が出来た。これで...思い残すことは...もう...無い。魔王様のお力でも、二度と俺が復活することも無いだろう。」
「あんたは強かったよ。俺一人じゃ、絶対に勝てなかった。アスナと...ゆんゆんのおかげだ。」
キリトはベルディアの強さを称賛した。
「俺の強さはアンデッド化によるものだ。生前の俺では、お前達の足元にも及ばん。本当の英雄を見ることが出来た。それだけで、俺は充分だ。」
ベルディアは、満足そうに言った。
しかし、続けた言葉にキリトたちは戦慄する。
「俺を倒した褒美だ。お前達に相応しい二つ名をやろう。」
ベルディアの言葉にギョッとするキリト達。
「キリト、お前には『黒の剣士』だ。お前を見れば誰もがその名を思い浮かべるだろう。」
勘弁してくれ...
キリトは思った。
「アスナ、お前は『閃光』だ。お前の技とスピードは正に閃光。その名が相応しい。」
アスナは思った。
バーサークヒーラーよりは良いか...。
「ゆんゆん。お前の魔法の嵐。凄まじかったぞ。お前は"天から魔法の嵐を生む魔女"『天魔』だ。」
ゆんゆんは思った。
カッコいい...。
「そろそろ時間のようだ...黒の剣士キリト、閃光のアスナ、そして天魔のゆんゆん。お前達との戦いを、俺は誇りに思う。さらばだ...」
ベルディアはそう言うと、ゆっくりと消滅していった。
「キリト君?キリト君が号令掛けないと、皆動けないよ?」
アスナは、ベルディアの二つ名と言う置き土産に固まっていたキリトに声を掛ける。
キリトは辺りを見渡す。
皆、キリト達に視線を注いでいた。
キリトは観念して、エリュシデータを空に掲げ...
「俺たちの勝利だ!」
高らかに宣言した。
「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」
今度こそ勝利を確信し、周りから勝利の悦びによる雄叫びや、キリト達への称賛の嵐が始まる。
早速、ベルディアが付けた二つ名を連呼する者までいた。
その冒険者達の雄叫びはしばらく鳴り止むことは無かった。
ちなみに、アンデッドに追いかけ回されていたアクアだが、ベルディアの消滅に伴ってそのアンデッドも消えた。
ベルディア戦で、ずっと追いかけ回されていたアクアは精も根も尽きて地面に突っ伏していた。
誰も気にしていなかったが...
「なんでよぉ。このシリーズの私、超優秀じゃない。なんで最後にオチが付くのよぉ。」
それが、アクアと言う存在なのだから仕方がない。
その日は、ベルディアとの死闘により皆ぼろぼろだったため、報酬は翌日と言う事になり、冒険者達は町に戻ると解散した。
「お帰りなさい、パパ、ママ。ゆんゆんさん。」
宿に戻ると、ユイが三人を笑顔で出迎えた。
キリト達は、お互いを見ると、
「「「ただいま。」」」
そう言って笑顔でユイの元へと向かっていった。
宿に戻ると、ユイが三人を笑顔で出迎えた。
翌日...
キリト達はギルドに向かった。
報酬を受けとる為だ。何故だか時間が指定されていた為、昼を回った頃に出掛けた。
ギルドに入ると、そこに大勢の冒険者達がキリト達を待ち構えていた。
「街を救った英雄のご登場だ。」
「黒の剣士キリトバンザーイ!」
「閃光のアスナ様ー!」
「天魔のゆんゆん最高!」
どうやら、キリト達を労うために、わざとキリト達だけ時間を指定していたようだ。
そんな中、ギルドの受付嬢ルナがキリト達に近づいてくる。
そして、ちょっと困った顔で、キリト達に告げる。
「キリトさん。今回は貴方達のお陰で、この街は救われました。まずは感謝を。そして、報酬なんですが...そのぉ。」
「ベルディアは一度、倒されていまして、討伐報酬が既に支払われているんです。ですからキリトさん達に出せるものが無くて...勿論、今回のギルドからの緊急クエストの報酬は特別報酬も含めて出しますが、常時、ベルディアの討伐報酬の十分の一になるかと...本当にごめんなさい。」
その額、三千万エリス。
キリトは、笑って報酬を受けとると、
「そんなに申し訳なさそうな顔をしなくても大丈夫ですよ。皆がこうして笑っていられる。それだけで俺は充分です。」
ルナにそう声を掛けた。
「キリトさん。」
ルナは潤んだ瞳でキリトを見つめる。
「キ~リ~ト~く~ん」
後ろから、地獄の底から響くような声が聞こえてくる。
「ひっ」
恐る恐る振り向くと、アスナが正に閃光の早さでキリトの耳を掴み引っ張っていく...
ゆんゆんも不機嫌そうにそれに続く。
その光景に爆笑する冒険者たち。
「ア、アスナ。さっきのはべつにルナさんを口説いた訳じゃなくて、落ち込んでるようだったから慰めようとしただけで...」
「言い訳は良いの。反省しなさい。」
「...ハイ」
「さすがの黒の剣士様も、閃光様の前じゃ形無しだな。」
そう言って近づいてきたのはカズマだ。
「昨日は、お疲れさん。それと...サンキューな。お陰で命拾いしたよ。」
カズマはそう言って、キリトを労った。
「ゆんゆん。昨日は聞きそびれましたけど、あの魔法はなんですか?正直、私の爆裂魔法に匹敵する威力がありました。なんですか?私の存在意義を奪うつもりなんですか?そう言えば、『天魔』なんて二つ名まで貰ってましたね?紅魔族の名乗りですら恥ずかしがるゆんゆんがそんな大層な名前を貰うとは思いませんでした。」
めぐみんは、ゆんゆんに絡んでいる。
ゆんゆんは、ニヤリと笑い、
「ふふん。羨ましいの?めぐみん?まあ、そうだよね。これから私は天魔のゆんゆん。自称じゃなくて、冒険者に広がってるからね。ああ、それとあの魔法は複数の魔法を同時に発動させたのよ。」
「キリトさん達の役に立ちたくて、私が編み出したの。かなり難しいけど、めぐみんならやろうとすればできるかもね。まあ、爆裂魔法しか習得してないめぐみんには意味の無い技術だけど。」
ゆんゆんも、逞しくなったものだ。
キリトが感心していた。
ダクネスはアスナの戦いぶりを称賛していた。
「アスナは凄いな。動きも早いし、何より攻撃の正確さがとんでもない。あのベルディアの大剣を砕いた時、一体どうやったら5連撃もの攻撃を、同じ場所に与えられるのだ?(私なんて、動かない敵にすら当たらないのに...)」
「うーん、特にコツなんてないんだけど...やっぱり集中することかな。」
そんな会話を行っていた。
そして、アクアは宴会芸の披露に夢中だった。
こうして、キリト達の異世界での日々は過ぎていく。
アスナは、そんな光景を見て思った。
これからも、色んなことに巻き込まれたり、自分達から首を突っ込んだりして、大きな事件に関わっていくのだろう。
それでも、キリトの隣にはアスナが、アスナの隣にはキリトが...二人がいればどんなことでも乗り越えて行けるだろう。
ましてや、二人には大切な娘のユイ。
この世界で出会った仲間のゆんゆんもいるのだから。
「大好きだよ、キリト君。これからもずっと一緒だよ?」
そう言って、キリトに口付けするアスナ。
その行為に固まるキリト。
それを見て、ヒートアップする冒険者たち。
その日、冒険者ギルドの酒場からは常に賑やかな音が鳴り止むことは無かった。
第1章完結的な感じです。
この素晴らしい世界に祝福を!は完結していないため、間はすっ飛ばして、次回からは終章。
間の話はあらすじとして紹介しますが、web版を参照しているため、このすばのこの先の展開のネタバレが含まれる可能性があります。
ご注意下さい。